Question

無銭飲食は捕まるのに家賃滞納はなぜ捕まらない?

無銭飲食で逃げるとその場で警察に捕まりますが、家賃を滞納してもすぐに捕まったとは聞いたことがありません。どちらもダメなことなのに、なぜですか?

Answer

少し専門的な話になりますが、無銭飲食は刑法上は詐欺罪にあたります。金銭を支払う意思がないにもかかわらず支払うように見せかけて利益を得た、という理屈で人を騙す意思を持ってそれを行動に移すことから、詐欺罪に分類されるのです。もしその場から逃走しようとするなどの明らかに支払いを逃れる行動を取れば、騙す意思が明白だとみなされるために詐欺罪の成立要件を満たし、現行犯で逮捕ができます。
逆に、騙す意思がなければ無銭飲食したように見えても犯罪の成立要件を満たさないため、詐欺罪にはなりません。よって、無銭飲食がバレてしまっても大人しくしていて金がないことに気付かなかったというように主張すれば、詐欺罪で捕まることは基本的にありません。
ただし、それは刑法上の犯罪要件を満たさないというだけで、債務、つまり飲食代自体を払わなくてもいいという意味ではありません。民事において損害を賠償しなければなりませんので、結局は支払いを免れることはできないのです。勘違いしないようにしましょう。

上記の理屈から言えば、家賃滞納も詐欺罪として罰される可能性があります。最初から家賃を払う意思がないにもかかわらず、賃貸契約を結んで部屋を借りるという行為が詐欺罪の成立要件を満たすのですが、詐欺罪として訴えるには、前述の無銭飲食での逃走の例のように騙そうという意思を明確に示したことを証明する必要があります。ですが、常に入居者を見張ってその意思を確認することはまず無理でしょう。
捕まえられるとすれば、例えばその入居者がLINEやTwitterなどのSNSで、今月も嘘をついて家賃を踏み倒したといった趣旨の内容を何回も投稿するような騙そうとする確固たる意思を表明していれば、あるいは可能かもしれません。ですが、これも投稿者の特定が困難ですしあまり現実的とはいえません。
これらの理由により、家賃滞納は詐欺罪の現行犯としては捕まえようがなく、刑事責任を追及するのは難しいのです。それよりは民事の方で支払いを求めていく方がずっと簡単です。

更に詳しく知りたい場合は専門的な知識を持つ方に質問してみるといいでしょう。