「突然火災報知器が鳴りだしてどうしたらいいかわからない」「共用部で火災があったという警報が鳴っている」…火災警報器が突然鳴り出すと、誰でも慌ててしまうものです。しかし、止め方を間違えると思わぬトラブルを招くことがありますし、誤報と決めつけてしまうのは非常に危険です。
そこで、この記事では、「火災警報器」と「火災報知器」それぞれの正しい止め方と、絶対にやってはいけない行動、そして誤作動の主な原因と対策をわかりやすく解説します。
何かあったときに落ち着いて対応できるよう、ぜひこの記事を参考にしてください。
火災警報器と火災報知器の違い
「火災警報器」と「火災報知器」は名称が似ているため、混同されがちです。しかし、設置場所も仕組みも対処法もまったく異なります。止め方を誤らないためにも、まずはそれぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。
火災警報器(住宅用火災警報器)とは、各部屋やクローゼット内の天井に取り付けられている設備です。直径15センチメートル前後のドーム型で、煙や熱を感知すると内蔵のブザーが鳴ります。電源は電池によるものが多く、賃貸物件に設置されているものはほぼこのタイプです。
火災報知器(自動火災報知設備)とは、マンションやアパートの共用部に設置されている大規模な設備です。各部屋の感知器が連動し、建物全体に火災を知らせます。受信機と呼ばれる制御盤で一括管理されており、専門業者や消防設備士が取り扱うことを前提とした設備です。
火災警報器と火災報知器の設置義務
住宅用火災警報器は、消防法および各市区町村の火災予防条例によって設置が義務付けられています。原則としてすべての住宅の寝室と、戸建て住宅では階段部分への設置が必要です。ただし、設置基準の細部は自治体によって異なる場合があります。
火災報知器(自動火災報知設備)は、集合住宅では延べ床面積500平方メートル以上の建物に設置が義務付けられています。中・大規模のマンションであれば、ほぼ必ず設置されていると考えてよいでしょう。
なお、規模が小さい建物であっても、予防的な意味から火災報知器が設置されていることもあります。
火災警報器と火災報知器に関する法律的な位置づけ
住宅用火災警報器は、設置から10年を目安に交換が必要です。交換作業は状況によっては入居者自身でも行えることがあり、費用は1台あたり3,000円前後が目安です。ただし、費用負担は原則として家主サイドとなりますが、特約などで別の定めがあるときは、その定めに従うこととなります。
一方、火災報知器(自動火災報知設備)は消防法によって定期的な点検が義務付けられています。賃貸マンションやアパートでは、6ヶ月ごとに機器点検、1年ごとに総合点検を実施し、3年に1度は消防署への報告が必要です。これらは専門業者が行う必要があり、点検にかかる費用は家主の負担となります。
出典:総務省消防局「消防用設備等点検報告制度とは」
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/items/prevention001_19_hutekisetsu_leaflet.pdf
誤作動した「火災警報器」「火災報知器」の止め方

火災警報器や火災報知器が鳴ることはありますが、実際は誤作動であることが多いのも事実です。しかし、絶対にやってはいけないことがあります。それは、「100%火災ではなく、これは誤報だ」と確信を得るまで、勝手な対応はすべきではない、ということです。
外から炎が見えない場合でも、壁の内部や別の部屋で火災が発生していることがあります。「どうせ誤作動だろう」という思い込みが避難の遅れにつながったケースも、実際に報告されています。
まず建物内に火の気がないかを目と鼻で確認し、少しでも不安があれば迷わず119番や管理会社・家主さんへ連絡してください。その上で誤作動と確信できる場合に限って、以下の手順で対応してください。
【火災警報器】本体のボタンを押す、もしくは本体から出ている紐を引く
各部屋に設置されている住宅用火災警報器が鳴っている場合は、本体のボタンを押すか、本体から垂れている紐を引くと警報音が止まります。メーカーや機種によって操作方法が異なるため、入居時に渡される取扱説明書をわかりやすいところに置いておくと安心です。
現場でよく見られるのが、押し入れの天井に取り付けられた火災警報器の誤作動です。荷物の出し入れをしているときに誤って本体に触れてしまい、警報が鳴り出してしまうケースです。この場合は、ボタンを押すか紐を引けばすぐに止まります。
もうひとつ多いのが、電池切れによる警報音です。電池残量が少なくなると、住宅用火災警報器は本格的に電池が切れる前に「ピッ」という短い音を定期的に鳴らして知らせます。この音は約1時間おきに繰り返されるほか、深夜に突然鳴り始めることも多く、入居者の方からの問い合わせが特に多い事例のひとつです。実際にかなりの音量で、隣室や共用部から聞こえることも珍しくありません。
電池切れの場合は、応急処置として電池を抜くと一時的に止まります。ただし、電池を抜いたままにすると火災を感知できなくなりますので、早めに新しい電池を購入して交換してください。
費用負担の原則は家主側ですので、管理会社または家主へすぐに連絡することをお勧めします。対応の早い管理会社であれば在庫を準備していますので、すぐ交換に来てくれるでしょう。
【火災報知器】「音響停止」ボタンを押す
マンションやアパートの共用廊下などに設置されている受信機の「音響停止」ボタンを押すと、建物全体への警報音を一時的に止めることができます。
ただし、自動火災報知設備は専門的な設備であり、操作を誤ると復旧が困難になることがあります。入居者の方が独断で操作することはお勧めできません。まずは管理会社または家主に連絡し、指示を仰いでください。
消防署への通報が入った場合は、消防士が現場で対応してくれますので、その指示に従いましょう。また管理実務では、管理会社と消防署が連携して受信機のリセット対応にあたるケースも多くあります。
火災報知器は火災を感知してから、自動的に警備会社などへ発報されるケースもありますし、現地で報知器が鳴ったまま、というケースもあります。どのような警備体制・連絡フローになっているかは入居者はわかりませんので、やはり家主さんや管理会社、必要に応じて消防へ連絡することが望ましい対応です。
なお、これら火災報知器は、住宅内の火災警報器と連動していることがあります。住宅内にある火災警報器の受信機能は、主にモニター付きインターフォンに備わっていることがほとんどです。
防犯面や防災面が気になる人は、モニター付きインターフォンが設備として設置されている賃貸物件を選ぶとよいでしょう。
火災警報器・火災報知器の誤作動を止めるときにしてはいけないこと
警報音を止めたい一心だけで行動してしまうと、思わぬトラブルを招くことがあります。また、音を止めたことにより他の入居者や物件の利用者を危険にさらすことにもなりかねません。以下の行動は、絶対に避けてください。
根拠なく「誤作動」と判断すること
煙や炎が見えないからといって、火災でないと断言することはできません。マンションの場合、別の住戸や共用部で発生した火災に連動して、自室の警報器が鳴ることもあります。「どうせ誤作動だろう」と決めつけて避難を遅らせることは、絶対に避けておくべきポイントです。
外部から炎が確認できない状況でも、実際に火災が進行していた事例は数多く報告されています。警報音が鳴ったら、まず火の気がないかを確認し、少しでも不安があれば速やかに避難・通報してください。
いずれにしても、自分だけの判断で「誤作動」と結論づけることは、命に関わるリスクをはらんでいます。絶対にやめましょう。
火災警報器(宅内)は無理やり引きちぎらない
警報音を止めようと、天井に固定されている本体を強引に引きはがそうとする方がいます。しかし、住宅用火災警報器はビスで天井にしっかりと固定されているため、無理に引きはがすと天井のクロスが剥がれたり、下地が破損したりすることがあります。
そうなると、退去時に原状回復費用として請求されるケースもありますので、絶対にやめておきましょう。警報音を止める場合は、必ずボタン操作または紐を引く方法で対応してください。
火災警報器が鳴っているときも、無理に触らず家主さんや管理会社へ相談のうえ、対応をお願いするか、指示を仰ぐと後々のトラブルを防止することができます。
なお、火災のリスクが気になるという人は、ガスではなくオール電化の物件を選ぶという選択肢が有効です。やはり火の出所はキッチンであることが多いため、そもそも火を使わないオール電化であれば、それだけ火災リスクを減らすことができるでしょう。
火災警報器・火災報知器が誤作動する原因と防ぎ方

火災警報器や火災報知器は火事から身を守るための重要な設備ですが、その重要さゆえにちょっとしたことでも誤作動を起こしてしまうことがあります。
誤作動が繰り返されるその原因を把握しておき、その対策を知っておくことで、不要な警報音を未然に防ぐことができます。
エアコンによる気温の変化
熱を感知するタイプ(熱式)の火災警報器は、急激な温度変化に反応することがあります。エアコンの吹き出し口に近い場所に設置されていると、冷暖房の風が直接あたって誤作動を起こしやすくなります。
消防法の基準では、火災警報器の設置場所はエアコンから1.5メートル以上、壁から60センチメートル以上、照明器具から30センチメートル以上離すことが定められています。
また、自分でエアコンや照明器具を設置するときなどは、火災警報器との位置関係に気を付けておくと良いでしょう。
そのため、ごく稀にですが、火災警報器が消防法の設置位置基準を満たしていない箇所に設置されていることがあります。設置位置がこの基準を満たしていない場合は、家主や管理会社に相談してください。
ほこりなどの付着によるもの
煙を感知するタイプ(煙式)の火災警報器は、内部にほこりがたまると誤感知を起こすことがあります。定期的に乾いた布や掃除機で表面のほこりを取り除くと、誤作動を防ぎやすくなります。
ただし、本体を分解してのお手入れはメーカーが推奨していません。あくまで外側のみにとどめておくのが無難です。
結露や水気によるもの
浴室や台所に近い場所では、湿気や結露が原因で誤作動が起きることがあります。水蒸気が感知器の内部に侵入し、煙と誤認識してしまうためです。
この場合は、換気を十分に行い、設置環境の湿度管理に気をつけることでしか防ぐことはできません。
十分な対策をしているにも関わらず誤作動が治まらないときは、設置場所の移設などを家主さんや管理会社にお願いしてみるのも一つの方法です。
燻煙剤や殺虫スプレー、整髪スプレーなどによる異物感知
くん煙タイプの害虫駆除剤を使用する際には、事前に火災警報器に専用のカバーをかけるか、ビニール袋で覆うことが必要です。
また、整髪スプレーや殺虫スプレーも、大量に噴射すると感知器が反応することがあります。使用前後は窓を開けてしっかり換気するように心がけてください。
本体の経年劣化・電池などの消耗
住宅用火災警報器の交換目安は設置から10年です。それ以上経過した機器は、電子部品の劣化により誤作動を起こしやすくなります。
また、電池の消耗が進むと10年を経過する前であっても、前述のとおり定期的な警報音が鳴り始めます。設置から10年を超えている場合は、早めに家主または管理会社に交換を依頼してください。
また、室内にいくつか火災警報器があるときは、一つが電池切れによる警報音が鳴ると、すべての火災警報器を交換することがほとんどです。なぜなら、どの部屋のどの火災警報器をいつ交換したか、というマイクロな管理をすることが現実的ではないですし、一括で交換対応した方が結果的にコストも安くなるからです。
火災警報器(火災報知器)が誤作動か本当の火事を知らせているのかを見極めた上で止めよう
住宅の各部屋に設置されている火災警報器(住宅用)と、集合住宅の共用部に設置されている火災報知器(自動火災報知設備)は、仕組みも対処法もまったく異なります。誤作動時にはまず火の気がないかを確認し、安全を確かめてから適切な操作で警報音を止めることが基本です。
また、再三ですが、「どうせ誤作動だろう」という思い込みは、最も避けるべき行動です。一方で、正しい知識を持っておけば、いざというときにパニックにならず落ち着いて対処できます。この記事で紹介した止め方やNG行動を、ぜひ参考にしてください。
誤作動が繰り返される場合や原因がわからない場合は、自己判断で対応しようとせず、必ず管理会社または家主さんに相談するようにしましょう。





