毎日の料理で、鍋やフライパンを支えるコンロの五徳。ご存知の通り、調理中の油はねや吹きこぼれで汚れが付着しやすい部分です。
この記事では、五徳の素材や汚れの種類などの基礎知識、汚れレベル別の効果的な掃除方法を紹介します。記事の内容を参考に、ガスコンロを清潔に保ち、料理の時間をより快適にしていきましょう。
五徳を掃除する前に知っておきたい基礎知識
ガスコンロの五徳は、調理の際に鍋やフライパンを支える重要な部分です。火に直接さらされる場所であるため、吹きこぼれや油はねなどですぐに汚れが溜まっていきます。
効率よく五徳の汚れを取り除くために、まず五徳の素材や汚れの特性を正しく把握しておきましょう。
五徳の素材
五徳には、主に2つの素材が使われています。一般的な「ホーロー」と、耐久性に優れた「ステンレス」です。
ホーロー製の五徳は、金属の表面にガラス質の釉薬(ゆうやく)を高温焼成したものです。 傷や汚れが目立ちにくく、お手入れが比較的簡単なことが特徴です。
ステンレス製の五徳は、熱による変色が起こりやすい一方、耐久性に優れ、さびにくいという特徴があります。 光沢のある見た目で高級感があり、主に上位モデルのガスコンロに採用されています。
汚れの種類と原因
五徳に付着する主な汚れとしては、食材の残りや調味料の汚れ、油汚れ、そして焦げつきなどが挙げられます。
調理中に飛び散った油は、冷えると固形化する性質があり、時間が経過するほど掃除がむずかしくなります。
また、調理中にこぼれた食材を放置すると高温により炭化し、頑固な焦げになってしまいます。とくに砂糖やみりんなどの糖分を含む調味料は焦げやすいため、こぼれたら早めに取り除きましょう。
五徳に水分が付着したままにしておくと、五徳の表面で酸化反応し、サビの原因となることもあります。
どの汚れも付着したまま放置すると取り除きにくくなる汚れです。定期的に掃除し、汚れの定着を防ぐことが大切です。
掃除に使ってはいけないものと注意点
五徳のお手入れには、避けるべき洗剤や道具があります。
たとえば、塩素を含む漂白剤は使用を控えましょう。塩素系漂白剤は、除菌や漂白には効果がありますが、五徳に多い油や焦げの汚れには効果的でなく、むしろ素材を傷める恐れがあります。
また、金属製のタワシやブラシなどの硬いものの使用は極力避けましょう。五徳の表面に傷がつくと、その傷からサビが広がる可能性があるためです。
なお、ステンレス製の五徳をお手入れする際はステンレス専用のクリーナーを使いましょう。美しい状態を長く保てます。
軽い汚れの五徳を掃除する方法

五徳の掃除方法を汚れレベル別に紹介します。まずは「軽い汚れ」の場合から考えてみましょう。
軽い汚れとは、ここでは使用後間もない油のベタつきや少量の吹きこぼれ、表面についていた軽い焦げなど、比較的新しい汚れのことを指します。早めに対処しておけば、お手入れの手間も大幅に軽減できます。
用意するもの
軽い汚れを落とすには、以下のアイテムを準備しましょう。
・重曹
・スプレーボトル(重曹水を作るため)
・ぬるま湯(40〜50℃程度)
・柔らかいスポンジまたは布
・キッチンペーパーまたは清潔な布
・食器洗い用洗剤(重曹水を使用しない場合)
重曹がない場合は、重曹よりもアルカリ性が強い「セスキ炭酸ソーダ」でも代用可能です。
掃除の手順
軽い汚れの場合の掃除の手順を紹介します。
①重曹水スプレーを作る
スプレーボトルにぬるま湯約100mlを入れ、重曹小さじ1を加えます。よく振って重曹を溶かしましょう。重曹は水に溶けにくいので、しっかり振ることがポイントです。
②重曹水スプレーを吹きかける
五徳を外し、汚れている部分に重曹水スプレーを吹きかけます。汚れ全体にスプレーが行きわたるように吹きかけましょう。5〜10分ほど放置して汚れを浮かせます。
③スポンジでこする
時間が経ったら、柔らかいスポンジで優しくこすりましょう。強くこすると素材を傷める可能性があるので注意が必要です。
④洗い流す
重曹が残らないよう、水で丁寧にすすぎます。すすいだら、キッチンペーパーや乾いた布で水分をしっかり拭き取りましょう。
重曹が手元にない場合は、食器用洗剤で洗浄してもよいでしょう。食器用洗剤をスポンジに含ませて優しくこすり、流すだけで軽い汚れなら落とせます。
素材別の掃除のポイント・注意点
ホーロー製の五徳の場合、硬いスポンジやたわしで強くこすらないようにしましょう。表面のコーティングが傷つくと、そこからサビが発生する可能性があります。
ステンレス製の五徳を掃除する際には、ステンレス専用クリーナーがあるとより効果的です。水分が残ると跡が残ることがあるため、しっかり乾燥させましょう。
中程度の汚れの五徳を掃除する方法

五徳の掃除をせずにしばらく放置すると、重曹水スプレーだけでは対処できない汚れとなることもあるでしょう。数週間放置した油汚れや焦げつき、表面がベタついている状態の汚れには、より効果的な「つけおき洗い」がおすすめです。
用意するもの
掃除の際には、以下のものを準備しましょう。
・五徳が入るサイズの容器(洗面器・大きめのボウルなど)
・重曹
・セスキ炭酸ソーダ(重曹より強力な洗浄力が必要な場合)
・ぬるま湯(40〜50℃程度)
・スポンジまたは柔らかいブラシ
・キッチンペーパーまたは乾いた布
・ゴム手袋
・プラスチックカードまたはヘラ
洗剤の成分が肌に触れて肌荒れを起こす可能性があるため、ゴム手袋を着用しましょう。
掃除の手順
五徳のつけおき洗いの手順を紹介します。
①つけ置き用の容器を準備する
五徳が入るサイズの容器を用意します。洗面器や大きめのボウルなどが適しています。
②重曹水を作る
ぬるま湯1Lに対して重曹大さじ3〜5程度を目安に溶かします。より強力な洗浄力がほしい場合は、重曹の代わりにセスキ炭酸ソーダを使ってもよいでしょう。
③五徳をつけ置きする
準備した重曹水に五徳を浸します。1時間程度放置して汚れを浮かせましょう。汚れがひどいときには、2〜3時間ほど放置するとより効果的です。
④浮いた汚れを落とす
つけ置き後、五徳の表面に浮き出てきた汚れをスポンジで優しくこすります。細かい部分や隙間は古い歯ブラシが便利です。頑固にこびりついた汚れには、プラスチックカードやヘラを使って慎重にそぎ落とす方法も効果的です。
⑤すすいで乾燥させる
きれいに汚れが落ちたら、水でしっかりすすぎます。重曹が残らないよう丁寧に洗い流しましょう。
最後にキッチンペーパーや乾いた布で水気をしっかり拭き取ります。
素材別の掃除のポイント・注意点
ホーロー製の五徳は、つけ置き時間が長すぎると表面のコーティングが劣化する恐れがあるため、適宜確認しながら行いましょう。また、ホーロー表面に小さな傷や剥がれがある場合は、そこからサビが発生することがあります。つけ置き後はしっかり乾燥させることが重要です。
ステンレス製の五徳をつけおきしたときは、つけ置き後にステンレス専用のクリーナーを使うと、輝きが増します。
いずれの場合も、五徳の取り扱い説明書を確認してから洗浄を行うことをおすすめします。とくにハイグレードなガスコンロの五徳は、専用のお手入れ方法が指定されていることもあるため注意しましょう。
深刻な汚れの五徳を掃除する方法

長年使用した五徳には、つけおき洗いでも落ちない頑固な汚れが付着することがあります。頑固な汚れには、より強力な「煮洗い」が効果的です。
用意するもの
煮洗いには、以下のアイテムを準備しましょう。
・五徳が入る大きさのフライパンや鍋(コーティングされていないもの)
・重曹
・スポンジまたは柔らかいブラシ
・キッチンペーパーまたは乾いた布
・ゴム手袋
・プラスチックカードやスクレーパー
・必要に応じてメラミンスポンジ
アルミ製の鍋を使うと黒く変色する恐れがあるため、ステンレスやホーロー製のものを選びましょう。
掃除の手順
煮洗いは以下の手順で行いましょう。
①フライパンや鍋に水と重曹を入れる
フライパンや鍋に五徳を入れ、そこに五徳が十分に浸る量の水を入れます。火にかける前に、水1リットルに対して大さじ5程度の割合で重曹を混ぜましょう。
②火にかける
重曹水を火にかけ、沸騰させます。10分間ほど煮沸しましょう。
③火を止めて冷ます
火を止めた後、そのまま2〜3時間ほど放置します。五徳が触れる温度になるまで、自然に冷えるのを待ちましょう。
④浮いた汚れを落とす
冷めたら五徳を取り出し、スポンジや柔らかいブラシで汚れを落とします。この段階でも頑固な焦げつきが残っている場合は、プラスチックカードやスクレーパーを使って慎重に削り落とします。とくに頑固な部分はメラミンスポンジを使用してみてもよいでしょう。
⑤洗って乾燥させる
汚れが落ちたら、水ですすぎます。キッチンペーパーや乾いた布で水気をしっかり拭き取りましょう。
素材別の掃除のポイント・注意点
ホーロー製の五徳の煮洗いの際には、急激な温度変化でホーローにヒビが入ることがあるため、五徳が熱いうちに冷水で冷やすことは避けましょう。
ステンレス製の五徳は、熱を加えると変色するおそれがあります。煮沸ではなくつけ置きを選択した方が無難です。
五徳の汚れがどうしても落ちない場合の対処法
重曹での煮洗いやつけ置き洗いを試しても、どうしても五徳の汚れが落ちない場合があります。長年使用して焦げや汚れがこびりついていたり、素材自体が劣化してしまったりすると、一般的な掃除方法では対応できなくなることもあるでしょう。
対処法としては以下の2つの選択肢があります。
・買い替え
・専門業者に依頼
それぞれ見ていきましょう。
買い替え
五徳を何年も使用していると、交換が必要になることがあります。以下のような状態になった場合は、買い替えを検討してみましょう。
・ホーローが剥げて中の金属が見えている
・サビが広がっている
・変形して鍋やフライパンが安定しない
五徳の交換用パーツは、ガスコンロに合わせて購入する必要があります。品番をしっかりと確認し、使用中のコンロに合った正しいものを選びましょう。
専門業者に依頼
五徳の掃除をクリーニング業者に依頼するという方法もあります。
専門業者に依頼する場合、キッチン全体のクリーニングやガスコンロのクリーニングに五徳の掃除が含まれていることが多くなります。状況に合わせて希望のメニューを選びましょう。一般的にガスコンロ全体のクリーニングで8,000円〜15,000円程度の費用がかかります。
「五徳だけを買い換える」「クリーニングでガスコンロ全体の掃除を依頼する」それぞれの選択肢における費用や汚れの程度に応じて検討しましょう。
五徳をきれいな状態で保つ使い方・習慣

五徳の汚れは、日々のお手入れ習慣によって防ぐことができます。 ここからは、五徳の汚れがつく前の予防策や、頑固な汚れにしないための対策を紹介します。
調理後は温かいうちの拭き取りを心がける
五徳に付く油汚れは、温かいうちは簡単に拭き取れますが、放っておくと頑固な汚れになってしまいます。
そのため、調理後すぐにキッチンペーパーや布で汚れを拭くことが大切です。完全に冷える前の「まだ温かい状態」が最も汚れが落ちやすいタイミングです。重曹水、または水で薄めた中性洗剤を含ませた布で拭き取ると、軽い力で油汚れが落ちます。(火傷には注意しましょう)
定期的な掃除
日々の拭き取りに加えて、定期的な掃除を習慣にすることも重要です。調理の頻度や内容によって適切な頻度は異なりますが、週に1回程度は重曹や中性洗剤を使った洗浄を行うとよいでしょう。
定期的に掃除・点検することは、ガスコンロ全体の寿命を延ばすことにもつながります。
サビ防止として油を薄く塗る
ステンレス製の五徳や、表面のコーティングの一部が剥がれている五徳には、掃除後に薄く油を塗り、サビを防ぎましょう。
キッチンペーパーにサラダ油やオリーブオイルを少量含ませ、五徳全体に薄く塗ります。ベタつかない程度の量に留めておきましょう。
五徳は頑固な汚れが付きがち!ポイントとコツを知ってしっかり掃除しよう
今回は、五徳の素材や汚れの種類、汚れのレベルに応じた掃除方法を紹介しました。軽い汚れには重曹水スプレーでの拭き掃除、中程度の汚れにはつけ置き洗い、頑固な焦げつきには煮洗いと、状況に合わせた対処法を選びましょう。 どうしても汚れが落ちない場合には、買い替えや専門業者への依頼もおすすめです。
また、汚れを予防するためには、調理後の温かいうちに対処する習慣や、定期的な掃除など、日々の工夫が効果的です。日々のお掃除でぜひ試してみてください。