室内の温度差が健康リスクとなることもあるため、冬でも暖かい部屋をキープすることは大切なことです。しかし、暖房器具の使用は最小限に抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、部屋の寒さの原因と賃貸住宅でも手軽にできる寒さの対処法を紹介します。寒くなる前に、ぜひこの記事を参考にしながら寒さ対策をしてみてください。
部屋が寒いと感じる原因

冬に部屋を暖めても寒いと感じるのは、室内の熱が外へ流出してしまうのが原因です。では、暖めた暖気はどこから逃げてしまうのでしょうか。まず寒さの原因について解説します。
窓から入り込む冷気
開口部である窓から逃げる熱は全体の58%ともいわれており、全体の過半数を占めます。ガラスや窓枠のアルミ部分の断熱性が足りていないため、外の冷気が伝わってしまうのが要因です。また建付けが悪く、窓の隙間から冷気を取り込んでしまっている場合もあります。
壁から伝わる冷気
基本的に壁には断熱材が使われており、外の冷気が室内へ伝わらないような構造になっています。しかし経年劣化や断熱材不足などが原因で、壁から寒さが伝わりやすくなっていることもあるのです。もちろん断熱材が使われていても、冷気の影響をまったく受けないわけではありません。
隣の住戸との壁は外気に晒されていないため、主に寒さが伝わるのは外に面している壁からです。後半では、壁から伝わる冷気の対策方法をご紹介します。
床まわりから伝わる冷気
通常床材の下にも断熱材が使われていますが、1階の住戸の場合は地面からの冷気が伝わることもあるのです。
ほかにも床まわりが冷える原因に「コールドドラフト現象」があります。室内の空気が冷やされた窓ガラスなどに触れることにより冷たくなり、冷気の流れが発生する状態です。また、冷たい空気は低い場所に留まるため、床まわりが冷える要因になります。
部屋の寒さ対策①:手軽にできる「窓」の冷気対策

室内の熱は、半数以上が窓から逃げることが分かっています。寒さ対策をするのであれば、まず窓の寒さ対策をしてみましょう。ここでは、賃貸住宅でもできる比較的簡単な方法を3つご紹介します。
厚手タイプや断熱効果のあるカーテンを活用する
一番簡単な方法はカーテンを活用する方法でしょう。カーテンを厚手のタイプにする、もしくは断熱効果があるものに変えるだけでも違います。断熱タイプは、ホームセンターやネットなどで購入できます。
窓の隙間を埋める
窓からの隙間風が気になる場合は、隙間シートがおすすめです。窓と窓枠の隙間にテープを貼るだけなので、賃貸住宅でも使えます。
スポンジタイプや起毛、防水タイプなどがあり、状況に合わせて選ぶことが可能です。100円ショップやホームセンター、ネットなどで見つけられます。
断熱シートを貼る
窓のガラス面の冷気を防ぐために、窓に直接断熱シートを貼る方法があります。断熱カーテンと合わせて活用すれば、より効果を感じられるでしょう。そして冬は断熱、夏は遮熱効果も得られるため、省エネにもなります。
断熱シートには接着剤を使わず水のみで貼れるタイプもありますので、賃貸住宅でも安心して使用可能です。100円ショップやホームセンター、ネットなどで見つけられます。
部屋の寒さ対策②:手軽にできる「壁」の冷気対策

壁から失われる熱は15%といわれていますが、窓の断熱とともに対策をすることでより効果を感じられます。また隣の住戸との壁ではなく、外に面している壁の断熱性を高めるとより効果を得られるでしょう。
壁と家具の間に段ボールを挟む
壁全体に段ボールを貼ることは効果があるものの、現実的ではありません。また見栄えもよくないのでおすすめできませんが、大きな家具と壁の間に段ボールを挟むだけであれば簡単に対策できます。
段ボール自体に空気の層があり、段ボールを重ねることで空気の空間を作れるのです。また使用済みの段ボールを利用すれば、コストもかかりません。
サーキュレーターを活用する
前述の通り、冷たい空気は足元に留まり、暖かい空気は天井付近に集まります。サーキュレーターによって空気の流れを作ることにより、部屋全体の温度を均一化することが可能です。
サーキュレーターを床に置き、天井の暖かい空気に向けるように風を送ると、効果的に空気を循環させられます。
部屋の寒さ対策③:手軽にできる「床」の冷気対策

床から逃げる熱は7%といわれています。しかし、足と床は接している時間が長いため、体感的に効果を感じられやすいでしょう。
床の冷気に対してできる対策方法を4つご紹介します。1つでも効果はありますが、複数の対策を講じることで、より効果的に寒さ対策ができるでしょう。
厚手の絨毯を敷く
一番簡単な方法は厚手の絨毯を敷く方法でしょう。断熱効果はもちろん、直接触れることによる冷たさに対しても対策できます。敷く場所としては居間を思い浮かべる方が多いと思いますが、料理するために立っている時間が比較的長い、キッチンにも敷くのがおすすめです。
居室部分には、毛足が長いものやウール素材などがよいでしょう。またキッチンでは、お手入れがしやすい防水タイプでクッション性があるものをおすすめします。
絨毯の下にアルミシートを敷く
これは絨毯との合わせ技ともいえる対策です。絨毯の下にアルミシートを敷くことにより、より断熱効果を得られます。また敷くだけなので、誰でも簡単にできるでしょう。
アルミシートにも色々なタイプがありますが、滑り止め加工がしてあるものを選んでみてください。こちらも100円ショップやホームセンター、ネットなどで購入できます。
ジョイント式のコルクマットを敷く
絨毯以外にも、コルクマットを敷く方法もあります。コルクは熱伝導率が低いため、断熱効果が高いことが特徴です。ジョイント式であれば、広さに合わせて敷けます。階下への音が気になる場合には、遮音効果もあるコルクマットがおすすめです。
靴下やルームシューズなどを利用する
上記の対策に加えて、靴下やルームシューズを利用すればより効果的です。普通の靴下でも効果はありますが、保温や発熱効果がある靴下を活用すればより効果を感じられるでしょう。
またスリッパよりも、ルームシューズのような足を包み込むタイプの方がより暖かい状態を維持できます。
寒さを感じにくいお部屋選びのポイント
もし引越しを検討している場合は、寒さの感じにくいお部屋を選ぶのが得策です。では、どんなお部屋が寒さを感じにくいのでしょうか。
南向きや2面採光などの賃貸物件を選ぶ
日当たりがよい部屋であれば、冬でも太陽の光を取り込みます。南向きなど、なるべく陽射しを取り込める部屋を選びましょう。
日中は外出しているから陽当たりは重視しないという方もいらっしゃいますが、陽当たりがよい部屋は昼間に温かさを取り込めます。できれば日当たりのよい物件がおすすめです。
2階以上の賃貸物件を選ぶ
前でも触れましたが、1階の住戸は地面からの冷気を取り込みやすいので、寒さ対策の観点で部屋を選ぶ場合は、2階以上のお部屋を選びましょう。
また住戸に囲まれた部屋は、外気から空気層に守られている状態になります。角部屋や最上階でない方が、より寒さを感じにくいお部屋といえます。
エアコンや床暖房、暖房便座のある賃貸物件を選ぶ
寒さ対策について暖房器具に頼らない方法もありますが、やはりエアコンなどの設備が充実している方が安心です。床暖房や暖房便座がある物件であれば、寒さが厳しい冬でも快適に過ごせます。
賃貸住宅の場合、エアコンを増設することは難しいので、エアコンの数にも注目してみましょう。リビングにはあっても、寝室にはない場合もあります。全室にエアコンが完備されている物件がおすすめです。
床暖房は足が触れる床だけでなく、部屋も暖められる便利な暖房器具です。
鉄筋コンクリート造など気密性が高い賃貸物件を選ぶ
木造や築年数が古い物件は、隙間風が入ってくる可能性もあります。寒さ対策を考える場合は、できれば鉄筋コンクリート造など気密性が高く、築年数も新しい物件がよいでしょう。
ただし、コンクリート打ちっぱなしの建物はオシャレで人気がありますが、壁に断熱材が入っていないため、通常の鉄筋コンクリート造よりも寒く感じる可能性がある点に注意が必要です。内見の際は、ぜひ壁を実際にさわって確認してみてください。
ロフトがない賃貸物件を選ぶ
高い天井が魅力のロフト付きの賃貸物件は人気がありますが、暖かい空気がロフト部分の高い天井辺りに集まってしまい、部屋全体を暖めにくいデメリットがあります。また夏はロフト部分が暑くなる傾向があるので、メリットだけでなくデメリットも想定して選ぶのがおすすめです。
寒さを感じにくいお部屋で厳しい冬場を乗り越えよう
賃貸住宅でも手軽にできる寒さ対策をご紹介しました。あまり無理せずに取り入れていただきたいですが、複数の対策を取り入れることにより相乗効果が生まれます。ぜひ簡単なものからいくつか挑戦してみましょう。
寒さは予想以上に体に負担をかけます。ご自身や家族の健康のためにも早めの寒さ対策を心がけ、冬の季節を快適に暮らす準備を始めてみてはいかがでしょうか。