文鳥は感情表現がとっても豊か。小さい体でキャルキャルと鳴いて怒ったかと思えば、大好きな飼い主さんの手のひらに乗りウトウト目を閉じてお昼寝タイム。手のひらで寛ぐまん丸な姿は愛おしく、文鳥と過ごす時間は幸せなひと時です。
文鳥は手にちょこんと乗るので、「手乗り文鳥」と呼ばれています。鳴き声も比較的小さいので、賃貸の場合でも周囲の迷惑にならずに飼うことができます。
そんな魅力的で愛らしい文鳥を初めて飼育してみたい!と考えている方のために、お迎えする前に知っておきたい文鳥の特徴や飼い方について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
文鳥はどんな鳥?
日本では古くから飼われてきた文鳥ですが、一体どんな鳥なのでしょうか。実際の飼い方を解説する前に、まず文鳥の生態や品種、性格を紹介します。
文鳥の生態
文鳥は常夏の島国、インドネシアが原産です。英名は「Java sparrow」。ジャワ島(Java)のスズメ(sparrow)という意味です。
文鳥が日本にやってきたのは江戸時代です。当時は文鳥を含むさまざまな鳥が輸入されていました。のちに繁殖に成功し、文鳥は日本の一般家庭で飼われるようになりました。
日本での歴史が長い文鳥ですが、故郷のインドネシアは高温多湿の熱帯地域です。そのため寒さには弱く、あたたかい環境作りが必須です。
文鳥の特徴
文鳥はスズメ目(すずめもく)カエデチョウ科の小鳥で、フィンチ類に分類されています。
フィンチ類はインコ類やオウム類とはクチバシと脚の形状が異なっているのが特徴です。歩き方にも特徴があり、スズメのようにぴょんぴょんと地面をジャンプして移動します。フィンチ類は文鳥のほかカナリアやキンカチョウ、十姉妹などがいます。
体長は13~15cm、体重は25~30gほどあります。生まれ持った体格や病気の有無により大きさは個体によって異なります。見た目はスズメのように小さく、「手乗り文鳥」と呼ばれるように手のひらに乗るくらいのサイズ感です。
文鳥の寿命
文鳥の平均寿命は7~8年です。しかし近年は健康的に飼育できる環境が整い、飼い方によっては10歳を超えることも少なくありません。
文鳥の品種
文鳥の魅力の一つが、豊富なカラーバリエーションです。羽毛の色素の組み合わせでカラーが決まります。ここでは文鳥の定番カラーを紹介します。
ノーマルカラー

野生文鳥に見られるカラーで、くっきりしたカラーリングが特徴です。このノーマルカラーから色遺伝子の異常などにより、それぞれのカラーが誕生しました。
桜文鳥

ノーマルカラーの文鳥に羽を白くさせるパイド遺伝子が加わり、白斑が現れた文鳥が桜文鳥です。まだらに生えた白い羽が桜の花びらのようなところから桜文鳥と名前が付きました。白斑の現れ方は個体により異なり、さまざまな色合いの桜文鳥がいます。
白文鳥(シロブンチョウ・ハクブンチョウ)

パイド化が最も強い真っ白な文鳥です。白文鳥は明治時代初期に日本で生まれたと伝えられています。桜文鳥と並んで多く見かけるカラーです。
シナモン文鳥

シナモン文鳥は色の系統により、黒の色素が極端に少ないシナモン文鳥(レッドブラウン)と、黒い色素が多く残るタイプのシナモン文鳥(モカブラウン)の2つのタイプがいます。
クリーム文鳥

レッドブラウンのシナモン文鳥からもう一段階薄くなったような色合いです。お腹の下半分が赤茶色になっているのが特徴です。
シルバー文鳥

灰色の文鳥です。シルバー文鳥が一段薄くなったカラーはライトシルバー文鳥と言います。
そのほかのカラーの文鳥
紹介した定番のカラーのほかにも、頬黒文鳥やアルビノ文鳥など、さまざまなカラーの文鳥がいます。
文鳥はカラーにより生体価格が変動しますが、どの文鳥も見た目の美しさや愛らしさに変わりはありません。お迎えをするときは出会いを大切に、巡り合った美しいカラーの文鳥との暮らしを楽しんでください。
文鳥の性格
文鳥の習性や性別によって基本的な性格を知ることができます。飼い方を知る上で重要なポイントなので、ぜひ目を通してみてください。
一途で深い愛情の持ち主
文鳥は一夫一婦制でとても愛情深い鳥です。決まったパートナーと基本的には一生一緒に過ごします。いつもパートナーと一緒に仲睦まじく過ごす姿は、とても微笑ましい光景です。
そんな愛情深い文鳥は人に慣れやすく、飼い主さんをパートナーと決めると飼い主さんのことを一途に愛するようになります。
気が強く怒りっぽい
文鳥は好き嫌いが激しい鳥です。多頭飼いをした場合、相性が悪ければケンカをしてしまうこともあります。人間に対しても何か気に食わないことがあれば強気で威嚇をしてきます。
愛情が深いゆえのやきもち焼き
文鳥はパートナーへの愛情がとても大きく、パートナーが他の文鳥と遊んでいるとやきもちを焼いて攻撃をしてきます。飼い主さんがパートナーの場合は、飼い主さんが誰かと仲良くしていると、その人を敵とみなして攻撃することもあります。
やきもちの対象が人間ではない場合があります。例えば放鳥中に飼い主さんがスマホを触っているとき、「全然かまってくれない!」と文鳥はスマホにやきもちを焼いて、キャルキャルと鳴きながらスマホや手を突っついてくることがあるでしょう。
優しい心を持ち仲間を大切にする
群れは鳥にとって重要なコミュニティです。文鳥から見ると飼い主さんの家族は自分たちの群れの仲間。そのため家族の誰かが疲れてぐったりしていると、文鳥はそっと寄り添ってきます。
仲間想いで優しい心を持っている文鳥は、誰かが弱っているときは寄り添うと心強いということを知っているのです。
性別による性格の違い
メスは受動的で好きな飼い主さんにもしつこく寄っていくことはしません。オスより行動が大胆で好奇心旺盛です。好きな相手の観察をすることが好きで、物事にあまり動じません。
オスは能動的で愛情表現が豊か。飼い主さんの理解が足りなかったりすると、キャルキャルと鳴いて怒り出す傾向があります。甘えん坊で怖がりです。警戒心が強く、メスより敏感で繊細です。
【①心構え】文鳥をお迎えする前に知っておくべきこと

文鳥が毎日楽しく生きるためにできることは何でしょうか?お迎え前の心構えを紹介します。
愛情と責任感をもって文鳥を飼育する
文鳥には個体差がありますが、10年以上生きる子もいます。大事な家族として迎えて、その命が尽きるまでの年月をずっと一緒に過ごすことになります。
飼い主さんは文鳥との長い暮らしの中で、いつも愛情を注いで責任感を持って育てることが大切です。
飼育本は大事!飼育情報のアップデートを心がける
文鳥をお迎えする前には、インターネットの知識だけに頼らず飼育本を買って読んでおくことをおすすめします。一冊でも手元に飼育本があると、病気やケガなどもしもの時に冷静な判断ができます。
SNSなどでも文鳥の飼い方に関する情報を取り入れましょう。各家庭での飼い方で工夫していることやこういった遊び方をしているなど、役立つ情報が沢山あります。
今後ペレットや飼育道具などで新しいものが出たり、これまでとは違う飼い方が確立されることがあるかもしれません。そういった新しい知識を取り入れ、常に飼育情報のアップデートをしていくことが大事です。
お迎え前に病院を探しておく
文鳥をお迎えすると決めたら、お迎え前に動物病院を調べて鳥を診てもらえる病院を探しておくことをおすすめします。
鳥専門の病院は数が少なく、犬や猫などを診る動物病院で鳥も診ることができるという病院が多いです。病院を事前に調べておかないと、もしものときに「この曜日しか鳥を診てくれる先生がいない」と知り、慌てることがあるかもしれません。
信頼できる病院を見つけることも大切です。文鳥をお迎えしたら年に2回は定期健診で病院へ通うことになるので、安心して任せられる病院を選びましょう。
【②選び方】一緒に過ごす文鳥を選ぶポイント

文鳥をお迎えするときにチェックしておきたいポイントをまとめました。
自分のライフスタイルに合った年齢の文鳥を選ぶ
お迎えする文鳥は生まれてからどれくらいの週齢が良いかは、飼い主さんがどこまで飼育ができるかによって考える必要があります。
さし餌が必要なヒナ
ペットショップでは一般的に生後3週間前後で販売されます。さし餌が必要なヒナをお迎えした場合は、一日中そばにいて数時間おきに給餌しなければなりません。
ヒナがエサを欲しがる姿はとても可愛いものですが、飼い主さんはさし餌のために多くの時間を確保する必要があります。飼育初心者でさし餌で育てることに不安がある方や、経験者でも時間の都合がつきにくい方は、一人餌になった文鳥を選びましょう。
4週齢以降のヒナ
さし餌を卒業する目安は4週齢以降です。4週齢以降のヒナの時期を学習期といいます。この学習期の頃に優しく接すると、飼い主さんに懐くようになります。手乗り文鳥にしたい場合は、この時期に接することでスムーズに手に乗るようになります。
この4週齢の時期は羽毛が生え揃い、はじめて止まり木に乗る頃でもあります。そのためお世話がしやすく、飼い主さんに懐き始める時期でもあるのでお迎えするには絶好のタイミングです。
生後半年以降の成鳥
成鳥をお迎えする場合は、体が出来上がっているのでヒナの頃のような健康面での不安がなく、さらに性別の判断ができるというメリットがあります。
ただし警戒心が強くなっている場合は、人に慣れるまでは時間がかかります。ゆっくりと時間をかけてコミュニケーションをとっていきましょう。
飼育初心者は一羽飼いがおすすめ
文鳥は一羽で飼うか複数羽で多頭飼いをするかで、飼い主さんとの関係性が変わってきます。
一羽飼いの場合
文鳥を一羽で飼うと必然的に飼い主さんがパートナーになります。深い愛情を飼い主さんへ向けてくれるので、いわゆる「ベタ慣れ」状態になります。どんな時も飼い主さんのそばを離れず強い愛情を表現してくれます。
多頭飼いの場合
複数羽いる場合は、飼い主さんが優しくお世話をしていても、文鳥同士で仲良くなって飼い主さんをパートナーに選ばない場合があります。
多頭飼いだと懐かないということではありません。しっかり愛情を持ってお世話をしていれば、文鳥と良好な関係を築くことができます。
基本的にケージは一羽につき一つ必要です。そのため必然的に十分な広さの部屋が必要になります。多頭飼いをする場合はお部屋の広さも考えてお迎えしましょう。
文鳥をお迎えする時期
ペットショップでは繁殖期の9月頃から5月頃までの期間に文鳥のヒナを販売していることが多いです。
ヒナをお迎えして具合が悪くなった場合、病院へ連れて行く際は温度管理を徹底しなければなりません。それが寒い時期だと通院がとても大変です。そのため飼育初心者さんは、気温が温かい5月や9月に飼い始めることをおすすめします。
文鳥をお迎えする場所を選ぶ
文鳥はペットショップからお迎えするほか、ブリーダーさんや里親募集から直接お迎えする方法があります。
ペットショップからお迎えする
ペットショップの場合は事前に何店舗かリサーチをして、鳥の飼育に詳しい店員さんがいる信頼できるお店を選んでください。何度か足を運んでいると店員さんが丁寧に鳥の世話をしているか、鳥を大切に扱っているかどうかが分かってきます。
鳥の飼育に詳しい店員さんがいたら、飼育の相談もできるので飼育初心者には心強いです。
ブリーダーさんや里親募集からお迎えする
ブリーダーさんからヒナをお迎えする場合、ヒナ飼育に関しては健康状態を把握してくれているので安心です。しかし常時繁殖しているわけではないので、ヒナが生まれるまで数ヶ月待つ場合があります。
里親募集とは一般家庭で繁殖した文鳥をお迎えする方法です。お迎えしたいときにタイミングよく募集をしていたら問い合わせてみるのも良いでしょう。
健康状態が良好かどうかを確認する
ペットショップでは複数羽でいる場合が多いので、一羽ずつ見比べてよく観察して選んでください。
ヒナを選ぶときのポイント
・目がぱっちりとしている
・頭が大きくしっかりした体つき
・元気に動き回っている
・人に興味を持って近づいてくる
・指やクチバシの形が綺麗
・健康なフンをしている
・後頭部などの羽がしっかり生えている
成鳥を選ぶときのポイント
・健康なフンをしている
・クチバシが綺麗な赤色
・脚が綺麗なピンク色
・羽毛にツヤがあるか、異常に抜けていないか
・目の周りのアイリングに腫れはないか、色味は白っぽくないか
・鼻水が出ていないか、くしゃみをしていないか
オスかメスか判別する
文鳥を迎えるときはヒナの時期が多いと思いますが、残念ながらヒナは性別の判別ができません。成鳥をお迎えする場合はオスとメスの特徴を参考にしてください。
文鳥のオスの特徴
・頭頂部~平ら
・目~楕円形
・アイリング~太く赤みが強い
・クチバシ~立体的で赤みが強い
・鳴き声~ぐぜりと呼ばれる求愛ソングを歌う
・しぐさ~求愛ダンスでアピールする
文鳥のメスの特徴
・頭頂部~丸みがある
・目~小さい
・アイリング~細く赤みが薄い
・クチバシ~直線的で赤みが薄い
・鳴き声~ピッ!ピッ!という呼び鳴きが多い
・しぐさ~発情すると頭を低くして尾羽をブルブル小刻みに振る
【③お迎え準備】文鳥の飼育にかかる初期費用と毎月のコスト

一から飼育用品を買い揃えると、意外とたくさんのお金がかかります。最低限揃えた方が良いものの費用を、筆者の経験をもとに大まかな金額で紹介しています。
文鳥の飼育にかかる初期費用
さし餌が必要なヒナの場合と、一人餌になった場合で飼育用品は変わります。ヒナからお迎えした場合に最初に必要なもの、あとから買い足すものを順番に紹介します。
文鳥の生体価格
文鳥の生体価格は品種や年齢により異なります。桜文鳥のヒナで3,000円~5,000円くらい、シナモン文鳥やシルバー文鳥のヒナは8,000円前後くらいが相場です。
さし餌が必要なヒナ飼育で必要な物の費用
3~4週齢ころのヒナを想定して飼育用品を紹介します。金額はおおよその目安です。
・パウダーフード、給餌器などさし餌に関わるもの…4,000円
・飼育用プラスチックケース…1,000円
・クッキングスケール…2,000円
・ヒーターなど保温に関わるもの…20,000円
合計27,000円
さし餌を卒業したヒナ~成鳥飼育で必要な物の費用
最初の3点は、前項「さし餌が必要なヒナ飼育で必要な物の費用」で紹介した物と同じです。
・飼育用プラスチックケース…1,000円
・クッキングスケール…2,000円
・ヒーターなど保温に関わるもの…20,000円
・ケージ、ケージに取り付けるもの…8,000円
・ペレットやビタミン剤など食事に関わるもの…5,000円
・通院時に必要なキャリーケージなど…5,000円
合計41,000円
文鳥の飼育にかかる毎月のコスト
エサ代、副食代、電気代、おやつやサプリメント代などすべての費用がかかった場合、毎月のコストは合計で3,000円~6,000円くらいになるでしょう。
定期健診などの通院費用とそのほかの費用
基本の健康診断は、身体検査・そのう検査・便検査で5,000円くらいかかります。定期健診以外で受診する場合は治療代やお薬代が必要です。通院時の交通費も考えて、予算を準備しておきましょう。
そのほかに消耗品代や備品代がかかります。ケージの敷紙や交換用の保温電球の購入や、エサ箱・バードバスなどの備品が壊れたらその都度買い替えます。
【③お迎え準備】文鳥をお迎えする前に準備すべきアイテム

主食がシード食とペレット食がありますが、今回はペレット食で育てることを想定して準備するアイテムを紹介します。
挿し餌が必要なヒナ飼育のアイテム
ここにリストアップしているアイテムは「さし餌が必要なヒナ飼育で必要な物の費用」で紹介した飼育用品の詳細です。
・パウダーフード
・シリンジ
・棒状温度計
・プラスチックケース
・サーモスタット
・ペットヒーター
・予備の保温電球
・温湿度計
・クッキングスケール(体重測定用)
さし餌にはヒナ用パウダーフード(フォーミュラ)をお湯で溶いてシリンジを使って与えます。以前はあわ玉が主流でしたが、現在は栄養価が高いフォーミュラフードが推奨されています。
サーモスタット、ぺットヒーターは予備の保温電球とともに必須アイテムです。サーモスタットとはペットヒーターの電源を自動でオン/オフし、設定した温度を保つ装置です。ペットヒーターは電球タイプのほかにパネルタイプの物もあります。
成鳥の飼育アイテム
「挿し餌が必要なヒナ飼育のアイテム」で紹介した以下のアイテムは引き続き使用します。
・プラスチックケース
・サーモスタット
・ペットヒーター
・予備の保温電球
・温湿度計
・クッキングスケール(体重測定用)
さらに追加で必要になるアイテムです。「さし餌を卒業したヒナ~成鳥飼育で必要な物の費用」で紹介した飼育用品の詳細です。
・ペレット
・(必要に応じて)副食、サプリメント、おやつ
・ケージ
・おやすみカバー
・止まり木
・ブランコ
・菜さし
・水入れ
・バードバス
保温性に優れており、クリアで中の様子が観察しやすいプラスチックケースは、病気のときに保温や隔離をするなど成鳥になっても使用できるアイテムです。ヒナから育てていた際のプラスチックケースが手元にある場合は、もしもの時のために保管しておきましょう。
文鳥のケージのおすすめサイズ
幅・奥行きが30cm以上、高さは40〜50cm以上あるものが良いとされています。
筆者は桜文鳥を一羽飼育しています。使用しているケージは「SANKO イージーホーム バード35BL手乗り」というケージです。幅36cm×奥行34cm×高さ43cmで十分な広さがあります。
しかしこれより小さいケージだった場合は、ブランコなどを入れると窮屈になるだろうなと感じます。ケージを準備するならこのケージのサイズより下回らない方が良いと思うので、ケージ選びの参考にしてください。
通院時に必要なアイテム
もしものときの通院時に備え、下記アイテムも用意しておきましょう。
・キャリーバッグ
・キャリーケージ
・湯たんぽなど保温グッズ
キャリーバッグは保冷バッグやトートバッグを使いますが、寒い時期は保温ができるように、湯たんぽやキャリーを覆うひざ掛けなど準備をしてください。
通院はキャリーバッグに入れるから安心と思わず、移動をするときは常にロスト(不本意な逃がし)の危険性があることを考えましょう。対策としてケージの扉にナスカンを挟めて開かないようにしたり、ケージにベルトを撒いて落下した時にケージが分解しないようにする方法があります。
あると良いもの
必須ではないですが実際に買って良かったものを紹介しています。必要に応じて準備してください。
・アクリルケース
・ペットカメラ
・スイッチボットの温湿度計(スマート家電)
・鳥用UVライト
ケージをすっぽりと覆うアクリル製のケースがあると、ケージに設置したペットヒーターの熱を逃がすことなく保温できます。ケージを保温するアイテムとして、ケージにかけるビニール製のシートもあります。
スイッチボットの温湿度計でケージの室温管理
筆者が購入して文鳥飼育にとても便利だと思ったアイテムです。
スイッチボットの温湿度計をケージに設置し、部屋のエアコンと連動させています。そうすることによりケージ内の室温の変化があれば、自動でエアコンが作動し適温を保つことができます。外出先でもエアコンの操作が可能です。
スマホでいつでも温度と湿度の確認ができます。そのためおやすみカバーをかけた就寝中でもケージ内の温度をスマホで確認できるので、カバーを外して起こしてしまうということが無くなりました。
温度管理が文鳥を飼育するうえでとても重要なので、こういったアイテムは予算の都合がつけば準備すると良いと思います。
【④飼い方】文鳥が健康に過ごせるための飼育方法

ここからは、文鳥が長生きをして楽しく健康に過ごしてもらうための飼い方や、注意することを紹介します。
毎日のお世話は同じ時間帯に
文鳥は日の出とともに起きて、日が沈むころに就寝するのが本来のサイクルです。飼い主さんの生活の都合上太陽の動きとずれることはあっても、毎日のお世話の時間はなるべく一定にしましょう。
文鳥が快適に過ごせる室温と環境
文鳥は暖かく乾燥していない環境を好みます。文鳥飼育では温湿度管理がとても大切です。保温アイテムや部屋の冷暖房器具で、文鳥が快適に過ごせる温湿度を保ってください。
ヒナ飼育のときはプラスチックケース内の湿度を高く保つ必要があります。週齢ごとに適切な温度と湿度は変わります。お迎えをしたら細やかな温湿度管理を徹底しましょう。
【標準的な保温湿度】
・生後20日頃まで 30℃
・生後45日頃まで 28℃
・生後45日から 25℃
【湿度】
・羽が生え揃うまで 70%
・それ以降 50~60%
餌の主な種類と与える頻度・量
文鳥の主食にはシードとペレットがあります。どちらを主食にするかは飼い主さんの判断になります。
ペレットは文鳥に必要な栄養が入った粒状のフレークです。海外製を含めると数多くの種類があります。味の好みもあるので、文鳥が食べてくれるペレットを探すのが大変な場合があります。ペレットは栄養満点なのでサプリメントで栄養を補う必要はありません。病気になったときは療養用のペレットがあります。
シードは昔から文鳥飼育で使われている種子(シード)です。アワ、ヒエ、キビ、カナリーシードなどを混ぜた混合シードが一般的に販売されています。皮付きとムキ餌がありますが、ムキ餌は栄養が落ちてしまうので皮付きのシードがおすすめです。シードを主食にする場合はサプリメントで不足している栄養を補う必要があります。
1日の食事量と与え方
1日5グラムが適正量です。ただし文鳥はエサをまき散らすので少し多めに7~8gを与えます。必要な食事量は個体差があるので目安として考えてください。
毎朝ケージ内のエサと飲み水は新しいものに全て入れ替えます。お水は切らさないような量を与え、日中もしエサやフンが入って汚れたら新しいお水に取り替えます。
ペレットかシードか?悩んだらお店や経験者に相談
私の場合は、主食をペレットにしました。ペレットを選んだ理由は「総合栄養食なのでサプリメントの必要が無く健康管理がしやすい」こと、「病気の時に療養ペレットをスムーズに食べてもらうため」です。
飼育初心者の方は主食について悩まれたら、文鳥をお迎えするペットショップへ相談するか飼育経験者に聞いてみてください。
エサの必要量についても悩んだので、初めての健康診断の時に先生に相談しました。こういった健康にかかわる大切なことは、病院で先生に聞いた方が一番良いと感じます。
副食の野菜と果物について
野菜はシード食の場合、栄養を補うために必ず与えます。ペレット食の場合は栄養の面で与える必要はないですが、「食べる楽しみ」として与えると良いでしょう。
与えてよい野菜
与えるときは野菜の水分で身体が冷えるので、就寝前は避けてください。
・小松菜
・チンゲン菜
・豆苗
・ニンジン
・パセリ
与えてよい果物
果物は糖分が多いので、週1回にするなど与えすぎに注意してください。
・温州ミカン
・リンゴ(リンゴの種は中毒を起こす恐れがあるので与えないでください)
・イチゴ
与えてはダメな野菜
レタスやキャベツ、キュウリなどは水分が多いので、与えるなら少量にしてください。
・ホウレンソウ
・ツルムラサキ
・明日葉
・モロヘイヤ
・オクラ
・タケノコなど
与えてはダメな果物
スイカは文鳥が好んで食べますが水分が多いので与えるなら少量にしてください。
・桃
・アンズ
・ビワ
・パイナップル
・パパイヤ
・キウイ
・マンゴー
・アボカド
サプリメントとおやつの種類
サプリメントはシード食の文鳥に必要です。おやつは食べすぎに注意して好むものを与えましょう。
定番のサプリメント
サプリメントは湿気に弱いのでジッパー袋を使用したり、乾燥剤を使うなど保管方法に気をつけてください。
・ネクトンS
鳥にとって必要な13種類の ビタミン、18種類のアミノ酸、ミネラルを含んだサプリメント。
・ネクトンBIO
成長期と換羽期用のサプリメント。
・カトルボーンパウダー
カルシウムを補えるサプリメント。
おやつのバリエーション
代表的なおやつにアワ穂があります。アワ穂はアワが枝のままついたものです。赤や白、黄色のアワ穂があります。放鳥時やケージにセットして与えます。
ほかにはオーチャードグラスなどのシードや果物をおやつとして与えても良いでしょう。
ペレットを作っているラフィーバーというメーカーでは、小鳥のおやつが販売されています。ペレットがベースになっていて、シードやフルーツが入ったおこし状のおやつです。
私の場合は、放鳥時におやつとして市販のミックスシードを少量与えています。シードは野鳥である文鳥の本来の食べ物だからか、与えると美味しそうに食べます。皮付きのシードをプチプチとくちばしで皮を取りながら食べることを楽しんでいるようです。
健康管理とお世話のポイント
毎日のお世話で文鳥の健康寿命を伸ばしましょう。確認すべきポイントを紹介します。
ケージはいつも清潔に保つ
毎朝文鳥を起こしたらケージの敷紙を交換します。敷紙は新聞紙など家庭にあるものでもいいですし、犬用のペットシーツもおすすめです。
朝はエサを入れ替えますが、このタイミングでエサ箱や水入れなど備品を洗います。スペアとして同じものをそれぞれ持っておくと、毎日ローテーションをして使うことができます。底網も朝の清掃の時に拭いておきます。
週一回くらいのペースでケージを丸洗いします。洗剤は中性洗剤を使用します。止まり木など木製のものは熱湯消毒をしましょう。洗っている間は文鳥をキャリーなどに移動させます。
水浴びと日光浴で健康に
文鳥は、毎日の水浴びで身体を清潔に保ちます。ケージにバードバスを取り付けておけば、文鳥の好きなタイミングで水浴びをすることができます。放鳥時に器に水を入れたものを用意したり、流しの蛇口から少し水を出して水浴びをさせる方法もあります。
毎日の日光浴は健康な体作りに役立ちます。直射日光を浴びせなくても、明るい部屋で過ごさせてたまに窓を開けるだけで十分です。暗い部屋の場合は鳥用のUVライトを使用しましょう。
定期検診は年1~2回ほど受診する
病気の早期発見のために、年に1~2回ほどの定期検診を受けましょう。
病院へ連れて行くときに使うキャリーケージは突然見せると怖がって入るのを嫌がることがあるので、普段から見せて慣れさせておくと良いでしょう。
異常がないか毎日観察する
毎日体重測定をして記録します。文鳥専用の手帳を作って、気になることはメモしておくと、病院で説明する際に活用できます。
このほか、排泄物や呼吸に異常が無いか、元気があるか、体を見て普段と変わったところは無いかを確認します。もし普段と違うところがあれば、早めにかかりつけの病院で診察を受けてください。
文鳥との触れあい方
放鳥は文鳥にとって欠かせない運動の時間です。そして飼い主さんとのコミュニケーションをとることができる、一日のうちで一番楽しい時間帯です。そんな放鳥時の安全対策と遊び方を紹介します。
安全な場所で放鳥する
台所など水回りに気をつけましょう。キッチンで料理の入っている鍋のふたが開いていたら文鳥が入ってしまう恐れがあるので片付けます。
エアコンや扇風機も作動していると危険です。片付けたりカバーをかけたりして対策しましょう。
窓やドアを閉じることはもちろん、観葉植物や花は移動させるなど、文鳥が寄り付かない工夫が必要です。
また、放鳥時に限らず日常で有害物質に気をつけましょう。フッ素樹脂加工の製品は鳥にとって危険と言われています。フライパン、炊飯器、オーブン、ホットプレートなどに使われています。なるべくフッ素加工の製品は使用しないか、文鳥が生活する場所をキッチンから遠ざけるといった対策を取りましょう。
危険なものは他にも多くありますが、細かく考え出すより、強い匂いのあるものは極力避ける、文鳥と遊ぶときはハンドクリームを塗らない、など文鳥のことを考えて思いつく対策をとっていけば基本は問題ありません。
放鳥時の遊び方
文鳥の遊び方は好みが個体によって違うため、遊び方もさまざまな方法があります。私の場合は、文鳥が市販のおもちゃには興味を示さないので家にあるもので遊んでいます。普段の遊び方を紹介します。
【テーブルの上にアスレチックを作る】
T字止まり木や本を積み重ねたり、ティッシュボックスを裏返しにして何個か台を作り、一列に並べて即席アスレチックを作ります。文鳥は喜んでぴょんぴょんと移動して遊んでくれます。
【ピンチハンガーの上を行ったり来たりする】
洗濯物を干すピンチハンガーの上がお気に入りのようで、毎日乗って端から端を行ったり来たりしています。このとき飼い主が先導すると喜びます。
【鷹匠ごっこ】
飼い主が遠く離れて文鳥を呼ぶと、飼い主のもとへ飛んできます。
【折り紙】
鶴や手裏剣を折って見せるとカミカミして遊びます。
【トンネルくぐり】
紙やタオルでトンネルを作ると喜んでくぐって遊びます。
【遊び場を作る】
部屋の一角に普段使用しないキャリーケージなどを置いて遊び場を作りました。自分の場所だと認識して遊んでいます。
桜文鳥と仲良く暮らす私が感じる文鳥の魅力

文鳥と暮らしたことがある方なら誰もが実感するであろう、文鳥の魅力について紹介します。
小さい体でこれでもかというほど愛情表現をしてくれる

文鳥が魅力的だなと感じる一番のポイントは、ストレートな愛情表現です。
私は文鳥を一羽飼いしているので、文鳥は私のことをパートナーと認識しています。そのためいつも私のそばへ来て熱い視線を投げてきます。「好き」という気持ちのほかに「飼い主は私が守る!」という強い気持ちも感じます。私が危険な目に合わないように見てくれているようで、小さい鳥なのに頼もしく感じます。
手の上でおもちになるところが可愛い

私の手の上に乗ってぺたんと足を崩してお腹をつけて座ります。これは「おもち」と呼ばれる座り方で、ゆったりのんびりくつろぎます。フワフワモチモチとした丸いシルエットで手の上に収まる姿は、まさに愛そのもの。愛の塊のような可愛い文鳥に毎日癒されています。
どんなしぐさも愛おしい

首をかしげる姿、じっと見るまん丸な目、美しい羽を丁寧に羽繕いしている姿、ぴょんぴょんと移動する姿、水浴び後のシルエット、怒った顔、文鳥は何をしていてもすべて絵になる可愛さです。
鳴き声が小さく賃貸でも飼いやすい
飼いやすさも魅力の一つです。私は賃貸のお部屋に住んでいますが、文鳥はインコやオウムとは違い比較的鳴き声が小さく、周囲に迷惑をかけることなく安心して暮らせています。
エサのまき散らしは得意ですが、それ以外で室内が汚れてしまうというような行動はしないので、他の動物と比べて部屋を綺麗にキープできます。
文鳥の飼い方を知って、暮らしをより充実したものにしよう!
文鳥の飼い方や特徴、魅力について紹介しました。文鳥の飼育にチャレンジする方の参考になれば嬉しいです。
文鳥は小さな体で大きな癒しを与えてくれる魅力あふれる可愛い小鳥です。ぜひ文鳥をお迎えして手のひらから伝わる愛のパワーを感じてみてください。