【電気工事士監修】LED電球の寿命は?買い替えのサインや長持ちさせるポイント

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定期的な買い替えが必要になる電球。特に白熱電球を使っている方の中には、どこかのタイミングでLED電球に切り替えたいと思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、LED電球は白熱電球に比べて高額な傾向にあり、なかなか踏ん切りがつかないままいつも買っているものを結局選んでしまう…ということもあるかと思います。

そこで今回は電気工事士の私が、そんな気になるLED電球の寿命についてご紹介します。またLED電球に変えることで電気代がどれぐらい節約できるのかや、買い替えのサイン、長持ちさせるポイントも解説。家の電球選びの際に、ぜひ参考にしてみてください。

LED電球の寿命は10年以上!

まず気になるLED電球の寿命ですが、基本的に約40,000時間が目安です。約40,000時間は、1日10時間の使用の場合、約10年使用できる計算となります。

参考:Panasonic「【LED電球】LED電球は何年くらい使えますか。」

ただし、実際の寿命は使用環境や製造の状況などによって異なります。後述するように、長持ちさせるためのポイントを踏まえて使用することが大切です。

白熱電球や蛍光灯との違い

LED電球の寿命は、白熱電球や蛍光灯と比較してどのくらい違うのでしょうか。以下の表は、LED電球と白熱電球・蛍光灯の寿命を比較したものです。

LED電球約40,000時間
白熱電球約1,000時間
蛍光灯約6,000~12,000時間

表をみると、LED電球の寿命は白熱電球・蛍光灯と比較してかなり長いことが分かります。数倍〜数十倍長持ちするのが特徴です。寿命の観点からみても、LED電球はおすすめといえるでしょう。

LED電球の寿命はどこでわかる?買い替えのサイン

もし、LED電球が寿命に近づいた場合、見極めるためのサインはあるのでしょうか。買い替えのサインは以下の通りです。

・明るさが経年劣化によって暗くなっている

・点滅することがある

・点灯しなくなる

それぞれの内容について詳しく解説します。

明るさが経年劣化によって暗くなっている

LED電球は、白熱電球のような球切れ(電球内のフィラメントが切れること)は起こりません。しかし、経年劣化が進むと購入した時と比べて徐々に暗くなります。

「以前よりも照明が暗くなった気がする」と感じた場合は、LED電球を設置してどれくらい経つかなども踏まえて買い替えをご検討ください。

先述したようにLED電球は、白熱電球のような球切れ(電球内のフィラメントが切れること)を起こしませんが、使っているうちに経年劣化が進み、徐々に暗くなっていきます。

「以前より暗くなっている」と感じる際は、利用している年数とも照らし合わせ、買い替えるべきかの判断を行いましょう。

点滅することがある

LED電球を長期間使用することで、熱による基盤(LEDチップなど)の変形を起こすことがあります。変形が起きると点滅が生じる可能性があり、ちらつきなどにつながります。

しかし、点滅に関しては寿命以外にも接触不良などによる場合もあるため、LED電球が正しく装着されているかを踏まえ、寿命かどうか判断することが大切です。

点灯しなくなる

LED電球の構造上、点灯しなくなることはありませんが、故障によって点灯しなくなることがあります。LED電球は熱に弱く、回路内の熱や外部の熱に影響を受けて、基盤(LEDチップなど)が破損する可能性があるためです。

LED電球が点灯しなくなった場合は、熱に対応したLED電球を選んで買い替えることが大切です。

LED電球を長持ちさせるポイント

LED電球の寿命を長持ちさせたい場合、ポイントは以下の通りです。

・こまめなON・OFFを心がける

・家の環境に適したLEDを用いる

・照明器具の規格・形状を確認する

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

こまめなON・OFFを心がける

LED電球の寿命を長持ちさせるため、使用していないときはこまめに電源をOFFにしておきましょう。使用時間を減らすことで、LED電球を長持ちさせられるためです。

消すのが面倒だからと照明を付けっぱなしにするのは、寿命だけでなく電気代の観点からもおすすめできません。使用していない部屋や不在時などはこまめに照明の電源をOFFにしましょう。

家の環境に適したLEDを用いる

家の環境に適したLEDを用いることも大切です。LED電球は熱に弱いため、環境に適したものを選ばなければ短寿命化・器具の故障などにつながります。

例えば、洗面台や浴室など湿気が多いと想定される場所に設置する場合、浴室用のLED電球などを選びましょう。使用環境に対応したLED電球を選ぶことが大切です。

照明器具の規格・形状を確認する

LED照明は、LED電球と照明器具の外装で構成されています。外装と照明器具の規格・形状がずれている場合、正常に動作しない可能性があるため注意しましょう。

例えば、照明器具の外装がLED電球のスペック以上の用途・環境で使用するものの場合、LED電球が熱を帯びやすくなり短寿命化につながります。注意すべき照明器具は、以下のようなものです。

・調光機能つきの照明器具

・センサーつきの照明器具

・密閉型の照明器具

・筒状の形状照明器具

表記を目印にして、適したLED電球を選択しましょう。

LED電球にすると電気代を1年間で約2,900円節約できる!

LED電球にすると、電気代はどのくらい節約できるのか気になる方もいるのではないでしょうか。結論から申し上げますと、LED電球にすれば1年間で約2,900円の電気代節約効果が期待できます。

まず、照明を含め、家電の電気代は以下の計算式で算出できます。

電気代=消費電力×使用時間×電気料金単価

ここでは、環境省「COOL CHOICE」にある情報から一般電球の消費電力を54W、LED電球の消費電力を8Wとして考えていきます。また、年間の点灯時間を2,000時間(1日5〜6時間点灯)として計算します。電気料金単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWh(税込)です。

上記の値を用いて、一般電球とLED電球の年間の電気代を算出すると以下の通りです。

一般電球3,348円
LED電球496円
差額2,852円

表をみると、LED電球に変えることで年間約2,900円の節約につながることがわかります。必要に応じてLED電球への切り替えをご検討ください。

シーリングライトをLED電球にした場合

ここでは、蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングに切り替えた場合の節約額を計算していきます。計算式・用いる値は上記同様です。消費電力は、蛍光灯シーリングライトが約68W、LEDシーリングライトが約35Wです。

蛍光灯シーリングライト4,216円
LEDシーリングライト2,170円
差額2,046円

表をみると、蛍光灯シーリングライトをLEDに変えることで年間約2,000円の節約につながることが分かります。ご家庭に複数のシーリングライトが設置されている場合、切り替えることで大きな節約効果が見込めるでしょう。

LED電球の購入費用はどれぐらいでペイできる?

LED電球は、1,000〜2,000円ほどで購入できます。一方で一般電球は、100〜500円で購入可能です。一見すると、LED電球は一般電球の約5〜10倍の価格となりますが、差額でみれば500〜1,900円ほどしかありません。

前項で解説した年間の電気代の差額は2,852円です。1年間使用すれば節約額のほうが上回るだけでなく、寿命の長さも踏まえるとLED電球のほうがよいといえるでしょう。

【補足】LED電球自体の費用を考えると交換しなくても良い箇所

補足として、ご家庭のすべてのLED電球に変える必要はありません。LED電球の費用自体は一般電球よりも高いためです。

例えば、浴室や洗面台などの使用時間が短い照明は、一般電球でも大きな違いが生まれません。また、浴室や洗面台などに設置される場合、密閉型器具となるため対応したLED電球でなければ、電球の短命化・器具の破損などにつながります。

性能が上がれば価格も高くなる可能性があるため、無理にLED電球に切り替える必要はないといえるでしょう。

LED電球を購入する際の注意点

LED電球を購入する際、以下の点に注意が必要です。

・ワット数を確認する

・サイズを確認する

・製品寿命を確認する(シーリングライトなど)

注意点を把握しておくことで、購入時に失敗し無駄な出費が生じるリスクを抑えられます。ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

ワット数を確認する

まずは、LED電球のワット数を確認してみましょう。電球の明るさには、40形・60形・100形などの種類があり、LED電球に置き換えて考える必要があるためです。

以下の表は、E26口金・一般電球タイプにおけるLED電球の明るさが白熱電球・電球形蛍光灯のどの明るさに該当するか目安をまとめたものです。

LED電球白熱電球電球形蛍光灯
100形相当(1520 ルーメン)100形25形
60形相当(810 ルーメン)60形15形
40形相当(485 ルーメン)40形10形

現在の電球の明るさなどに満足できているかなども踏まえて電球を選んでみましょう。

また、電球には演色性や配光角(光の広がり)なども種類があります。光色は部屋のイメージに影響を及ぼしますし、配光角が狭いと暗さを感じる可能性があります。明るさと合わせて意識してみてください。

サイズを確認する

LED電球のサイズも事前に確認しておきましょう。口金(器具に電球を差し込む部分)のサイズが適していないと、器具に取り付けられないためです。

例えば、口金には以下のようなサイズがあります。

・E26口金(直径26 mm)

・E17口金(直径17 mm)

・E12口金(直径12 mm)

・E11口金(直径11 mm)

口金部分の直径を定規などで測ればサイズは確認できるため、購入前に測っておくとよいでしょう。

製品寿命を確認する(シーリングライトなど)

LED電球を購入する際、製品寿命の確認も大切です。定格寿命約40,000時間とされているLED電球でも、状況によっては寿命が短くなる可能性があります。

ご家庭で使用される器具のうち、シーリングライトやブラケット、スポットライトなどは熱がこもりやすいものです。LED電球は、熱がこもることで不具合や短寿命につながることがあるため、購入する際に熱対策が問題ないか確認しておきましょう。

LED電球は、白熱電球や蛍光灯よりも初期費用は高い傾向にあるため、長持ちできるよう対策しておくことが大切です。

LED電球の寿命と長持ちさせるポイントを知って賢く使おう!

今回は、LED電球の寿命と長持ちさせるポイントについて解説しました。LED電球の寿命は約40,000時間と白熱電球や蛍光灯と比較しても長いのが特徴です。

ただし熱に弱いという特性もあり、設置場所によっては短寿命化や器具の故障などにつながります。LED電球を購入する場合は、設置場所に対応しているか、サイズは問題ないかなども踏まえて選ぶことが大切です。

この記事でご紹介した内容を参考に、自宅に適したLED電球を選んでみてください。