IT重説(重要事項説明)とは?実施に必要な条件や流れ、メリット・注意点を確認しよう

目次

ITやDXの波は、不動産業界にも届いています。しかし、賃貸物件探しから契約まで、一度も賃貸仲介会社を訪問せずに完結できることは、あまり知られていません。

お部屋探しをする人の中には「遠方に引っ越すため、何度も現地に行く時間がない」「休みが少なく、賃貸仲介会社との時間調整ができない」という方も少なくありません。このような悩みを解決できるのが、IT重説です。

今回は、オンライン契約の中でも重要なIT重説について解説します。ぜひこの記事を最後まで読み、スムーズなお部屋探しのヒントにしてくださいね。

オンラインによるIT重説(重要事項説明)とは?

IT重説とは、対面ではなく、オンライン上で行う重要事項説明のことを指します。オンラインで行う場合、Zoomや Google Meet などのウェブ会議ツールを使うのが一般的です。

IT重説が導入されるようになった背景

IT重説は、借主と賃貸仲介会社の双方で発生する負担を軽減させるために、2017年から法改正によって運用されるようになりました。

重要事項説明は本来、対面で行うことが宅建業法により求められていました。重要事項説明のために日時の調整を行い、契約前に賃貸仲介会社に赴く必要があったのです。そのため、以下のようなマイナスの声が上がっていました。

・契約する賃貸物件から遠方に住んでいる人は、重説のための訪問が負担になる

・ケガや急用ができたときなどにリスケがむずかしい

・仕事が終わってからだと夜遅くにしか訪問できない

このような声に要請する形で社会実験を重ね、IT重説が実現したのです。

参照:国土交通省「賃貸取引に係るIT重説の本格運用の開始について

IT重説を利用するメリット

IT重説を活用すると、具体的にどのようなメリットがあるのか気になるところです。ここでは、IT重説のメリットについて解説します。

事前に重要事項説明書(契約書)を確認できる

IT重説では、説明を受ける前から重要事項説明や契約内容を把握できます。これは、後述するIT重説の進め方が対面重説と異なるため発生するメリットです。

通常の重説では、説明を受けるときに初めて説明の内容を知ることになります。しかし、IT重説では、説明を受ける前に説明内容が書面で送られてくるのです。事前に重説や契約内容を把握できるため、理解が深まることが期待されます。

日時の調整がしやすい

IT重説では、日程の調整も楽にできます。パソコンやスマートフォン、タブレットがあれば、いつでも説明を受けることが可能です。いつでも大丈夫とはいえ、聞き取りやすい環境で、質疑などやりとりに差しさわりのない場所を選ぶようにしましょう。

遠方物件を気軽に契約できる

IT重説があれば、あらためて賃貸仲介会社を訪問する必要がないため、自宅から遠い場所の契約でも安心して行えます。遠方の賃貸物件を契約するときは、契約以外のことも重なり、何かと忙しくなりやすいものです。IT重説を選択することで、賃貸物件の契約以外のことにも注力できます。

録音・録画によりトラブル抑制につながる

IT重説を活用すると、録音や録画ができるため、契約後のトラブルを回避できます。また、録音や録画を行うことから、賃貸仲介会社も慎重になります。また、借りる側も不明点などを聞き返すことで、より精度の高い重要事項説明が行われるようになるでしょう。

ウェブ会議ツールを活用することにより、さまざまな手間を省くことが可能です。さらには、録音・録画機能を使うことで、誤解や勘違いが減ることも期待されます。

オンラインはIT重説に限らず、相談・内見・申し込みから契約にも活用されています。遠方へお引っ越し予定の方やご多忙の方は、ぜひ一度検討してみてください。

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IT重説の利用前に確認すべき注意点

IT重説を利用するときには、オンラインであるがゆえに注意すべきポイントがあります。ぜひIT重説をする前に、確認してみてください。

重要事項説明を軽視してしまうことがある

重要事項説明は、重要な事項を説明するものです。しかし、IT重説では、オンラインであるため集中して聞けず、聞き流してしまうことがあります。

重要事項説明は、契約概要や賃貸物件の状況を説明する極めて重要なものです。聞き逃さないように、集中できる環境で臨むことをおすすめします。

インターネット環境を用意する必要がある

IT重説はインターネット上で行うため、通信環境を確保する必要があります。通信環境の有無はもちろん、途切れてしまうと本末転倒なので、安定して電波が入る環境を選ぶようにしましょう。

通信環境が悪いとやり直しをする必要がある

IT重説では、通信環境が悪く、改善が見込めないときはやり直しが必要になります。なお、説明の途中で通信環境や機器トラブルが発生したときは、それ以降の部分からのやり直しとなります。やり直しは、環境を整えて再度IT重説か、対面説明へ変更かの選択が可能です。

出典:国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明 実施マニュアル」より抜粋

IT重説を実施するために必要な条件

IT重説は便利であるものの、適切に実行されることを担保するために必要な条件があります。これらを確認しておくことで、IT重説によるトラブルを回避することにもつながります。

通信環境を整備すること

IT重説では、途切れない快適な通信環境を確保する必要があります。重要な説明であるため、Wi-Fiが途切れたときのためにテザリングの準備をするなど、代替手段があるとよいでしょう。

個人情報保護がなされていること

IT重説は、録音や録画が前提となるため、個人情報保護が適切になされているかを確認してください。賃貸仲介会社のプライバシーポリシーや、個人情報取扱いに関する同意書が提示されているときは、その内容を読み返しておきましょう。提示がないときは、必ず事前に求めておく必要があります。

対面ではなくIT重説を選択した履歴を残すこと

IT重説を選択したことについて、履歴を残しておくことが求められます。なぜなら「本当は対面で聞きたかったのに、強引にIT重説にさせられた」というトラブルをお互いに回避できるからです。

賃貸仲介の現場では、対面ではなく、IT重説を積極的に選ぶ人はまだ多くありません。背景には、通信環境の問題や、重要事項説明の重要度の問題があると考えられます。

どちらを選ぶかは人によって異なるので、よく考えて選択しましょう。

重要事項説明書(契約書)が説明時までに書面で到着していること

IT重説であっても、重要事項説明書(契約書)を書面で確認することが重要です。そのため、IT重説前には、必ず手元に重要事項説明書が届いていることが求められます。

画面上で文字を見るよりも、書面で見るほうがよく確認できるという方も多いように感じます。事前に書面を借主に届けることは、国土交通省からも要請されていることです。IT重説を成立させる重要な部分なので、事前に説明書類が届いているかは必ず確認するようにしましょう。

宅地建物取引士証を提示してもらうこと

重要事項説明は、宅地建物取引士が実施することが宅建業法で定められています。IT重説においては、借主に取引士証を提示し、借主が確認することが必要です。

この手順は、対面であってもIT重説であっても割愛できません。取引士証の提示は、必ずIT重説の最初に求めましょう。

完全オンラインで賃貸契約を行う流れ

これより、IT重説を含めたオンラインで賃貸契約を進める流れを解説します。ぜひ参考にして、スムーズで快適な賃貸物件探しを実現してみてください。

参照:国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル

➀賃貸仲介会社へ問い合わせる

引っ越しを検討するエリアにある賃貸仲介会社へ、問い合わせをしましょう。気になる物件があれば、物件に対して問い合わせをすることも可能です。また、探してほしいときは希望条件を伝えると、条件に合う賃貸物件を探してくれます。

遠方であるときは、すべてオンラインで対応したいことを伝えれば、話がスムーズです。特にオンライン内見は、日時まで指定しておきましょう。賃貸仲介会社も鍵の準備を事前にしてくれますので、併せて伝えておくことをおすすめします。

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②実際にオンラインで内見をする

内見したい物件が決まったら、実際にオンラインで賃貸物件を確認しましょう。オンライン内見を成功させるコツは、以下のとおりです。

・事前に間取り図面を拡大したものをもらっておく

→採寸結果や備忘録をすぐに書き留められる

・2人以上で対応してもらい、画面の中に人がいる状況を作る

→人がいることで、リアルなサイズ感を知れる

オンライン内見は実際に内見できないので、不安という声もあります。しかし、賃貸仲介の現場では、実際に見に行く前のプレ内見として、積極的に活用されています。遠くにお住まいの人はむずかしいかもしれませんが、お近くにお住まいの方もぜひオンライン内見を体験してみてください。

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③申し込みを行う

賃貸物件がお眼鏡にかなったら、申し込みをしましょう。申し込みも、もちろんオンラインで対応することが可能です。申し込みをオンラインで行う方法は、以下のとおりです。

・申込書のひな型をもらい、プリントアウトして自分で記入する方法
印刷機能やPDFにする機能があることが条件です。自分で記入するため、間違いが起こりにくい方法といえます。
・申込書に記載する内容をメールなどに記入して、賃貸仲介会社で代筆してもらう方法
賃貸仲介会社が家主さんや管理会社に代筆記入の許可をもらい、記載内容を伝えて申込書を作成する方法です。
・オンライン申し込みツールを利用する方法
オンライン申し込みツールを利用して、借主が直接オンラインで入力する方法です。

家主さんや管理会社によって、申し込み可能な方法は異なります。どのような方法が対応できるか、事前に確認しておきましょう。

④審査通過したらIT重説を実施する

申し込みを行い、審査を無事通過したら、IT重説をしてもらいましょう。IT重説では、事前に届く重要事項説明書や契約書に目を通しておいてください。そして、わからないことや質問すべきことをまとめておくと、スムーズです。

オンラインでは話が聞き取りにくかったり、質問をしにくかったりすることもあります。通常の重要事項説明より時間をかける気持ちで、慎重な対応が重要です。

⑤契約手続きをする

重要事項説明が終われば、契約手続きを行います。これより行う契約手続きは、以下のようなものを指します。

・決済金の入金
契約に必要なお金を支払います。敷金や礼金、前家賃、鍵交換費用や消毒費用、火災保険料、仲介手数料などが含まれます。
・契約書や重要事項説明書への署名と捺印
各種契約書類への署名と捺印を行います。署名捺印は書面で実際に行うときもあれば、電子契約をするときもあります。家主さんや管理会社によっても異なりますので、事前に確認しておきましょう。
・付帯契約の手続き
火災保険や駆けつけサービス、保証委託契約が賃貸借契約に付帯しているときは、付帯契約の加入手続きも並行して行います。賃貸借契約は電子契約、保証委託契約は書面など、契約ごとに方法が異なることがあります。くれぐれも注意して、漏れのないように手続きを進めましょう。

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IT重説などオンライン契約を駆使してスマートなお部屋探しをしよう

今回はIT重説を中心に、オンライン契約の流れなどを解説しました。賃貸実務の現場では、対面であったり、書面での契約を望んだりする声はまだまだあります。そのため、オンラインだと心配という意見は、決して珍しいものではありません。

しかし、遠方での契約や多忙な中での契約をするときに、オンラインでの手続きやIT重説は非常に役立ちます。この機会にぜひIT重説をはじめ、オンラインでの賃貸物件探しに挑戦してみてください。