単身での生活は自由を満喫できますが、同時に孤独感を感じやすい側面もあります。最近寂しさを覚えた方、一人暮らしを迷っている方、もともと一人が苦手な方など、様々な方がいらっしゃることでしょう。
本記事では、そのような皆様へ向けて、臨床心理士の視点から孤独を感じる仕組みと、それに対する具体的な解決策をご提供します。賃貸物件を選ぶ際に寂しさを軽減できる条件も併せてご紹介しますので、ぜひご参照ください。
一人暮らしで寂しいと感じる瞬間

友人と別れた直後や、室内が静まり返っている時など、単身生活では誰でも寂しさを感じた経験があるでしょう。特に男女共通して「一人で過ごす時間」が最も孤独感を抱きやすい場面です。
この孤独な感情は多くの人が共有しているため、「自分だけが特別な寂しさに苛まれている」と思い詰める必要はありません。
家族を思い出したとき
一人暮らしで無音状態の部屋にいると、家族と暮らしていた時間を思い出して寂しさを感じるものです。テレビや映画などで家族がテーマの作品を見たり、スーパーマーケットで家族連れの買い物を見たりすると、ホームシックになるかもしれません。
食事の感想を共有する人がいないとき
単身生活を始め、料理に挑戦する人は多いでしょう。初めて作った料理が美味しく仕上がったとしても、食べる相手が自分一人だと、「この喜びを分かち合う人がいない」と孤独感を覚えるかもしれません。
気軽な会話をする人がいないとき
喜ばしい出来事や不快な出来事があった際、「すぐに誰かに聞いてほしい」と強く願うことはありませんか?単身生活では、その場で直接話す相手がいません。
「この感動をすぐ伝えたい!」「愚痴を聞いてもらい、すぐに気分転換したい!」と感じたとき、話を聞いてくれる人がいないことに寂しさを覚えるかもしれません。
イベントシーズンに一人でいるとき
誕生日、クリスマス、長期休暇といった時期に独りで過ごすと、孤独を感じる場合があります。イベントで世間が華やぐと、「他の人はみんな楽しそうに過ごしているのに」と周囲と比較してしまい、寂しさが増幅されるものです。
例えばイベントに参加する際は、大勢で楽しんでいる人と一人の自分をつい比べてしまうものです。家族や友人、恋人とイベントを過ごす人のSNSをうっかり見てしまい、静寂な空間にいる自分と比べて落ち込んだ経験を持つ方も多いかもしれません。
夜に一人で帰宅したとき
仕事や学校からの帰宅後、部屋が無音状態でシーンとしていると、寂しさがこみ上げてしまうのではないでしょうか。外の賑やかさとのギャップや、プライベートでは誰とも会話をしないまま1日が終わっていく事実に、むなしさを覚える方は少なくありません。
特に帰宅した瞬間は寂しさを実感しやすいです。「おかえり」と声をかけてくれる人がおらず、真っ暗な部屋に一人で入ると、一気に孤独感が押し寄せてくるかもしれません。
なぜ人は寂しさを感じるのか
人間が孤独感を覚える背景は多岐にわたり、特定の一因に絞ることは困難です。ここからは臨床心理士の視点を取り入れ、人が寂しく感じるメカニズムを解説します。
人と関わる機会が少ない
人間はコミュニケーションをとることができる動物です。コミュニケーションを通して、家族や友人、恋人など、人とのつながりを実感することができます。
しかし、人とのコミュニケーションが少なくなると「人と関わっている」という感覚が薄れ、寂しいという感情を抱きやすくなります。
熱中できることがない
人間は社会的な動物であり、対話や交流を通じて他者との結びつきを強く感じます。
しかし、他人との交流機会が減ると「社会との接点」が希薄になり、孤独感を抱きやすくなります。
セロトニンが不足している
太陽光を浴びると、脳内でセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。セロトニンは、感情の制御や自律神経の調整などを担い、脳機能を活性化させる物質です。
セロトニンが欠乏すると、倦怠感や苛立ち、意欲の低下など、精神的な安定が損なわれやすくなります。結果として、普段気に留めない事柄にも敏感になり、孤独な感情を抱きやすい状態になると考えられます。
臨床心理士が教える!一人暮らしの寂しさを乗り越える6つの方法
これまで、孤独を感じやすい場面やその心理的な理由をご説明しました。ここからは、これらを踏まえ寂しさを克服するための具体的な方法を段階別に6つご紹介します。即座に実践できる行動例も併載しますので、今まさに孤独感に苛まれている方はぜひ参考にしてください。
①人とつながる機会をもつ

単身生活の孤独を解消するためすぐに行動できる方は、まず親しい人との交流を実感できる予定を立てましょう。
他者との接触が減少すると孤独感が増しやすいと説明しました。したがって、友人や家族と外出の計画を立てたり、自宅でパーティーを催したりと、積極的に人との交流の場を設けることを推奨します。
人とのつながりを実感するには
人とのつながりを持つためには、まずは話せる人を作ることが先決です。次のような方法で、身近な人を誘ってみましょう。
・友人や恋人、家族と今夜のご飯や飲み会の約束をする
・ボイスチャットツールなどを活用してオンライン飲み会を計画してみる
・店員さんとお話できるカフェやバーを訪れてみる
身近に誘える人がいなくても、オンライン飲み会なら遠方の友人や知人と気軽につながりを持てます。居酒屋やレストランを利用する場合と比べて予算を抑えられ、その分だけ飲み会の回数を増やしやすいでしょう。
気軽に誘える友達がいない場合は、お店に出かけるのも一つの手です。店員さんがフレンドリーなコンセプト系のカフェやバーなら、自分から話すのが苦手な方でも会話を楽しめます。カウンターが中心の小さなバーや喫茶店も、店員さんとの距離が近く、気が合う人とは友達感覚で話せるかもしれません。
②熱中できることを探す

単身生活の孤独を解消したいが、人を誘うことに抵抗がある方は、別のアプローチで寂しさを埋めてみましょう。
手持ち無沙汰な時間があると、人はネガティブな思考に陥りやすくなります。そこで、夢中になれる活動を見つけるのが有効です。
資格取得や資産形成の学習、読書は将来に繋がりますし、部屋を整理し不要品を売却すればちょっとした収入にもなります。
部屋のインテリア変更をSNSで共有するなど、情報発信側になるのも熱中できる趣味になるかもしれません(居住地が特定されないよう十分な注意が必要です)。
新しい試みには勇気が要りますが、意外と熱中でき、気づけば孤独感が「自分一人の時間の豊かさ」へと変化しているかもしれません。
自分時間を楽しむなら
次のような方法で熱中することを見つけて、自分の時間を楽しむよう意識しましょう。
・本屋などに立ち寄って興味のあるテーマの勉強を始めるきっかけを探してみる
・サブスクリプションサービスに契約して映画や番組を観る
・オンラインで人と遊べるゲームを始めてみる
何から手を付けるべきかわからない場合は、興味のあるジャンルの本や映画、テレビ番組などを見てみましょう。サブスクリプションサービスなら、月額数百円~千円程度で数えきれないほどの作品を視聴でき、暇つぶしにも持って来いです。
オンラインゲームを始めてみるのもおすすめです。最近では、基本プレイ無料で参加できるオンラインゲームが増えています。スマホゲームなら場所を選ばずに楽しめますし、ゲームを通じて友達が見つかるかもしれません。
③たくさん笑う

他人を誘うのが難しく、熱中できる趣味もすぐに見つからない場合は、「ひたすら笑顔で過ごす」ことを実践してみてください。
これには、米国のジェームズ氏とデンマークのランゲ氏による「ジェームズ・ランゲ説」が関係しています。これは、「身体の反応(行動)が感情を生み出す」という理論です。
つまり、出来事による楽しさで笑うのではなく、笑うという行為そのものが楽しさを感じさせる、というのがこの説の考え方です。
したがって、コメディ番組などを視聴して意識的に笑う機会を増やせば、孤独な感情が薄れていく可能性があります。
たくさん笑えるようにするために
たくさん笑うためにできることは多くあります。
・好きなお笑いコンビのライブや過去の人気バラエティ番組のDVDを借りて観る(配信サービスを利用する)
・Web上で読める漫画を読んでみる
・トレンドになっている動画や作品をチェックしてみる
サブスクリプションの中には、映画やドラマに加えてバラエティ作品を配信するものもあります。好きな芸人さんや、気になるコメディアンが出演する作品を見れば、笑いで寂しさを吹き飛ばせるかもしれません。
④セロトニンの不足を解消する

具体的な対策を試しても単身の孤独感が消えない場合は、身体の生化学的な仕組みから改善を図りましょう。
セロトニンが感情制御に深く関わる物質であることは前述の通りです。日照時間の不足、運動量の低下、過度なストレス、不規則な生活などがセロトニン分泌を妨げる要因とされます。
分泌を促すには、適切な日光浴、適度な運動や筋力トレーニングを行い、規則的な生活リズムを維持することで、精神的に安定した状態で日々を送れるはずです。
セロトニンが分泌されやすくなる行動
セロトニンは、次のような行動で分泌されやすくなります。
・休憩時間に近所を15分程度散歩してみる
・ご飯をよく噛んで食べるように意識してみる
・朝食を抜いてしまっている場合は朝食を食べるようにしてみる
健康的な暮らしを意識すると、自然とセロトニンが分泌されるでしょう。会社や学校の帰りに1駅ぶん多く歩くといった対策も、運動を習慣化させやすく効果的です。食事はできる限り朝昼晩と3食しっかりとりましょう。
⑤寂しいという気持ちに正面から向き合う

これまでに提案した4つの方法を試しても孤独感が払拭できない、あるいは試す気力すら湧かないほど精神的に疲弊している方は、「寂しさという感情」への捉え方自体を変えてみましょう。
孤独感は、往々にして「否定的な感情」と見なされがちです。人は「ネガティブな感情を手放したい」と望む傾向にあります。「寂しい=悪」と認識すると、その感情を抱いた自分を拒絶することに繋がります。
まずは「今、自分は寂しいと感じている」と自分の心情を承認した上で、「どうして寂しいのか?」と自分自身に問いかけ、孤独な感情と向き合ってみるのはいかがでしょうか。
一人でいることを苦にしない人は、自己理解に長けています。自分の内側に向き合い、真の自分を知ることで、自己肯定感が高まると言われています。
「寂しい」気持ちと向き合うためにできること
寂しい気持ちと向き合う決心が付いた場合は、次のことを試してみましょう。
・なぜ寂しいのかを言語化する
・自分の気持ちを書き出す
・家族や友達に寂しい思いを打ち明ける
言語化すると「誰かと話したい」「将来に不安がある」「疲れている」といった寂しさの原因が見えてきます。ネガティブな感情も含めて、頭の中の思いをノートやメモに書き出すと、気持ちの整理をつけやすくなるでしょう。思い切って、寂しさを誰かに打ち明けるのも一つの手です。
⑥お気に入りの場所を作る
お気に入りの場所を作ることは、心を安定させる上で強力な手段です。家の中や外に関わらず、自分にとって安心できる場所が見つかれば、孤独感を味わいにくくなるでしょう。お気に入りの場所は、不安を感じた際に一時的に避難できる「心の安全基地」にもなります。
自分の好きなものだけに囲まれた場所で過ごす時間は、自分を大切に扱う時間になるはずです。結果として自己肯定感が高まり、ポジティブな思考を持ちやすくなります。一人でいることが「孤独」ではなく、「自由で貴重な時間」と捉え直せるかもしれません。
お気に入りの場所を作るには
お気に入りの場所を作る方法は、次のように様々です。
・室内を自分の好きなもので埋める
・リビングなどのライフスペースを常に整理整頓する
・趣味を楽しめる場所を見つける
趣味のアイテムなどで室内を埋めると、明るく楽しい気持ちになります。生活空間を整理整頓し、清潔な空間を維持すれば、居心地がさらに良くなるでしょう。外出先では、趣味を思い切り楽しめる場所を見つける対策も有効です。
一人暮らしの寂しさを紛らわすうえでのNG行動

単身生活の孤独を解消しようと取った行動が、かえって裏目に出る場合があります。ここからは、寂しさを紛らわす際に陥りやすいNG行動をご紹介します。
NG行動①SNSで気を紛らわせる
SNSの閲覧は、一時的に孤独を忘れさせ、時間の経過も速く感じるため、一挙両得と考えるかもしれません。
しかし、他者の投稿は、精神状態に大きな影響を与えやすいものです。友人の華やかな投稿を見ると、「自分は独りで寂しい」「交友関係が狭い」と感じ、孤独感をかえって増大させる可能性があります。
少しでも寂しさを感じているのであれば、SNSの長時間閲覧は控えた方が賢明です。
NG行動②そこまで親しくない人との予定をたくさんいれる
他者との結びつきを実感するのは重要ですが、親しくない相手との予定を無作為に詰め込むことは推奨できません。
予定をいれたものの、予定の日程まで億劫になったり、エネルギーを使って疲れてしまうといったことが考えられます。無理に忙しくするせいで、体調を崩したり、仕事や勉強のパフォーマンスに悪い影響が及んだりするのはもったいないです。
人との予定を入れるのであれば、「自分が会いたいと思う人」「この人となら会っている時間も楽しい・充実している」と思うことができる人とに絞ることをお勧めします。
NG行動③他人と比べる
寂しいときにSNSやインターネットを見ると、友達同士や家族、カップルで楽しんでいるキラキラした投稿が目に入りやすいものです。そのような投稿と、一人で過ごしている自分を比べると、劣等感や焦燥感、孤独感を覚えやすくなります。
「隣の芝生は青く見える」と言いますが、特に寂しい気分のときは、他人の些細な幸せが過剰にうらやましく見えるものです。しかし、キラキラした投稿は「よい面」を切り取ったものに過ぎません。他人が持つ一面と自分自身を比べる必要はなく、自分に矢印を向ければ良いのです。
NG行動④暴飲暴食をする
寂しさや不安からくる心の隙間を埋めるために、お酒を飲みすぎたり、食事を過剰にとったりする方も多いです。暴飲暴食をすると、一時的な満足感を得られるかもしれません。しかし、暴飲暴食は自己嫌悪や体調不良の原因にもなりやすく、寂しさを増長させる場合があります。
寂しいと感じたときは、暴飲暴食をする前に、なぜ飲食したいのかを考えましょう。その理由が空腹でない場合は、無意識に飲食するのは避けるべきです。軽い運動をするなど、食以外の方法で気を紛らわせましょう。
一人暮らしの寂しさを感じさせない物件とは

これまでの内容で、単身生活と孤独感の関係についてご理解いただけたでしょう。せっかくの賃貸なら、できる限り寂しさを感じにくい物件を選びたいものです。ここからは、孤独が心配な方向けの賃貸の条件と、その具体的な根拠をご紹介します。
ペットが飼育可能な物件
ペットとの触れ合いは、不安やストレスの緩和、精神的な安定、リラックス作用など、好ましい心理効果を促進するとされています。
動物に癒されるという声は多く聞かれますし、SNSでもペットの動画が人気を博しています。それほど、ペットは私たちに癒しをもたらします。
しかし、飼育には責任が伴います。アレルギーの有無や適切な世話が可能かなど、十分な検討を行った上で飼育を決定してください。
駅近の物件
駅の周辺には多様な店舗が集合している場合があります。これにより、常に賑やかな人の声が聞こえたり、飲食店やカフェを巡ることで積極的に社会との接点を持てます。このメリットは、「自分は孤立していない」という感覚を与え、孤独感を軽減するでしょう。
ただし、騒がしさもあるため、静かな環境を求める方には適さない側面がある点には留意が必要です。
シェアハウスの物件
他人との交流を直接感じられる物件の代表格は、シェアハウスです。プライベート空間を持ちつつ共用部もあり、顔を合わせれば会話が生まれる環境は、自然なコミュニケーションを生み、大きな安心感をもたらします。
プロジェクターが設置できる物件
プロジェクターを導入し大画面で映像を楽しむことで、ライブ、映画、スポーツといったコンテンツを臨場感あふれる状態で没頭できます。集中することで単身生活の孤独を感じる暇が減るため、推奨されます。
また、友人や恋人を招くきっかけにもなり、皆で楽しむ時間が寂しさの解消に繋がります。
一人暮らしの寂しさとうまく付き合って生活を充実させよう
本記事では、臨床心理士の視点から単身生活の孤独感について考察しました。
孤独と上手に共存していくために、寂しさを感じにくい物件を選ぶことも、日々の暮らしで感情と向き合うことも有効です。人によって向き不向きや実行の難易度は異なるため、まずは無理なくできる対策を一つ選び、生活に取り入れて孤独感と付き合うことをお勧めします。
この記事が、皆様が寂しさと折り合いをつけ、満ち足りた日々を送る一助となれば幸いです。

