ヒトはひと晩に約200mlの汗をかくといわれます。その汗は敷布団や掛け布団に吸収され、定期的な布団干しをしてメンテナンスしなければカビやダニの温床になったり、睡眠の質にも影響が出てしまうことになりかねません。
ただ、いざ布団を干そうと思ってもどれくらい干すべきか、そもそも干していい素材なのか、など疑問も多いと思います。
そこでこの記事ではベランダでの布団の干し方や、室内での干し方を紹介。正しい方法で効率よく湿気を放出するためのポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
布団を干す理由とは?
毎日使用する布団は、定期的に干さなければ状態が悪くなっていきます。布団を干す具体的な理由には以下のようなものがあります。
イヤな臭いの予防ができる
布団のイヤな匂いは、汗や皮脂を放置することで繁殖した雑菌が原因です。太陽光のうちの一要素である紫外線には殺菌効果があり、細菌の繁殖を防ぐのでイヤな匂いを防止できます。
カビやダニが繁殖しにくい環境が作れる
カビやダニの好む環境はジメジメした空間です。毎日使用する布団の中は汗や空気中の水分を含み、まさにカビやダニにとって居心地の良い空間となってます。日光に当てて湿気を十分に飛ばすことで、カビやダニが繁殖しにくい環境が作れます。
睡眠の質が向上する
「睡眠の質と関係あるの?」と感じるかもしれませんが、実は大きく関わります。湿気が溜まった布団は寝苦しくなり、イヤな匂いも気づかないうちに発生していたり、睡眠環境が悪化しています。最近睡眠の質が悪いと感じている人は、一度布団を干してみることをおすすめします。
ベランダで干すのにおすすめの環境と時間帯
基本的に、布団を干すのは晴れた日の日中がおすすめです。朝方や夕方は空気中の湿気が多いのでおすすめできません。逆に湿気を含んでしまい、雑菌が増えてしまう可能性があります。
雨の日や湿気の多い日、曇りは避け、湿度40%以下のタイミングだと効率よく干せてふかふかの布団に仕上がりやすいです。
なお、敷布団と掛け布団で大きな違いはないため、どちらも同じ時間干しましょう。綿素材は湿気を含みやすいので、ポリエステルや羊毛などと比べて干し時間を30分ほど長めにしておくと安心です。
季節別のおすすめの時間帯と干し時間は以下のようになります。
夏
午前10時から正午までの間に片面1時間ずつ、合計2時間
春・秋
午前10時から午後2時まで片面2時間ずつ、合計4時間
冬
正午から午後4時まで片面2時間ずつ、合計4時間
ベランダで布団を干す頻度
敷布団の場合は1週間に1度、掛け布団の場合は1週間〜2週間に1度を目安におこないましょう。また、冬でも同じ頻度が理想ですが、かく汗も空気中の湿気も少なめなので夏よりは間隔を広くしても構いません。
天日干しができる・推奨されない布団の素材
布団素材の中には、日光が苦手で天日干しが適さないものもあります。以下では「天日干しができる素材」「天日干しが推奨されない素材」に分けています。
ただし、基本的に日光は布団で使われるどの繊維素材も劣化させます。日光への耐久力は素材ごとに異なり、極端な劣化を防ぐためにも直射日光にさらす時間を考慮して天日干しする必要があるでしょう。
天日干しができる素材
・綿(コットン)
・合成繊維(ポリエステル)
・羊毛
天日干しが推奨されない素材
・羽毛
・真綿(シルク)
次の項目では、この「天日干しが推奨されない素材」の干し方も紹介していきます。
【素材別】布団を干すときの注意点
基本的には紹介した時間帯と干し時間、そして頻度を守れば快適な布団を維持できます。しかし、布団に使われている素材によっては注意しなければならないポイントもあります。
この項目では、基本的な素材の布団、真綿布団、羊毛布団それぞれの干し方のポイントを紹介します。使っている布団の素材が該当する方は、ぜひチェックしてみてください。
基本な素材の布団の干し方
綿(コットン)やポリエステル素材を使用した布団は、ここまで紹介したような基本的な干し方をしましょう。これらの素材は市場に出まわっている種類が多く、ごく一般的なものです。以下のポイントに注意して干してください。
・カバー類はつけたまま干す
・布団は強くたたかない
・干した後にクリーナーをかける
・少し部屋で冷ましてから収納する
布団叩きをするとホコリやダニがよくでるように思いますが、実は布団の繊維が壊れて舞っているだけです。布団を叩くのではなく、横に撫でるようにしてホコリを払うようにしましょう。
真綿布団の干し方
真綿布団は、蚕の繭をシート状に引き伸ばしたものを幾重にも重ねて布団の中綿として使用している布団です。真綿布団の干し方のポイントは以下になります。
・風通しの良い場所での陰干し
・カバー類はつけたまま干す
・布団は強くたたかない
真綿布団は放湿性が高いため、陰干しでも十分に湿気を飛ばすことができます。頻度は月に1~2度が目安です。布団全体に風が良く当たるような風通しの良い場所に2~3時間干しましょう。
また、紫外線に弱いことから天日干しは避けてください。真綿素材の変色や劣化が進んでしまいます。布団叩きも真綿の劣化に繋がるため、軽く撫でるようにしてホコリを払う程度にしてください。
羊毛布団の干し方
羊毛布団は保温性や吸湿性・放湿性に優れており、フカフカとした寝心地が特徴です。綿素材の布団と比べて半分ぐらいの重さとなっており、干しやすく上げ下ろししやすいのがメリットです。羊毛布団の干し方のポイントは以下になります。
・風通しの良い場所での陰干し
・カバー類はつけたまま干す
・布団は強くたたかない
羊毛布団は放湿性が高いため、綿布団よりも頻度が少なめでも問題ありません。2週間に1回の頻度で、夏は1~2時間、冬は2~3時間の陰干しをしましょう。日差しの弱い午前中がベストです。
ベランダで布団を干すときにあると便利なアイテム
ベランダで布団を干すときには「風で飛ばされる」「干す場所が汚い」などの悩みもでてきます。そんなときにあると便利なアイテムを紹介していきます。
【必須】布団ばさみ
布団ばさみは風で布団が飛ばされないようにするために必要不可欠なアイテムです。しっかりと力強く挟んでくれるよう、なるべく強力で幅広のタイプを選びましょう。
また、厚めの布団に薄手用の布団ばさみを使用してもガッチリと挟めません。そういったミスマッチを防ぐためにも薄手用と厚手用を分けておくことをおすすめします。
【あれば便利】布団干しシート・カバー
布団干しシートを使うと、ベランダの汚れや花粉などを気にせず清潔に干すことができます。
タイプはシートタイプとカバータイプがあり、布団を覆うカバータイプは日光を取り込み内部が高温になるため、乾燥が早くなったりダニ退治もできます。また、各メーカーごとにサイズが異なる場合があるため、サイズ選びには気をつけましょう。
【あれば便利】布団干し
物干しスタンドなどの布団干しがあれば、ベランダが汚れていてもすぐに布団を干すことができます。
また、天日干しができない布団やあまり直射日光を当てたくない場合にも、布団干しがあればベランダでの陰干しが可能になります。加えて、布団干しは室内で干すときにもあると便利なグッズです。
ベランダで布団が干せないときに試したい方法
雨の日、花粉、黄砂、もしくは賃貸で禁止されている場合など、ベランダに布団を干せなくて悩むこともあるでしょう。しかし「湿気の放出」さえできれば、日光にさらされずとも室内での陰干しだけで布団のお手入れとしては問題ないのでご安心ください。室内で効率よく湿気を飛ばす方法を提案します。
部屋干しをする
窓を開けたくない日は、扇風機を使って部屋干ししましょう。
やり方は、布団干し用のすのこやスタンドタイプのもの、椅子などに布団を干して、扇風機の風が全体にあたるようにするだけです。干す前にベランダで軽くホコリを取り除いてください。
当てる時間は30分~1時間程度が目安で、途中で裏表をひっくり返すのを忘れないようにしましょう。エアコンのドライ機能を使うとさらに効果的です。
室内物干し竿の設備がある家なら、わざわざ布団干しスタンドなどを購入する必要もなくなります。
浴室乾燥機を活用する
浴室乾燥機は気密性の高い浴室でおこなうため、比較的短時間で乾燥させられます。
表面のホコリをはたいた後、浴室乾燥機のスイッチをつけて30~40分程度を目安に干してください。浴室乾燥機の場合も、途中で裏表をひっくり返しましょう。
浴室乾燥機は、布団干しだけでなく雨の日の通常の洗濯物にも便利です。家事の負担も軽くなるでしょう。
床下暖房を活用する
石油ストーブや石油ファンヒーターは燃焼の際に水蒸気を出すため結露しがちですが、床下暖房の場合は水蒸気をださないので布団を乾燥させるのに適しています。
やり方は、布団を床下暖房をつけている部屋に広げておくだけ。時間は1~2時間程度が目安となります。布団乾燥機と併用すると効率よく乾かせます。
布団をベランダで干す際はポイントを押さえておくと安心!
布団の干し方次第では、布団自体の寿命が短くなって早期に寝心地が悪くなってしまうこともあります。
また、干す時間やタイミングによっては湿気を十分に飛ばせず、カビやダニの発生リスクが高まることもあるため、当ページで布団干しのポイントをしっかり押さえておきましょう。
雨が多い地域や花粉アレルギーなどが理由でベランダで布団を干せない場合、浴室乾燥機や床暖房活用も想定してお部屋選びをするのがおすすめです。