賃貸物件に住むと、家賃の支払いが発生します。家賃の支払いを忘れると延滞金が発生し、最悪の場合は強制退去となってしまいます。そのため、家賃の支払い忘れを防ぐことが重要です。
また、家賃は最低でも数万円、10万円以上を支払っている方も珍しくありません。金額が大きいため、少しでもお得に家賃を支払いたいと考える方も多いでしょう。
今回は、複数ある家賃の支払い方法について解説します。それぞれの特徴や注意点を理解することで、家賃に関する悩みが軽減されるため、ぜひ参考にしてみてください。
家賃の主な支払い方法
まず、家賃の主な支払い方法を5種類ご紹介します。
・振込
・自動引き落とし(口座振替)
・現金払い
・クレジットカード払い
・コンビニ払い
それぞれ簡単に解説するので、特徴や違いを整理してみましょう。
振込
家賃の支払い方法の1つ目は、振込です。指定された口座に毎月家賃を振り込むだけなので、簡単です。振込を毎月行う手間はありますが、自宅や職場の近くの銀行・ATMから家賃を支払えます。家賃の支払い方法として、主流なものの1つです。
自動引き落とし(口座振替)
家賃の支払い方法の2つ目は、自動引き落とし(口座振替)です。毎月決まった日に、指定の口座から家賃が自動的に引き落とされる支払い方法です。
口座にお金さえ入っていれば、家賃の支払い忘れがない点で、貸主にも借主にもメリットがあります。一方で、口座残高が不足している場合は家賃を支払えないので、意図せず家賃を滞納してしまうリスクもあります。
現在、自動引き落とし(口座振替)と振込が主流な家賃の支払い方法です。
現金払い
家賃の支払い方法の3つ目は、現金払いです。大家さんや管理会社に、直接現金で支払う方法になります。手渡しなので手数料がかからない点は魅力です。しかし数万円、10万円以上の現金を持ち運ぶ必要がある点から、安全面の心配があります。
そのため、現在では現金払いがあまりなく、振込や自動引き落としが一般的です。
クレジットカード払い
家賃の支払い方法の4つ目は、クレジットカード払いです。クレジットカードなので、支払い方法は自動引き落としに近いイメージです。その月に口座残高が不足していても、クレジットカードの引き落とし日までにお金を用意できれば問題ない点は、メリットと言えます。
一方で、クレジットカード払いを受け入れている物件や管理会社は、まだ少ない印象です。ポイントを貯めたい方や、生活に関わる支払いをクレジットカードにまとめたい方には、魅力的な支払い方法と言えるでしょう。
コンビニ払い
家賃の支払い方法の5つ目は、コンビニ払いです。振込用紙が届くので、支払い期限までに家賃を支払います。税金をコンビニで納めるイメージに近いです。振込用紙が届くタイミングは物件によって異なりますが、期日の約1週間前までには届くでしょう。
コンビニに行く必要はあるものの、多くの方の家や職場の近くにコンビニはあると思いますので、利便性は高いと言えます。
振込のメリット・注意点
ここからは、5種類の支払い方法をそれぞれ深掘りしていきます。まずは、振込のメリット・注意点から見ていきましょう。
振込のメリット
振込のメリットは、以下の2点です。
・いつでもどこでも利用できる
・書類の作成・記入をする必要がない
いつでもどこでも利用ができる
ネットバンキングを利用できる方であれば、いつでもどこでも家賃を支払えます。ギリギリになって家賃の払い忘れに気が付いた場合でも、スマホやパソコンから5分もあれば家賃を支払える点はメリットです。
書類の作成・記入をする必要がない
ATMやネットバンキングであれば、書類の作成・記入の必要がありません。ATMを利用する場合でも、キャッシュカードに振込先を記録できることが多いため、2回目以降は手間が少なくなります。
振込の注意点
次に、振込の注意点についてです。具体的には、以下の3点です。
・手間がかかる
・支払い忘れが生じるリスクがある
・振込手数料がある
手間がかかる
メリットに手間が少ないと挙げたものの、少なからず振り込みに手間がかかる点はデメリットです。後述する自動引き落としやクレジットカードと比較すると、相対的に手間がかかってしまうためです。
支払い忘れが生じるリスクがある
振込は自動で行われるものではないため、支払い忘れのリスクもあります。支払うつもりがあったにも関わらず、日々の忙しさから、家賃の支払いを忘れてしまう可能性は十分に考えられます。基本的に、大家さんや管理会社からの通知はないため、ご自身で管理が必要です。
振込手数料がある
振込手数料がかかる点もデメリットです。手数料が借主負担であれば、毎月数百円〜千円弱を負担する必要があります。
自動引き落とし(口座振替)のメリット・注意点
次は、自動引き落とし(口座振替)です。便利な反面、注意点もありますので、ご確認ください。
自動引き落とし(口座振替)のメリット
メリットは、以下の3点が挙げられます。
・口座にお金を入れておけば自動的に引き落とされる
・手数料が安く設定されている場合が多い
・手数料が貸主負担の場合もある
口座にお金を入れておけば自動的に引き落とされる
最も大きなメリットは、家賃の支払いが自動で終わる点です。口座にお金が入っていることは前提ですが、スマホやパソコンを操作したり、ATMやコンビニに足を運んだりする必要はありません。お給料が振り込まれる口座と、家賃の引き落とし口座が一緒であれば、残高を気にしなくて済む人もいるかもしれません。
手数料が安く設定されている場合が多い
ほかの支払い方法と比較して、手数料が安く設定されている場合が多い点もメリットです。当然、手数料が安いほうが手元の自由に使えるお金が増えるため、手数料が安いに越したことはありません。
手数料が貸主負担の場合もある
すべての物件ではありませんが、手数料が貸主負担、つまり借主側からすると手数料無料のケースもあります。
自動引き落とし(口座振替)の注意点
自動引き落とし(口座振替)の注意点は、以下の4点です。
・管理会社から引き落とし口座を指定されるケースがある
・口座振込依頼書の記入押印が必要
・数ヶ月は振込による家賃支払いが必要な場合がある
・残高不足に気が付きにくい
管理会社から引き落とし口座を指定される場合がある
物件にもよりますが、管理会社から引き落とし口座を指定されるケースがあります。指定された銀行の口座があれば良いものの、ない場合は新規開設する必要があります。生活費の引き落とし口座をまとめたい方にとっても、デメリットと言えるでしょう。
口座振込依頼書の記入押印が必要
自動引き落としを開始するためには、口座振込依頼書の記入押印が必要です。金融機関への提出は、管理会社が行ってくれる場合が多いですが、書類作成の手間はあります。
数ヶ月は振込による家賃支払いが必要な場合がある
口座振替依頼書を提出してから、数ヶ月間は振込による家賃支払いが必要なケースもあります。自動引き落としを開始するための手続きに、時間がかかってしまうことが原因です。初月から自動引き落としだと勘違いしてしまうと、意図せず家賃滞納となってしまう危険性があるので、注意してください。
残高不足に気が付きにくい
口座残高にも注意が必要です。口座残高が不足していると、家賃が引き落とされないため、意図せず家賃を滞納してしまいます。支払い日が近くなったら、口座残高を確認する習慣をつけることをおすすめします。
現金払いのメリット・注意点
次に、現金払いのメリット・注意点についてです。
現金払いのメリット
現金払いのメリットは、次の2点です。
・手数料がかからない
・確実に支払える
手数料がかからない
家賃分の現金を手渡しするため、手数料がかかりません。
確実に支払える
金融機関やクレジットカードなどの機械を使わないため、エラーによる支払い漏れの懸念がない点もメリットと言えます。
現金払いの注意点
現金払いの注意点は、主に以下の3点です。
・スケジュール調整が必要
・現金を持ち歩く必要がある
・支払い証明をもらう必要がある
スケジュール調整が必要
現金を手渡しする関係で、大家さんとのスケジュール調整が必要です。忙しい方の場合、スケジュール調整が難しいため、期日までに支払えるよう調整に苦労するかもしれません。
現金を持ち歩く必要がある
現金を持ち歩くこと自体にも、注意が必要です。家賃は物件にもよりますが、10万円近くの現金を持ち歩く必要が出てきます。大家さんが同じ物件に住んでいるケースもあるかもしれませんが、それでも一定額以上の現金を持ち歩くことに抵抗がある方もいるでしょう。
支払い証明をもらう必要がある
現金払いの最も大切な注意点は、支払い証明をもらう必要があることです。もらい忘れてしまった場合、将来的にトラブルが発生した際に、家賃を支払った証明ができません。そのため、必ず受領書のような家賃を支払ったことが証明できる書類をもらい、大切に保管しましょう。
クレジットカード払いのメリット・注意点
クレジットカード払いのメリット・注意点について解説します。
クレジットカード払いのメリット
クレジットカード払いのメリットは、以下の5点です。
・ポイントが貯まる
・振込の手間がない
・家賃の払い忘れを防げる
・支払うタイミングをズラせる
・家計管理がしやすくなる
ポイントが貯まる
一番のメリットは、家賃でポイントが貯まる点です。ポイントが貯まれば実質割引と言えるため、できればクレジットカード払いができる物件が良いという方もいるかもしれません。家賃10万円でポイント還元率1%であれば、毎月1,000ポイント、年間12,000ポイント貯まる計算になるため、かなり大きいといえます。
振込の手間がない
クレジットカードなので、振込の手間がかかりません。
家賃の払い忘れを防げる
自動引き落としのように、残高不足による支払い忘れもありません。
支払うタイミングをズラせる
家賃の支払いが行われる日と、クレジットカードの利用料金が引き落とされる日は異なります。そのため、家賃の支払い日に資金がなかったとしても、家賃を支払えます。
家計管理がしやすくなる
1つのクレジットカードで、家賃や光熱費、食費などの決済を行うと、家計管理がしやすくなります。
クレジットカード払いの注意点
クレジットカード払いの注意点は、次の4点です。
・利用できるクレジットカードが限定されている
・ポイント対象外のケースがある
・利用限度額にひっかかる可能性がある
・クレジットカードの更新を忘れると家賃滞納となる
利用できるクレジットカードが限定されている
物件によっては、利用できるクレジットカードが限定されているケースがあります。そうなると、普段使わないクレジットカードを使用する、あるいは新規発行する必要があるため、注意が必要です。
ポイント対象外のケースがある
家賃の支払いが、ポイントの対象外となるケースもあります。そうなるとメリットが弱くなるため、事前に確認が必要です。
利用限度額にひっかかる可能性がある
クレジットカード払いをする際は、利用限度額にも注意が必要です。利用限度額が低い場合、家賃の支払いができない場合があったり、ほかの支払いができなくなったりするリスクがあります。
クレジットカードの更新を忘れると家賃滞納となる
クレジットカードは、数年に1度更新があります。更新の手続きをご自身で行うケースもあり、忘れてしまうと滞納につながります。
コンビニ払いのメリット・注意点
最後に、コンビニ払いのメリット・注意点についてです。
コンビニ払いのメリット
コンビニ払いのメリットは、次の2点です。
・利便性の高さ
・クレジットカードや銀行口座が不要
利便性の高さ
生活圏や職場の近くに、コンビニがある方は多いでしょう。加えて、コンビニは24時間365日営業しているお店が多いため、好きなタイミングで家賃の支払いが可能です。
クレジットカードや銀行口座が不要
クレジットカードや銀行口座を使用した家賃の支払いに抵抗があり、かといって手渡しで現金を持ち歩くのも怖いという方にとって、コンビニ払いは魅力的です。
コンビニ払いの注意点
コンビニ払いの注意点は、以下のとおりです。
・振込用紙の管理が必要
・支払い忘れがある
振込用紙の管理が必要
振込用紙を使用して家賃の支払いを行うため、振込用紙の管理が重要です。家に届いた振込用紙を紛失すると、期限に間に合わない危険性があります。
支払い忘れがある
自動引き落としやクレジットカード払いとは異なり、毎月家賃を支払う行為が必要です。期限が経過した振込用紙はコンビニで利用できないため、支払い忘れてしまうとすぐに家賃を支払えないケースもあります。
もし、誤って支払い期限を超過してしまった場合は、大家さんや管理会社にすぐ連絡するようにしてください。
家賃の支払い方法を自分で選べる?
家賃の支払い方法として5つご紹介した中で、できればこの方法がいいと考える方もいるでしょう。しかし、原則として、家賃の支払い方法を借主は選べません。貸主側から指定された方法で、家賃を支払うことになります。
ただし、家賃の支払い方法を複数提示されている場合は、その中から好きな支払い方法を選択できます。
もし入居したい物件に自動引き落としサービスがない場合は?
人によっては、家賃を自動的に引き落とせる口座振替を希望するかと思います。しかし、入居した物件が対応していない場合、ほかの方法で家賃を支払わなければなりません。
現在は、口座振替と振込が主流な家賃の支払い方法となっています。振込の物件であれば、擬似的に口座振替にすることも可能です。
金融機関のサービスの1つに、自動送金があります。これは、毎月あらかじめ指定した日に、指定額を送金できるサービスです。自動送金のサービスを利用することで、擬似的に口座振替と同じ支払い方法にできます。
ただし、手続きは借主がしなければならない点や手数料がかかる点、退去後に解約手続きが必要な点など、注意点もあります。
お得に家賃を支払う方法
最後に、お得に家賃を支払う方法について解説します。ただし、家賃自体が安くなるわけではない点に注意が必要です。
ポイントが還元されるクレジットカードを利用する
1つ目は、ポイントが還元されるクレジットカードを利用することです。還元率に応じて毎月ポイントを得られるので、ポイント分はお得に家賃を支払えます。
振込先と同じ銀行口座を利用する
家賃の支払い方法が振込の方は、振込先と同じ銀行口座を利用するのがおすすめです。基本的には、同じ銀行同士であれば、振込手数料が安く設定されています。
以下の表は、メガバンクのATMでの振込手数料をまとめたものです。
同行宛 | 他行宛 | |
---|---|---|
みずほ銀行 | 220円 | 330円 |
三井住友銀行 | 110円 | 330円 |
三菱UFL銀行 | 110円 | 275円 |
このように、振込先と同じ銀行口座を利用すると、手数料の負担を減らせます。
ネット銀行を利用する
同じ手数料に関して、ネット銀行の利用もおすすめです。ネット銀行の場合、そもそも手数料が安く設定されていたり、利用状況に応じて手数料が無料で振込できたりする場合があります。
以下、一部のネット銀行における他行宛の手数料をまとめます。
他行宛 | |
---|---|
楽天銀行 | 145円 |
住信SBIネット銀行 | 77円 |
au自分銀行 | 99円 |
このように、振込手数料が安いため、ネット銀行の利用に抵抗がない方にはおすすめです。
大家さんに現金で手渡す
大家さんに直接現金で手渡す方法も、お得な場合があります。直接手渡しする関係で、大家さんとのコミュニケーションが生まれるため、良好な関係を構築できると、トラブル相談や家賃交渉がしやすくなります。
すぐお得になるわけではありませんが、もしものときに、大家さんといい関係が構築できていることがプラスに働く可能性がある点でお得です。
上記のお得に家賃を支払う方法だけでなく、相場よりも家賃が安い物件を探すことを視野に入れてみるのもおすすめです。
家賃の支払い方法まで確認したうえで入居を決めよう
家賃の支払い方法には5種類あり、現在の主流は振込と自動引き落とし(口座振替)です。それぞれにメリット・注意点があるため、人それぞれ希望の支払い方法があるかと思います。しかし、家賃の支払い方法は物件ごとに決まっていて、基本的に借主側は選べません。支払い方法にこだわりたい方は、入居前に家賃の支払い方法を確認する必要があります。
特にクレジットカード払いは、振込や口座振替と比較して対応している物件が少ないです。家賃でポイントを貯めたい方は、事前に必ず確認するようにしましょう。