4階建てマンションはエレベーターがない?何階建てから設置義務があるの?専門家解説

目次

マンション選びをする際、エレベーターの有無は多くの人にとって重要なポイントです。特に高層階に住む場合、エレベーターがなければ荷物の持ち運びや移動が大変で、日常生活に支障をきたすこともあります。

しかし、エレベーター設置には法律で決められた義務があり、逆に言うとその義務に抵触しない建物には設置しなくても良いとされているため、全ての物件にエレベーターがあるというわけではありません。今回は、エレベーターの設置基準や条件について詳しく解説するとともに、エレベーターがない物件の意外なメリットにも触れていきます。

エレベーター付き物件の選び方に迷っている方は、この記事を参考にしてください。

エレベーターがあるマンションは最低何階?

建築基準法では、「建物の高さが31メートルを超える」ことがエレベーターの設置義務の基準となります。

高さ31メートルという基準は、一般的なマンションの階高を考慮すると、7〜10階建て以上に相当します。つまり、5階建てや8階建ての建物であっても、高さが31メートル未満であればエレベーター設置義務は生じません。

とはいえ、高齢者や障害のある方にとって、エレベーターは日常生活の利便性を大きく左右するため、建物の高さと階数の両方を考慮して物件を選ぶことが重要です。

エレベーターの設置義務は階数だけでなく、建物の実際の高さにも基づいて決まるため、物件選びの際にはその基準を十分に確認することが大切です。

参考:建築基準法34条|昇降機

法律に基づく設置基準

エレベーターの設置には、建築基準法第129条に基づく厳格な技術的基準が定められています。これは住民の安全を確保し、災害時に円滑な避難を可能にするために策定された法律です。

エレベーターには、地震などの揺れに耐える設計や避難経路の確保が求められています。例えば、地震発生時に自動的に最寄りの階で停止する機能や、停電時でも安全に稼働できる非常用電源の設備が義務付けられています。

エレベーター付きマンションを選ぶ際には、これらの設置基準を満たしているかどうかを確認し、安全性を確保することが重要です。

参考:建築基準法129条|避難上の安全の検証を行う建築物の階に対する基準の適用

エレベーター設置義務が免除される場合

エレベーターの設置義務は、特定の条件を満たす場合に免除されることがあります。

例えば、4階建て以下の建物で、1階部分が店舗やオフィスとして利用され、上階が限られた住民のみの住宅となっている場合には、設置義務が免除されるケースが多いです。これは、住民の数が少なく、エレベーターの必要性が低いと判断されるためです。

しかし、エレベーターがないことで高齢者や小さなお子様がいる家庭にとっては日常生活の利便性が低下する可能性があります。特に高層階に住むことを検討している方にとっては、エレベーターがあることで移動が格段に楽になり、生活の質が向上するでしょう。

エレベーター付きの住まいを選ぶことで、日常の快適さと安全性を確保できるため、物件探しの際には設置の有無をしっかりと確認しましょう。

エレベーター付きの住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

安全に利用できるエレベーターの特徴

エレベーターを安全に利用するためには、いくつかの重要な要素を確認することが必要です。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。

定期点検がされている

エレベーターの定期点検は、安全な運行を維持するために欠かせません。定期点検を行うことで、故障や事故のリスクを事前に発見し、適切な対応が可能となります。

建築基準法第12条第3項では、エレベーターの定期的な点検と保守管理が義務付けられており、建物の管理者はこれを遵守する必要があります。

例えばケーブルの摩耗やブレーキの動作確認、ドアの開閉具合などが定期的にチェックされます。これにより、部品の劣化や不具合を早期に発見し、事故の防止につながります。

定期点検がしっかりと行われているエレベーターは、故障のリスクが低く、安心して利用できます。マンションを選ぶ際には、点検記録が整備されているか確認することが重要です。

参考:建築基準法12条第3項|特定建築設備等

防犯カメラとインターホンが設置されている

防犯カメラとインターホンが設置されていることで、入居者は安心して生活を送ることが可能です。防犯カメラは不審者の侵入を防ぎ、インターホンは緊急時に外部と連絡を取るために役立ちます。

特に夜間時には、安全性を確保するうえで大きな役割を果たします。防犯カメラが設置されていることで、不審な行動が記録され、トラブル発生時には映像を確認することで早急な対応が可能です。またインターホンがあれば、エレベーター内で異常を感じた場合に管理人や警備会社と即座に連絡を取ることができます。

物件選びの際には、防犯カメラやインターホンの設置状況も確認するようにしましょう。

耐震性に優れている

耐震性能が優れたエレベーターは、地震時の安全を確保するために重要です。地震の多い地域では、エレベーターが地震発生時にどのように対応するかが住民の安全に直結します。

例えば、地震の際には、揺れを感知してエレベーターを自動停止させ、乗客を最寄り階に避難させる機能があります。さらに、耐震基準を満たしているエレベーターは、地震の揺れによる損傷を最小限に抑える設計がされています。

物件選びの際には、エレベーターの耐震性についても確認し、安心して暮らせる住まいを選びましょう。

非常用設備が充実している

災害時などの非常時には、エレベーターが停止するなどのトラブルが発生する恐れがあります。その際に、エレベーターの非常停止ボタンや自動通報装置などの設備が適切に機能することが重要です。

非常停止ボタンが設置されていれば、緊急時にエレベーターを停止させ、被害を最小限に抑えることが可能です。また自動通報装置は、停電や故障時に外部へ自動的に連絡を行い、迅速な救助を要請することができます。

これらの設備が整備されていることで、緊急時でも住民が安全に避難できる環境が整えられます。非常用設備が充実しているエレベーターは、災害時にも住民の安全を守ります。

エレベーター付きマンションを選ぶ上で確認すべき項目

エレベーター付きマンションを選ぶ際には、日常の利便性や防災面、メンテナンス費用など、いくつかの重要なポイントを確認することが大切です。ここで解説する項目を参考に、自分に合った住まいを選びましょう。

生活スタイルの変化

エレベーターがあるマンションでは、重い荷物や大量の買い物をした際に、楽に自宅まで運ぶことができます。特に高齢者や子育て世帯にとっては、エレベーターの有無が生活の利便性を大きく左右します。

一方、エレベーターがない場合、階段の上り下りが日常の運動となり、健康維持に役立つというポジティブな側面もあります。

例えば3階建て以下のマンションでは、エレベーターがないケースが多いため、日常的に体を動かす機会が増えます。

どちらを選ぶかは、ライフスタイルや家族構成に合わせて検討することが大切です。

防災面の充実度合い

エレベーター付きマンションを選ぶ際には、防災面での設備が充実しているかを確認することが重要です。非常用電源や地震時の自動停止機能が設置されているかどうかが、災害時の安全性を左右します。

例えば地震発生時にはエレベーターが最寄り階で自動的に停止し、乗客の安全を確保する機能が求められます。また、非常用電源がある場合は停電時でもエレベーターを使用でき、避難や物資の運搬に役立ちます。

防災設備の有無を確認し、災害に強い住まいを選ぶことが大切です。

メンテナンス費用

エレベーターのメンテナンス費用は、マンションの共益費や管理費に影響を与えるため、入居者にとって重要なポイントです。

定期的な点検や部品交換にかかる費用は、エレベーターの新しさや種類によって異なり、古いエレベーターが設置されている物件では、管理費が高くなることもあります。

例えば、老朽化したエレベーターの修繕や交換には多額の費用がかかり、そのコストが賃料に反映されることがあります。賃貸物件を選ぶ際には、エレベーターの状態や管理費の内訳を確認し、無駄なコストを避けることが大切です。

利用頻度と待ち時間に影響を与える要因

エレベーターの利用頻度や待ち時間は、マンションの住戸数やエレベーターの台数によって大きく変わります。高層マンションであればあるほど、エレベーターの利用頻度が高くなり、特に通勤・通学時間帯には待ち時間が長くなることがあります。

例えば20階建て以上のマンションでは、エレベーターが2基以上設置されているかどうかが重要なポイントです。住戸数に対してエレベーターの台数が少ない場合、待ち時間が長くなり、ストレスを感じることがあるかもしれません。

快適に暮らすためにも、物件選びの際にはエレベーターの台数や配置を確認し、利便性をチェックしましょう。

エレベーター付きの住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

エレベーターなし物件の意外なメリット

エレベーターがある物件は利便性が高く、特に高層階に住む場合には必須といえます。しかし、エレベーターがない物件にもいくつかの意外なメリットがあります。

これらのメリットを理解することで、住まい選びの幅が広がり、より自分に合った物件を見つけることができるでしょう。ここで詳しく解説します。

共益費が抑えられる(家賃が安くなる)傾向にある

エレベーターの設置やメンテナンスには多額の費用がかかるため、共益費や管理費として住民に負担されることが一般的です。一方、エレベーターがない物件ではこれらの費用が不要なため、共益費が抑えられ、家賃も比較的安く設定される傾向があります。

例えば、エレベーター付き物件の共益費が月額4,000円で、エレベーターなし物件の共益費が月額2,000円の場合で比較してみましょう。

物件タイプエレベーター付きエレベーターなし
共益費(月額)約4,000円約2,000円
年間の共益費負担額48,000円24,000円

エレベーターなし物件では、月々の共益費が約2,000円安くなるため、年間で24,000円の差額が生まれます。エレベーターがないことで経済的な負担が軽減され、家計に余裕を持たせることが可能です。

家賃を抑えつつも快適に暮らしたい方には、エレベーターなし物件も魅力的な選択肢となるでしょう。

他の住人のエレベーター利用の音に悩まされない

エレベーター付き物件では、エレベーターの稼働音や開閉音が意外に気になることがあります。特にエレベーター近くの部屋に住んでいる場合、夜間や早朝の利用音が生活のストレスとなることも少なくありません。

一方、エレベーターがない物件では、こうした騒音トラブルが発生することはほとんどありません。エレベーターの機械室が近い部屋では、機械の振動音が響き渡ることがあり、静かに過ごしたい時間に騒音を感じることがあります。

エレベーターの音によるストレスを避けたい方にとって、エレベーターなし物件は快適に住むことが可能です。

運動不足解消につながる

エレベーターがない物件では、階段の上り下りが日常的な運動となり、運動不足解消につながります。特に日々の生活で意識的に体を動かす機会が少ない方にとって、階段の利用は手軽で効果的な運動方法です。

例えば2階や3階の部屋に住んでいる場合、ちょっとした外出でも階段を使うことで無理なく運動量を増やすことができます。健康維持やダイエットを意識している方にとって、毎日エレベーターを使わずに階段を利用する習慣を持つことは大きなメリットです。

階段の利用はカロリー消費を促進し、筋力の維持にも役立つため、エレベーターなし物件は健康志向の方にとって理想的な住まいといえるでしょう。

エレベーターは何階から設置義務があるのかを知り、物件探しにつなげよう

エレベーターは生活の利便性に大きな影響を与える重要な設備です。高層階に住む場合はエレベーター付きの物件が便利ですが、エレベーターなし物件にも共益費が抑えられるなどのメリットがあります。

物件選びの際は、エレベーターの有無だけでなく、住む人のライフスタイルや価値観を考慮することが大切です。エレベーターの設置基準を理解し、自分にとって最適な住まいを見つけることで、快適な暮らしを実現しましょう。

しっかりと情報を整理して、自分に合った物件を選んでください。