賃貸の畳交換にかかる料金負担は誰がするの?借主が払うべきケースと費用とは

目次

ライフスタイルの変化により、最近は和室がある賃貸物件が少なくなってきました。とはいえ、和室の畳の良さは何物にも代えがたく、一定の和室支持層がいらっしゃることも事実です。

今回は、賃貸物件で疑問に思う畳に関するお悩みに回答する内容となっています。和室ファンの皆様にも、賃貸物件で初めての和室を経験する方にも、実用性の高いコラムです。

・賃貸物件で畳が古くなってきたので交換したい

・最近流行りのかっこいい畳に変更したい

・畳に家具のへこみがあるが退去時に請求されないか

これを読めば賃貸物件で畳に関する疑問がなくなること間違いありません。ぜひ最後までお読みください。

賃貸の畳交換にかかる料金は基本「貸主」(大家さん)や「管理会社」が負担

賃貸物件で設置されている畳は、原則として「貸主」(大家さん)や「管理会社」が交換を行います。貸主がメンテナンスするのですから、費用は貸主負担が原則です。

畳の交換方法(種類)にはいくつか方法がありますので、ご紹介いたします。

表替え

畳の表面のみを交換することを表替えといいます。

畳は畳床という本体を、畳縁という枠に、畳表というカバーを取り付けた構造になっています。例えるなら、枕本体が畳床、畳表枕カバー、畳縁がカバーを閉じる部品のようなものです。

畳床に大きなへこみや歪みがなく、畳表に汚れや傷があるときは、表替えで対応することが可能です。

裏返し

畳表を裏返して再利用することを裏返しといいます。畳表は両面で利用することが可能ですので、畳表の傷や汚れが軽微であるときは裏返しで対応することが一般的です。

新調

畳の全てを新しく交換することを新調といいます。畳床の一部がへこんでしまったり、大きく傷がついてしまったときは、新調するのがよいでしょう。

なお、畳に大きな傷がつくということはあまり考えられません。よほど重たい家具を引きずったり、刃物のようなもので傷をつけたりしない限りは、そうそう破れたりするものではありません。

畳はメンテナンスや交換費用が心配に思われるかもしれません。しかし、実際は取扱いは簡単で交換費用もフローリングを張り替えることに比べればはるかに安く済みます。

一度和室のある賃貸物件を検討してみてはいかがでしょうか。

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畳のメンテナンス費用を借主が負担するケース

賃貸物件で畳のメンテナンス費用は原則貸主が負担しますが、借主が負担するケースも存在しています。

どのようなケースであれば負担が必要となるのか、確認しましょう。

借主の故意や過失によって汚した・壊した場合

畳の汚れや傷の原因が借主の故意や過失であるときは、借主がメンテナンス費用を支払わなければなりません。

「故意」「過失」は「わざと」「うっかり」と読み替えるとわかりやすいでしょう。これより、具体例をもって故意・過失に該当するかどうかをご紹介いたします。

症状補修対応負担する人
子どもの落書き表替え・裏返し借主
重い物を落としてへこんだ新調借主
飲み物をこぼして汚れた表替え・裏返し借主
家具の設置痕によるへこみ新調貸主
日焼けによる変色表替え・裏返し貸主

人に起因して汚れや傷が発生した場合は、借主の負担になることがわかります。同じへこみという症状であっても、原因によって負担者が変わることに気をつけましょう。

善管注意義務を怠った場合

善管注意義務に違反したときも、借主の負担になることに注意してください。

善管注意義務とは、自分の物よりももっと大切に扱ってくださいね、という注意義務のことをいいます。賃貸物件を借りている借主には、善管注意義務が発生しています。そのため、大切に扱わなかったことによって汚れや傷がついたときは、借主の費用負担になるのです。

善管注意義務に該当するケースは以下のようなものです。

・結露によって畳が濡れ、それを放置していたためカビが発生した

・窓を閉め忘れたため、雨が室内に入り、畳に汚れや色落ちが発生した

わざとでもうっかりでもなく、ちょっとした「不注意」による汚れや傷であっても、借主の負担となることを覚えておいてください。

出典:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)

別表1 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表 (通常、一般的な例示)より抜粋

契約書の特約に負担が定められている場合

賃貸借契約で、退去時における畳のメンテナンス費用は借主で行うことが定められているときも、費用の負担が発生します。

退去時にトラブルにならないように、賃貸借契約を締結するときは特約の内容を確認することを忘れないようにしましょう。

賃貸物件で畳のメンテナンスを行う場合にかかる費用

では、畳のメンテナンスにどのくらいの費用がかかるのでしょうか。気になるお値段を表にまとめました。

対応費用
表替え5,000円/枚
裏返し5,000円/枚
新調10,000円/枚

意外と安く済みそうなイメージをお持ちいただけたのではないでしょうか。賃貸物件で利用されている畳は量産品であることが多いため、そこまで高額な費用がかからないことがほとんどです。

ただし、分譲マンションの賃貸利用や、一戸建て賃貸物件などでは、高級な畳を利用している可能性もあります。

その場合は、想定よりも高い金額が提示されることがありますので、注意しましょう。

賃貸物件で畳をきれいに使う工夫

ここからは畳を汚さず、傷をつけないように使う工夫をご紹介いたします。

畳はいわば消耗品ですので、時間が経てばどうしても汚れや傷がつきます。とりわけ賃貸物件では退去の際にトラブルにならないように気をつけたいもの。ちょっとした工夫で長持ちさせることができますので、ぜひ実践してみてください。

・畳の目にそって空拭きをする、もしくは掃除機をかける

 →畳に水分は天敵!水拭きはやってはいけません

・畳の上にカーペットやタイルを貼る

 →シールのようなものはNG!定期的に剥がして換気をしましょう

どれも簡単にできることばかりで、手間はかかりません。それでも畳の傷や汚れについて心配なときは、フローリングやクッションフロアの洋室を選ぶのがよいでしょう。

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もし賃貸の畳をデザイン畳にしたい場合は、勝手に交換しても大丈夫?

すでにある畳のデザインが気に入らないから別の畳に交換したい、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

結論から言うと、賃貸物件の畳を”勝手に”変更してはいけません。必ず家主や管理会社の許可を得るようにしましょう。なぜなら、賃貸借契約で室内を改装するときは家主や管理会社の許可が必要であることが定められているからです。

ここでは、賃貸物件で畳をおしゃれなデザイン畳に変更するときの費用負担について解説いたします。

①借主の費用負担で行い、退去時は借主の費用で元に戻す

最も現実的に考えられるパターンが、交換も原状回復も借主が負担するケースです。

ちなみに、おしゃれな畳を普通の畳に戻さなければいけない理由はなぜでしょうか。そこには2つの理由が存在しています。

・入居時の状態に戻す、という原状回復のルールに基づく考え方

・デザイン畳の高額なメンテナンス費用を抑え、メンテナンスコストを抑えたいという、費用面からの考え方

デザイン畳は素材や大きさが一般のものと大きく異なるため、維持管理に費用がかかります。そのため、家主サイドからすると、デザイン畳への変更による物件価値アップへの期待よりも、今後の運営費用が気になるため戻したいという気持ちが働くのです。

②借主の費用負担で行い、退去時はそのままで良い

デザイン畳への交換は借主が負担し、退去時は費用負担なく退去するという判断です。

この場合は、家主サイドがデザイン畳に変更されたことを前向きに捉えてくれた結果ということができるでしょう。

③家主の費用負担で行う

かなりレアなケースですが、家主の費用負担で全部やってくれることもあります。この場合は非常にラッキーですので、お言葉に甘えましょう。ただし、あくまで応じてくれればラッキー程度に捉え、無理を言わないようにしましょう。

なお、デザイン畳は見た目のデザイン性はもちろんのこと、高級感をも演出してくれます。なかなかお目にかかることはありませんが、気になる方は問合せをしてみてください。

畳のある生活を送ってみよう

畳はお手入れが簡単で、メンテナンスの費用もそこまで高額ではないことをご理解いただけたのではないでしょうか。

小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、和室の方が安心できるという声もよく伺います。今まで和室を敬遠していた方も、いざ畳生活を始めてみるとその居心地の良さにびっくりすることでしょう。ぜひ和室で畳に触れて新しい生活をスタートしてみてください。