働く女性が増え、結婚しても共働きが当たり前になった今、夫婦どちらも高収入の「パワーカップル」が注目されています。パワーカップルと聞くと、DINKS(共働きで子どものいない夫婦)のイメージが強いかもしれませんが、実は子育て世代が全体の6割を占めると言われています。
参考:ニッセイ基礎研究所「パワーカップル世帯の動向(1)-コロナ禍でも引き続き増加傾向、子育て世帯が約6割」
我が家も、1歳・4歳の子どもがいる夫婦共働きで、世帯年収は1,600万円以上です。金銭面では比較的余裕がありますが、夫婦ともにフルタイムで働きながら子育てをしているので、抱える悩みはどの家庭とも同じです。
そこで今回は、パワーカップルの詳しい定義や具体的な年収と割合、職業などを解説します。さらに、2級FP資格所持で年収1,600万円以上の私たち夫婦が、仕事も子育ても両立したいからこそ実践した取り組みについて、ご紹介します。
パワーカップルとは

パワーカップルとは、夫と妻のどちらも高収入を得ている共働き夫婦のことを指します。世帯収入が高くても、働いているのが夫婦どちらか一方の場合は、パワーカップルに含まれません。
パワーカップルの定義はさまざまで決まっていない
パワーカップルの基準や定義は、各研究機関などで独自に設けられており、明確に決まっていません。しかし、よく言われている指標は、以下2点です。
・夫婦ともに年収700万円超の世帯(ニッセイ基礎研究所)
・夫の収入が600万円以上・妻の収入が400万円以上で、世帯年収が1,000万円以上の夫婦(三菱総合研究所)
「高所得層」と呼ばれる年収の目安
パワーカップルの定義は明確にないとは言え、いくらくらいの年収があれば高所得層と言えるでしょうか。
総務省の2022年「家計調査報告(家計収支編)二人以上の世帯」の調査によると、共働き世帯の実収入の平均は、年831万1,968円でした。

※引用:厚生労働省2022(令和4年)国民生活基礎調査の概要
厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査では、2022年の世帯所得800万円超の家庭は全体の21.1%で、1,000万円超の家庭は全体の12.6%、1,400万円以上だと全体の4.6%となっています。
夫と妻がそれぞれ年収700万円以上であれば、1,400万円以上になります。共働き世帯の平均を大きく上回るため、高所得層と言えるでしょう。
実際、パワーカップルはどのくらいいる?
ここからは、実際にパワーカップルはどれくらいいるのかを総務省などのデータを参考に見ていきましょう。
パワーカップルの世帯数や割合
総務省の令和4年労働力調査によると、共働き世帯は1,646万世帯であり、総世帯(5,592世帯)の29.4%を占めます。さらに、夫婦ともに年収700万円以上のパワーカップル世帯に注目すると、37万世帯で総世帯の0.66%、共働き世帯の2.25%です。
全体で考えると、現状パワーカップルの割合は少ないですが、近年増加傾向にあります。パワーカップルの内訳を見ると、約6割は子どものいる子育て世帯です。
パワーカップルが多い年代や職業
パワーカップルに多い年代は、小学生の子を持つ30・40代、40・50代のDINKS、独立した子を持つ50・60代が多い傾向にあります。
パワーカップルの職業は、比較的正規雇用で年収の高い職業についている傾向にあります。条件の目安として、平均年収700万円以上の職業の例で見ていきます。
・医師
・法務従事者(弁護士など)
・その他経営・金融保険専門職業従事者
・管理的職種従事者
・システムコンサルタント・設計者
など
医師や弁護士など資格が必要な職種や専門職は、平均年収が高い傾向にあります。また、大企業(従業員1,000人以上)の企業における管理職になれば、部長級だと平均年収が約1,200万円を超えます。
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基礎統計調査」
パワーカップルが増えている背景
パワーカップルが増えている背景としては、女性の社会進出が進んでおり、正規雇用で働いている方が増えているためと考えられます。
女性の働く環境が整いはじめたことで、出産後や育児中も仕事を辞めずに、キャリア形成を継続する女性が増えました。仕事と家庭のどちらかを選ぶのではなく、「仕事も」「結婚も」「子育ても」両立するという価値観を持つようになっています。
パワーカップルの消費傾向
パワーカップルは収入が多い分、金銭的余裕から自由に使えるお金が多いです。そのため、すべてを貯蓄に回すよりは、外食や旅行などにお金をかけたり、時短家電や家事代行サービスなどを利用したりする家庭もあります。
我が家もお互いフルタイムで働いているため、省ける家事は頼れるモノ・サービスにとことん頼っています。例えば、ドラム式洗濯機やロボット掃除機などです。これらを利用することで、日々の家事の時間短縮につなげています。
また、毎日の献立を考えたり、買い出しに行ったりする手間を省くために、宅食サービスや宅配サービスを利用しています。献立は、電車の移動時間にチェックをすればOK。献立を考えない分、他のことに時間を使うことが可能です。
そのほか、利用頻度は落ちますが、会社の福利厚生でベビーシッター割引券が利用できるため、どうしても帰宅が遅くなるときはベビーシッターを月に1〜2回使用しています。もちろん、仕事が終わったらすぐ帰宅します。
パワーカップルとして日常生活で気を付けているポイント

ある程度金銭的に余裕があると言われますが、国や自治体の助成金が所得制限によってもらえないことも多々あります。だからこそ、お金についてメリハリを持って向き合うことが大切です。ここでは、私たち夫婦で気を付けているポイントをご紹介します。
節税対策はフル活用する
確定拠出年金やNISA、ふるさと納税、医療費控除、生命保険料控除などは積極的に活用して、手取り収入を増やします。確定拠出年金や生命保険料控除を利用すれば、保育料の節約にもつながります。
定期的なセールやまとめ買いをする
ストック管理は意外と大変なものです。我が家では、トイレットペーパーやおむつ、お掃除グッズなどの消耗品のストック管理は、パパの役割です。コストコや定期的なセール、ふるさと納税などを利用して、年間支出を抑えます。
「ほしい」は1日考える
SNSやインターネットは誘惑が多いです。調べれば調べるほど「あったら便利!」「かわいい!」という気持ちは高まるでしょう。だからこそ、緊急のもの以外はトータルコストやリセールバリューなどを考えるため、日を置きます。緊急でなければ、セールやアウトレットなどを有効活用します。
「お金があるから悩んだら買う」ではなく、「本当に必要か」を冷静に考えることで、買った後の後悔や無駄な出費を減らせるのです。
ライフスタイルにあったポイ活を行う
みなさんもご存知のとおり、ポイントもお金と同じ価値があるものです。そのため、還元率が良く、コストパフォーマンスの良いカードを利用してポイントを貯めています。
普段使うインターネットサービスや日常使いでポイント還元が良いものはもちろん、定期的な旅行でもお得に使えるカードは所持する価値があるといえるでしょう。中には、カードで貯まったポイントで資産運用ができるものもあります。
ただし、ポイ活は向き合いすぎるとキリがないので、自分たちのライフスタイルにあったポイ活を日々実践しています。
家族にとっての最適解を考える
夫婦でお互い忙しくしているからこそ、平日・土日に家族と過ごす時間は貴重です。子どもとの会話で気付いたことはパートナーに共有し、土日に行きたい場所や体験することに活かします。子どもにとって貴重な経験になる家族との思い出には、しっかりと投資します。
パワーカップルの私たちが2児の子育てと仕事の両立のために実践していること
フルタイム共働きのママ・パパは、朝から夜までとにかく時間に追われます。頼れるものやサービスに頼ることで、時間効率アップ・ストレスフリーで日々の仕事や家事、子育てを乗り越えられるのです。私たち夫婦が、2児の子育てと仕事の両立のために実践していることを一部ご紹介します。
①時短家電で子どもと一緒にいる時間を増やす
共働きの家庭は、平日も朝から夜遅くまで働いている方も多いでしょう。だからこそ、自分たちが留守の間に掃除をしてくれて、部屋を綺麗に保てるお掃除ロボットがあると便利です。小さいお子様がいる家庭だと、予期せぬことも多々あるので、洗濯から乾燥までしてくれるドラム式乾燥機もマストです。

さらに食洗機があれば、食器を洗う時間を子どもと過ごす時間に費やせます。食器洗いは、意外と時間がかかるものです。

食洗機を利用すれば、1回15分×3回×365日で年間273時間、子どもと過ごす時間が増えるのです。
②献立・買い物の時間をゼロにできる宅食サービスを活用する



我が家では、時短調理家電はあえて使わず、宅食サービスを利用しています。なぜなら、1週間の献立を考えて、買い物に行く時間をゼロにできるためです。
多くの家庭では、ママが料理を作っているのではないでしょうか。我が家でも、料理はママの役割です。決して料理が嫌いではないのですが、フルで仕事をしながら栄養を考えた献立を1週間考えて、買い物に行くのは大変というのが本音です。
宅食サービスは、毎週1回ケータイでポチッと注文すれば、栄養や食の安全も考えられた1日3品の献立と食材が届くので、私にとっても家族にとっても最高でした。下処理がされたミールキットを活用するときもあれば、平日5日間は1日3品30分以内に作れるサービスを利用することもあります。作った感も出るうえに、普段買わないような食材とも出会えるので、食育にもなるのです。
とはいえ、帰宅後の夕飯の支度も時間との戦いなので、ガスコンロ二口以上で同時調理を行います。
③宅配サービスをフル活用!急に必要になったものをそろえる
平日遅くまで働いていると、子どもの保育園で急に必要なものを買いに行く時間がありません。そのときは、宅配サービスを活用してしのぎます。物によっては日時指定ができない場合もあるので、宅配ボックスを活用して最短で受け取れるようにします。
パワーカップルが収入と生活のバランスを安定・維持させるためのポイント
収入を維持するだけであれば、お互いに仕事や資産形成に没頭すれば問題ないかもしれません。しかし、子育てや充実した私生活などと両立させるには、夫婦での協力や工夫が必要になります。
ここからは、パワーカップルが子育てを含めた生活のバランスと収入を安定・維持させるためのポイントをご紹介します。
①パートナーと話し合う
夫婦ともにフルタイムで働いていると、どうしても家族で過ごす時間も限られます。だからこそ、日々お互い話し合う時間が大切です。
子どもの様子や成長についてはもちろん、子どもの行事や病気になったときにどうするのかなど、お互いが常に把握しておくことで「どちらが対応してもいい」状況を極力作ります。
②家事の役割分担を行う
どうしても家事はママの負担が多くなりがちですが、「ママしかできない」家事というのはそこまで多くないはずです。我が家では、保育園の登園や翌日の準備、日用品ストックの管理はパパの役割です。
ほかにも気付いたら、パパがやってくれることも日々増えています。パートナーに感謝をしつつ、家事も二人で協力しながらこなすことが、パワーカップルが働き続けるうえで重要です。
③頼れるサポート・サービスを有効活用する
仕事や家事、子育てを両立するうえで、行政の制度や民間サービスを有効活用するのも一つの方法です。例えば、ファミリー・サポートのような公的サービスや、会社の福利厚生としてある内閣府の企業型ベビーシッター割引券の利用、民間の家事代行サービスなどがあります。
④仕事・居住環境を整える
子育て世帯のパワーカップルであれば、子どもの成長に合わせて、働き方や居住環境を柔軟に変えていくことも大事です。仕事が今のままでは難しい場合、フレックスタイム制度や在宅勤務などができる働き方を取り入れます。
また、子どもの成長に合わせて部屋の大きさを考えることはもちろん、家から駅までのアクセス、宅配ボックスや食洗機など、暮らしの環境を整えることも重要です。
パワーカップルでも子育てと仕事は両立できる!
パワーカップルとは、夫と妻が共働きで高収入の夫婦です。内訳を見ると、約6割は子どものいる子育て世帯となっています。
子どもや自分たちの将来のことを考え、長期的に収入を安定・維持させるためにも、夫婦で協力し合いながら頼れるモノ・サービスをしっかり頼ることが大事です。その中でも、時短家電の活用や居住環境を整えることは、パワーカップルが忙しい日々を過ごすうえで欠かせないポイントです。
ぜひ一度、子どもの成長や家族の暮らしをより良くするお住まいを、探してみてはいかがでしょうか?