お部屋の防犯は気になるけれど、鍵については受け取るまで気にしていない人がほとんどではないでしょうか?実は鍵にも種類があり、タイプによって防犯性が異なります。つまりピッキングしやすい鍵がある一方で、防犯に優れた鍵もあるのです。
今回は、鍵の種類や特徴を解説します。メリットや注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
両側の鍵山がギザギザになっている「ディスクシリンダー錠」
ディスクシリンダー錠は、鍵山がギザギザになっている従来型の鍵です。以前はよく使われていたので、一度は目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
1990年後半ごろにピッキングが多発したため、今では新築物件ではほぼ採用されなくなりました。ただし、現在でも比較的築年数の古い物件では使われています。
ディスクシリンダー錠のメリット・注意点とおすすめの人
ディスクシリンダー錠のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・複製の鍵を鍵屋さんなどで簡単に作成できる ・複製する際のコストが安い |
---|---|
デメリット・注意点 | ・ピッキングされやすいため、防犯性が低い |
鍵のタイプによっては複製が難しいタイプもありますが、ディスクシリンダー錠は鍵屋さんなどで簡単に複製の鍵を作ることが可能です。鍵をなくしやすい人や、複製の鍵を簡単に作れる方がよい人に向いています。
一方、ピッキングされやすく、残念ながら防犯性は低いため、防犯性より価格を最重要視する方におすすめです。
片方の鍵山がギザギザになっている「ピンシリンダー錠」
ピンシリンダー錠は、鍵穴に入れる部分の片方だけがギザギザしているタイプです。住宅やマンションでよく採用されています。ディスクシリンダー錠を改良したものですが、ピンが1列しかないため、ほかのタイプと比較すると防犯性は低いといわざるをえないでしょう。
ピンシリンダー錠のメリット・注意点とおすすめの人
ピンシリンダー錠のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・複製の鍵を鍵屋さんなどで簡単に作成できる ・複製する際のコストが安い |
---|---|
デメリット・注意点 | ・ピッキングされやすいため、防犯性は低い ・細くギザギザの形をしており、キーが摩擦しやすい |
ディスクシリンダー錠よりも細く、複雑な形をしているのが特徴です。防犯性能はディスクシリンダー錠よりも向上していますが、構造が複雑な分キー自体が摩耗しやすいのがデメリットといえます。
鍵の両面にくぼみがあり、防犯性の高さが特徴の「ディンプルシリンダー錠」
ディンプル錠とは、英語でいう「くぼみ」を意味します。両面に大小のくぼみがあり、タンブラー錠を複数方向に設置したシリンダーで、内部にあるピンの数が多いのが特徴です。ピンシリンダー錠をより複雑化し、防犯性を高めた鍵といえます。
また、現行の鍵で、ハイセキュリティシリンダー錠と呼ばれるものに採用されている仕組みです。最近建てられた住宅では多く採用されており、その防犯性の高さから金庫などでも採用されています。
ディンプルシリンダー錠のメリット・注意点とおすすめの人
ディンプルシリンダー錠のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・ピンシリンダーよりも防犯性が高い ・ピッキングに10分以上かかる |
---|---|
デメリット・注意点 | ・鍵の複製は簡単にできない ・複製の鍵を作るのに時間とコストがかかる |
防犯性が高いので、セキュリティ面を心配している人におすすめです。なお、一般的な鍵屋さんでは簡単にスペアキーを作れません。専用の複製機で作る必要があり、完成まで数週間かかるでしょう。
ディスクシリンダー鍵を改良、防犯性がより高い「ロータリーディスクタンブラー錠」
ディスクシリンダー錠の後続モデルで、両側にギザギザがある形状をしています。鍵穴に異なる鍵やピックを差し込むと、シリンダーの中のタンブラーがロックされてしまう仕組みを持っており、防犯性の高さが特徴的です。そのうえ、ディンプルシリンダー錠と比べて価格が安いので人気があります。
またディンプルシリンダー錠は前述の通り簡単にスペアキーを作ることはできませんが、このロータリーディスクタンブラー錠は、他の鍵と互換性が高いので、比較的簡単に取り換えることが出来ます。防犯性と汎用性が高いことから人気のある鍵です。
ロータリーディスクタンブラー錠のメリット・注意点とおすすめの人
ロータリーディスクタンブラー錠のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・防犯性が高い ・鍵をなくした際に比較的簡単に復旧できる ・価格は比較的安価 |
---|---|
デメリット・注意点 | ・ディスクシリンダー錠やピンシリンダーよりはコストが高い |
従来のディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠より防犯性は高いのに、鍵を複製する際に比較的コストがかかりません。防犯面とコストとのバランスがよい鍵といえます。ある程度、防犯性は維持したい方におすすめです。
エントランスのオートロック解除ができる「集合キー式」
集合キーとは、自宅玄関ドア開錠とエントランスのオートロック解除の両方ができる鍵です。すべての住戸の鍵でエントランスのオートロック解除ができる仕組みになっており、逆マスターキーとも呼ばれています。
鍵自体は前述のディスクシリンダー錠やディンプルシリンダー錠がありますので、集合キー式でも鍵の種類は確認しましょう。
<集合キー式で用いられる主な鍵の種類>
※気になる鍵の種類をタップすると詳しい解説箇所に飛びます
集合キー式のメリット・注意点とおすすめの人
集合キー式のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・鍵1つで2カ所の鍵を兼ねることができる |
---|---|
デメリット・注意点 | ・多くの人がエントランスの鍵を開錠する場合、摩耗が早く交換時期が早くなる ・防犯性は選ぶ鍵のタイプによって異なる。 |
鍵の本数を増やすことなく、開錠できる場所は2カ所となるため、鍵をたくさん持ちたくない人におすすめです。エントランスを利用する人数が多い場合、鍵穴が比較的早く摩耗する可能性があり、その場合修理・交換までの期間が短くなります。
最近では鍵を差し込む必要がなく、非接触でオートロックを開錠できるタイプもありますよ。
専用のカードをかざすだけで入室できる「カードキー式」
一般的な鍵の形状ではなく、カードタイプの鍵です。まだ住戸で使われている割合は少ないですが、よくホテルや旅館で見かけるタイプといえます。
従来はカードを差し込んで開錠していましたが、今ではタッチ式で開錠するタイプが主流です。カードキーはピッキングや複製が難しいため、防犯性が高く安心できるでしょう。
カードキー式のメリット・注意点とおすすめの人
カードキー式のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・鍵を持ち歩かなくて済む ・鍵を刺して回す動作がなくなり、開ける作業が楽になる ・防犯性が高い |
---|---|
デメリット・注意点 | ・鍵屋さんで複製カードを作れない ・複製のカードを作るのにはある程度の日数とコストが必要になる |
タッチ式であればかざすだけで開錠できるため、スマートに鍵を開けたい方や小さいお子さまがいらっしゃる方におすすめです。紛失した場合には、発行元に連絡して利用停止にできるので、安心して利用できます。
なお、複製は鍵屋さんで作れず、カードの複製を作る場合には、ある程度日数とコストがかかる点に注意が必要です。
あらかじめ指紋を登録した人しか入室できない「指紋認証」
個人の指紋を利用した仕組みです。あらかじめ登録した指紋をセンサーで認証することにより、開錠できます。同じ指紋は存在しないため、防犯性が高いのが特徴です。
指紋認証のメリット・注意点とおすすめの人
指紋認証のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・鍵やカードを持ち歩く必要がない ・紛失することがない ・防犯性が高い |
---|---|
デメリット・注意点 | ・本体が故障した場合、すぐに解錠できない |
鍵を持つ煩わしさや、鍵を開けるときに鍵をバッグなどから取り出す手間がかからないので、小さいお子さまやペットを抱っこしながら鍵を開けることが多い人におすすめできます。唯一の注意点としては、本体が故障した場合にすぐ開錠できない可能性があることです。
スマホなどを使って解錠する「スマートロック式」
スマートロック式の特徴やメリット・デメリットに加えて、おすすめの人もご紹介します。
スマートロック式とは
スマートロックとはスマホなど情報端末を利用し、通信により鍵にアクセスして施錠や開錠ができるシステムです。最近では、アプリで施錠と開錠の履歴を確認できるタイプが多くなっています。
スマートロック式のメリット・注意点とおすすめの人
スマートロック式のメリットと注意点・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・鍵やカードを持ち歩く必要がない ・開錠と施錠の記録を確認できる(タイプによる) |
---|---|
デメリット・注意点 | ・スマートフォンが電池切れしている場合、開錠できない可能性がある |
勤務中でもお子さまの外出や帰宅を確認したい方にとくにおすすめです。また、スマートフォンは基本いつでも携帯しているものであるため、余分な荷物を増やしたくない方にもおすすめできます。
スマートフォンが電池切れしている場合は、開錠できない可能性があるため注意が必要です。
賃貸で選ぶべき鍵の種類
賃貸でお部屋を選ぶ際に、防犯が気になる場合は鍵の種類を確認しましょう。もしどのお部屋にしようか迷われているのならば、鍵の種類で比較をするのもひとつの方法ですよ。
セキュリティー性が高い鍵の種類
セキュリティー性が高い鍵の種類は、以下のとおりです。
1. 指紋認証キー
2. カードキー
3. ロータリーディスクタンブラー錠
特に指紋認証キーはあらかじめ登録した指紋をセンサーで認証するうえ、同じ指紋は存在しないため、防犯性が高いといえます。
コストパフォーマンスがよい鍵の種類
コストパフォーマンスがよい鍵の種類は、以下のとおりです。
1. ディスクシリンダー錠
2. ピンシリンダー錠
3. ロータリーディスクタンブラー錠
賃貸物件に備え付けられていることが多く、また防犯性も重視するなら、特にディスクシリンダー錠がおすすめといえます。そのほかピンシリンダー錠やロータリーディスクタンブラー錠もコストパフォーマンスが良い鍵なので、ぜひ鍵の種類まで注目したうえで内見をしましょう。
気になる物件になかなか足を運べない忙しい方は、オンライン内見で確認をしてみるのがおすすめです。
ディスクシリンダーやピンシリンダー錠はNG?選ばない方がよい?
もし気に入ったお部屋の鍵がディスクシリンダーやピンシリンダー錠であっても、必ずしもNGということではありません。
たとえば補助鍵や、簡単にドアに後付けできる防犯カメラを設置するなど賃貸のお部屋でもできる防犯対策はあります。このあと詳しく解説していきますが、心がけひとつでも防犯対策ができます。
施錠の意識と鍵選びで空き巣の7割を防ぐ
空き巣の被害は、ピッキングや窓ガラスを割られて侵入されるイメージがあります。しかし実際には集合住宅の空き巣被害は、無施錠によるものが半数ほどを占めます。(警視庁調べ)
また詳しい内訳を確認すると1〜3割は合鍵による被害、ピッキングによる空き巣の被害は1割弱と意外に少ないことが分かります。防犯性の高い鍵のお部屋を選んでも、無施錠では意味がありません。
鍵選びと施錠の心がけをすることで、7割の空き巣被害から身を守ることができるでしょう。
不安な方向け!鍵の種類以外でセキュリティを強化できる防犯設備
セキュリティ強化は、鍵以外でも心がけやちょっとした選択によってできるものです。ここでは4つの防犯対策をご紹介します。
条件①テレビドアホン
テレビドアホンは、防犯対策をするうえでとても大事な要素です。訪問者を確認してからドアを開けられるうえに、録画機能が付いていることも多いので、何かあったときの証拠にもなります。
また宅配便など荷物の受け取りがない場合は、テレビドアホンによる通話で済ませることも可能です。
条件②宅配ボックス
宅配を装った犯罪もあるため、なるべく直接荷物の受け取りをしたくない場合は、宅配ボックスがあると安心です。宅配ボックスがある物件は近年増えているので、希望条件として不動産会社の担当者に伝えてみましょう。
条件③室内洗濯機置き場
賃貸物件によっては、洗濯機置き場が共用の廊下やベランダに配置されている場合もあります。夜に洗濯をする場合はとくに周囲に気を配る必要がありますので、防犯が気になる方はなるべく室内に洗濯機置き場がある物件を選びましょう。
条件④2階以上の賃貸物件
とくに女性は空き巣や下着泥棒の被害に遭わないためにも、なるべく2階以上のお部屋を選ぶことをおすすめします。2階以上であっても、雨どいや電柱を使って部屋に侵入する場合もあるので、外からベランダや窓の位置を必ず確認するようにしましょう。
またエントランスや玄関、ベランダが周囲から死角になっていると、狙われやすい状況になります。なるべく開放的で周りからよく見える物件を選ぶのがおすすめです。
セキュリティが不安なら鍵の種類まで確認しよう
賃貸のお部屋を探す際に、オートロックの有無や2階以上を希望する方は多いのですが、案外鍵のタイプを気にしている方は少ないように思います。契約後、鍵を受け取るときになって失敗したと思わないためにも、事前に鍵についても確認しておくと安心です。
築浅の物件であれば、鍵も防犯性が高いタイプの可能性が高いですが、築年数が古い物件は鍵も古いタイプであることが多いのでご注意ください。