お気に入りのリュックを通勤通学で毎日使っている、という方は多いことでしょう。汗をかいたまま背負っていたり、雨に濡れたりと、日々の使用で知らず知らずのうちに汚れが蓄積しているリュックは、放っておくと不衛生なだけでなく、見た目も損なってしまいます。
しかし、「リュックを洗うのは手間がかかりそう」「難しそう」というイメージを持たれる方も少なくありません。今回は、リュックの素材別の洗い方や自宅でできる効果的な洗濯方法、洗えない素材の対処法を紹介します。
大切なリュックを清潔に保ちながら、長く愛用していきましょう。
リュックを洗う前に確認したいポイント
リュックを洗う前には、確認すべきポイントがあります。
・リュックに記載されている洗濯表示
・リュックの素材
・色落ちの可能性
それぞれ解説していきます。
リュックに記載されている洗濯表示
まずは洗濯表示を確認しましょう。製品それぞれの最適な洗い方を知ることができます。洗濯表示には以下の情報が載っていることが多いです。
・水洗いの可否
・手洗いか洗濯機洗いか
・使用可能な洗剤の種類
・適切な乾燥方法
洗濯表示に水洗い可能のマークがあれば、自宅での洗濯が可能です。なお、リュックは衣類と異なり、洗濯表示がないものもあります。その場合は素材をみて判断しましょう。
※参照元:新しい洗濯表示 | 消費者庁
リュックの素材
リュックの素材により洗濯方法を判断することもできます。
たとえばポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、比較的丈夫で洗いやすい素材です。綿やキャンバス地は防水加工がなされていることもあり、加工を維持するためにも手洗いをした方がよいでしょう。
リュックの一般的な素材と推奨される洗い方は以下のとおりです。
・洗濯機可:ナイロン・ポリエステル
・手洗い推奨:綿・キャンバス地・麻
・水洗い不可:皮・合皮
素材の特徴を知っておくことで、適切な洗濯方法を選択できるようになります。
色落ちの可能性
濃い色や鮮やかな色のリュックは、色落ちのリスクが高まります。色落ちしてしまうと見た目が悪くなるため、洗濯前にしっかりと確認しておきましょう。
色落ちの確認方法は簡単です。白い布やキッチンペーパーに洗剤をつけ、リュックの目立たない部分に押し当てます。布やキッチンペーパーに色が移るようであれば色落ちするため、自宅での洗濯は控えたほうがよいでしょう。
【前準備】リュックを実際に洗う前にしておきたいこと

リュックの洗濯前には、下準備が必要です。きれいに仕上げるために重要なステップなので、丁寧に行いましょう。
中身を出す
まずは中身を全て取り出しましょう。小さなポケットまで丁寧にチェックすることで、取り返しのつかない失敗を防ぐことができます。
以下のようなものはとくに見落としやすいため、注意して確認しましょう。
・財布や小銭
・文房具類
・イヤホンや充電器などの電子機器
・レシートや領収書
・化粧品類
また、普段からリュックの中身を取り出さない方は、この機会に不要なものがあれば処分し、整理整頓しておきましょう。
リュックの洗い方を確認する
リュックをどの方法で洗濯するのか、決めておきましょう。基本的には、洗濯表示に従います。洗濯表示を確認し、「水洗いの可否」「手洗いか洗濯機洗いか」を確認します。
洗濯表示がない場合には、リュックの素材に応じて洗い方を決めましょう。濃い色のリュックは、色落ちのチェックをしておくと安心です。
洗濯表示で「家庭洗濯不可」となっているリュックや、皮や合皮など素材が水洗いに適さないもの、色落ちする素材については、水洗いは避けましょう。
外せるパーツは外しておく
取り外し可能なパーツは、事前に全て外しておきましょう。パーツごとに素材が異なる場合もあるので、それぞれにあった方法でケアしましょう。
たとえば次のようなパーツは外して洗うことをおすすめします。
・ストラップ
・キーホルダー
・紐
・装飾品
・金属パーツ
・クッション など
外したパーツは、なくさないようにひとまとめにして保管しておきましょう。
ゴミやホコリなどをしっかり取り除いておく
リュック内部にティッシュのゴミやホコリが入っていた場合、そのまま洗濯するとかえってリュックを汚してしまいます。洗濯前に必ず取り除いておきましょう。
ホコリはブラシで優しく表面をこすったり、粘着テープや掃除機を使ったりすれば除去できます。掃除の際に、生地の傷みや汚れの程度などを確認しておくと洗濯がスムーズです。
汚れがひどい部分は事前に部分洗いをしておく
リュックに汚れのひどい箇所があるときは、事前に部分洗いをしておくと効果的です。とくに染みになっている部分や油汚れが目立つところ、泥汚れなどは、部分洗いをしておくことでしっかりと落としやすくなります。
中性洗剤を汚れに直接塗布し、洗濯用のブラシや古歯ブラシなどでこすり洗いします。優しく叩くように洗剤をなじませることがポイントです。
なお、漂白剤は生地を傷める可能性があるので避けましょう。
洗濯機を使ったリュックの洗い方

ここからは、実際にリュックを洗う手順についてみていきましょう。まずは洗濯機で洗う方法を紹介します。
①裏返しにして洗濯ネットに入れる
洗濯の下準備が終わったら、リュック自体を裏返しにし、洗濯ネットに入れます。裏返してネットに入れることで、洗濯機による摩擦やひっかかりから外側の生地を保護し、リュック自体が傷みにくくなります。
また、この工程では以下の点に注意しましょう。
・ファスナーやボタンはすべて閉じる
・ネットはリュックのサイズに合うものを選ぶ
・しわにならないようにネットに入れる
・ネットの口はしっかり閉める
リュックがすっぽりと入る、できるだけ厚めの洗濯ネットがおすすめです。
②弱水流のコースで洗う(手洗いコースなど)
洗濯の際は、弱水流のコースで洗います。弱水流のコースは「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着用コース」など機種により呼び方が異なるため、ご自宅の洗濯機の説明書を確認しましょう。
すすぎはできるだけ念入りに、2回以上行います。
リュックを洗うのにおすすめの洗剤
リュックの洗濯をする際には、中性の洗濯洗剤を選びます。
洗濯用には、汚れが落ちやすいアルカリ性の洗剤も市販されています。しかし、リュックを洗濯する場合はファスナーやボタンなど、金具の部分が変色する可能性もあるため、おすすめできません。
素材を傷めずに洗濯したい場合は、おしゃれ着用洗剤を使用すると安心です。たとえば以下のような商品があります。
・アクロン(ライオン)
・エマール (花王)
使用量は洗剤の説明書に従い、適量を守りましょう。
③脱水は短時間にとどめタオルなどで水気を取り干す
洗濯機の脱水機能は、リュックの形崩れの原因となります。できる限り使用せず、タオルで押しながら水気をとるようにします。スポンジ部分など水分を多く含んでいる箇所は、手のひらで押さえながら水分を出すイメージで拭くとよいでしょう。
洗濯機で脱水を行いたい場合には、1分程度の短い時間であれば可能です。
手洗いでのリュックの洗い方
洗濯表示に手洗いの記載がある場合や、手洗いが推奨される素材のリュックである場合には、手洗いを行いましょう。手洗いの手順を紹介します。
①ぬるま湯をためて中性洗剤を入れる
リュックが浸るくらいの大きさの洗面器にぬるま湯を溜めます。そこに中性洗剤をパッケージの表示に従って溶かします。
洗剤は洗濯機の場合と同様、おしゃれ着用のデリケートな衣服を洗える洗剤を選ぶとよいでしょう。
②リュックを浸けて押し洗いする
洗剤液にリュックを浸け、優しく押し洗いします。とくに汚れている部分がある場合は、柔らかいスポンジやブラシを使用し、その部分のみを念入りに洗うとよいでしょう。
手洗いで念入りに洗っておきたい部分
日常的に使用しているリュックには、体と接する面に汗や皮脂が多く付着しています。これらの部分をとくに意識して念入りに洗うとよいでしょう。
・背面パッド部
・ショルダーストラップ
・持ち手周り など
洗剤をしっかりと泡立てて、やさしく押し洗いすることがコツです。
③ぬるま湯を入れ替えながらすすいで水気を取り干す
洗い終われば、ぬるま湯を入れ替えながらすすいでいきます。何度もぬるま湯を交換し、中でリュックを押さえたときに濁らなくなるまですすぎます。洗剤が残っていると、生地が黄ばむ原因となるためです。
すすぎが終われば、タオルで押さえて水気を切り、適切な方法で干しましょう。
洗ったリュックの干し方
リュックの水気が切れたら、干してしっかりと乾かします。干し方のポイントは以下のとおりです。
・逆さにして干す
・新聞紙を中に詰める
・平干しネットの活用
洗濯直後は物干し竿にリュックの腕の部分をかけ、逆さにして干します。ぽたぽたと水が落ちてくるため、それが止まるまで様子を見ておきましょう。
水が落ちなくなったら、リュックの中に新聞紙を入れ、風通しのよい日光が当たらない場所で平干しします。中に新聞紙を入れると、新聞紙が湿気を吸い、型崩れやシワを防ぐことができます。新聞紙が湿っていたら、途中で取り替えるとより早く乾きます。
生地の厚い部分やスポンジ部分は乾きにくいため、しっかりと時間をかけて乾かしましょう。
洗えないリュックの汚れの落とし方

水洗いができないリュックでも、適切にお手入れすれば清潔に保つことができます。
・軽い汚れの落とし方
・深刻な汚れの落とし方
それぞれの状況に応じた対処法を見ていきましょう。
軽い汚れの落とし方
部分的に軽い汚れが気になる場合には、水を含ませたメラミンスポンジで軽くこすったり、消しゴムを使ったりするとよいでしょう。
部分的に洗剤をつけたタオルで拭き、その後水拭きするという部分洗いの方法もあります。ただし、洗剤を使う方法は色落ちの恐れがあります。部分洗いをする際には、目立たない場所で色落ちしないかどうか試してから行うようにしましょう。
深刻な汚れの落とし方
カビや変色、長期間放置された汚れなど、汚れがひどいときには「ある程度のダメージを覚悟して自宅で洗濯する」という選択肢があります。この場合、素材が傷んだり、変形してしまったりする可能性があることを配慮しておきましょう。
お気に入りのリュックを安全にきれいにしたいときは、クリーニング店に相談してみることをおすすめします。クリーニング店では、素材に応じた適切な方法で安全にきれいにしてくれます。
リュックを洗う際の注意点
リュックを洗う際には、以下のような注意点があります。
・頻繁に洗濯しすぎない
・熱湯は使用しない
・脱水機能や乾燥機は使用しない
・漂白剤は使用しない
・素材に応じたケアを心がける
これらの注意点を守ると、ダメージを最小限に抑えられます。リュックをきれいな状態で長く使い続けるために、意識しておきましょう。
頻繁に洗濯しすぎない
洗濯を行う行為は、どうしてもリュック自体に負担がかかります。そのため、必要以上に頻繁に洗濯すると、リュックがすぐに傷んでしまうことにもつながるのです。
衣服のように定期的に洗濯するのではなく、汚れが気になった際、多くても数ヶ月に1回程度の洗濯に留めておきましょう。
熱湯は使用しない
リュックが熱湯に触れると、素材を傷める可能性があります。とくに化学繊維は熱に弱く、変形や劣化の原因となってしまうのです。
適切な方法で洗っていれば、40度以下のぬるま湯での洗濯でしっかりと汚れが取れるはずです。素材に優しい温度設定を心がけましょう。
長時間の脱水機能や乾燥機は使用しない
洗濯機の脱水機能や乾燥機による熱は、リュックに大きなダメージを与えます。縮んだり、変形したりする恐れもあるのです。リュックを長持ちさせるためにも自然乾燥を選択しましょう。
自然乾燥には多少の時間がかかるため、時間に余裕のある日にリュックを洗濯することをおすすめします。
漂白剤は使用しない
生地のシミや汚れが落ちにくかったとしても、漂白剤の使用には注意が必要です。とくに塩素系漂白剤は、色落ちや生地の傷みの原因となります。
どうしても気になる汚れがあり漂白剤を使いたい場合には、効果がマイルドな液体の酸素系漂白剤を使いましょう。リュックに残る気になる臭いの除去にも効果的です。
リュックの洗い方を知って清潔に保とう
今回はリュックの洗い方やそのポイントを紹介しました。洗濯のポイントは以下のとおりです。
・洗濯表示の確認をする
・素材に合わせた洗剤と洗い方を選ぶ
・洗濯機を使うとき必ずネットに入れ、弱水流で洗う
・手洗いでは優しくもみ洗いを心がける
・陰干しで自然乾燥させる
毎日使うリュックだからこそ、適切にお手入れして清潔に保ちましょう。