ミニブタ・マイクロブタは海外でペットとして人気でしたが、ここ数年は日本でも「マイクロブタカフェ」が誕生し、認知度が高まってきました。テレビやSNSで見たことがある方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんなマイクロブタをマイクロブタを飼うとどのような生活になるのかについて、約4年半一緒に生活している私がご紹介します。マイクロブタの魅力と飼う際の注意点も含めて解説するので、マイクロブタ飼育を検討している人はぜひ参考にしてくださいね。
マイクロブタとは?
まずは、マイクロブタとは何か、種類と特徴、病気と寿命、注意点について解説します。
種類と特徴
マイクロブタはブタの品種ではなく、約40kgまでの小型のブタのことを指す総称です。日本で一般的な家畜のブタが100~300kg、ペットとして飼われることもあるミニブタが40~100kgなので、それに比べてマイクロという概念になります。
そんなマイクロブタも大人になると20~40kgほどになるので、大型犬を飼うイメージが近いでしょう。
病気と寿命
マイクロブタの寿命は、10年~15年といわれています。しかし、日本ではまだペットとしての歴史が浅いので、実際のところは統計がないのが実情です。
健康状態は生活習慣や遺伝、医療環境にも大きく影響されるので、日頃からの観察が大切です。
【注意】マイクロブタをペットとして飼うためには届け出が必要
マイクロブタは、ペットとして飼う場合でも、日本の法律では家畜としての登録が必要です。年1回の定期報告と豚熱(CSF)の予防接種が義務付けられているので、ブタを飼うことが決まったら、お住まいの都道府県の「家畜保健衛生所」へ届け出をしましょう。
マイクロブタのお迎え方法と飼い方

ここからは、マイクロブタを迎えるための準備について、詳しくご紹介します。
購入場所と価格帯
マイクロブタを迎えるには、マイクロブタ専門のブリーダーさんやマイクロブタカフェから購入します。月齢や毛色などにより値段は異なりますが、1頭5~50万円です。
また、近年ではマイクロブタの里親募集も増えてきているので、里親を検討するのも選択肢のひとつです。
購入の際の注意点
販売店によっては、留守にする時間やお住まいの条件など、事前審査があります。「誰でもすぐに飼えます」「飼いやすいです」と購入をすすめるお店には残念ながら注意が必要です。
また、販売店によって購入後のサポート(フードの定期購入、Pigホテルの有無、飼育相談方法など)が異なるので、しっかりと比較してからお迎えすることをおすすめします。実際にブタを飼っている人はまだ少ないので、SNSなどを通じて、飼い主さんの体験を聞くのも大事になるでしょう。
飼育に必要なもの
マイクロブタを迎えるときに必要なものをご紹介します。ペットショップに行ってもブタ用品は販売していないので、犬用のグッズで代用することが多いです。
<飼育に必要なもの>
・ベッドと毛布
ブタは柔らかいものが大好きなので、大きめの犬用ベッドを用意しましょう。成長したら、人間用のクッションや毛布でも代用できます。
・ケージ
留守中に安全に過ごせるよう、犬用の頑丈なものや手作りのケージを用意しましょう。
・犬用トイレ
成長を見越して大きめのサイズを用意。女の子には壁付きトイレが必須です。
・キャリーケース
抱っこが苦手なブタが多いため、通院や災害時にあると安心です。
・ハーネス
散歩しない場合でも、通院時などに必要。普段から装着に慣れさせましょう。
・バギー
ブタは新しい場所が苦手なので、安心できる移動手段です。成長を考えて大きめを選びましょう。
・おもちゃ
鼻を使って遊べるものやかじり木がおすすめです。
マイクロブタのごはん
マイクロブタの主食は、専用のピッグフードを用意します。ペットショップで市販はされていないので、ブリーダーさんから直接購入するか、ネットで「ミニブタフード」を購入します。
野菜や果物、大豆製品も大好物ですが、ブタに必要な栄養が偏ってしまうと将来病気の原因になりかねないため、しっかりとブリーダーさんに相談しながら与える量を決めましょう。
【注意】マイクロブタにあげてはいけないもの
マイクロブタは、雑食性の動物のため何でも食べてしまいますが、食べると健康を害するものもあります。ドッグフードや人間用に味付けされた料理やお菓子類、肉製品を食べてはいけません。ほうれん草のようなシュウ酸を多く含む野菜は、結石の原因になるので避けたほうが良いです。
また、養豚目的で開発された飼料も、栄養が偏っているため不向きです。ブリーダーさんや獣医さんに聞いたり、本などで確認したりしましょう。
マイクロブタのケア方法
マイクロブタに必要なケアは、耳掃除、歯みがき、お風呂、爪切り、牙切り(※大人になってから)です。ケアが苦手なブタも多いので、寝ているときやお風呂に入ったときに、毎日少しずつ行うことをおすすめします。大きくなって爪切りや牙切りが上手くいかないときは、獣医さんにお願いするのも一つの手です。
また、犬のようにトリミングは必要ありませんが、年に1~2回毛がごっそりと抜ける換毛期があります。普段からブラッシングをしてあげると変化にも気がつき、気持ちが良いのでブタも喜びます。
マイクロブタのしつけ方
マイクロブタは賢いので、一度覚えたことは忘れません。わが家のブタは、自分の名前、トイレの場所を数日でマスターしました。「お手」「待て」「スピン」「おすわり」「ハウス」なども、小さい頃にトレーニングすると定着します。
食欲旺盛なブタさんなので、ご褒美におやつを与えることで芸を覚えられました。飼い主の指示で動けることは、主従関係を築くこと、問題行動を未然に防ぐことにつながります。
マイクロブタを飼う際の注意点

マイクロブタは、決して飼いやすいペットではありません。飼育するにはどのようなことに注意すれば良いのか、実際に飼っていて気付いたことをご紹介します。
一般的なペットに比べて情報が少ない
インターネットでマイクロブタの飼育方法や病気、対処法を調べようと思っても、犬や猫に比べると圧倒的に情報が少ないです。ペットのブタに関する飼育本も、片手で数えられるくらいしか販売していません。
信頼できる病院や、正しい知識を伝えてくれるブリーダーさんを見つけることが大切です。また、SNSなどで、実際に飼っている人の話を聞くことがおすすめです。
対応できる病院が少ない
犬や猫、小動物に比べて、ブタを診てくれる病院はまだまだ少ないのが現状です。お住まいの地域によっては専門医がいないため、車で何時間もかけて病院へ行くことも考えなければなりません。
マイクロブタを飼いたいと思ったら、まずは近くに病院があるかどうかを調べましょう。
加入できるペット保険がない
2025年4月現在、マイクロブタが入れるペット保険はありません。そのため、けがや病気をしたときは、医療費が高額になることがあるので覚悟が必要です。病気に早く気がつくために、日頃からの健康観察が欠かせません。
思ったよりも大きくなる場合がある
近年ブームになっている「マイクロブタカフェ」では、生後2ヶ月~の赤ちゃんブタとふれあえるため、小さくてかわいいと話題です。カフェにいる子は、あくまでも赤ちゃんです。大型犬のようにあっという間に成長する動物なので、「小さくてかわいいから飼いたい」という方にはおすすめしません。
マイクロブタを扱う販売店では「成長すると中型犬くらい」「20kg程度にしか大きくなりません」とホームページに書いてあるところがほとんどですが、それ以上に大きくなる場合もあります。「それでも飼える」「ブタが好き」という方が家族にお迎えしてください。
家族として生涯一緒に暮らせる人が飼う
結婚、出産、転勤、引っ越しなど、ライフステージの変化があっても、最後まで責任をもって一緒に暮らせる方にお迎えしてほしいと願っています。
マイクロブタは成長すると体も大きくなるため、飼い主もブタも快適に暮らせる環境を整えることが大切です。たとえば、将来を見据えて「1階の部屋で暮らす」「庭付きの一戸建てを選ぶ」など、住まい選びにも工夫が必要です。
私が感じたマイクロブタを飼っていて良かったと思うこと

先述したとおり、決して飼いやすいとはいえないマイクロブタですが、飼っていて良かったこと、幸せに感じることもたくさんあります。ここでは私が感じた、マイクロブタを飼っていて良かったと思うことをご紹介します。
マイクロブタの行動で、毎日がおもしろい!
マイクロブタが寝ている姿、ごはんを食べている姿に毎日癒やされています。特に食べ物に対するアンテナが敏感なので、野菜を切る音、冷蔵庫が開く音、みかんを剥く音で走ってくる姿には笑ってしまいます。反対に、散歩に行く音(玄関ドアや車の音)を察知すると、気配を消したり「ブーブー」と怒ってみたりと、おもしろいです。
また、飼い主が会話をしていると「ブッ」「ブッブッ」とあいづちを打ち、まるで会話をしているようなやりとりにも思わず笑ってしまいます。
規則正しい生活になる
マイクロブタを家族に迎えてから、朝夜のブタのごはんの時間を厳守するようになり、規則正しい生活になりました。ブタと一緒に食べるために旬の野菜や果物を買うようになったり、豚肉やその加工品を食べることがなくなったり、食生活が変わりました。いい意味で、ブタ中心の生活になっています。
人とのつながりが増える
ブタの散歩をしているなかで、たくさんの知り合いができました。今まで話したことのなかったご近所さん、ワンちゃんの飼い主さん、直売所やカフェの店員さん、ブタが好きで話しかけてくださった方など、つながりが広がりました。また、SNSを通じても多くの出会いがあり、ブタが運んできてくれた縁に感謝しています。
賃貸物件でマイクロブタは飼える?
マイクロブタを飼う際は、ペット相談可の物件を探しましょう。ただし、ペット相談可能と表記があっても犬や猫、ウサギといったペットに限定している場合も。契約前にマイクロブタを飼ってもいいか確認すると安心でしょう。
また、運動不足にならないように自由に歩き回れるスペースが必要です。フローリングは滑ってしまうので、ブタの足への負担を軽減するためにカーペットやタイルマットを用意しましょう。また、部屋の壁にいたずらをしないよう、腰壁や家具の配置などに事前に対策をすることをおすすめします。
ブタはひなたぼっこが大好きなので、日当たりの良い部屋があれば最高です。大きくなることを考慮すると、ブタの生活スペースは階段を使わない1階や、エレベーター付きの物件が望ましいです。
マイクロブタを飼っていてよく聞かれること

マイクロブタと一緒に散歩や買い物をしていると、必ずといっていいほど聞かれる質問をご紹介します。
マイクロブタはどのくらい大きくなるの?
お散歩をしていて、100%聞かれる質問です。小さい頃は「どのくらい大きくなるかは、正直わかりません。40kgまでがマイクロブタです」と答えていました。
現在は大人なので「これ以上は大きくならないの?」と聞かれますが「人間と一緒で、食べたら食べた分だけ体重は増えますよ」と答えています。3歳以上のマイクロブタ仲間は、20~50kgに成長した子が多いです。
マイクロブタはなつくの?
ブタは人間の3歳児くらいの知能があるといわれています。自分の名前がわかり、名前を呼ぶと来てくれるのです。ただし食欲が旺盛なので、飼い主よりもおやつをくれる人にしっぽを振ってついていくところもあります。
ブタは甘えたり、怒ったり、感情表現が豊かです。犬のように飼い主に従順とはいきませんが、飼い主のことを仲間だと思っています。また、猫のように気まぐれに甘えることもあるので、一緒に生活をしていて犬と猫の中間のような性格だと感じています。
マイクロブタは何を食べるの?
ピッグフードのほか、野菜、果物、大豆製品などを食べます。キッチンで人間の食事の準備をしていると必ず足元に現れるので、サラダや果物、豆腐やナッツ類をおすそ分けすることもありますよ。
また、公園で散歩をしていると、雑草やドングリも食べます。好きな草、嫌いな草があるようで、食べ過ぎにも注意しています。食べると中毒を起こす植物や、除草剤を使っている場所などもあるので、事前にしっかりと確認しましょう。
マイクロブタはきれい好きって本当?
ブタは、寝床とトイレを分ける習性があります。一度覚えたら、室内でのトイレの失敗はほぼありません。また、ブタは汗腺が未発達のため、汚れにくく、体臭もほとんどありません。そのため、きれい好きといわれることがあるのだと思います。
わが家のマイクロブタは、2~3日に1度散歩をしているので、そのたびにシャワーを浴びています。
マイクロブタはどこで寝るの?
わが家は、飼い主の布団で一緒に寝ています。ブタの体温は38~39°です。人間よりも温かいので、冬は湯たんぽ代わりになって温かいです。わが家のブタは少し寝相が悪いので、寝ながら蹄で蹴られることもありますが、それもまたおもしろくて幸せを感じます。
マイクロブタとの暮らしは幸せを運んでくれる
ブタは、世界中で“縁起物”として親しまれ、金運や繁栄の象徴とされています。わが家のマイクロブタも、そんな幸運をたくさん運んできてくれました。
私は学生の頃からブタが大好きで、長年の夢だった“ブタとの暮らし”がようやく実現しました。今では、毎日が本当に幸せです。家族の理解と協力があってこそ、大好きなマイクロブタと一緒に生活できていることに感謝しています。一度触れあえば、マイクロブタの愛らしさにきっと心を奪われるでしょう。

