契約者が亡くなった後、契約者の相続人から退去を求められた。どうすればいいの?
私と彼は事情によって籍を入れておらず、内縁関係にあります。あるマンションの一室を彼の名義で借りて同棲していましたが、急な病気で彼は亡くなってしまいました。急だったので遺言状などは残さなかったようです。彼には離婚した奥さんとの間にお子さんがいらっしゃいまして、その方が賃借権などの権利を相続しました。先日、その方から賃貸借契約を解約するので出ていってほしいとの連絡がありました。彼と過ごしたこの部屋には愛着があり出ていきたくないのですが、どうにかならないのでしょうか。
Answer
よほどのことがない限り、出ていくということにはなりません。
かつて、本件と同様に内縁関係にあった人に対して賃借権の相続人が出ていくよう求めた裁判がありましたが、裁判所は相続人の権利の濫用を認める判決を下しました。つまり、お子さんの退去要求は裁判に持ち込まれたとしても認められる可能性は低いでしょう。これは大家さんにおいても同様で、契約者が死亡した際に契約者と内縁関係にあった同居人に対して大家さんが明け渡しを要求したものの、裁判所はその要求を退けています。
これらの判例からも分かる通り、契約者の死亡後に別の方が賃借権を相続していたとしても、自身が法律上の夫婦でない内縁関係に過ぎなかったとしても、実際に居住している人は強力に保護されるのです。そのため、ほとんどの場合問題なく住み続けることができます。
ただし、住み続けられるとはいえ、相続人が契約者で実際の居住者が自身という状況は好ましくありません。大家さんに事情を説明し、相続のために自動的に子供名義となった賃貸借契約を一度終了し、新たにあなたを契約者とした賃貸借契約を結ぶのが良いでしょう。