時間のある時にまとめて料理をして保存しておく「作り置き」。子どものいる家庭や料理が得意な方が実施しているイメージがあるかもしれませんが、実は一人暮らしの方にこそ作り置きがおすすめです。
今回は、一人暮らしの方に作り置きをおすすめする理由や、管理栄養士が監修した簡単な作り置きレシピを紹介します。「作り置きはしておきたいけど、どんなものを作ればいいかわからない…」という方や、作り置きをするメリットが知りたい方は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
一人暮らしで作り置きを始めるメリット
「作り置き」と聞くと、一人暮らしの方がやっているイメージはあまりないかもしれません。しかし、作り置きの恩恵は一人暮らしの方でも十分得られます。実際に一人暮らしで作り置きを始めるとどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。
外食などに比べて食費を節約できる
最初のメリットは、外食などに比べて食費を節約できるという点です。
作り置きは基本的に食材から料理をするため、外食に比べて食費が節約できる傾向にあります。特に、男性の一人暮らしなど一度に食べる量が多い方は、その節約のメリットを感じるはずです。
また作り置きをしておくと、昼食にお弁当を準備することも簡単になるため、お昼にコンビニや外食で済ませているという方にもおすすめです。
生活の時短になる
時間の余裕のあるときにまとめて作り置きをしておくと、忙しい日でも食事の準備時間が短くなるため、時短につながるというメリットがあります。
特に一人暮らしをしている方は忙しく働いている方も多く、なかなか食事の準備ができないという悩みを持っている方も多いです。そういった方にはぜひ作り置きをおすすめします。
光熱費の節約につながる
作り置きは食材費の節約だけではなく、光熱費の節約にもつながります。
ガスや電気は、何回かに分けて使うより一度に使用した方がお得なため、光熱費の節約に繋がります。例えば、野菜を茹でる時、少量で何回も茹でると何度もお湯を沸かさなければならないためガス代がかかります。
しかし、一度にお湯を沸かしてまとめて茹でてしまえば、ガスを使う時間は少なくて済むため、結果的に光熱費が節約できます。
このように、ガスや電気をまとめて使うことで、光熱費を節約できるというメリットもあります。
栄養バランスを考えるきっかけになる
一人暮らしの方が作り置きにチャレンジすると、栄養バランスを考えるきっかけになるというメリットもあります。
自炊に挑戦すると、ご飯、汁物、おかずを用意する頻度が増え、自ずと外食やコンビニよりもバランスの整った食事になります。
また、作り置きでは何種類かのメニューを作っておくことが多いため、外食で単品のものばかり食べる生活と比較しても、バランスよく色々なメニューを口にできる点は大きなメリットです。
心理的負担の削減につながる
作り置きをしておくと、心理的負担の削減にもつながります。
作り置きは、基本時間のあるときにまとめて行う方法であるため、忙しいときに比べ、料理そのものへのストレスも感じづらいです。また、仕事から疲れて帰ってきたときに1から料理をしなければならないというストレスからも解放されるため、心理的な負担が減ります。
料理ができる方でも、仕事終わりに料理をする気力がなく、外食で済ませてしまうということも多いはずです。心理的な負担を減らすことで栄養バランスも整い、日々の生活の質が上がることにもつながります。
一人暮らしで作り置きデビューする人が揃えておきたい保存容器

ここまで一人暮らしの方に作り置きを始めていただきたい理由について紹介してきましたが、そのためにはやはり作り置き用の保存容器が必須です。実際にどのようなものを選べば良いのでしょうか?それぞれの特徴を紹介します。
ガラス
ガラスの保存容器は、気体の遮断性が高く、匂いのするものを保存するのに向いています。また色がつきづらく、酸やアルカリにも強いです。加えて、冷蔵庫に入れたときに中が見やすい点もメリットです。
ただし割れやすいことと、熱に弱いという特性があるため、割れにくく耐熱加工されているものを選ぶようにしましょう。
プラスチック
プラスチック容器の大きな特徴は、扱いやすさです。プラスチック容器は他の容器に比べて軽く、重ねやすいです。また、価格も安価なため取り入れやすい容器になっています。
ただし熱によって変形したり、色がついてしまったり、耐久性が低かったりとデメリットもあります。
ホーロー
ホーローは金属の表面にガラス質の釉薬を塗って焼き上げたものをいい、それぞれの特徴を併せ持っています。
たとえば、金属の熱伝導性により温度が上がりやすく下がりやすい点、ガラスと同様に経年劣化しづらい点、耐久性・耐熱性が高く直火でもオーブンでも使用できる点などです。
逆に、表面がガラス質のため、衝撃に弱い点は注意が必要です。
【管理栄養士監修】一人暮らしの人におすすめの作り置き10選
ここからは、管理栄養士である私が実際に一人暮らしの人におすすめの作り置きレシピをご紹介します。自分の好みや習慣に合ったものからチャレンジしてみてくださいね。
きんぴらごぼうの作り置きレシピ

材料
ごぼう: 1本
油揚げ: 1枚
みりん: 大さじ2
醤油: 大さじ2
砂糖: 大さじ1
ごま油: 大さじ1
白ごま: 大さじ1
作り方と保存できる長さ
①ごぼうは皮をむいてささがきにし、水にさらしてアク抜きをする。
②油揚げは熱湯で湯通しし、油抜きをしたあと、細切りにする。
③フライパンにごま油をひき、ごぼうを炒める。
④油揚げを加え、さらに炒める。
⑤みりん、醤油、砂糖を加えて炒め合わせる。
⑥白ごまを振って完成。
冷蔵庫で3~5日の保存が可能です。根菜は比較的長持ちするため、食感のアクセントが欲しいときに食卓に並べてあげましょう。
ほうれん草とベーコンのソテーの作り置きレシピ

材料
ほうれん草: 1束
ベーコン: 50g
ニンニク: 1かけ
オリーブオイル: 大さじ1
塩コショウ: 少々
作り方と保存できる長さ
①ほうれん草は、茹でて水気を切り5cm幅にカットする。
②ベーコンは1cm幅に切り、ニンニクはみじん切りにする。
③フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクを炒める。
④ベーコンを加えて炒め、香りが出てきたらほうれん草を加える。
⑤塩コショウで味を調えて完成。
冷蔵庫で3~5日保存できます。和食でも洋食でも組み合わせやすいですが、ほうれん草から水が出やすいため、注意が必要です。
根菜類の煮物の作り置きレシピ

※画像ではれんこんと鶏肉を加えています
材料
大根: 1/4本
人参: 1本
じゃがいも: 2個
コンニャク: 1/2枚
出汁: 400ml
みりん: 大さじ2
醤油: 大さじ3
砂糖: 大さじ1
作り方と保存できる長さ
①大根、人参、じゃがいもは皮を剥き、食べやすい大きさに切る。
②コンニャクは食べやすい大きさに切り、下ゆでをする。
③鍋に出汁、みりん、醤油、砂糖を入れ、煮立たせる。
④野菜とコンニャクを加え、弱火で煮込む。
⑤野菜が柔らかくなったら完成。
冷蔵保存で5日程度保存できます。副菜にボリュームがほしいときにおすすめです。
きのこの和風マリネの作り置きレシピ

材料
しめじ: 1パック
えのき: 1パック
醤油: 大さじ2
みりん: 大さじ2
酢: 大さじ1
ごま油: 大さじ1
作り方と保存できる長さ
①しめじ、えのきは石づきを取り、食べやすい大きさに切る。
②フライパンにごま油をひき、きのこを炒める。
③火を止め、醤油、みりん、酢を加えて混ぜ合わせる。
④冷蔵庫で冷やして完成。
冷蔵保存で5日程度保存可能です。冷たいまま食べることができるため、時間のない日におすすめです。
鶏ひき肉の麻婆豆腐の作り置きレシピ

材料
鶏ひき肉: 200g
木綿豆腐: 1丁
豆板醤: 小さじ1
ニンニク: 1かけ
生姜: 1かけ
酒: 大さじ1
醤油: 大さじ2
砂糖: 小さじ1
ごま油: 大さじ1
片栗粉: 大さじ1
水: 100ml
作り方と保存できる長さ
①ニンニク、生姜はみじん切りにする。
②豆腐は食べやすい大きさに切る。
③フライパンにごま油をひき、ニンニク、生姜を炒める。
④鶏ひき肉を加えて炒め、色が変わったら豆板醤を加える。
⑤酒、醤油、砂糖、水を加えて煮込む。
⑥片栗粉を水で溶き、とろみがつくまで加える。
⑦豆腐を加えて温め、完成。
冷蔵保存で3日程度保存できます。ごはんのおかずになるため、ガッツリ食べたいときにおすすめです。ひき肉を使っているため、早めに食べるようにしましょう。
レンズ豆のトマト煮の作り置きレシピ

材料
レンズ豆: 1カップ
水: 3カップ
カットトマト缶: 1缶
ニンニク: 1かけ
オリーブオイル: 大さじ1
塩コショウ: 少々
作り方と保存できる長さ
①レンズ豆は洗って水につけておく。
②ニンニクはみじん切りにする。
③鍋にオリーブオイルをひき、ニンニクを炒める。
④レンズ豆、水、カットトマト缶を加え、煮込む。
⑤塩コショウで味を調えて完成。
冷蔵で5日程度保存できます。スープやパスタに流用できる点がおすすめです。
鶏むね肉のカレー炒めの作り置きレシピ

材料
鶏むね肉: 200g
玉ねぎ: 1/2個
ピーマン: 1個
カレールー: 2かけ
水: 100ml
油: 大さじ1
作り方と保存できる長さ
①鶏むね肉は皮と筋を切り、一口大に切る。
②玉ねぎ、ピーマンは食べやすい大きさに切る。
③フライパンに油をひき、鶏むね肉を炒め、色が変わったら玉ねぎ、ピーマンを加えて炒める。
④カレールーを加えて水を加え、煮込む。
⑤汁気がなくなったら完成。
冷蔵で2日程度保存できます。高タンパクでトレーニングをしている方にもおすすめです。
ほうれん草のペペロンチーノの作り置きレシピ

※画像ではベーコンを加えています
材料
ほうれん草: 1束
スパゲティ: 1束
ニンニク: 1かけ
赤唐辛子: 1本
オリーブオイル: 大さじ2
塩コショウ: 少々
作り方と保存できる長さ
①ほうれん草は茹でて、水気を切る。
②スパゲティは茹でて、水気を切る。
③ニンニク、赤唐辛子はみじん切りにする。
④フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニク、赤唐辛子を炒める。
⑤ほうれん草、スパゲティを加えて炒め、塩コショウで味を調えて完成。
冷蔵で3日程度保存可能です。温めてメインの料理として使えますが、麺が伸びるため、早めに食べきりましょう。
豆腐ハンバーグの作り置きレシピ

材料
木綿豆腐: 1丁
ひき肉: 150g
パン粉: 50g
卵: 1個
玉ねぎ: 1/4個
ケチャップ: 大さじ2
ウスターソース: 大さじ1
塩コショウ: 少々
作り方と保存できる長さ
①豆腐をキッチンペーパーで包み、重石をして30分以上水切りする。
②玉ねぎをみじん切りにする。
③ 水切りした豆腐、ひき肉、パン粉、卵、玉ねぎ、ケチャップ、ウスターソース、塩コショウをボウルに入れてよく混ぜ合わせる。
④ 混ぜ合わせた生地をハンバーグの形に成形する。
⑤フライパンに油をひき、ハンバーグを両面焼き色がつくまで焼く。
冷蔵で3日程度保存できます。豆腐の水をしっかりと抜いておけば、もう少し長持ちします。豆腐を使うことで低カロリーになるため、ダイエットにもおすすめです。
ツナと野菜の炒め物の作り置きレシピ

※画像では玉ねぎを抜いています
材料
ツナ缶: 1缶
玉ねぎ: 1/2個
ピーマン: 1個
しょうゆ: 大さじ1
ごま油: 大さじ1
作り方と保存できる長さ
① 玉ねぎとピーマンは食べやすい大きさに切る。
② フライパンにごま油をひき、玉ねぎとピーマンを炒める。
③ 野菜がしんなりしたら、ツナ缶と醤油を加えて炒め合わせる。
冷蔵で5日程度保存できます。入れる野菜を変えても同じように作ることができ、応用がききます。
一人暮らしで作り置きをする際の注意点

ここまで一人暮らしの方におすすめのレシピを紹介してきましたが、実際に作り置きをする際にはどのようなことに注意が必要なのでしょうか。食中毒につながるリスクもあるため、作り置きデビューをする人はもちろん、すでに習慣化している人でも念のため確認しておきましょう。
味付けや加熱の指示を守る
作り置きをする際は、レシピの味付けや加熱の指示を守りましょう。
作り置きで最も注意するべきことは、食中毒です。作り置きした料理は数日後に食するため、その間に菌が繁殖してしまうと食中毒を引き起こす原因となります。そのため、食中毒を予防するためにレシピ通りに作ることを意識しましょう。
特に調味料を減らしたり加熱時間を短くすると、塩分や酸による菌の増殖抑制効果や、加熱による殺菌効果が得られなくなります。
保存容器はしっかり清潔にする
食中毒予防のためには、保存容器を清潔にすることも重要です。
食中毒予防の基本は菌を付けないことです。そのため、容器からの雑菌の付着を防ぐために保存容器はしっかりと清潔にしておきましょう。使い終わったらすぐに洗い、水気は早めに拭き取ることや、必要に応じて消毒を行うのが効果的です。
料理を冷蔵庫・冷凍庫に入れる際はよく冷ましてから
容器内の結露を防ぐため、料理を冷蔵庫や冷凍庫に入れる前によく冷ますことも必要です。
細菌の繁殖には水が必要なことが多く、温度が高いまま容器に入れて冷蔵庫・冷凍庫に入れると、結露して細菌が繁殖するための水分を与えてしまうことになります。そのため、保管する際はしっかりと粗熱を取ってからにしましょう。
ただし、細菌が繁殖しやすい温度は20℃〜40℃程度と言われているため、常温で置いておきすぎることもリスクとなり注意が必要です。また、容器そのものに水が付いていると意味がないため、使用前にしっかりと水気を拭くことも意識しましょう。
料理を保存容器に詰めるときは取り分け用の箸・カトラリーを使う
料理を詰める時は、取り分け用の箸やカトラリーを使うことも効果的です。
菌を付けないために、調理時に使っていたものではなく、取り分け用のものを都度使いましょう。特に生肉を触った後の菜箸などは汚染リスクが高いため、必ず別の箸に変えるようにしましょう。
保存容器にラベリングする
保存した後は、どのメニュー・食材を使ったものなのかがわかりやすいように、ラベリングしておきましょう。
ラベルには、材料や作った日、メニュー名などを記載します。そうすることで、早く食べなければいけないメニューなどがわかり、衛生的に食べることができます。特に生肉や生魚を使った料理や、味の薄い料理、加熱時間の短い料理は要注意です。
一人暮らしを作り置きデビューをサポートしてくれるおすすめの物件条件
一人暮らしで作り置きをするのであれば、それに適した物件に住むことも重要です。実際に、作り置きデビューをサポートしてくれるような物件の特徴について紹介していきます。
二口コンロがある物件
コンロが二口以上ある物件は、作り置きデビューにおすすめです。
作り置きをする際は、同時にいくつかのメニューを調理する事が多いため、コンロの口数が多いほうが効率的です。また、コンロの口数だけでなく、コンロ同士の距離がしっかりと離れている物件であれば、おおきなフライパンや鍋を使ってまとめて作り置きができるため、さらに利便性が上がるでしょう。
広めのキッチンがある物件
作り置きをするなら、広めのキッチンがある物件もおすすめです。
せっかく時間に余裕のあるときに作り置きをしているのに、キッチン周りが不便だと心理的にも余裕がなくなるため、落ち着いて料理ができる広めのキッチンは作り置きをする方におすすめです。
家電付きの物件
調理に必要な家電付きの物件も、作り置きデビューにおすすめです。
特に、初めて一人暮らしを始めるという方は家具を一から揃える必要があることが多いため、家電付きの物件は金銭的にも余裕が生まれるでしょう。
また家電が揃っていれば、どういったものを購入すべきかという悩みもなくなります。
一人暮らしは栄養が偏りがち!作り置きデビューで心身ともに充実した日々を送ろう
一人暮らしの方は、なにかと外食やコンビニで済ませることが多く、栄養が偏りがちです。
だからこそ、作り置きに挑戦して、栄養バランスが整った食事を摂ってほしいところ。
また、作り置きは家計を助けることにもなるなど多くのメリットがあります。栄養管理士として、作り置きで心身ともに充実した日々を送っていただけると嬉しいです。