年末が近づくと、やるべきことが山積みで慌ただしく過ごしている人も多いのではないでしょうか。ゆっくりと過ごしたいと思っていても、年の瀬になると気持ちが焦ってしまうものですよね。
新年にばかり気が向いてしまうかもしれませんが、その前に訪れる「冬至」も重要な節目であることをご存じでしょうか。冬至にはやってはいけないことがあり、過ごし方に注意が必要です。
今回は冬至の過ごし方を詳しく解説し、運気アップに繋がるポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
冬至とは
冬至は、1年でもっとも日が短くなる日で、古代中国の二十四節気(にじゅうしせっき)に由来する暦のひとつです。冬至は太陽の位置がもっとも低く、暗い時間が長くなります。冬至を境に日が少しずつ長くなり、陽の力が増していくことから、「陰が極まって陽が始まる日」として古くから重じられてきました。
陰と陽は思想のひとつですが、対立しながらも調和するエネルギーを表します。たとえば、光があるから影があるように、一方が存在するからこそもう一方の存在も成り立ちます。
冬至は「陰」がもっとも強くなる時期で、新たな陽のエネルギーが生まれる象徴です。希望や再生、新たな始まりを意味する日とも考えられているため、心身を整え新しいエネルギーを迎える準備をする大切な日ともいえるのです。
冬至はいつ?
2024年の冬至は、12月21日(土)18時20分です。
ちなみに、冬至の日時はその年によって変わります。時刻は、今年太陽が昇る高さがもっとも低くなる瞬間を表しています。これを「冬至点」といい、日本のどこにいても同じです。2050年までの冬至の日にちと時間は、以下のとおりです。
年 | 日にち | 時間 |
---|---|---|
2024 | 12月21日 | 18:20 |
2025 | 12月22日 | 0:03 |
2026 | 12月22日 | 5:50 |
2027 | 12月22日 | 11:42 |
2028 | 12月21日 | 17:19 |
2029 | 12月21日 | 23:13 |
2030 | 12月22日 | 5:08 |
2031 | 12月22日 | 10:54 |
2032 | 12月21日 | 16:55 |
2033 | 12月21日 | 22:45 |
2034 | 12月22日 | 4:33 |
2035 | 12月22日 | 10:29 |
2036 | 12月21日 | 16:11 |
2037 | 12月21日 | 22:06 |
2038 | 12月22日 | 4:01 |
2039 | 12月22日 | 9:39 |
2040 | 12月21日 | 15:31 |
2041 | 12月21日 | 21:17 |
2042 | 12月22日 | 3:03 |
2043 | 12月22日 | 9:00 |
2044 | 12月21日 | 14:42 |
2045 | 12月21日 | 20:34 |
2046 | 12月22日 | 2:27 |
2047 | 12月22日 | 8:06 |
2048 | 12月21日 | 14:01 |
2049 | 12月21日 | 19:51 |
2050 | 12月22日 | 1:37 |
冬至は日本特有なもの?海外からみる冬至
冬至は日本独自の行事ではなく、海外にも似た風習があります。
たとえば、北欧には「ユール」という伝統的なお祭りがあります。太陽がまったく昇らない夜を「極夜(きょくや)」とよびますが、その長さは地域によって2ヶ月ほども続く現象です。冬至はこの時期にあたり、ユールログという丸太に火を灯して過ごす習慣があります。この風習がキリスト教と結びつき、クリスマスには丸太をモチーフにしたケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」を食べるようになったといわれています。
また中国では、冬至は家族が集まって団らんを楽しむ重要な行事のひとつです。白玉団子のようなお餅を食べる習慣があり、「円満」の願いが込められています。地域によっては「富や繁栄」を願って水餃子が食べられます。長寿や健康を祈願しながら、家族みんなで食事をして冬至を祝うようです。
冬至にやってはいけないこととは?
冬至は「陰」が極まり「陽」が始まる転換点であり、1年の中でもとくにエネルギーが変化する日とされています。では、冬至にやってはいけないことはあるのでしょうか。あまり知られていないかもしれませんが、次のことに気をつけて過ごすようにしましょう。
体を冷やす
冬至は冷え込む時期でもあり、冷えは万病の元といわれるように、体調不良や病気の原因につながります。体が冷えると免疫力が低下し、ウイルスや細菌へ抵抗できずに体調を崩しやすくなるため注意が必要です。
体を温めることは健康維持にとても大切です。この時期に向けて、冷え対策をしっかり行いましょう。
大掃除をする
12月は新年の準備として、大掃除をする時期でもあります。大掃除はできるだけ冬至の前に済ませたほうがよいとされていますが、忙しい日々の中では思うように進まないものです。
大掃除を始めると、つい一気に片付けようと頑張ってしまいますよね。年末を清めるために大掃除をする地域もありますが、一度始めるとセーブするのが難しくなることも。エネルギーが変わる日は無理をせず、心を落ち着かせ穏やかに過ごすことを意識してみてください。
新しいことを始める
冬至は太陽のエネルギーがもっとも弱まる日であり、陰が極まり陽に変わる転換点です。この時期は、エネルギーを蓄え、整える時期として捉えられています。積極的に新しいことを始めたり、活動的なことをしたりするのを避け、過去を振り返って自分の内側に目を向けて過ごすほうが適しています。
ネガティブな行動
冬至は新たな始まりを象徴する日です。この日にネガティブな行動をすると、その影響が長引くとされています。ケンカや悪口を避け、ポジティブな言葉を意識的に使うことで、いい運気を引き寄せることができます。穏やかな心持ちで過ごし、新しい出発に向けて整えましょう。
冬至にやるといいこと
冬至は、古来から伝わる大切な節目です。昔の人々は暖房が普及していない限られた環境の中で、知恵を使って健康を祈願してきました。冬至に行うことで、体調管理や運気アップにもつながる方法をいくつかご紹介します。
ゆず湯に入って体を温める
冬至といえば、まず思い浮かべるのはゆず湯です。でも、なぜ冬至にゆず湯なのかと思った人もいるでしょう。オレンジやみかんを使うのとはどう違うの?という疑問にもお答えします。
ゆずは、でこぼこした皮が特徴的で、その香りと強さが印象的です。お湯に浮かべたときに漂うゆずの香りは、心身をリラックスさせて疲れを癒してくれます。ゆず湯には、香りの良さだけでなく、健康効果も秘めています。ゆずには他の柑橘類と比べてリモネンという成分が多く含まれ、この成分には抗菌作用や保湿に効果的です。血行を促進する働きで冷えを改善し、免疫力を高めることも期待できます。無病息災や長寿を願う風習としても親しまれており、冬の寒い季節にうってつけの存在です。
ゆず湯をするときは、湯船にゆずを3〜5個浮かべるのが一般的です。個数や切り方に決まりはありません。わが家では下準備として、竹串でいくつか穴をあけたゆずを湯船に入れています。皮だけを使ってもいいですし、ゆずが少ないときは輪切りにするといいでしょう。カットしたゆずを使う場合は、お湯でふやけて崩れてしまうので、ネットに入れます。肌が敏感な方は、ゆずの成分でピリピリするかもしれないので、使う量を調節してください。
1年の祈願をし計画を立てる
冬至は「陰」のエネルギーが極まる時期。静かに過ごして心を整え、次の日からの「陽」のエネルギーをスムーズに受け入れる準備をしましょう。冬至を新しい年の始まりと捉えて、お守りを新しくしたり、来年の目標を書き出したりするのもおすすめです。これらの習慣が、より充実した1年を引き寄せてくれるはずです。
ふくら雀を見る
冬の寒い日にも、雀の鳴き声が耳に届くことがありますよね。冬毛に覆われてふっくらと丸みをおびた姿の雀は「ふくら雀」と呼ばれ、その愛らしい形から福を招く縁起物とされています。見つけると心がほっこりするふくら雀を探しに、散歩に出かけたり空を見上げたりしてみるのもリフレッシュになるかもしれません。
冬至に食べるといいもの
冬至に食べるものや風習には、地域ごとに違いがありますが、「ん」がつくものを食べると「運気」が上がるといわれています。では、「ん」がつく食べ物にはどんなものがあるでしょうか。
「ん」のつく食べ物
身近に「ん」のつく食べ物には、だいこん、こんにゃく、さんま、みかん、まんじゅうなどがあります。 この他にもまだありますので、次に紹介します。
「ん」が2つ付く「冬至の七種(とうじのななくさ)」とは?
「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれる食べ物があるのをご存じでしょうか。七草といえば、春の七草を思い浮かべるかもしれませんが、七草粥とはまったく別物です。
【冬至の七種】
・なんきん:かぼちゃ(南京)に由来
・うんどん:饂飩(うどん)に由来
・れんこん
・にんじん
・ぎんなん
・きんかん
・かんてん
これらの食べ物すべてに「ん」が2つ入っていることにお気づきでしょうか。このように、「ん」が入った食べ物は「運」も倍になると考えられています。そのため、エネルギーが弱まる冬至に縁起物として食べられるようになりました。「ん」のつく縁起のいい食材を使った簡単レシピを5つ紹介しますので、この機会にぜひ作ってみてください。
冬至におすすめのレシピ①なんきんかぼちゃの「いとこ煮」
まず、紹介するのはかぼちゃと小豆の煮物です。冬至の食べ物として代表的なものがかぼちゃですね。かぼちゃの旬の時期は夏ですが、日持ちがよく長期保存にむいているので、年間を通して手に入りやすい食材です。
また、かぼちゃは、免疫力を高めるβ-カロテンやビタミンC、Eを豊富に含み、風邪予防や疲労回復、美肌効果が期待できます。先人たちは、かぼちゃを食べることで不足しがちなビタミンを補い、健康を保っていたのですね。
私が小さい頃、母が作ってくれたいとこ煮の見た目には少し驚いた記憶があります。かぼちゃと小豆の組み合わせも意外でしたが、一口食べるとそのおいしさに感動しました。家族の健康を願って作ってくれていたのだと、大人になった今でもふと思い出します。いとこ煮は一見むずかしそうに見えるかもしれませんが、あずき缶を使うと簡単に作ることができますよ。
【材料(2〜3人分)】
・かぼちゃ:1/4個
・しょうゆ:少々
・あずき缶:1缶
【作り方】
- かぼちゃを一口大に切って鍋に入れる
- かぼちゃがかぶるくらいの水を入れて、醤油をひと回しして煮る
- 水が鍋底に少し残るくらいになったらかぼちゃに火が通っているのを確認する
- あずき缶を加えてひと煮立ちする
冬至におすすめのレシピ②にんじんのラペ
「ん」が二つ付くにんじんを使った、副菜として鮮やかなアクセントを添えるレシピです。
【材料(2〜3人分)】
・にんじん:2本
・オリーブオイル:大さじ2
・レモン汁:大さじ1
・塩:少々
・こしょう:少々
・はちみつ:小さじ1
【作り方】
- にんじんを千切りにする
- ボウルにオリーブオイル、レモン汁、塩、こしょう、はちみつを混ぜ合わせる
- にんじんを加え、よく和える
- 味をなじませるため、冷蔵庫で一晩おく
冬至におすすめのレシピ③れんこんのきんぴら
れんこんは、「ん」が二つ付いているだけでなく、穴があいている形から「先を見通す」といわれ、節料理にも使われる縁起物です。
【材料(2〜3人分)】
・れんこん:200g
・しょうゆ:大さじ1
・みりん:大さじ1
・砂糖:小さじ1
・ごま油:大さじ1
・白ごま:適量
【作り方】
- れんこんを薄くスライスし、水にさらしてアクを抜く
- フライパンにごま油を熱し、れんこんを炒める
- しょうゆ、みりん、砂糖を加えて煮詰める
- 白ごまをふりかける
冬至におすすめのレシピ④鍋焼きうどん
うどんにお好きな具材を加え、めんつゆで味付けするだけで簡単に作れる鍋焼きうどんで、体をぽかぽかに温めましょう。冷蔵庫にある食材を活用でき、具材を多めにすればさらに豪華な一品に。材料は一例です。
【材料(1人分)】
・うどん:1玉
・卵:1個
・めんつゆ(4倍濃縮):40ml
・水:240ml
・鶏肉
・ほうれん草
・ねぎ
・しめじ
・油揚げ
・かまぼこ
【作り方】
- めんつゆと水でおつゆを作り、火にかける
- うどんを入れ、その上に野菜やきのこなどお好みの具材を入れて煮込む
- 全体的に火が通ったら、卵を落とし入れて蓋をする
- 1分ほど煮込んだら出来上がり
冬至におすすめのレシピ⑤ぎんなんご飯
ミネラルやビタミンが豊富で栄養価が高いぎんなんは、寒い時期のエネルギー補給にぴったりです。
【材料(2人分)】
・白米:2合
・ぎんなん:20粒
・塩:小さじ1
・だし昆布:一切れ
【作り方】
- 白米を研いで炊飯器に入れる
- ぎんなんの殻を割り、薄皮をむく
- 炊飯器にぎんなん、塩、昆布を加えて炊く
冬至におすすめのレシピ⑥冬至粥
冬至粥は、一般的には小豆とともに煮込んだお粥のことです。豆には「魔を滅する」という言い伝えがあり、邪気を払う力があるとされています。また、小豆の赤い色は、厄除けだけでなく、運気を高める縁起物としても重宝されています。
無病息災を願う意味で、冬至にはこの小豆粥を食べる習慣が広まりました。地域や家庭ごとに作り方や材料がさまざまですが、ここではわが家の小豆粥の作り方をご紹介します。小豆が好きな人向けのレシピです。
【材料(2人分)】
・米:1/2合
・水:1000ml
・小豆:50g
・塩:少々
・砂糖:お好み
【作り方】
- 洗った小豆を水に浸し、一度沸騰させたら水を捨て、新しい水を入れて柔らかくなるまで煮る
- 米を洗い、鍋に水を入れて中火で煮込む
- 米が柔らかくなったら、煮た小豆を加え、さらに煮込む
- お好みで塩や砂糖を加え、味を調える
- 全体が柔らかくとろみがでるまで煮る
冬至は寒さが厳しく体調を崩しやすい?暮らしのプロおすすめの過ごし方
体を温めるために冬至かぼちゃを食べたり、ゆず湯に入ったりすること以外にも、おすすめの過ごし方があります。日頃からがんばっている自分を労わるように、リラックスして過ごし内側から整えることは健康に欠かせません。
ここからは、お家で簡単にできる過ごし方をいくつか紹介します。
防寒アイテムで安らぐ
お家は誰にも邪魔されない、とっておきの場所。とくに寒い冬にあたたかく過ごせる空間は、居心地をさらに高めてくれるものです。
たとえば、寝るときには湯たんぽを使ったり、加湿器で喉や肌を乾燥から守ったりと、手軽に取り入れられるアイテムもあります。わが家で冬になると活躍するお気に入りのアイテムは、羊毛100%のブランケット。その天然素材ならではの温かさは格別で、おかげで冬の到来が待ち遠しくなるほどです。
こうした気分を上げてくれる防寒アイテムを取り入れることで、心地よい空間づくりができ、ポジティブな気持ちになれますよ。
アロマディフューザーで香りに癒される
お家で心地よく過ごすためには、香りが重要です。リラックスや体を温める効果、運気アップのアロマオイルを紹介します。
ラベンダーは心身の緊張をほぐし、穏やかなエネルギーを引き寄せます。スイートオレンジは気分を軽やかにし、血行を促進して体を温め、金運にも効果的。ローズは感情を整え、ストレスを和らげて恋愛運を高める香りです。
これらは健康を保ちながらポジティブな気持ちにさせてくれるので、リラックスした空間を演出できます。
ハーブティーを飲む
ハーブティーも体を温めながら、心を落ち着かせてくれるアイテムのひとつです。
おすすめはカモミールティーで、ほのかにりんごのようなフルーティな香りは、心と体をやわらげる効果があります。寒い季節はエネルギーを消耗しやすいため、体力を回復してくれる質の良い睡眠はとても大切です。とくに就寝前に飲むと、安らかな眠りへと導きます。
気分が少し落ち込んでいるときは、柑橘系のさっぱりした香りが特徴のレモンバームティーを飲むといいでしょう。少し甘いものを飲みたいときは、はちみつジンジャーもいいですね。血行を促す働きのあるジンジャーが体の芯から温めてくれます。
冬至は温かく過ごして、健やかな年末を迎えよう!
冬至にやってはいけないことやおすすめの過ごし方などについて詳しく解説しました。冬至は、心と体を休めエネルギーを蓄えるための時間ともいえます。だからこそこの日だけは、自分自身も無理をせず、心身をリセットする時間を作ることが大切です。
リラックスできる空間を整え、できるだけデジタルなものを手放してみましょう。健やかな年末を迎えるために、せめて今日だけはゆっくり静かに過ごす気持ちで、時の流れをゆっくり感じながら思い思いに過ごしてみてはいかがでしょうか。