一人暮らしの毎月の平均食費・エンゲル係数はどれぐらい?お金のプロがわかりやすく解説します

目次

一人暮らしを始めると、毎月の支出が気になりますよね。節約したいけれど、具体的にどうすれば効果的なのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

節約を考えるうえで特に重要なのが、毎日の生活に直結する「食費」です。一人暮らしの平均的な食費はいくらくらいが理想なのでしょうか。また、よく耳にする「エンゲル係数」が意味する内容はどういったもので、どのように節約に役立てられるのでしょうか。

この記事では、一人暮らしの食費の実態を詳しく解説し、お金管理のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)が、毎月の生活をグッと楽にする「賢い節約術」を紹介します。

一人暮らしの食費はどれくらいかかる?

まずは、一人暮らしの食費について見てみましょう。2023年(令和5年)の政府統計「家計調査」データを参考に、解説していきます。

一人暮らしの平均的な食費

2024年2月6日に更新された、2023年(令和5年)の「家計調査年報」によると、賃貸物件(民営住宅)に一人で暮らす「単身世帯」の1ヶ月の消費支出は約19万円で、そのうち食費は4万円程度でした。

※参照1:総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2023年 | ファイル | 政府統計の総合窓口

※参照2:統計局ホームページ/家計調査

FPが考える理想の一人暮らしのエンゲル係数

ファイナンシャルプランナー(FP)が考える理想の一人暮らしのエンゲル係数は、手取り収入の20〜15%が目標です。

例えば、手取り収入が20万円の場合、食費は3万円から4万円以内に抑えることが理想です。この程度に抑えておくと、家賃や光熱費、通信費などの固定費や変動費に十分な予算を確保しつつ、貯蓄や投資に回せます。

手取り年収が上がってからも、以前の手取り収入時の食生活を続けることができれば、エンゲル係数をさらに下げることが可能です。

例えば、手取り20万円で3万円の食生活をしていた人が、手取り収入が30万円に上がってからも食費を3万円以内に抑えた場合、エンゲル係数は10%になります。このように、エンゲル係数を下げると、さらに多くの資金を貯蓄や投資に回せるため、将来に向けて準備がしやすくなるでしょう。

エンゲル係数とは

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合を示す指標です。簡単にいえば、家計の中で食費が占める割合のことです。

エンゲル係数が高いほど、支出の中で食費が占める割合が大きいことを意味し、一般的には「生活水準が低い」とされています。逆に、エンゲル係数が低い場合は、食費以外の支出が多く、「生活水準が高い」と考えられています。

エンゲル係数の設定方法

エンゲル係数を設定するには、まず1ヶ月の総消費支出と食費を把握しましょう。具体的な手順は以下のとおりです。

<エンゲル係数の計算方法>

1.総消費支出の計算:家賃・光熱費・交通費・娯楽費など、すべての支出を合計します。

2.食費の計算:外食費や食材費など、食に関連するすべての支出を合計します。

3.エンゲル係数の計算:食費を総消費支出で割り、その結果を百分率(%)に変換します。

例えば、総消費支出が20万円で食費が5万円の場合、エンゲル係数は25%となります(5万円÷20万円×100)。

自分の家計におけるエンゲル係数を意識したり目標設定したりすることで、無駄な支出を減らし、効率的な家計管理を目指しやすくなります。

理想のエンゲル係数にするには月の食費はいくらにすべき?収入額別一覧

エンゲル係数の基本を理解したところで、次は生活水準を高める「理想のエンゲル係数」を見ていきましょう。本来であれば各家庭の総支出を算出する必要がありますが、この記事では、わかりやすく「手取り金額に対する食費の割合」で目安金額を算出しています。

月収(手取り額)10万円から5万円刻みで表にまとめましたので、ご自身の収入に合わせてご確認ください。

【一覧表】

月収(手取り額)1ヶ月の食費(係数20%)1ヶ月の食費(係数15%)1ヶ月の食費(係数10%)
10万円2万円1万5,000円1万円
15万円3万円2万2,500円1万5,000円
20万円4万円3万円2万円
25万円5万円3万7,500円2万5,000円
30万円6万円4万5,000円3万円
35万円7万円5万2,500円3万5,000円
40万円8万円6万円4万円
45万円9万円6万7,500円4万5,000円
50万円10万円7万5,000円5万円

エンゲル係数20%を目標とする場合

エンゲル係数を20%に設定する場合、月の食費は手取り収入の20%以内に抑えることが理想です。

例えば、手取り収入が20万円の場合、食費は4万円以内に抑えることが目標となります。これにより、他の生活費や貯蓄に余裕ができます。20%は比較的ゆとりのある設定なので、食生活を楽しみながらも節約を意識できるでしょう。

エンゲル係数15%を目標とする場合

エンゲル係数を15%に設定する場合、月の食費は手取り収入の15%以内に抑えることが理想です。

例えば、手取り収入が20万円の場合、食費は3万円以内に抑えることが目標となります。上記の20%よりも他の生活費や貯蓄に余裕を持たせられるほか、娯楽費に費やせる額も増えるでしょう。15%は現実的な目標であり、無理なく節約を続けられるラインと言えます。

エンゲル係数10%を目標とする場合

月の食費を手取り収入の10%以内に抑えるためには、工夫と我慢が必要です。例えば、手取り収入が20万円の場合、食費は2万円以内に抑えることが目標となります。

1ヶ月2万円となると、1食あたり200円~300円でやりくりする必要があります。外食を一度でもすると、その後の調整が非常に難しくなるでしょう。

2023年の「家計調査」データによると、一人暮らしの全国平均エンゲル係数は25.1%です。この数値と比較すると、10%を目指すのはかなりの挑戦といえますが、節約の意識を高めるためには良い目標になるでしょう。

一人暮らしでエンゲル係数を意識する際の注意点

エンゲル係数を下げるために食費を抑えるのは簡単な方法ですが、一人暮らしの場合、固執しすぎると健康を損ねるリスクがあります。特に、手取り額が限られている場合は注意しましょう。

食費を削りすぎると、栄養不足になり、健康を損なう可能性があります。インスタント食品やファストフード、菓子パンなどの安価な食品に頼ると栄養バランスが偏り、長期的には健康に悪影響を及ぼす危険があります。

エンゲル係数を参考にしながらも、無理のない範囲でバランスの取れた食生活を心がけ、適度な節約と充実した暮らしを実践しましょう。

栄養面も考えたうえで理想のエンゲル係数に近づける一人暮らし食費節約術

ここからは、一人暮らしの食費を節約しながら、栄養バランスを保つためのポイントを紹介します。

自炊・時短料理を活用する

自炊は食費を抑えるだけでなく、栄養バランスを整えるためにも効果的です。週末にまとめて食材を購入し、下ごしらえを済ませておけば、平日の調理時間を短縮できます。冷凍保存や電子レンジを活用して、手軽に栄養豊富な食事を楽しみましょう。

最近はネットで気軽に時短料理のレシピを検索できます。時短料理を活用することで、忙しい日常を送っていても、手軽に自炊を続けることが可能です。例えば、週末にまとめて食材を下ごしらえしておく、冷凍保存を活用する、電子レンジや圧力鍋を使って調理時間を短縮するなどの工夫が有効です。

二口以上のコンロや調理器具が置ける作業スペースのあるキッチンがあれば、同時に複数の料理を作れるようになるので、自炊を続けやすいでしょう。

自炊が捗るシステムキッチンの住まいを見る

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賢い食材選びとお得な買い方

食材選びは、節約の鍵です。旬の食材は栄養価が高く、価格も安定しているため、購入しやすいです。また同じ商品でも、スーパーの特売日やタイムセールを活用することで、よりお得に購入することが可能です。

お肉などの食材は、「まとめ買い」することで割引や特売の対象となる場合があります。一度に使い切れない分は、小分けにして冷凍保存することで、無駄なく使い切れます。

ネット上には食材の保存方法や使い切りレシピが多数掲載されていますので、参考にしながら工夫することで、食費を抑えつつ栄養バランスも保てるでしょう。

外食費のコントロール方法

外食は楽しみの1つになりますが、頻繁に利用すると食費がかさみます。外食費をコントロールするためには、事前に1ヶ月間の予算や回数を設定し、その範囲内で楽しむことが大切です。

飲み会や合コンなど、お酒の席の外食費は高くなる傾向にあります。「仕事が遅くなったからなんとなく」といった誘いは極力断り、「特別な日にだけ楽しむ」と決めることで、無駄な出費を抑えられるでしょう。

また、外食する際には、ランチタイムのセットメニューやクーポンを活用すると、コストを抑えやすいです。

家計簿習慣の導入

食費を含む家計全体の支出を把握するためには、家計簿をつける習慣を身につけることが大切です。毎日の支出を記録することで、無駄な出費を見直し、節約のポイントを見つけやすくなります。

最近では、スマートフォンのアプリを使って簡単に家計簿をつけられるので、手軽に始めやすいです。家計簿をつけて支出の傾向を把握できれば、理想のエンゲル係数に近づけるための具体的な対策が見えてくるでしょう。

エンゲル係数以外の生活費にも注意!一人暮らしでかかるものとFP直伝節約術

一人暮らしを始めると、食費だけでなくさまざまな生活費がかかります。家賃や住宅費はもちろん、水道光熱費に通信料、その他固定費や変動費など、毎月の支出は意外と多いものです。

これらの費用を賢く管理することで、生活の質を保ちながら節約することが可能です。ここでは、ファイナンシャルプランナー(FP)直伝の節約術をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

※各種データ参考:総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2023年 | ファイル | 政府統計の総合窓口

水道光熱費

水道光熱費とは、水道代・電気代・ガス代など、日常生活に必要なエネルギーや水の使用にかかる費用を指します。2023年(令和5年)の「家計調査年報」によると、賃貸物件(民営住宅)に一人で暮らす「単身世帯」の平均的な水道光熱費は、月々約1万2,000円とされています。

「毎月の水道光熱費が高い」と感じる場合は、以下のポイントを確認してみてください。

<水道光熱費の見直しポイント>

・エアコンの設定温度(高すぎる/低すぎる)

・長時間シャワーやお風呂を使用している

・電気をつけっぱなしにしている(特に外出時)

・古い家電製品(エコ非対応)を使用している

これらの使い方を見直すことで、水道光熱費を効果的に節約できるようになります。

水道光熱費の節約術

水道光熱費は、日常的な工夫で大きく節約できます。例えば、エアコンの設定温度を適切に保つ、LED電球を使う、シャワーの時間を意識的に短くするなどが挙げられます。小さな工夫の積み重ねが、大きな節約につながっていくでしょう。

また、住環境を整えることも節約につながります。IHコンロ対応の住居を選ぶことでガス代が節約できたり、南向きの物件を選ぶことで浴室乾燥などの電気代を抑えたりすることが可能です。環境面にこだわることで、初期費用は多少かさむかもしれませんが、長期的には大幅な節約効果を期待できます。

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通信料

通信料とは、スマートフォンやインターネットの利用にかかる費用のことです。2023年(令和5年)の「家計調査年報」によると、賃貸物件(民営住宅)に一人で暮らす「単身世帯」の平均的な通信費は、月々約6,000円~7,000円とされています。

通信料の節約術

通信料は見直しの余地が大きい費用項目といえます。スマートフォンの料金プランやインターネットのプロバイダーによって異なりますが、格安SIMを利用することでスマートフォンの料金を削減したり、インターネットのプランを見直すことで毎月の支出を抑えたりすることが可能です。

また、物件選びの際に「インターネット無料の物件」を探すのもおすすめです。自分でWi-Fiの契約をする場合、毎月数千円単位で費用がかかるため、節約を考えている人にとっては大きな負担になりかねません。インターネットの有無によって家賃を見比べて、損のないように物件を探しましょう。

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その他固定費

「その他固定費」とは、使用量に関係なく毎月一定額が発生する費用のことです。一人暮らしで該当する例としては、家賃や保険料、車のリース代、スマホのサブスクリプションなどが挙げられます。一人暮らしの平均的なその他固定費は、月々約5万円から10万円程度となっています。

その他固定費の節約術

固定費は、毎月の支出の中で大きな割合を占めるため、見直しが難しい部分もありますが、節約の余地がないわけではありません。

例えば、家賃を抑えた物件を選ぶためには、立地や設備を見直すことが重要です。また、保険料についても、必要な補償内容を見直すことで、無駄な支出を減らせます。

スマホのサブスクリプションや車のリース代についても、プランの見直しや契約内容の変更を検討することで、毎月の支出を抑えることが可能です。特に、スマホのサブスクリプションは、不要なオプションを解約するだけでも大きな節約につながるでしょう。

変動費

「変動費」とは、使用量や売上に応じて変動する費用のことですが、一人暮らしの支出における「変動費」は、毎月定額ではない日々の生活費を指します。

具体的には、食費・交通費・日用品費・医療費・被服費・交際費・娯楽費などです。金額の幅が大きい分野ですが、一人暮らしの平均的な変動費は、月々約5万円から8万円程度とされています。

変動費の節約術

変動費は、生活スタイルや趣味、季節によって大きく変動します。そのため、計画的な管理と節約の工夫をすることが大切です。例えば、交通費を抑えるために公共交通機関を利用する、娯楽費を抑えるために無料のイベントや図書館を利用するなどの方法があります。

変動費の管理は、一人暮らしの生活をより豊かに、経済的に安定させるための重要なポイントです。

家賃・住宅費

家賃は毎月の支出の中で大きな割合を占めます。エリアによる差が大きいので全国平均は参考値に過ぎませんが、2023年(令和5年)の「家計調査年報」によると、賃貸物件(民営住宅)に一人で暮らす「単身世帯」の平均的な家賃は、月々約5.3万円とされています。

物件を探すときは、自分の譲れないポイントと妥協できる点をはっきりさせておきましょう。例えば、「日当たりは重視するが駅から遠くてもOK」「会社に近い場所がいいが間取りや広さは気にしない」など、自分の優先順位を決めておくとスムーズです。

また、複数のサイトで物件を比較することも大切です。同じ物件でも、サイトによって家賃が異なることがありますし、交渉の余地がある場合もあります。

エンゲル係数を意識して賢い一人暮らしを!

今回は一人暮らしの方に向けて、総務省の調査結果をもとに、毎月の食費の平均額やエンゲル係数の目標設定方法、水道光熱費や通信料などの節約術について解説しました。

節約のポイントは、エンゲル係数を意識して食費を抑えることですが、栄養不足にならないように無理のない範囲で取り組むことが大切です。

食費の節約には、週末のまとめ買いや時短料理で自炊を習慣化させることをおすすめします。また、二口以上のコンロや南向きの間取りなどを選ぶことで、「節約しやすい環境を整える」ことも長期的に見て大幅な節約が期待できるポイントです。

本記事の節約方法を参考にして、居心地の良い空間で、無理なく楽しい節約生活を送ってください。