コーヒーが大好きで、自宅でも豆の焙煎からやってみたいと考えている方も多いでしょう。最近では家庭用の焙煎機も多く販売されており、自宅でも手軽に焙煎ができます。しかし「賃貸でも焙煎できるの?」「どんな手順で行うの?」「焙煎機は何を選ぶの?」など、わからないことも多いのではないでしょうか。
今回は、実際にカフェを経営していた私が、自宅で焙煎する方法や手順、焙煎するための機械の選び方などについてご紹介します。ぜひ参考にし、自宅で豆から焙煎して美味しいコーヒーを淹れてみてください。
自宅でコーヒーは焙煎できる?
家庭用の焙煎機であれば、自宅でコーヒー豆を焙煎することが可能です。焙煎機にはさまざまな種類があるため、ご家庭に合わせたものを選びましょう。
自宅でコーヒーを焙煎すれば、自分好みの味に焙煎でき、コーヒー1杯のコストも抑えられます。手間のかかる作業ではあるものの、コーヒーをより楽しむためには自宅で焙煎するのがおすすめです。
自宅でコーヒー焙煎から始める際に必要な道具
家庭用の焙煎機だけでも、さまざまな商品が販売されています。まずは、自宅で焙煎するのに必ず準備しておくべき道具を知っておきましょう。
焙煎機
焙煎機は、ご自宅に合ったものを購入します。焙煎機には、手動や半自動、全自動で焙煎するものがあり、ガスなのか電気なのか、もしくは両方使うものかなど種類がいくつもあります。どの種類も家庭用として売られていますが、購入の際には大きさや製法をよく調べておくことが重要です。
自宅では使えないサイズだったり、海外製のもので使用方法がわからなかったりするので、注意しましょう。
ガスコンロ
ガスが必要な焙煎機であれば、ガスコンロの準備が必要です。焙煎機によっては、カセットコンロでも対応可能なものもあるので、ガスコンロがないお宅であれば焙煎機に合わせて準備するとよいでしょう。
軍手
焙煎とは、コーヒーの生豆を火にかけて、水気が少なくなるまで熱することです。当然、高温になる部分が出てくるため、火傷防止のために必ず準備しておきましょう。
ザル
焙煎が終わって熱くなった豆をそのままにしておくと、余熱でどんどん焙煎が進みます。そのため、焙煎後の豆を冷やすのにザルの準備が必要です。熱くなった豆を冷やすためなので、金属製のものがおすすめです。
コーヒーの生豆
コーヒーの生豆を個人で購入できるサイトがありますが、量を考えて購入しておかなければ料金が高くつく可能性があります。購入量が少ない場合は送料も考えると割高になってしまい、購入量が多い場合は味が好みでなかったときにもったいないでしょう。好みの味が決まるまでは、1kg単位で購入するのがおすすめです。
また、焙煎した後の豆はデリケートに扱う必要があります。しかし、生豆の状態であれば、保管にあまり神経質になる必要はありません。高温多湿や直射日光を避ける程度で保管できますが、好みの味が決まって大量に仕入れるようになったら、収納場所の確保も必要です。
「焙煎機」の選び方
自宅で焙煎を行う場合、自宅の状況に合った焙煎機を選ばなければなりません。焙煎機には家庭用でもさまざまな種類があり、大きさも金額も幅広くあります。
金額や作業スペース、熱源の確認をして選ぶのはもちろん、焙煎している感じを味わいたいなら手動、味を常に均一にしたいと思うなら全自動など、自分の好みで選ぶのがおすすめです。また、使いやすさや洗いやすさを考慮して選ぶのも、焙煎を長く続けるポイントといえます。
使いやすさ
最も手軽にできる焙煎として、手に持ってできる手動式焙煎機があります。焙煎している感覚を一番味わえるでしょう。ただし、常に手を動かす必要があり、技術や経験がないと美味しく焙煎できません。
自動のものであれば、スイッチひとつで焙煎ができます。しかし、全自動で焙煎されてしまっては、せっかくの自家焙煎にもの足りなさを感じる方もいらっしゃるはずです。手軽さや焙煎している感じを味わいたいなら手動式、便利さや均等な味を求めるなら自動式のものを選ぶことをおすすめします。
洗いやすさ
焙煎機は特に洗剤などを使って洗う必要はなく、フィルターの詰まりをブラシで掃除したり、布で吹き上げたりする程度です。特に手動式のものであれば、仕組みがわかりやすいので洗いやすいでしょう。自動のものだと少し複雑なものもありますが、毎回こまかく分解して洗う必要はありません。
焙煎機をまるごと水洗いすることはないため、シンクの広さなどを考慮する必要もないといえます。
「コーヒーの生豆」の選び方
生豆は、産地や品種によって味が大きく異なります。ほかにも、コーヒー豆には農園や精製方法など、コーヒーの生豆を選ぶ基準はたくさんあります。また焙煎方法や淹れ方によっても、味に違いが出るのです。
深く知れば知るほど、自分の好みに合ったものを選べ、美味しいコーヒーを楽しめます。まずは、産地と品種の特徴を知ることから始めてみましょう。
産地
産地によって気候や風土などの環境が異なるため、酸味や風味に違いが出ます。品種が同じでも、高地と低地などの環境の違いがあれば、その分だけ味が異なるでしょう。
産地による生豆の特徴は、以下のとおりです。
・南米の地域:酸味が少なく苦みが強め
・中米・アフリカの地域:酸味が主張
・アジア圏:苦みが強く個性的な味
一方で、産地が違っても条件の似た環境であれば、味が似ることもあります。
品種
流通しているコーヒー豆には、主に「ロブスタ種」と「アラビカ種」の2種類があり、産地と同様に品種によっても味の違いがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
・ロブスタ種:コーヒーの苦みが強く香ばしさが印象的で、酸味があまりない
・アラビカ種:ロブスタ種とは対照的に、酸味と甘みが引き立ったフルーティな味わい
一般的には、ロブスタ種はアラビカ種よりも味が劣るといわれており、アラビカ種を使用することがほとんどです。
自宅でコーヒー焙煎する流れ
自宅で焙煎するための5ステップを知って、失敗のない焙煎をしましょう。
STEP1. コーヒーの生豆を仕分ける
コーヒーの生豆を仕入れたら、仕分け作業を行います。この作業はハンドピッキングと呼ばれ、全体の5~10%ほど含まれる欠点豆を取り除く作業です。
欠点豆とは、発酵していたり虫食いやカビが生えていたりする豆のことで、目視で取り除いていきます。この作業をすることで、臭みや雑味をなくせます。また、コーヒー豆ではない異物が混入していることもあるので、注意して行いましょう。
STEP2. 焙煎機にコーヒーの生豆を入れて焙煎を始める
コーヒーを焙煎するとは、生豆を煎って加熱することで、化学反応を起こして味や香りを出します。焙煎機によって作業方法は異なりますが、自分好みの焙煎度合いを見極めることが大切です。
焙煎の度合いは、火の強さや焙煎する時間によって異なりますが、家庭用ガスコンロであれば10分弱が目安となります。
STEP3. 煎り止める
煎り止めとは、好みの焙煎度合いで煎るのを止め、ザルに移すことです。煎り止めせずに、焙煎してそのままにしておくと余熱で焙煎が進んでしまうため、必ずザルなどに移すようにします。
STEP4. コーヒー豆を冷やす
煎り止めしてザルに移したら、できるだけ豆を冷やして余熱を吹き飛ばします。自宅で行う量であれば、うちわや扇風機を使って冷やすとよいでしょう。
STEP5. 焙煎した豆を保管する
実はコーヒー豆は、焙煎直後よりも焙煎後3~5日ほど経ったころが美味しい状態となります。しかし、焙煎した豆は時間が経つにつれて酸化し、劣化していくのも事実です。長く美味しくいただけるように、正しい保存方法を知っておくとよいでしょう。
・5日程度の保存:光を遮断できる容器に入れて常温保存
・10日以上の保存:密閉できる袋に入れて冷蔵保存
・30日以上の保存:専用のアルミバッグに入れて冷凍保存
上記のように、期間によって保存方法が異なるため、使い切る期間を考慮して保管しましょう。
焙煎度合いによる味や見た目の違い
コーヒーの生豆の焙煎度合いは、浅煎り・中煎り・深煎りと3つの分け方をされることが一般的です。しかし、コーヒーの焙煎度合いは8種類に細分化されていて、それぞれに名前があり、味や見た目が微妙に異なります。
8種類の焙煎度合いで味や見た目の違いについて理解しておけば、より自分好みの焙煎度合いを知れるでしょう。
ライトロースト
※写真は、ライトロースト〜シナモンローストに焙煎されたコーヒー豆です
焙煎時間が最も短い浅煎りで、酸味が強く残り、苦みはほとんど感じない状態を指します。見た目は若干焦げ目が付いている程度です。
シナモンロースト
シナモンローストという名前の通り、シナモン程度の色に焙煎した浅煎りの状態です。味はまだまだ酸味が強く残り、苦みもほとんどありません。
ミディアムロースト
※写真は、ミディアムロースト〜ハイローストに焙煎されたコーヒー豆です
スッキリとした中煎りの状態です。まだ酸味が残るものの、若干の苦みも感じられます。
ハイロースト
ミディアムローストよりも苦みが強く、酸味とのバランスが取れた味わいです。甘みやコクも感じられるようになります。
シティロースト
やや深煎りの状態で、コーヒーの香りや個性をしっかりと感じられるようになります。
フルシティロースト
コクと苦みが強く主張しますが、酸味もわずかに感じられます。味の強い豆でなければ、個性を失う可能性があります。
フレンチロースト
エスプレッソ用の豆として使用されるほどの苦みと、コクが強調される深煎りです。豆自体の酸味や水分が多いものに適しており、ミルクなどと相性がよいでしょう。
イタリアンロースト
フレンチローストよりもさらに強い深煎りとなります。見た目は真っ黒で焦げたような香りも感じられ、強烈な苦みが特徴です。
自宅で自家焙煎をする際の注意点
コーヒー豆の焙煎を行う際には、自宅ならではの注意点があります。ご近所迷惑にならないように、気を付けるべき点を確認しておきましょう。
必ず換気扇をオンにして作業を行う
焙煎で最も注意するべき点は煙です。焙煎で出た煙は、壁などに色が残ってしまうこともあります。特に賃貸であれば、必ず換気をしながら行いましょう。
換気扇でニオイが逃げていく程度に焙煎する量を調整し、立て続けに焙煎するのを避けるなどの配慮が必要です。
音が出るので、近隣に迷惑がかからない時間帯で焙煎をする
焙煎は、できるだけ昼の時間帯に行うのがおすすめです。そこまで大きな音がすることはありませんが、焙煎機を使用すれば多少なりともカラカラといった音がします。夜遅くや真夜中に行うのは避けて、できるだけ日中にやるようにしましょう。
自分好みのコーヒーを自宅で焙煎してみては?
自宅でコーヒー豆を焙煎すれば、新鮮で風味豊かなコーヒーを味わえます。また、自分の好みに合わせて焙煎度合いを調整できるため、自分だけのこだわりのオリジナルコーヒーが楽しめるでしょう。
手間のかかる作業ではあるものの、その手間を楽しむ価値は十分にあります。ぜひご自宅に焙煎機を導入して、日々のコーヒータイムをより一層豊かなものにしてみましょう。