毎年、台風による災害のニュースをよく聞きます。その度に、台風への対策を考える人は多いのではないでしょうか。
突然の台風の接近に備えるため、適切な準備をすることは非常に重要です。台風が近づく前に、家や周囲の環境を安全に保つための対策や備えを行うことで、被害を最小限に抑えることができます。
この記事では、台風に備えるための有益な情報や具体的な準備の方法についてご紹介します。台風の襲来に備え、あなたの大切な人の命と自宅を守りきれる人になりましょう。
台風対策の準備①:必要なアイテムや道具、備蓄を用意しておく
台風対策の準備ですべきことは3つあります。
1つ目は備蓄(避難する場合は避難場所で過ごすための持出品)です。2つ目は、自宅を守ること。屋外の持ち物が飛んでくる恐れ、網戸のガタつきなどによる破損にも注意が必要です。3つ目は、気象情報などの情報を入手しつづけることです。
水と食糧、薬の用意を必ず行う
台風による災害は、暴風により広範囲に被害が出ます。その場合、避難場所に行っても、物流状態によって食料品や物資が届かない可能性がありますので、防災グッズは必ず持っていきましょう。
最も必要なものとしては、水や食料、薬、トイレが挙げられます。世帯別に準備する目安の量は、以下のとおりです。
■【世帯別】準備すべき水の量
一人暮らし | 15リットル ※500ml 30本 |
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二人世帯 | 30リットル ※500ml 60本 |
三人世帯 | 45リットル ※500ml 90本 |
四人世帯 | 60リットル ※500ml 120本 |
<注意点>
・赤ちゃん・子ども用に配慮
・高齢者はとろみのある水分
■【世帯別】準備すべき食料の量
一人暮らし | 15食 |
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二人世帯 | 30食 |
三人世帯 | 45食 |
四人世帯 | 60食 |
食料例 | シリアルバー・シリアル・アルファ化米・クラッカー・カップラーメン タンパク質(魚肉ソーセージ・缶ハム・燻製卵・缶詰・するめ) おやつ(ゼリー飲料・羊羹・フルーツ缶・チョコレート・スナック) 味を変えるもの(ツナ缶・コーン・海苔・ひじき・ふりかけ・梅干し) スープの素・常温食カレー・青汁・ナッツ・ドライフルーツ、芋・おつまみ |
<注意点>
・甘味や塩味など味をそろえる
・火を使わないもの・冷凍庫から出したもの
・長期戦に耐えるために、温かいものが必要
・カセットコンロや、野外炊飯スキルが必要
■準備すべき薬の量
常備薬 | 10日分以上(自宅避難した後に避難所へ行くことなどを考慮) ※日ごろから有事に処方を多めに出してもらえるよう話しておく |
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市販薬 | 必要な薬を1箱分 |
<注意点>
・避難したら必要な薬を受付やまとめ役に伝える
・市販薬は避難所ではもらえないことがあるため用意する
それぞれの項目を詳しく解説していきます。
水
飲み物は水だけでなく、飲料水全般で考えましょう。お子さまや高齢者などは、飲みやすく、いつも飲んでいるものを揃えることをおすすめします。赤ちゃんはミルクが必要になるので、カセットコンロが必要になることがあります。それが難しい方は、必ず液体ミルクの練習をし、使い捨て哺乳瓶を用意しましょう。住宅を選ぶ際には、ガスが使える物件を視野に入れるのもいいですね。
備える量としては、1日1人3リットルの水分が必要という点を目安にしましょう。最低でも5日分の準備は欲しいところです。以前購入して消費期限が切れた水は、洗い物やトイレを流すのに使えるので念のため保管しておきましょう。
もし水が必要になった場合は、給水車が避難所に伺うことがあります。避難所へ水を汲みに行く際は、水を入れたあとの重さも加味し、持てる大きさの給水タンクを用意しましょう。鞄に大きなゴミ袋を入れて運べますが、状況はかなり切迫しているので、こぼれないように水筒・大きいタッパーなども利用しましょう。
食料
缶詰などを詰める人が多いと思いますが、加熱しなくても良いものやお湯を入れて作れる温かいスープ、疲れをとるための甘いもの(ゼリーやチョコレートなど)も備蓄しておくことをおすすめします。
台風の場合は、進路がそれる、速度が遅くなることを考えて、最低4~5日分の準備が必要になります。初日は、冷蔵庫や冷凍庫の中のものを加熱して食べることが重要です。
薬
普段飲んでいる薬がある人は、台風前に病院へ診察し、多めに出してもらえるかどうか相談しましょう。お薬手帳やリストがあると、避難したときも便利ですね。市販薬は予備を買っておき、入れ歯など体に付けるものがある方は、清潔に使用できるように除菌シートなども用意しておきましょう。
窓を守るアイテムを用意する
台風災害で多いのは、窓の被害です。被害がひどいと、室内にカビが生えてくるので、対策が必要です。
広範囲で被害があると、すぐに職人さんの手配ができなくなり、修理を待っている間に再度の雨が降り注ぐ事態も予想されます。ブルーシートで屋根や窓を覆うなど、応急処置が必要です。
ブルーシート
窓が割れると、カーテンがずぶ濡れになり、ガラスのない部屋で一夜を明かすことになります。窓より大きめのブルーシートで、外と家の中をシートで遮りましょう。
災害が起きた後には、ブルーシートが売り切れることが続きます。できれば厚みが「#2000」か「#3000」のものを選び、3.6m×5.4mほどある大きいブルーシートにしましょう。
飛散防止テープ
最近はホームセンターなどで、窓ガラスの飛散防止テープが販売されています。養生テープやガムテープで代用する方もいますが、専用テープで米の字を書くように意識しながら貼るのがおすすめです。
段ボールで窓ガラスを塞ぎ、端をガムテープで留めておくことでも、多少は被害を軽減できるかもしれません。
もし窓ガラスが割れてしまったら、カーテンを必ず閉めておきましょう。
飛散防止フィルム
飛散防止フィルムを貼っておくと、破片が飛び散らないという効果があります。インターネットやホームセンターなどで購入できます。
貼るときには、ガラスをきれいに拭き、洗剤と水を混ぜた水溶液を吹きかけたのちに貼る方法が一般的です。フィルムとガラスの間に発生する熱によってガラスが割れることもあるので、割れる可能性が少ないUVカット仕様がおすすめです。
家の中への逆流や浸水を予防するアイテムを用意する
台風のときに意外と盲点になるのが、自宅の配水口です。断水時や地下の配水管が壊れた場合、下水が逆流してくることがあります。排水処理する設備にも限界があるので、雨量が1時間に70mm以上になると、危険がそこまで来ていると思ってください。
お風呂の排水口から、茶色い水が上がってくるのは想像したくないですよね。防ぐために、具体的にできる対策を考えてみましょう。
ゴミ袋水嚢(すいのう)
自宅にある大きいビニール製のゴミ袋で水嚢(すいのう)が作れます。水嚢を作った後に持ち運ぶのは大変なので、置く予定の場所で作るのがおすすめです。
ビニールを2重にして水を入れ、下水が流れていく排水口の上すべてに置いてください。例えば台所、トイレ、お風呂、洗濯機の蓋の上、トイレなどの排水口、一戸建ての場合は外の換気口前にも置いておきましょう。
マンションでも排水管から水がこぼれることはありますので、注意してくださいね。
ハザードマップ(被害度を予測した地図)
家の隙間から少しずつ浸水する可能性もあります。洪水のリスクが高い地域に暮らしている場合は、ベランダや窓のサッシの詰まりなども取り除いておきましょう。
テープで目張りする方もいますが、少しの隙間からも侵入できるのが水の特徴です。ポイントとしては、洪水のリスクを知ることが挙げられます。
ハザードマップを見ると、自宅のリスクがわかります。国土交通省の重ねるハザードマップでは、災害の種類によるリスクがわかるようになっていますので、確認してみてください。
止水版
家の周りも守る必要がある場合は、止水板の利用もおすすめです。
設置する場合は、つなぎ目やコーナーからの浸水を防げるように、工夫して設置する必要があります。水は低い方へ流れるので、住宅を選ぶ際には周りの家より低い場所には住まないことも大切です。
情報を入手するための手段やアイテムを用意する
災害時に情報を入手できないときは、とても不安になります。自分の心を安定させておくためにも、情報入手の手段は確保しましょう。
スマホとバッテリー
情報を入手するための手段として、スマホは必要不可欠です。スマホを使用するためは電力が必要なので、乾電池で充電できるバッテリーや車のUSBポート、シガーソケットに変換器を使用することで電力不足を補うことができます。
また太陽光で充電できる充電器を用意すれば、周囲の人々への助けへとなるかもしれません。
手回しラジオ
災害時は、テレビのニュースと同じ情報を提供してくれるため、充電可能な手回しラジオや充電できるタイプのラジオを用意しておきましょう。
特に、スマートフォンの充電もできるUSB機能が付いているラジオを選ぶのがおすすめです。手回しラジオを選ぶ場合は、1分の手回しで約50~60分の再生時間が可能なものが主流になっています。
さらに、スマホにラジオを聴くためのアプリをインストールすることもできますので、普段からインストールしておくことで二重の備えとなります。
自治体や防災アプリ
大きな被害が起きた場合に、アプリで被害を知ることが可能です。インターネット上から情報を拾うより、電池の節約になります。自治体のアプリのダウンロードやSNSをフォローしておくのもおすすめです。
また自治体の支援場所や、物資配給場所もわかるようになります。住宅を選ぶ際には、災害時の避難場所を調べておくと、非難する際にスムーズです。必要ないアプリの通知は消して、電池を長持ちさせましょう。
万が一の停電に備えたアイテムを用意する
台風到来で停電してしまうことも稀にあります。停電してしまった場合を想定して、備えておくと良いアイテムをあらかじめ準備しておきましょう。
発電機
発電機の種類は豊富です。かつてのような騒音を伴う発電機だけでなく、家庭で手軽に利用できる静音性のものも増えています。ガスやガソリンを燃料とするものもありますが、台風などの災害が予想される場合は事前に充電しておきましょう。
なお、発電機は大きくて置き場所に考慮しておく必要があります。例えば、ウォークインクローゼットに耐用年数が見える方向で置いておくことで、服を選ぶ際に交換のタイミングに気づきやすくなります。
寒暖対策用品
寒暖対策用品として、USB充電式の扇風機やうちわ、レッグウォーマー、ネックウォーマーもおすすめです。最近では、USB充電式のウォームベストやひざ掛けもあります。これらはホームセンターやネットでも手に入りますので、充電池と一緒に準備しましょう。また、この電池はスマホの充電にも使用できるので、一石二鳥です。
懐中電灯やヘッドライト
停電時には、懐中電灯やヘッドライトが必要ですので、あらかじめ用意しておきましょう。乾電池式のものもあわせて購入することをおすすめします。LEDタイプの方が明るくて軽量ですので、昔の懐中電灯からLEDタイプに切り替えることも検討してみましょう。
台風対策の準備②:家の外の備えを行う
家の外に、風で飛ぶものや転がるものを置いていませんか?側溝が詰まって、道路に流れでた雨水が住宅内に侵入することもあります。また、自宅の外にある家財に保険がかかっているかを確認してください。賃貸住宅の場合も必ず確認し、保険に加入しておきましょう。
とくに、室外機は罹災(災害における被害)した場合、保証があるのかどうかわからない地方自治体の方もいますので、焦らず調べてもらいましょう。
室外機の台風対策とその備え
強い風が当たる場所に室外機がありませんか?室外機に強い風が当たっているときにエアコンを使うと、故障の原因になります。
また台風の風雨が激しいと、室外機が倒れたり破損したりする可能性があります。対策を行うことで、機器の損傷や故障を防ぐこともできるので、台風に備えて室外機に関する対策を行いましょう。
カバーを取り付ける
専用カバーを取り付ける方法です。室外機をすっぽり覆う撥水加工のもので、汚れを防ぐこともできます。
また、手元にあるビニールシートなどを使用してカバーをするなど、できる範囲で対策を行うことが重要です。エアコンを運転しないようにし、エアコンのリモコンは家族の目の届かないところへ置いておきましょう。
しっかり固定する
室外機の事故には転倒や落下が多いものです。賃貸物件にお住まいの場合でも、事前に確認し、管理会社に固定してもらうように頼みましょう。注意を怠ると、室外機が倒れたり風で吹き飛ばされたりする危険があります。ベランダにブロックを足台にしている場合は、ブロックの状態をチェックしましょう。
自分で室外機を固定する必要がある場合は、直接基礎部分に固定するか、専用の固定用金具を使用して固定することをおすすめします。これによって安定性を確保できます。
移動させる
風の強い場所にある場合は、自分で移動させましょう。
ただ、専門家に頼める場合には、自分で行うのは控えるべきです。とくに、賃貸住宅の場合には勝手に移動できない場合がありますので、必ず管理している方に問い合わせる必要があります。冷媒配管が壊れるとガスが漏れ、事故につながってしまうこともあります。
電源を切る
実は、室外機はリセットボタンがないものが多いのですが、室外機だけ回ってしまっていることも多くあるようです。
電源コンセントは、付いているものとないものがあります。コンセントがない場合、手が届かない場合などには、ブレーカーをオフにすることで室外機の電源を切ることが可能です。
メーカーの説明書などを読んで、確実に実行するようにしましょう。説明書がない場合は、ネットで検索できます。
ただし、再起動には専門家に確認が必要な場合や、賃貸物件の場合は勝手に電源を切れない可能性があるので注意が必要です。
家周辺の側溝の台風対策とその備え
マンションや自宅近くの大小の側溝ですが、その先が暗渠(あんきょ)になっているものや、L字に曲がっているものがあります。先が見えない場合は、時にこまめな掃除が必要です。また防止のためのグッズも販売されていますので、高齢のご両親のお宅などに取り付けてあげてください。
落ち葉や枯れた草を取り除く
側溝は、自宅近くの雨水をスムーズに排水してくれる重要な役割を果たしています。これにより、自宅が水没することを防いでいます。まずは定期的な掃除をし、葉っぱや小さなごみ、硬く詰まった土などを取り除きましょう。
掃除が難しい場合は四角いスコップなどを使ってすくい上げる方法があります。とがったものを使って詰まりをほぐしてからすくい上げると、より効果的です。ヘラやスクレイパーもおすすめです。草が生えているのも抜いておき、自治体の指示にしたがって廃棄しましょう。
ガタつきやズレの修理を行う
側溝の蓋のガタつきやズレの修理を行い、蓋の裏のごみも取り除きましょう。風で飛んできたものが詰まりにくくなります。
もし破損が見られたら、修理を早めに行う必要がありますが、勝手な修繕はNGです。賃貸物件では、管理している方に依頼しましょう。
台風前後に掃除を行う
台風が通りやすい地域では、台風の前後に掃除を行うことがおすすめです。悪臭や汚泥も溜まりやすいので、虫が発生する前に手入れをする必要があります。ゴム手袋や安全靴などで掃除をするのが良いでしょう。
ベランダの台風対策とその備え
ベランダに物がある場合、屋内に入れておきましょう。他人の住居へ飛んでいってしまうことがありますし、他人の窓に当たって窓ガラスが破損することもあります。
具体的な備え方法を確認していきましょう。
物を片づける
まず、物を片づけることから始めましょう。
ベランダに置いてある物を片づけ、風で飛んできたものに当たることを防ぎます。ベランダに置いてあったものを洗う時間がないときには、ゴミ袋などに入れて屋内に保管することも可能です。
プランターを移動する
プランターを移動することも必要不可欠です。落下を防ぐだけでなく、茎折れなども防げます。風が強くなる前に、重いプランターや鉢植えなどの物を風に飛ばされない場所に移動することで、被害を抑えることが可能です。
屋内に入れるときは、下にゴミ袋や新聞紙を敷きましょう。
物干し竿を下ろしておく
物干し竿を下ろしておくことも必須です。床に転がらないように置いておくか、室内に入れておきましょう。
もしお部屋に室内物干しがある場合は、台風の日でも洗濯物を乾かすことができますね。
玄関先の台風対策とその備え
被災してドアが損傷すると、出入りが自由になってしまいます。被災地では、このような住宅で盗難事件が起きています。避難せざるを得ない状況で貴重品を持ち出して、避難所でも持って歩く被災者さんの姿は忘れられません。
玄関ドアの補強を行う
ガタつきなどがある場合には、補強を行います。風圧で勝手に扉が開閉することもあるので、しっかり止めておきましょう。
マンションでの自動ドアは、雨でセンサーが反応して開閉することがあるので、管理者と相談してルールを作るのも良いかもしれません。
玄関周辺に置いてあるものを移動する
花や置物、プランターなどが置いてあることがあります。風で飛ばされるだけでなく、出入りするときにケガを負わせる可能性もありますので、移動しておきましょう。
マンションの場合は管理者に相談して、早めに相談しておきましょう。
自転車や遊具などを固定する
駐輪場がある場合は倒れないように固定するなど、工夫をしましょう。エレベーターがあれば、その日だけ自宅内に持って入ることが可能かもしれません。マンションでは、遊具の固定も必要になってきます。張り紙などで周知できるといいですね。
台風対策の準備③:家の中の備えを行う
台風が強くなって雷が起きた場合、注意する必要があるのが電化製品です。雷が鳴って何秒か計り、遠いか近いか距離を確認するという方法は多くの人が認識していると思いますが、実はこれは間違い。雷雲が何キロもの距離でつながっている場合、端で鳴ったら次の雷は反対の端で起きることがあるのです。
窓を補強する
窓について先ほども述べましたが、窓が割れる主な原因はベランダにあるものや近所から飛んでくるものが窓に当たって割れてしまう場合が多いです。
シャッターのある住宅では、閉めることで被害のほとんどは軽減できます。しかし、飛散防止フィルムを貼る時間がない場合は、段ボールなどをガムテープや養生テープで貼ることで、被害を軽減させることが可能です。
家の中に汚水が侵入しないように備える
住宅の浸水を防ぐグッズも、多く販売されています。女性の力でも移動しやすい、水を含むと膨らむ土嚢や、土を入れて自作で作る土嚢などもありますよ。
乾燥すると再度使えるものもありますので、自分で持ち運びができるものを選んで、住宅の換気口や排水口を塞ぐことが重要です。
洗濯機の蓋やトイレの排水箇所と蓋の上も、しっかり水嚢で抑えましょう。間違ってトイレのレバーを流してしまわないように、ガムテープを貼ることも大切です。
電化製品のコンセントを抜く
落雷があった場合、家の中の電化製品が故障する可能性があります。最近は雷レーダーなどもありますので、天気予報を見て落雷が予想される場合は、電化製品のコンセントを抜いておくと安心です。
台風対策の準備④万が一の避難経路を確認する
避難経路には、事前に避難する避難経路と、警報が出てから避難する経路があります。事前避難の場合には、ラジオなどを聞きながら、安全な場所へ車で移動できるかもしれません。
念のため、避難袋を持って移動しましょう。警報が出てから避難する場合には、歩いて移動してください。
避難するタイミングと交通手段
避難は、近隣の渋滞や地形によって変わります。危ないところにいる方は、自治体から避難勧告が出る前に早めに行動します。特に小さなお子さんがいらっしゃる家庭や、自力歩行が厳しい高齢者は、避難勧告が出る前の移動がおすすめです。
車での移動でないと動けない方は、避難勧告が出ると混雑して渋滞に巻き込まれる可能性があるのでご注意ください。電車で移動せざるを得ない方は、早めの情報収集で前日の移動も視野に入れておきましょう。
自分で判断を下すのが難しい方や、避難場所が近くて元気な高齢者の方は、警戒レベル3の段階で、歩いて避難を完了してください。他の方で危険な場所にいる方は、警戒レベル4が最終的な避難の目安です。避難するときには川の近くを避け、できるだけ複数の人と一緒に歩いて移動しましょう。
ここから先の警戒レベルでは、自宅から出ることが危険になります。窓から離れ、浸水や土砂災害が起きて1階に砂や水が入る可能性がある住宅にいる方は、上階に移動しましょう。トイレに行きたくなったとしても、下に降りることは避け、備蓄品を持って上階に避難します。
避難前に確認すべき3つの事項
事前に避難する際にも、警戒レベルが出てから避難する際にも、必要な3つの事項があります。避難した後も自宅を守るために、実行してみてくださいね。覚え方は「かぶと」で、家族・ブレーカー・戸締りです。
家族や近隣の方に連絡したか
避難しない理由の1つに、家族が帰ってくるのを待っていたというものがあります。家族とはどこかで落ち合うなど避難場所を決めておき、危ない場所で集合することは避けてください。
どこに行ったか捜索され、テレビに名前が出てしまわないように、避難するときには近隣の方に声をかけましょう。
ブレーカーやガス栓はすべて閉めているか?
ブレーカーが上がっていると、停電解消時に火災を起こす危険性があります。ガスの元栓も設備が損傷してしまえば、ガスが放出されてしまうので、必ず閉めるようにしましょう。
戸締りをすべて行ったか?
戸締りをしておくのは、盗難防止や動物が入り込んでしまうのも避けるためです。窓ガラスが割れた後に避難する場合は、ガムテープで動かないようにしましょう。
貴重品はウエストポーチなどに入れて、肌身離さず持っていくなどの対応も重要です。
台風の準備・備えをしていたのに被害に遭った場合は?
被害に遭うことはとても悲しいことです。まずは写真を撮っておき、賃貸住宅の場合は管理者に連絡をしてください。保険会社が片づけて良いといえば、片づけましょう。
ボランティアセンターが立ち上がれば地域に派遣されてきますが、基本は被災後5~6日以上後だと思ってください。
被害状況は、自治会や町内会を通じて社会福祉協議会へ届き、ボランティア派遣の目安となります。自治会や町内会に入っていない場合は積極的にコンタクトをとって、被害があったことを伝えましょう。
安全な場所に避難する
被害に遭った後にも崩壊の危険がある場合、新たな台風が来る場合、地震があった場合などには、安全な場所に避難することが必要です。
この場合は、ひとまず自治体の意見にしたがって公的避難所へ行くか、そこに行く方に情報を教えてもらえるようにすることをおすすめします。時間が経過するとともに状況は変わるので、よく聞いて近所の方で話し合いをすることが復旧への近道です。
近隣住民や自治体に連絡を行う
避難できた場合にも、細かい状況を自治体に伝えましょう。避難所には、自治体の方が派遣されていることがあります。復旧や安全確保に向けた情報が集まってくるので、聞いて行動することが求められるのです。
まだ危ない場所が明確になっていない場合には、できるだけ情報提供・情報収集をする必要があります。近隣の方との日ごろの挨拶などが活きてくるでしょう。
家屋の修理や修繕を行う
賃貸の場合は、家屋の修繕などは管理会社が行います。管理会社の担当者も初めての経験かもしれませんので、一つひとつ片づけていきましょう。自分の私物以外は片づけられない場合もありますので、管理会社に連絡し、指示を待ちましょう。
また、台風は進路が変わった場合に、帰宅困難になる場合があります。そのような場合、一時的な住処に行ける保障が付いていることもあります。引っ越す場合は管理会社と相談しましょう。
台風は事前にわかる災害です。ご家族と話し合って、1日くらい帰らなくても安全に過ごせる方法を決めておきましょう。賃貸住宅の場合は被害が出たら、必ず片づけの前に管理者に報告しましょう。
台風上陸前に備える準備をしておこう
危険な場所にいる方の持出品のチェックや早めの避難はもちろんですが、浸水の危険がない住宅でも、台風が接近するまでに準備が必要です。例えば、赤ちゃんや高齢者がいらっしゃるご家庭は、出かけることが難しくなるかもしれません。
あらかじめ、食べ物を準備することや、停電によるマンションのエレベーターが停止することも、頭に入れておきましょう。また、必要な食料や飲料、医薬品のリストを家族で作っておくと、大人なら誰でも買い物に行けます。時間を有効に使い、窓の保護なども手分けして行えるかもしれません。
沖縄や九州・四国地方の方は台風にとくに気を付けておられると思いますが、関西・東北など離れた場所にいても、天気予報で情報をとって接近前に準備をしておいてくださいね。