賃貸の緊急連絡先になれるのは誰?いない場合はどうする?どんな時に連絡がくるの?全て教えます

目次

賃貸物件の申し込みをする際には、緊急連絡先が求められます。これは一体、どのような目的で記入する必要があるのでしょうか。

賃貸仲介に従事していると「緊急連絡先がいない」「緊急連絡先を頼まれたが、何をすればよいかわからず不安」「一緒に住む人を緊急連絡先にしたい」など、悩みや疑問をお持ちの方が多くいらっしゃいます。

今回は、賃貸物件で求められる緊急連絡先について解説します。ぜひ最後までお読みいただき、緊急連絡先についての理解を深め、今後のお部屋探しに役立ててみてください。

賃貸の緊急連絡先とは

緊急連絡先とは、緊急の用事がある場合に、契約者と直接連絡が取れないときの連絡先のことです。賃貸物件では、さまざまなことで契約者に連絡や通知をすることがあります。すぐに連絡がつけばよいのですが、すぐに連絡を取れないこともあるでしょう。

家主や管理会社は、賃貸物件を安全に保つ義務があります。そのために、緊急事態でも迅速な対応が求められることから、賃貸借契約では緊急連絡先の提出が求められるのです。

緊急連絡先と連帯保証人・保証会社の違い

法的義務がないのが緊急連絡先、法的義務があるのが連帯保証人・保証会社です。

連帯保証人とは、契約者本人が家賃を支払わないときに、家賃を請求される立場にあります。保証会社は、連帯保証人と同様の立場を担う機関保証のことです。連帯保証人や保証会社は、上述のとおり賃貸借契約において義務を負っています。しかし、緊急連絡先は法的な義務を負いません。

賃貸の緊急連絡先に電話がかかってくるケース

緊急連絡先に、家主や管理会社から連絡が入るのはどのようなときでしょうか。具体例を確認しておきましょう。

緊急性が高い状況で、入居者本人からの折り返しを待てないとき

賃貸物件で事件や事故が発生したときなどに、緊急連絡先へ連絡が入ります。緊急性が高いケースとは、以下のようなものです。

・泥棒が入ったことが判明し、警察の捜査に協力するとき

・隣戸などで火災があり、消火活動の必要があるとき

このようなときは、緊急連絡先へ連絡が入ることが考えられます。

入居者本人に連絡がつかないとき

契約者本人や入居者と連絡がつかないときも、緊急連絡先の出番です。事例としては、以下のことが想定されます。

・家賃を長期滞納しているが連絡がつかない

・建物点検のため入室する必要があるが、応答がない

再三ですが、緊急連絡先として滞納家賃を肩代わりする必要はありません。あくまでも、契約者本人へ連絡を促すことが緊急連絡先に求められることなのです。

入居者本人の死亡や行方不明のとき

契約者本人が死亡したり、行方がわからなくなったりしたときも、緊急連絡先へ確認が入ります。このケースでは、以下のようなことを聞かれることになります。

・死亡したとき

 →相続人の有無、親族の連絡先など

・行方不明のとき

 →本人の行方についての情報など

いずれのケースも、緊急連絡先だからといって何の義務も発生しません。ただし、自分が緊急連絡先のとき、知っている情報は必要な承諾を取ったうえで開示しましょう。

緊急連絡先の必要性や役割は、以上のようなものです。しかし、さまざまな事情により、緊急連絡先を設定できない方も少なくありません。そのようなときは、不動産会社に相談してみるのも一つの方法です。緊急連絡先がいないことを正直に話すことで、不動産会社も力になってくれるでしょう。

賃貸契約の緊急連絡先として記載できる人

どのような人を緊急連絡先として申告できるのでしょうか。ここでは、緊急連絡先に適した人を紹介します。

3親等以内の親族

自分から見て、3親等以内の親族が緊急連絡先に最も適しているといえます。その理由は、家主や管理会社から見て、以下のようなメリットがあるからです。

・何かあったときに協力を得やすい

・人間関係の繋がりが切れることがない

緊急連絡先の役割を果たすことや、何かあったときに迷惑をかける可能性もあるため、頼む側から見ても親族を緊急連絡先にするのが望ましいと考えられます。

3親等以内の親族とは、自分から見て以下のような続柄の親族を指します。

・両親

・子

・配偶者と配偶者の両親

・祖父母

・孫と孫の配偶者

・兄弟と兄弟の配偶者

・兄弟の子どもと兄弟の子どもの配偶者

なお、いとこは4親等になりますが、緊急連絡先として不適格というわけではありません。3親等以内の親族は、あくまでも家主や管理会社が設ける目安とご理解ください。

同一県内に居住する友人

同じ県内に住んでいる友人も、緊急連絡先として承諾を得られることがあります。ただし、友人の場合は、人間関係が希薄になる、連絡先が変わることがあります。そうなると、緊急連絡先として機能しないこともあるでしょう。

緊急連絡先に連絡が取れないことは、契約者本人が不利益を被ることを意味します。友人を緊急連絡先として記載するときは、人間関係を途切れさせないようにしましょう。

同居している成人の家族

ファミリータイプであれば、成人している同居家族でも緊急連絡先として認めてもらえることがあります。しかしその場合、火事や事故が発生した際には、緊急連絡先としての意味をなさない可能性があります。緊急連絡先に法的義務はありませんが、その存在意義を含めて誰を記載するか考えましょう。

賃貸契約の緊急連絡先に対して「本人確認」や「審査」はある?

緊急連絡先であっても、本人確認や審査が行われることはあります。ただし、契約者本人や連帯保証人を審査する水準には至りません。電話番号が通じるかどうか、本人との関係はどのようなものかなど、確認程度に留まることが一般的です。

ただし、家主さんや管理会社の要請や基準に基づいて、ほかの緊急連絡先にしてほしいと要望が出ることもあります。

賃貸の緊急連絡先に家賃を催促されることはある?

緊急連絡先に対して、契約者の未納家賃を払ってほしい旨の連絡が入ることはありません。ただし、契約者と連絡が取れないときは、居所や状況を聞かれることはあります。家賃の滞納があると、緊急連絡先にもその事実を知られることになります。家賃の滞納などは起こさないように気を付けましょう。

賃貸契約に記載できる緊急連絡先がないときの対処法

緊急連絡先を頼める人がいないときは、どうすればよいのでしょうか。ここでは、緊急連絡先がいないときの対処法について解説します。

居住支援法人を訪ねてみる

住宅を確保するために、必要な支援を行う団体に相談する方法が考えられます。居住支援法人とは、住宅の確保が必要な人に対して、賃貸住宅への入居を支援する団体のことです。入居支援の方法はさまざまであり、以下のサポートを受けられます。

・緊急連絡先への就任

・家賃保証の提供

・賃貸住宅情報の提供や相談

・見守りなどの生活支援

居住支援法人は都道府県が指定するため、安心して利用できます。詳しくは、以下のページを参照してみてください。

出典:国土交通省「住宅確保要配慮者居住支援法人について

緊急連絡先の代行サービスに依頼する

費用はかかりますが、緊急連絡先の代行サービスへ依頼する方法もあります。怪しく思われるかもしれませんが、緊急連絡先の代行サービスに違法性はないので、安心して利用することが可能です。また、緊急連絡先の代行サービスには、メリットも存在しています。

・緊急連絡先としてきちんと対応をしてくれる

・サービス会社によっては、鍵紛失トラブル時にサポートが付帯していることもある

ただし、代行サービス利用時には以下の点に注意してください。

・対応しているエリアが定められている

・法人名ではなく、個人名で緊急連絡先を記載するときは料金が変わることもある

代行サービスは多数ありますので、自分にあったプランと費用のものを選ぶことを心がけましょう。

地方自治体に相談する

市町村が緊急連絡先になることはありませんが、民生委員を紹介してくれます。民生委員とは、地域に根差したボランティア活動を行う公務員のことです。地域住民と行政との架け橋としての役割が大きく、地域住民からのさまざまな相談はもちろんのこと、高齢者やハンディキャップをお持ちの方への見守り支援なども手がけます。

民生委員に相談をすることで、地方自治体の支援制度を教えてくれたり、関係機関への紹介を通じて、緊急連絡先に関する問題が解決したりすることがあります。詳しくは、以下を参考にしてみてください。

出典:政府広報オンライン「ご存じですか?地域の身近な相談相手「民生委員・児童委員」

弁護士や行政書士に相談する

かなり費用は高くなりますが、士業の力を借りる方法もあります。ただし、緊急連絡先になってほしいだけの相談に応じる可能性はほぼありません。弁護士では顧問契約のオプションとして、行政書士では相続問題や遺言書作成のオプションとして、緊急連絡先へ就任してくれることがあります。

緊急連絡先が不要の賃貸物件を探す

不動産会社に相談して、緊急連絡先が不要の賃貸物件を探す方法です。実は、賃貸仲介や賃貸管理の現場ではこの方法が最も一般的です。緊急連絡先が不要な賃貸物件は、一定程度存在しています。その理由は、以下のようなものです。

・保証会社の内容や保険商品の充実により、緊急連絡先の意味と意義が薄れてきたこと

・緊急連絡先を用意できない方への配慮

選択できる賃貸物件の数が減少する可能性は否定できません。しかし、正直に不動産会社に相談することで、解決できることはあります。ぜひ、信頼できる不動産会社に相談してみてください。

賃貸契約の緊急連絡先は早めにお願いしておこう

今回は、賃貸契約における緊急連絡先について解説しました。伝えたいメッセージは、以下のとおりです。

・緊急連絡先は連絡が取れないときに必要な存在であること

・法的な義務を負う存在ではないこと

・緊急連絡先がいなくても、お部屋探しは可能であること

ただし、多くの賃貸物件から自分に合ったお部屋を見つけるためには、緊急連絡先を早いうちから探しておくことが重要です。お部屋探しにあたっては、緊急連絡先探しも早めに行いましょう。