Question

2年前に退去した部屋の原状回復費用を求められた。

突然、2年前に退去した部屋の追加の原状回復費用を払うよう当時の大家さんから連絡がありました。敷金は全額原状回復用に回しましたし、それから今まで何の連絡もなかったので、これ以上の負担はないと思っていました。しかし、色々と細かい傷や見えないところに不具合などがあって結局は敷金以上の原状回復費用がかかってしまったとのことでした。正直なところ、2年も経っているし今更そんなことを言われても困るのですが…。

Answer

基本的に支払いに応じる必要はありません。
その根拠となるのは、民法600条の「費用の償還の請求権についての期間の制限」です。この条では、収益によって生じた損害の賠償は貸主が返還を受けた時から一年以内に請求すること、と定められています。
条文に「収益」とありますが、それはあなたがその部屋に居住したこと自体が益だと解釈できます。居住したことで生じた損害、つまり部屋の設備の減損のうち原状回復が必要な箇所はあなたが負担しなければなりませんが、同じ条文内で貸主が請求できるのは返還を受けてから1年以内と記されています。ということは、大家側はあなたの居住契約が終了してから1年以内に原状回復費用を請求しなければならないのです。本件はすでに退去から2年経過しているため、600条の規定を適用して請求権は効力を失ったとみなされるべきです。
いずれにしろ、このような要求をされたなら、安易に応じたりせずにその物件を仲介した会社や専門家の方に相談してみるのが一番です。

ただし、例外はあります。例えば腐食や破損を申告せずに黙って隠していたなど、入居中に善管注意義務を怠ったことによって生じた不具合があった場合は、いくらかの原状回復の追加負担は免れることはできないでしょう。