引っ越しの日が迫ってきたものの、「冷蔵庫ってどうやって運ぶの?」「中の食材はどうしたらいい?」と悩んでいませんか?冷蔵庫は大きくて重いだけでなく、運搬方法を間違えると故障の原因にもなるデリケートな家電です。
今回は家電製品アドバイザーの資格を持つ私が、冷蔵庫を安全にスムーズに運ぶためのコツをわかりやすく解説します。準備のタイミングから運搬手順、引っ越し後の設置ポイントまで詳しくご紹介します。
記事の中では、家電付きの賃貸物件情報などもご紹介していますので、ぜひ一緒にチェックしてみてください!
引っ越しが決まったら!冷蔵庫を運ぶための手順

冷蔵庫は重量があり、運搬には注意が必要な家電の一つです。準備不足のまま運ぶと、故障や搬入トラブルにつながることも。ここでは、引っ越しの2週間前から当日まで、段階ごとに必要な準備や注意点を詳しく解説します。
少しずつ進めることで、当日の作業もスムーズに進みますので、ぜひ参考にしてください。
引っ越し2週間前
引っ越しが決まったら、まず冷蔵庫の中身を確認しましょう。賞味期限が迫っているものや、引っ越しまでに使い切れそうにない食材に関しては、処分するかご近所や友人に譲るのも一つの手です。
また、冷蔵庫を運搬する際に業者を利用する場合は、早めに手配を済ませておきましょう。人気の引っ越しシーズンは予約がいっぱいで依頼ができないこともありますので、スケジュールを早めに決めることが大切です。
引っ越し3日前
引っ越し3日前には冷蔵庫の中身をほぼ空にしておきます。冷凍食品や調味料など、当日までに消費しきれないものはクーラーボックスを準備して保管するように仕分けましょう。
このタイミングで冷蔵庫周辺の掃除も済ませておくと、引っ越し当日にスムーズに作業が進みます。また、冷蔵庫の取扱説明書を探し出しておくと、搬入後の再設定をする時に便利ですよ。
引っ越し前日
引っ越し前日には冷蔵庫の電源を切り、中身を完全に空にします。
電源を切ったら、扉を開けておき、霜や結露が残らないように乾燥させましょう。これを忘れてしまうと、引っ越し中に冷蔵庫から水が漏れてしまう可能性があります。
また、冷蔵庫の中棚や仕切り板はすべて取り外して、別々に梱包しておきます。動くパーツがあると庫内が傷ついたり、割れたりしてしまう危険性も。面倒でもできるだけ分けて包んでおきましょう。
引っ越し当日
引っ越し当日は、冷蔵庫を運ぶ前にしっかりと梱包します。ダンボールやプチプチの緩衝材で冷蔵庫を覆い、搬入経路でぶつけたり傷つけたりしないように注意してください。
運ぶ際は、できるだけ立てた状態で運びます。横倒しの状態で運搬してしまうと、冷却機能が故障してしまう危険があります。
そして新居に到着後はすぐに運転せず、最低でも2~3時間は放置してから電源を入れるようにしましょう。冷却液が安定するまで待つことが必要です。
引っ越しの際に冷蔵庫の中身を掃除する場合の流れ
冷蔵庫を引っ越しの際に掃除しておくと、新居での設置後も気持ちよく使い始めることができます。特にカビや臭いが発生しやすい場所を重点的に清掃しておくことで、衛生面も安心です。ここでは、冷蔵庫掃除のポイントと手順をわかりやすくご紹介します。
カビや臭いを防ぐための清掃ポイント
冷蔵庫の掃除で重要なのは、湿気や食品カスがたまりやすい箇所をしっかりと清掃することです。カビや臭いを防ぐためにも、以下のポイントを意識しましょう。
・冷蔵庫のドアパッキン(ゴム部分)は、特に汚れが溜まりやすいので重点的に拭き取る
・野菜室やチルド室のトレーは外して水洗いし、しっかり乾燥させる
・内部の棚や仕切り板も、取り外せるものはすべて外して清掃する
・中性洗剤を使う場合は、必ず洗剤をしっかり拭き取る水拭きを行い、最後に乾いた布で仕上げて湿気を完全に取り除く
食品が触れる庫内を掃除する際は、取扱説明書に記載のお手入れ方法を確認するのがおすすめです。次の手順で安全かつ適切な方法で清掃しましょう。
冷蔵庫掃除の手順①中身をすべて取り出す
まず、冷蔵庫の中身をすべて取り出します。まだ食べられるものはクーラーボックスなどに一時的に保管しておきましょう。
賞味期限切れの食品や不要なものはこのタイミングで処分すると、後の作業がスムーズになります。
冷蔵庫掃除の手順②パーツを取り外して洗う
冷蔵庫の棚やトレー、仕切り板など、取り外し可能なパーツはすべて外して洗いましょう。台所用中性洗剤を使い、スポンジでやさしく洗浄します。
その後、水でしっかりすすいで、乾いた布で水気を拭き取り、完全に乾燥させてください。
冷蔵庫掃除の手順③内部を拭き掃除する
取り外したパーツを乾かしている間に、冷蔵庫内部を拭き掃除します。水に薄めた中性洗剤を含ませた布で拭き、その後、水拭きをして洗剤をしっかり拭き取ります。
最後に乾いた布で仕上げ拭きをして、湿気が残らないようにしましょう。中性洗剤の使用が不安な場合は、水に薄めたお酢や重曹水を使うのもおすすめです。
冷蔵庫を業者に依頼せず自分で運ぶ際の注意点

冷蔵庫を自分で運ぶ場合、大型で重量があるため、適切な準備や運び方をしないとケガや冷蔵庫の故障につながることがあります。
ここでは、安全に運搬するための準備や注意点を詳しく解説します。事前にしっかり計画を立て、事故を起こさないように設置しましょう。
安全に運搬するための準備と必要な道具
冷蔵庫を安全に運ぶためには、以下の準備と道具を用意しておきましょう
・軍手
冷蔵庫を持つ際の滑り止めとして必須、強めのグリップのあるものにするとよい
・家具移動用の台車
冷蔵庫の移動時に使用、ホームセンターやネットショップで購入可能
・毛布や緩衝材
冷蔵庫の表面を保護したり運搬中にぶつけやすい角などを重点的に包んだりするのに使用
・ロープやガムテープ
冷蔵庫の扉が開かないように固定するために使用
・クーラーボックス
冷蔵庫から取り出した食品を一時保管する際に使用
事前に搬入経路も確認し、狭い通路や階段を通る場合は特に慎重に計画を立てましょう。
冷蔵庫の正しい持ち方と移動方法
冷蔵庫は重量があるため、無理に一人で運ばず、二人以上で作業を行いましょう。持ち上げる際は腰を曲げるのではなく、膝を曲げて持ち上げることで腰に負担をかけずに運べます。
また、冷蔵庫を横倒しにすると冷却液が偏り、故障してしまう可能性があります。短時間であれば多少の傾きは問題ありませんが、できるだけ立てた状態で運びましょう。
狭い場所を通るときは、片方がガイド役として冷蔵庫の通過をサポートすると安全です。
運搬中の事故を防ぐためのポイント
冷蔵庫を運ぶ際には、事故を防ぐために以下の点をしっかりと確認しましょう。
扉をしっかり固定する
運搬中に扉が開いてしまうと、思わぬケガや冷蔵庫の破損につながります。ロープやガムテープでしっかりと固定しましょう。
周囲に十分なスペースを確保する
冷蔵庫を通過させる際は、周囲の障害物(家具や荷物)を事前に移動しておきます。特に階段や曲がり角では慎重に移動しましょう。
無理をしない
冷蔵庫の重量が重く感じる場合や、少しでも運搬経路に不安を感じる場合は、無理をせずに業者に依頼することも検討してください。また、大型家電製品の運搬に自信がない方や、移動作業が億劫な場合は家電付きのお部屋を検討するのも良いでしょう。
新居に冷蔵庫を運び入れた後のポイント
新居に冷蔵庫を無事に搬入したら、すぐに使用を開始する前にいくつか確認すべきポイントがあります。設置場所や初期設定を適切に行うことで、冷蔵庫を安全かつ効率的に使い始めることができます。
続いて、設置後に注意したいポイントをご紹介します。
設置場所の選び方
冷蔵庫を設置する場所は、使い心地や省エネ効率に大きな影響を与えるため、慎重に選びましょう。
まず冷蔵庫の側面には熱を逃がすためのスペースが必要です。壁との間に少なくとも5cm以上の隙間を確保しましょう。また、周囲の温度に影響されやすいため、直射日光が当たる場所やコンロの近くを避けて設置します。
その他にも、冷蔵庫が傾いているとドアの開閉や内部の冷却性能に影響する場合がありますので、設置の際には水平かどうか確認しましょう。
冷蔵庫を設置してから電源を入れるまでの待機時間
冷蔵庫を運搬した直後は、すぐに電源を入れずに待機時間を設ける必要があります。
運搬中に偏ってしまった冷却液を元の位置に戻すための時間を確保しましょう。前述の通り、一般的に2~3時間程度放置してから電源を入れるのが推奨されていますが、詳しくは取扱説明書を確認してください。
運転開始後の動作確認と初期設定
冷蔵庫の電源を入れたら、まずは動作確認と初期設定を行いましょう。
冷蔵庫の温度設定は通常、冷蔵室は3~5℃、冷凍室は-18℃程度が目安です。また、冷蔵庫が異常な音を立てていないか確認します。音が大きい場合は設置場所や水平を再確認してください。
引っ越しの際に冷蔵庫を処分する場合の流れ

引っ越しを機に冷蔵庫を買い替える方も多いのではないでしょうか。しかし、冷蔵庫は家電リサイクル法の対象となるため、処分する際にはいくつかのルールを守る必要があります。
次に、冷蔵庫の主な処分方法や注意点、費用について詳しく解説します。
冷蔵庫の主な処分方法
冷蔵庫を処分する際には、主に以下の方法があります。
購入店に引き取りを依頼する
新しい冷蔵庫を購入する際、古い冷蔵庫を同時に引き取ってもらう方法です。家電リサイクル料金と運搬費用を支払えば不要な冷蔵庫は処分できます。
家電リサイクル法に基づいて指定場所に持ち込む
市区町村やリサイクル業者が指定する場所に冷蔵庫を持ち込む方法です。事前にリサイクル券を購入し、運搬手段を用意する必要があります。
リサイクル業者や回収業者に依頼する
リサイクル業者に回収を依頼する場合、引き取り手数料がかかる場合があります。必ず適法な業者かどうかを事前に確認してください。
【補足】冷蔵庫の処分と関係しているリサイクル法とは
冷蔵庫は家電リサイクル法の対象家電に指定されており、処分する際にはリサイクル料金の支払いが義務付けられています。この法律は、冷蔵庫の中に含まれる貴重な資源を再利用し、環境保護を推進するために制定されました。
冷蔵庫には再利用可能な金属やプラスチックが多く含まれており、適切に処分することで資源の再利用が進むだけでなく、冷媒や断熱材を適切に処理することにより地球温暖化を防ぐ効果も期待できます。これは、エコロジーな社会の実現のために重要な取り組みです。
一方で、家電リサイクル法を無視して冷蔵庫を不法投棄した場合、法律違反となり罰則が科される可能性があります。不法投棄は環境汚染を引き起こすだけでなく、多くの人々に迷惑をかける行為でもあります。法令を遵守し、適切な手続きで処分を行いましょう。
処分にかかる費用とスケジュール感
冷蔵庫を処分する際には、リサイクル料金と運搬費用がかかります。冷蔵庫のサイズや業者によって異なりますが、一般的には数千円〜1万円程度がかかります。
また、処分のスケジュール感も重要です。特に引っ越し間近になると処分手続きが間に合わないこともあるため、2週間以上前には手続きを開始するようにしましょう。新しい冷蔵庫を購入する場合は、配送日と引き取り日を事前に確認しておくと安心です。
新居に向けて新しい冷蔵庫を購入する際の選び方と注意点

引っ越しを機に「そろそろ新しい冷蔵庫を」と買い替えを考える方も多いのではないでしょうか。冷蔵庫はサイズや機能がたくさんあり、選び方を間違えると設置後に後悔してしまうことも。
ここでは、新居で快適に使用できる冷蔵庫を選ぶためのポイントと注意点をプロの目線で解説します。
①生活スタイルに合った機能を選ぶ
単身世帯ならコンパクトでも省エネ性能の高いモデルを、家族世帯なら容量の大きい冷凍室や、食品を長持ちさせるチルド室を備えたモデルがおすすめです。
最新機種では、AI機能による食品管理や、鮮度を保ったまま急速に冷凍させるような便利機能もあります。こだわりの食材で自炊する生活か、まとめ買いで長期保存したいかなど、生活スタイルに合わせて選びましょう。
②引っ越しの日にちに合わせて選ぶ
冷蔵庫は大型家電のため、配送スケジュールが通常の商品よりタイトです。引っ越し日に合わせて注文する場合、最低でも2週間以上前には商品を選んでおきましょう。
配送業者によっては時間指定ができないことが多いので、管理会社や引っ越し業者とも相談し、スムーズな搬入を計画することが重要です。
また、設置してから庫内の温度が適正になるまでに数時間かかることが多いため、生物の食品や冷凍食品をすぐ収納しないように気をつけましょう。
搬入と設置をスムーズに行うための注意点
新居の搬入経路はしっかり確認してください。特にエレベーターの広さ、階段の幅、ドアの開口部などが冷蔵庫より狭い場合、別途クレーン車の手配が必要になることもあります。階段上げ作業やクレーン作業の場合、作業料金が加算されることがありますので、購入を決めるときには必ず相談するようにしてください。
また、設置後は、冷蔵庫の側面に適切な通気スペースを取る必要があります。通気が悪いとエネルギー効率が低下したり、冷蔵庫の寿命を縮める原因になるため注意しましょう。
設置場所に悩むときには、使いやすいシステムキッチンの物件を検討するのもおすすめです。
冷蔵庫の引っ越しは注意点を把握して慎重に!
冷蔵庫の引っ越しは、適切な準備と手順を踏むことでスムーズに進めることができます。今回は引っ越し前の計画から当日の運搬方法、新居での設置ポイントまで、必要な情報を詳しくご紹介しました。
【今回のまとめ】
・引っ越しの2週間前から食材の整理を始め、冷蔵庫を空にする計画を立てましょう。同時に、業者の手配やスケジュールの調整を行い、準備を計画的に進めることが大切です。また、冷蔵庫の掃除を事前に行えば、清潔な状態で新居に運び込むことができ、設置後も気持ちよく使用を開始できます。
・運搬時には、安全対策や正しい持ち方を意識し、ケガや冷蔵庫の故障を防ぎましょう。特に、冷蔵庫は横倒しにせず、可能な限り立てた状態で運ぶことがポイントです。
・新居での設置では、通気性の良い場所を選び、冷蔵庫を安定させて配置することが重要です。また、電源を入れる前に待機時間を設けることで、冷却液の流れを整え、トラブルを回避できます。
冷蔵庫は、生活に欠かせない重要な家電だからこそ、適切に扱い、トラブルなく使い始めたいものです。この記事を参考に、引っ越しでの冷蔵庫運搬をスムーズに終わらせ、新生活を快適にスタートさせてください。