賃貸の壁に穴をあけても問題ない?原状回復義務が発生しない具体例とおすすめDIYアイテムとは

目次

賃貸物件は原状回復費用が心配だから、画鋲も使えないと思っていませんか?実は、画鋲の穴ぐらいであれば、原状回復費用を請求されないケースもあります。

今回は、原状回復費用が発生しない具体例や、退去時のトラブル回避術を解説します。また、原状回復費用の目安や壁を傷つけないアイテムを紹介していますので、賃貸でもできるDIYを楽しみたい方はぜひ参考にしてみてください。

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賃貸の壁に穴をあけたら原状回復を請求される?

賃貸借契約書の内容にもよりますが、入居者が故意にあけた穴は原状回復する必要があり、退去時にはその補修費用を請求されます。

通常は契約時に預けた敷金から差し引かれますが、敷金で足りない場合は、その分を追加で支払わなければなりません。

原状回復義務とは?

原状回復義務とは、入居者が賃貸物件から退去する際に、契約時の状態に戻して部屋を返還する義務のことです。ここでいう原状とはどのような状態なのか、また具体的にはどういうケースが費用負担になるのかを解説します。

原状回復義務の「原状」とは?

原状回復義務でいう「原状」とは、借りたときの状態を指しますが、厳密には異なります。

退去時の敷金返還について、トラブルになることが多い現状を問題視した国土交通省は、1998年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表し、その後2022年に改訂版を出しています。

ガイドラインによると、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。 

そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗などの修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。

つまり、故意や過失による汚れや損耗は、入居者の責任で原状回復しなければなりません。しかし、普通に住んでいれば経年により劣化する部分については、入居者に負担義務はなく、原状回復する必要はないのです。

原状回復の具体例

実際に、具体例を紹介します。入居者の負担にならないのは、故意や過失がない場合の損耗や故障です。一方で負担になるのは、注意を怠ったことによる故障や故意によるものが挙げられます。

入居者の負担にならないケース・カレンダーを掲示するために画鋲をさした穴
・通常の歩行にともなうフローリングのスレや日焼け
・冷蔵庫裏の壁紙の黒ずみ・経年劣化による給湯器の故障
入居者の負担になるケース・棚を設置するために釘やねじであけた穴
・引っ越しなどの際に家具をぶつけてできた穴
・禁煙の部屋でタバコを吸ったために黄ばんだ壁紙
・結露などによって濡れた床を、拭くことなく放置してできたシミ

壁にポスターやカレンダーを飾りたい方には、ピクチャーレールが設置してあるお部屋がおすすめです。軽いものであれば、洋服やバッグをディスプレーできます。

小物など雑貨を飾るのが好きな方は、出窓のあるお部屋がよいでしょう。お気に入りのものを置くだけで、素敵な空間になります。

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【結論】うっかりあけてしまった賃貸の穴は保険適用できる!

故意にあけた穴は保険適用になりませんが、穴があいた原因によっては火災保険が適用になる可能性もあります。

ただし、火災保険の契約内容によって異なるので、まずは不動産会社へ速やかに連絡しましょう。

賃貸の原状回復義務が発生“しない”壁の穴の例

賃貸物件であけた穴でも、原状回復が発生しないケースもあります。ここでは、代表的な3つの例を紹介します。

※ただし、管理会社の判断により入居者の負担になる場合もあります。その場合、管理会社の見解を聞き、対応方法を相談してください。

画鋲やピンであけた穴

画鋲やピンであけた穴については、原状回復義務が発生しないことがほとんどです。カレンダーやポスターを掲示するための画鋲やピンであればよいものの、むやみに必要以上の穴はあけないようにしましょう。

エアコン設置のためにあけた穴

前提として、エアコンを設置する場合は、大家さんや不動産会社の許可が必要です。勝手に設置はできませんので、ご注意ください。

事前に了承済みであれば、穴を原状回復する必要はないでしょう。退去時の条件を確認しておくことが重要です。ただし、あいた穴をふさぐ補修は必要ないといっても、雨風が入らないようにクーラーキャップなどは必要になる可能性があります。

退去後に解体が決まっているアパートやマンションにあけた穴

賃貸物件によっては建て替えを予定していて、退去後に解体するケースがあります。原状回復をそもそもしないケースは、原状回復費用を請求されることはありません。

しかし、状況が変わるケースもあるので、穴をあけるなどDIYをする場合は、事前に了承を得ておきましょう。

また、繰り返しになりますが上記3つの例の場合でも必ず”発生しない”わけでないので、トラブルにならないよう予め確認をおこなうにしてください。

賃貸の原状回復が発生“する”壁の穴の例

原状回復が発生するのは、具体的にどんなときなのでしょうか。ここでは、3つの具体例を紹介します。

①棚を設置するために壁にさした釘穴

棚を設置するために壁にあけた釘穴は、故意と判断される可能性があります。原状回復費用が発生しますので、基本的にはおすすめしません。後半でDIYおすすめアイテムを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

②引っ越しなどの際に家具をぶつけてできた穴

引っ越しのときに、家具をぶつけて壁に穴が開いた場合は故意ではありませんが、過失があるとみなされる可能性があります。

引っ越し業者が搬入時にあけた穴については、引っ越し業者に原状回復費用を請求することが可能な場合が多いです。とくに、引っ越しや模様替えの際は気をつけましょう。

③室内ドアやキッチンの扉に画鋲であけた穴

画鋲やピンの穴は、通常の生活をしていてもできる穴と判断されることがほとんどです。しかし、室内ドアやキッチンの扉になると、話は違ってくるでしょう。

壁紙の張り替えや補修は軽微な補修になりますが、室内ドアやキッチンの扉は修理できず、交換になるケースもあります。その場合は、交換費用をそのまま請求される可能性がありますので、ご注意ください。

賃貸の壁に穴をあけた場合の原状回復費用の目安

賃貸の壁に穴をあけた場合、どのくらい費用がかかるのでしょうか。ここでは穴の大きさ別に、3パターンの原状回復費用の目安を紹介します。

※本項目で提示する金額はあくまでも目安です。管理会社・施工会社や地域によって金額に差がある点にご注意ください。

釘やねじであけた穴

釘やねじが石膏ボードの奥まで貫通する穴が開いている場合、補修費は5,000円程度かかります。

直径10~20センチメートル程度の穴

直径が10センチメートルになると下地を補修する必要があり、壁紙の一部張り替えをしなくてなりません。補修費の目安は、20,000~40,000円です。

直径20センチメートル以上の穴

直径が20センチメートル以上の場合は、かなり手間がかかります。壁紙をどこまで張り替えるかという問題もありますが、50,000円程度はかかるでしょう。

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賃貸の壁に穴をあけないためのおすすめDIYアイテム6選

賃貸の壁には、なるべく穴をあけない方がよいでしょう。工夫次第で、お気に入りのアートや雑貨を飾ることも可能です。

また壁を収納コーナーとして活用できれば、空間を有効活用できます。ここでは、壁を傷つけない6つのDIYを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

DIYアイテム①:つっぱり棒

棚を設置したい場合は、つっぱり棒がおすすめです。天井と床に対して設置するタイプは安定するため、比較的重さのあるものも収納できます。

つっぱり棒は、壁を傷つけることなく設置できるのが魅力ですが、耐荷重が決まっていることが欠点です。収納するものにあったタイプを選びましょう。

▼関連記事

脱汚部屋!つっぱり棒活用アイデア19選と失敗例あるあるの解消法教えます

DIYアイテム②:貼って剥がせる接着剤

接着剤の中には、きれいに剥がせるタイプもあります。たとえば、コクヨの「ひっつき虫」やダイソーの「粘着タック」です。使いたいサイズをちぎって、貼りたいものの裏にくっつけて使います。

適度な接着力なので、剥がすときに壁を傷つけることがありません。ただし、粘着力は強くないため、ポスターなど紙類の掲示に適しています。なお、文房具屋さんや100円ショップなどで入手可能です。

DIYアイテム③:マスキングテープ

壁に写真やポスターを飾りたいときは、マスキングテープがおすすめです。軽いものであれば、マスキングテープで貼って飾れます。マスキングテープは粘着力が弱いので、剥がすときに壁紙を傷つけないので安心です。

100円ショップや文房具コーナーなどで購入でき、簡単に入手できるのもポイントです。色や柄、幅など好みに合わせ選び、デザインも一緒に楽しみましょう。

DIYアイテム④:吸盤タイプのフック

タイルやステンレス、浴室の壁などには、吸盤タイプのフックがおすすめです。たとえば、調理器具やお掃除グッズなど、壁を傷つけずに収納できます。

吸盤は耐荷重が決まっていますので、購入時に確認が必要です。重いものをひっかけるときは、とくに気をつけましょう。

吸盤は汚れると外れやすくなるので、必要に応じて洗い、よく乾かしてから使うのがおすすめです。

DIYアイテム⑤:磁石タイプのフックや棚

ステンレスやキッチンボードなど、磁石が使えるところには磁石タイプのフックや棚がおすすめです。使える場所は限られますが、簡単に移動できるうえ、貼った面を傷つけないので、安心して使えます。

フックだけでなく、棚状になったものなど種類も豊富です。100円ショップやオンラインショップなどでも購入できます。

DIYアイテム⑥:コルクボード

写真やポストカードなど、好きな紙類や小物を飾りたい場合は、コルクボードがおすすめです。壁や棚に立てかけて使います。

コルクボードには画鋲やピンが使えるほか、釘やねじも使えるので、多少重さのある小物も飾ることが可能です。コルクボードは、ホームセンターや100円ショップなどで購入できます。

賃貸の壁の穴など退去時のトラブル回避にできること

最後に、原状回復費用のことで、トラブルを回避するためにできることを3つ紹介します。

入居前の写真を撮っておく

もし室内に気になる傷や汚れがあったら、入居前に写真を撮り、不動産会社へメールで送っておきましょう。

スマートフォンにそのまま保存でも問題ありませんが、できればプリントアウトして、賃貸契約書と一緒に保管しておくとスムーズです。

不動産会社の担当者と傷や汚れを確認しておく

内覧時に、不動産会社の担当者と一緒に傷や汚れを確認しましょう。場合によっては、入居前に傷があったことを特記事項として、重要事項説明書に明記してもらえるかもしれません。

もし壁に穴をあけてしまったら速やかに不動産会社へ連絡する

もし壁に穴をあけてしまったら、まずは不動産会社へ連絡しましょう。原因によっては保険を使えますが、時間がたってしまうと使えなくなる可能性もあります。退去時まで放っておかず、すぐに相談しておきましょう。

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賃貸の壁に穴をあけないように注意しよう!

賃貸でも工夫次第で、壁にポスターや写真を飾って楽しめます。またつっぱり棒タイプであれば、壁面収納の設置も問題ありません。

通常の画鋲やピンの使用であれば問題ありませんが、なるべく壁には穴をあけず、退去時の原状回復費用を抑えましょう。