白いワイシャツの襟や袖についた黄ばみが気になった経験はありませんか?黄ばみ汚れは、汗や皮脂が生地に付着し、時間が経過することにより起こります。適切なタイミングで正しい方法で洗濯することで、ワイシャツを白く、長持ちさせることが可能となるのです。
今回は、黄ばみができやすくなる原因や落とし方、予防法を解説します。ぜひ毎日の洗濯の参考にしてみてください。
ワイシャツの黄ばみができやすくなる原因
ワイシャツの襟や脇、袖口にできてしまう黄ばみは、主に汗と皮脂により発生します。皮脂汚れが繊維の奥まで入り込み、酸化して変色すると、黄ばみとなるのです。
ここでは、黄ばみができやすくなる原因について3点、紹介します。
原因①汗と皮脂が付着しやすい環境
汗と皮脂が付着しやすい環境で過ごす方は、着用しているワイシャツに黄ばみができやすくなるでしょう。
皮脂とは、体から分泌される油分のことです。首周りや脇の下など汗をかきやすい部分から多く分泌されます。皮脂汚れが繊維の奥に入り込むと、洗濯では落としきれず、残ってしまいます。残った皮脂が空気に触れたり紫外線にあたったりして酸化すると変色し、黄ばみとなるのです。
夏場や蒸し暑い空間で長時間過ごしている、緊張する場面が多い仕事に就いているなど、汗をかきやすい状況で過ごすことが多いと、汚れが繊維の奥まで入り込みやすく、黄ばみが発生しやすくなります。
原因②洗浄力不足または不適切な洗濯方法
黄ばみの主な原因は落としきれなかった皮脂や汗ですが、洗濯の仕方によっても黄ばみができやすくなります。
たとえば洗剤の洗浄力が弱かったり、洗剤の量が少なければ、汗や皮脂が完全には落ちません。また反対に、洗剤や柔軟剤の量が多すぎた場合、すすぎきれずに衣服に残ってしまう場合があります。繊維に洗剤や柔軟剤の成分が残っていたままになっていると、それが酸化して黄ばみの原因となってしまうこともあるのです。
汚れを落とそうと洗剤を多めに使うことにより、かえって裏目に出てしまう結果となることもあるので注意しましょう。
原因③外部環境
他にも、黄ばみを悪化させるような原因がいくつかあります。
たとえば、長期間太陽光に当たっていると、紫外線の影響で黄ばみが強く現れることがあります。また、空気中に含まれるホコリが皮脂汚れに付着すると、黄ばみだけでなく黒ずみを引き起こすこともあるのです。
これらの外部環境からの影響は、普段の生活で避けることが難しいかもしれません。しかし、保管方法やお手入れ方法を工夫することで、黄ばみがひどくなることを防げます。
【基本】ワイシャツの黄ばみの落とし方
ここからは、実際にワイシャツの黄ばみを落とす方法について見ていきましょう。
汗や皮脂が原因の黄ばみは、酸性の汚れです。酸性の汚れは、反対の性質を持つ弱アルカリ性の洗剤を使用して中和させることでスッキリ落としやすくなります。
今回は、酸性の酸素系漂白剤を使用した洗濯方法を紹介します。
STEP1. 必要な道具や材料を用意する
まずは必要な道具や材料を用意しましょう。
・酸素系漂白剤(粉末タイプ)
・洗濯用洗剤
・お湯(40〜50度)
・洗濯用ブラシまたは古い歯ブラシ
・洗面器またはバケツ
洗面器やバケツは、つけ置き用に使用します。
なお、今回使用する酸素系漂白剤は弱アルカリ性である「粉末タイプ」のものを使用してください。液体タイプの酸素系漂白剤は「酸性」もしくは「弱酸性」であり、黄ばみの洗浄をする場合には向きません。
STEP2. 酸素系漂白剤と洗剤をお湯で溶かす
洗面器またはバケツに40度以上のお湯を入れ、酸素系漂白剤をパッケージの指示に従って適量溶かします。少量の洗濯用洗剤も一緒に混ぜるとより効果的です。
なお、粉末タイプの酸素系漂白剤は、ウールやシルクなどの繊維には使用できません。洗濯表示をしっかりと確認しておきましょう。
STEP3. 漂白を行う
先ほど作成した溶液にシャツを浸してつけ置きします。1〜2時間放置しますが、黄ばみがひどい場合は一晩浸けておいてもよいでしょう。
STEP4. すすぎと乾燥を行う
浸け置きが済んだら、洗濯機に入れて洗濯します。洗濯後はすぐに干して乾燥させましょう。
部分的にできたワイシャツの黄ばみの落とし方
※使用しているのはスティックタイプの固形石鹸です。
次に、襟・袖口など、部分的な黄ばみを落としたい場合の対処法について紹介します。手軽な方法が多いので、ぜひ試して見てください。
①固形石鹸を擦り付けてもみ洗い、洗濯する
固形石鹸を使用する方法は、手軽に黄ばみ除去ができるため便利です。次の手順で行います。
①黄ばみのある部分をお湯でしっかりと濡らす
②黄ばみ部分に直接固形石鹸を擦り付ける
③古歯ブラシなどで軽く擦るか、もみ洗いをする
④すすいでから通常通り洗濯をする
ブラシを使う際には、優しくトントンと叩くように洗いましょう。ゴシゴシと強くこすると生地を傷めてしまいます。
②食器用洗剤を使う
食器洗い洗剤も黄ばみの除去に便利です。油分の強い黄ばみや黒ずみに効果を発揮します。手順を紹介します。
①黄ばみのある部分をお湯でしっかりと濡らす
②黄ばみ部分に食器用洗剤を垂らす
③古歯ブラシなどで軽く擦るか、もみ洗いをする
④すすいでから通常通り洗濯をする
洗浄中に泡立ちが悪いと感じたら、適宜洗剤を追加しましょう。
③セスキ炭酸ソーダ水を使用する
セスキ炭酸ソーダは、アルカリ性の洗剤です。黄ばみをはじめとする酸性の汚れに効果を発揮します。
①水500mlあたりセスキ炭酸ソーダ小さじ1杯を溶かし、スプレーボトルに入れる
②黄ばみ部分にしっかりとスプレーする
③10〜20分ほど放置する
④ブラシで軽くこするか揉み込んでから、通常通り洗濯をする
実は間違い!?ワイシャツの黄ばみの誤った落とし方
ワイシャツの黄ばみを落とそうと一生懸命になるあまり、繊維を傷めてしまうことがあります。衣服を長持ちさせるために頑張ったはずなのに、逆に寿命を縮めてしまうことになっては悲しいですよね。
ここでは、避けたい黄ばみの落とし方について紹介します。
塩素系漂白剤を使用する
白くするために、塩素系漂白剤を使用することはおすすめしません。
洗濯に使用される漂白剤は、「塩素系」と「酸素系」とが市販されています。塩素系漂白剤は強力ですが、使用方法を誤ると繊維がゴワゴワとしてしまったり、化学反応を起こして変色してしまったりすることがあるのです。また、色柄ものに塩素系漂白剤を使用すると、色落ちしてしまいます。
黄ばみを落とすために漂白剤を使用したいなら、まずは酸素系漂白剤を選びましょう。
熱湯に浸け置きする
熱湯に浸け置きする事で、黄ばみが取れると考える方もいるでしょう。確かに煮洗いは洗浄や除菌に効果的ですが、ポリエステルなど化学繊維が使用されている衣服の場合、熱湯をかけるとシワシワになってしまう場合があります。
また、酸素系漂白剤で浸けおきする場合、温度が高すぎると分解が急激に進み、充分な効果を得られません。 酸素系漂白剤は、40〜50度のお湯で最も効果を発揮すると知っておきましょう。
強くこする
黄ばみを落とすために、洗剤をつけて強くこすりすぎてしまうと繊維が傷ついてしまいます。ケバ立ったり、ゴワゴワしたりと洗い上がりが悪くなってしまうため、優しく洗うように心がけましょう。
黄ばみ落としの際に注意すべきワイシャツの洗濯表示
ここまで、ワイシャツの黄ばみ落としの方法を見てきました。実際に黄ばみ落としを行う際には、洗濯表示に注意を払うようにしてください。とくに確認すべき洗濯表示には、次のようなものがあります。
・家庭での洗濯禁止:ご家庭での洗濯ができないためクリーニング店で相談しましょう。
・手洗いのみ:洗濯機が使用できません。
・漂白剤使用不可:酸素系のみ使用可能なもの、酸素系塩素系両方とも不可のものがあります。
・お湯使用不可:温度表示があるものは、洗濯液の上限温度が示されています。
デリケート:桶のマークの下の線が多いほど、デリケートな衣服となります。「デリケートコース」など、弱い洗濯方法を選びましょう。
参照元:消費者庁「新しい洗濯表示」
ワイシャツの黄ばみを予防する方法
ここからは、ワイシャツの黄ばみを予防するための効果的な方法を紹介します。日常的な習慣を少し変えるだけで、黄ばみの発生を減らすことができます。
脱いだら、できるだけすぐに洗濯する
ワイシャツを脱いだらすぐに洗濯することが、黄ばみ予防の基本です。
衣服の黄ばみは、汗や皮脂の汚れが付着したままの状態が続くことで発生します。着用後のワイシャツは、一見汚れていないように見えても、皮脂や汗が付着しています。付着した皮脂や汗が酸化すると、黄ばみが出現するのです。できるだけ早く洗濯することで、黄ばみの原因となる汚れが付着している時間を減らしましょう。
洗浄力の強い洗剤を利用する
洗剤の選び方も黄ばみ予防に役立ちます。
黄ばみの原因となる皮脂は、酸性の汚れです。酸性の汚れを効果的に落とすには、逆の性質を持つ「弱アルカリ性」の洗剤が効果的です。洗剤には、中性や弱アルカリ性のタイプがありますが、弱アルカリ性タイプを選びましょう。なお、粉末タイプの洗剤は弱アルカリ性が主流です。
ベビーパウダーやテープなどを使って汚れを防ぐ
ワイシャツを着用する前に、ベビーパウダーやテープなどを襟の部分につけておくと、汗や皮脂から生地を守ってくれます。
ベビーパウダーを襟元に薄く塗っておくと、皮脂が付着しても洗濯で簡単に落ちやすくなります。また、衣料用の汚れ防止テープを貼っておけば、汗や皮脂が布に浸透することを防ぎます。
ワイシャツの黄ばみは放置せずに、しっかり落とそう
今回は、黄ばみができやすくなる原因や落とし方、予防法を解説しました。
ワイシャツの黄ばみの原因は、付着した汗や皮脂です。酸素系漂白剤や洗剤を適切に使用して洗濯すれば、ワイシャツを長く清潔に維持することができます。黄ばみが気になったときは放置せず、できるだけ早く対処しましょう。