プロパンガスと都市ガスの違いとは?料金の仕組みやメリット・デメリット、災害時の安全性を徹底比較

目次

ガスと言えば「便利」「危ない」「高い」「安い」など、各ご家庭により反応はさまざまです。どうしてこんなにイメージに差があるのでしょうか?それぞれのテーマごとに、整理していきたいと思います。

都市ガスとプロパンガスの違い

「ガスって種類があるの?」と思われる方もいるかもしれません。都市ガスはその名の通り、都市部で利用可能です。それ以外のガスは、プロパンガスと考えていただければ良いと思います。

供給方法の違い

都市ガスは、水道と同じように、地下に埋設された配管から直接各家庭や工場などに供給されているのが特徴です。埋設された配管も年々進化を遂げ、現在は腐食することがないポリエチレン管に入れ替えが進んでいます。

一方でプロパンガスは、建物に設置されたガスボンベから供給されるのが特徴です。ガスボンベは工場で充填され、ガス供給会社がトラックなどで運んできます。ガス切れが起きないように、2本のうち片方が空になったら、充填済みのボンベと入れ替える仕組みです。

供給エリアの違い

都市ガスは、地下にガス配管が埋設されているエリアで供給されます。普及しているのは都市部がほとんどで、山間部ではまだまだ供給されていない地域が多いです。

プロパンガスは、供給会社が保安を担当可能なエリア・距離内でのみ供給が可能となります。

発熱量の違い(火力の違い)

一般的に1㎥辺りの発熱量は、都市ガスが約11,000kcal、プロパンガスが約24,000kcalです。プロパンガスの方が一見すると強火力のように見えますが、同じガス機器であれば火力は同じに調整されています。

なお、都市ガスに変えたから、お湯が沸くのが遅くなるなどの問題は発生しません。

原料や主成分の違い

都市ガスの主成分は、メタンです。比重が軽く、万が一ガス漏れしても屋内に滞留しないという特徴があります。

LPガスとは、液化石油ガス「Liquefied Petroleum Gas」のことで、一般的に頭文字をとってLPガスと呼ばれています。LPガスの主成分は、プロパンです。ガス漏れの場合は屋内などに滞留する危険性があります。

建物外観、設備の状況を見れば、その建物に都市ガスが供給されているのか、プロパンガスが供給されているのかを見分けることも可能です。

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都市ガスとプロパンガスの料金システム

毎月支払っている光熱費ですが、複雑なものからシンプルなものまでさまざまです。都市ガス、プロパンガスの料金の考え方、構造を見ていきましょう。

都市ガスの料金システム

都市ガス料金は、都市ガス事業者が経済産業省に届け出をした料金で供給することを義務付けられています。同じ供給エリア内で同じ条件にて使用した場合、同じガス料金です。特定のお客様だけ特別に値引くことは、できない仕組みになっています。

プロパンガスの料金システム

プロパンガス料金は、料金設定を各供給業者が供給先ごとに自由に決められます。例えば、同じ供給業者から供給を受けていて、お隣同士で同じ使用量でも、合計のガス料金が異なる場合もあります。そのため、交渉で料金を下げられるのはプロパンガスです。

一般的には「月額の基本料金+ガスの消費量(㎥)×単価=ひと月のガス料金」となり、都市ガス、プロパンガスも基本的な計算方法・考え方は変わりません。

都市ガスのメリット、デメリット・注意点

都市ガスには、イニシャルコストがかかります。ランニングコストや利用できるかどうかなど、確認事項がありますよ。

都市ガスのメリット

都市ガスは一般的に、エネルギーあたりの単価がプロパンガスより安くなります。ランニングコストが安いことが、一番のメリットです。

さらに、都市ガスは比重が空気より軽いので、万が一ガス漏れが起きた場合、開放窓によりガスを放出できます。屋内に滞留しにくい点もメリットです。

都市ガスのデメリット・注意点

都市ガスの配管工事費用は、上下水道工事と同じように、建物所有者負担となります。都市ガスを利用する、引き込む場合には、自己負担で配管工事をしなければなりません。

また、使用場所に都市ガス導管が埋設されている必要があります。都市ガス導管が前面道路に敷設されていない建物では、都市ガスを利用できません。地域の都市ガス事業者に確認をすることで、教えてもらえます。

プロパンガスのメリット、デメリット・注意点

さまざまな場所で利用可能なプロパンガスですが、料金など注意点がいくつかあります。

プロパンガスのメリット

プロパンガスのメリットと言えば、災害に強い点が挙げられます。ガスボンベに燃料を詰めて各建物に設置しているので、道路を分断するような大災害が起きても、当面はお湯を沸かすなどガスの使用が継続可能です。

プロパンガスは一般的に、ガス配管工事費は貸与契約になることが多くなっています。あらたにガスを利用したい場合、ガス配管工事費の出費をせずに開始できるところは大きなメリットです。

プロパンガスのデメリット・注意点

プロパンガスは一般に、都市ガスより割高なエネルギーです。ガスの消費量が増える冬場などは、光熱費の負担増としてのしかかってくるケースがあります。

また、万が一ガス漏れが発生した場合、建物内にガスが滞留する危険性もあることが注意点です。そのため、集合住宅などでは、ガス警報機の設置が義務化されています。

プロパンガスボンベは設置する際に、燃料なので火気との離隔距離が必要です。例えばエアコンの室外機、浄化槽のブロアモーター、自動車(駐車場)から一定の距離を離さなければならない場合もあります。

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都市ガス、プロパンガスの災害時・停電時の利点

「地震だ火を消せ!」とよく耳にします。例えば地震の発生時には安全装置が働き、ガスは停止してくれるので安心です。その後の災害時、停電時にガスがどのように利用されているか、見ていきます。

都市ガスの利点

地下に埋設された導管で供給される都市ガスは、その導管が分断されない限りは基本的にガス供給がされます。風水害などで電柱が倒れて停電が起きても、地下埋設のガス導管は安全です。近年の大規模の風水害でもガスの供給は継続され、自宅や避難所などでも多くの方々が利用したという報告があります。

プロパンガスの利点

プロパンガスの利点は、貯蔵性です。大災害などでは、プロパンガスボンベを使用する場所まで移動させて、炊き出しなどで活躍します。非常用の燃料として、公共施設でも設置が増加していますよ。お祭りのほとんどの屋台で使用されている様子を見たことがある人も多いと思います。

共通の利点

多くの場合、ガスコンロは乾電池で稼働しています。そのため、停電時でもお湯を沸かすことが可能です。火が使えれば、カップラーメンを食べる、ご飯を炊く、お味噌汁を作る、うどんをゆでるなどさまざまなことができます。

また、ガスストーブも乾電池だけで暖房が可能な機器として、とくに東日本大震災以降から見直されています。

都市ガス、プロパンガスの災害時の安全性

今のガス設備、ガス機器には、多数の安全装置が搭載・義務化されているためとても安全です。災害時や異常発生時には、自動でガスが遮断されます。

ガスメーター

ガスメーターには、さまざまな安全装置が内蔵されています。地震のときに自動でガスを遮断する機能、ガス漏れ、ガス流量の急激な変化を検知する機能などです。

ガスメーターが異常を検知すると、異常を知らせる警報・表示を出します。ガス事業者が毎月検針をする際に、検針員が確認をしていて、必要に応じてより詳しい検査を実施して危険を未然に防いでいるのです。

ガス栓

ゴムホースが接続されるガス栓にも、安全装置が内蔵されています。万が一ゴムホースが外れたり、破断したりした場合は、ヒューズ機能が働きガスを遮断するのです。

現在の安全技術では、素人が故意にガス漏れを発生させ続け、ガス事故を引き起こすことは難しいほどに機能が充実しています。

ガスボンベ

万が一の火災のときも、プロパンガスボンベが爆発することはありません。温度上昇によりガスボンベの内圧が上がり、ガスを噴出させて逃がす構造になっているためです。また、災害時にはガス会社が消防とも連携し、対応にあたっています。

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ガス料金の節約方法

ガス料金は、使った分の請求が後からきます。ちょっとした工夫をすることで、無理せずガス料金を節約することも可能です。環境にも良いので、意識して実践してみましょう。

ガス消費量の大部分は給湯に使われている

ガスコンロのバーナー一口の消費量に対し、給湯のガス消費量は10倍近くになります。

お湯の出しっぱなしは、エネルギーの無駄遣いです。とくに、冬場は水道水の温度が下がることからより多くのガスを必要とするため、さらに差が広がることになります。入浴中も、こまめにシャワーを止めましょう。

ガスコンロの火力調節が大切

早くお湯を沸かしたい一心で、強火力にしてしまいがちです。しかしながら、火を大きくしてなべ底からはみ出てしまっている火は、鍋を温めていないのでとても非効率と言えます。なべ底に合わせて、火力調整をしましょう。

都市ガス、プロパンガスにはそれぞれ、メリット・デメリットがあります。供給エリアやガスそのものの特性が大きく関わっています。ただ、共通して言えるのは「ガスは気体燃料」であって、ガスの燃焼自体では電力を消費しません。

また、発電所の負荷を軽減する、電力の消費を抑えることに大きく寄与します。災害時に電力の供給が途絶えた場合など、唯一のエネルギーになり得る身近な存在です。近年の自然災害の巨大化に対応するための選択肢の一つとして、見直されています。

単なるコスト意識だけでなく、利便性や安全性も考慮に入れることをおすすめします。

お部屋探しをするなら使用しているガスまで着目して選ぼう

お部屋探しでまず注目するのは、家賃ですね。そのほか、インターネットやエアコン、ユニットバスなど色々ありますが、ガスにも注目してみましょう。

物件同士を比較し「家賃が3,000円安いのにガス料金が5,000円高い!」ということも実際は多くあります。また、キッチンがガスコンロを使用可能なのか、IHヒーターなのかも大きな差です。重要事項説明の記載事項でもあるため、物件を見るときに注意して見てみると良いでしょう。