賃貸物件を契約する際に、「連帯保証人が必須」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、賃貸保証会社を利用することによって、連帯保証人不要で契約できるケースが増えています。賃貸保証会社の利用は、借主が選べる物件の選択肢が広がるといったメリットもあるのでおすすめです。
今回は、賃貸保証会社の概要やメリット、注意点について解説していきますので、連帯保証人が立てられずに困っている方は参考にしてみてください。
賃貸保証会社(家賃保証会社)とは
賃貸保証会社とは、何らかの理由で借主が家賃を滞納した際、借主に代わって家主に家賃を立て替え払いしてくれる会社のことです。借主が家賃を滞納したとしても賃貸保証会社が立て替え払いをするため、家主は家賃を回収できないという事態を防ぐことができ、安心して賃貸経営を続けられます。
このような理由により、賃貸保証会社との契約を入居の条件に設定している家主は多いです。入居者の家賃が滞った際の一時的な立て替えなので、賃貸保証会社は立て替え後に入居者から家賃を徴収します。
賃貸保証会社の保証内容
賃貸保証会社の保証内容は、実は家賃のほかにもさまざまな項目があります。賃貸保証会社によって異なりますが、主な保証内容は以下のとおりです。
- 借主が滞納した家賃
- 借主が支払わなかった更新料や原状回復費用
- 退去時の残置物の撤去費用
- 借主が支払わなかった違約金または損害金
- 明け渡し訴訟における裁判費用
賃貸保証会社によって保証内容や保証期間などはさまざまなので、詳細は賃貸保証会社や不動産会社に確認すると良いでしょう。
賃貸保証会社の種類
賃貸保証会社は、大きく以下3つの種類にわかれます。
- 信販系の保証会社
- 協会系(LICC加盟)の保証会社
- 独自基準で審査をする賃貸保証会社
保証会社の種類により特徴が異なるので、1つずつ確認していきましょう。
信販系の保証会社
信販系の保証会社とは、クレジットカードの発行会社が行う賃貸保証のことです。クレジットカードの情報を照会して、過去の延滞歴や支払い能力、利用残高など、信用取引に関わる個人情報を調べます。過去にクレジットカードやローンなどの滞納履歴がある場合は、保証審査に通らないケースがあるので注意が必要です。
なお、自分の信用情報についてはCIC(指定信用情報機関)やJICC(日本信用情報機構)などの信用機関に開示請求をすると調べることができます。
協会系(LICC加盟)の保証会社
協会系(LICC加盟)の保証会社とは、LICC(全国賃貸保証業協会)に加盟している賃貸保証に特化した保証会社のことです。この保証会社は、LICCに加盟している賃貸保証会社を利用した人の履歴を照会して審査を行います。
過去に滞納があった場合、返済が終了し債務が消滅してから5年間はLICCのデータベースに履歴が残ります。そのため、債務が消滅してから5年以上経過していない場合、協会系(LICC加盟)の保証会社を利用するのは控えた方が無難かもしれません。
独自基準で審査をする家賃保証会社
独自基準で審査をする賃貸保証会社とは、上記の信販系や協会系の情報を利用するのではなく、その名のとおり独自の基準で審査を行う賃貸保証会社のことです。この会社は、入居申込の際に得た年収や勤務先などの情報をもとに審査を行うため、「信販系や協会系の保証会社では落ちたけどこの家賃保証会社では通過した」といったケースも少なくありません。
信販系や協会系の保証会社とは異なる審査結果になることも多いので、困ったときは一度相談することをおすすめします。
賃貸保証会社の審査内容
多くの場合、賃貸借契約を結ぶには賃貸保証会社の審査に通過する必要があります。賃貸保証会社は大きく3種類ありますが、何をもとに審査するのかはある程度共通しています。
賃貸保証会社の審査内容は、主に以下のとおりです。
- 収入
- 勤務先
- 職種
- 勤続年数
- 雇用形態
- 年齢
- 過去の滞納歴
借主の入居申込書の内容や身分証明書、収入証明書などの必要書類をもとに審査を行います。特に重視されるのが家賃の支払い能力です。契約する物件の家賃と、現在の収入が見合っているのかを確認します。
新しい部屋を探すときは、家賃や設備だけでなく、賃貸保証会社の審査内容も確認しておくようにしましょう。
賃貸保証会社の利用に関する注意点
「賃貸保証会社を使って部屋を借りよう!」と考えている方は、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 保証料や更新料がかかる
- 家賃を滞納すると信用情報に傷がつく可能性がある
- 連帯保証人と賃貸保証会社の両方が必要な場合もある
上記3つの点をおろそかにすると余計なトラブルが発生する可能性があるので、不安な点があれば担当者の方へ質問することをおすすめします。
保証料や更新料がかかる
賃貸保証会社を利用する際には、保証料や更新料がかかります。賃貸借契約の初期費用に保証料が追加でかかったり、契約の満期ごとに更新料を支払ったりすることになるので、借主の費用負担が増加します。
契約期間は賃貸保証会社によって異なるので、契約期間はもちろん、更新料についても契約時に確認しておきましょう。
家賃を滞納すると信用情報に傷がつく可能性がある
借主が家賃を支払わなかった場合は、賃貸保証会社が家主に家賃を立て替え払いし、その後支払った分の金額を借主に請求します。借主が賃貸保証会社に対して速やかにお金を支払わない場合は、借主の信用情報に傷がつく可能性があります。
家賃を滞納して信用情報に傷がついてしまうと、今後の賃貸借契約の審査を通過できなくなるおそれがあるので注意が必要です。
連帯保証人と賃貸保証会社の両方が必要な場合もある
賃貸保証会社と契約すると、物件によっては連帯保証人がいなくても賃貸借契約を締結できるケースがあります。「連帯保証人が見つからなくて困っていたけど、賃貸保証会社のおかげで入居できた」という事例も少なくありません。
しかし、賃貸保証会社の利用を義務付けている不動産会社や家主も多く、連帯保証人と賃貸保証会社の両方が必要な場合もあります。賃貸借契約を締結する前に、賃貸保証会社の利用を条件とするかどうかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
賃貸保証会社を利用するメリット
賃貸保証会社を利用することは、貸主にばかりメリットがあると思われがちですが、実は借主にもメリットがあります。
- 入居審査に通りやすく部屋を借りやすくなる
- 敷金が減額されるケースがある
今後に行う部屋探しの幅が広がるかもしれませんので、事前に頭に入れておくようにしましょう。
入居審査に通りやすく部屋を借りやすくなる
賃貸保証会社だけでなく、物件によっては家主による入居審査があります。一般的に、連帯保証人は借主の親族がなる場合が多いのですが、親族ではない方を連帯保証人として契約をしようとするケースも珍しくありません。
しかし、親族ではない第三者を連帯保証人として契約しようとしても、借主との関係性が不透明な場合、家主は良い印象を抱きません。このとき、賃貸保証会社を利用すれば懸念材料がなくなります。入居審査のハードルも下がり、入居できる確率が高まるといえます。
敷金が減額されるケースがある
賃貸保証会社を利用することによって、敷金が減額されるケースがあります。ちなみに敷金とは、契約時に家主に預けておくお金のことです。退去時の修繕費用のほか、家賃の支払いが滞ったときの費用に充てられます。
しかし、多くの賃貸保証会社は家賃の滞納リスクはもちろん、退去時の原状回復費用なども保証しています。そのため、賃貸保証会社の利用を入居の条件に設定し、敷金を減額している家主も少なくありません。借主としては初期費用が抑えられるので、大きなメリットといえるでしょう。
賃貸保証会社の利用がおすすめの人
最後に、賃貸保証会社の利用がおすすめの人の特徴について解説していきます。人によって異なるので、自身の目的や状況と照らし合わせながらチェックしてみてください。
①初期費用を抑えたい人
先述したように、賃貸保証会社を利用することで敷金が減額されるケースがあります。なかには、賃貸保証会社を利用することで敷金が無料になる物件もあるので、初期費用を抑えて入居したい人は賃貸保証会社の利用をおすすめします。
②連帯保証人不要で契約したい人
これまでの賃貸借契約は、連帯保証人を立てることを条件に契約することが一般的でした。しかし、賃貸保証会社が家賃滞納や退去時の原状回復なども保証しているため、物件によっては連帯保証人不要で契約できます。
「連帯保証人となる人がいない」「連帯保証人を親族にお願いできない」といった方は、連帯保証人不要、賃貸保証会社の利用のみで契約できる物件を探してみてはいかがでしょうか。
賃貸保証会社の利用を検討して選択肢を広げよう
今までは賃貸借契約を締結する際、連帯保証人を立てなければ契約できない物件がほとんどでした。気に入った物件でも、連帯保証人になってくれる人が見つからずに諦めてしまった人も多いでしょう。
賃貸保証会社の利用が広まったことにより、連帯保証人を用意することなく契約できるなど、借主にとって部屋を借りやすい環境が整い始めています。賃貸保証会社の利用を検討しつつ、物件の選択肢を広げて部屋探しを進めていけば理想の物件に出会うことができるかもしれません。