自宅でできる効果的な半身浴とは?温泉ソムリエが教える知識とコツ

目次

現代社会における様々なシーンでストレスを感じることも多いのではないでしょうか。人間関係や業務の締め切り、業績確保など、自覚がなくても精神的に緊張状態になっている人が多いでしょう。

そのため「どうストレスと付き合っていくか」は、永遠のテーマともいえます。日々の暮らしの中で落ち着けるタイミングを意識的に作れれば、より良い生活が期待できるでしょう。

そんなストレスを少しでも和らげてくれるのが、おうちでのリラックス時間です。その中でも、限られた時間でリラックスをするのに「半身浴」がおすすめといえます。身体にも負担が少ないうえに、期待できる効果が多い入浴方法です。

入浴と身体との関係、なぜ半身浴がおすすめなのかを知り、半身浴のコツをつかんでより良い時間を過ごしましょう。

半身浴とは

「半身浴」とは下半身部分をしっかりと温めつつ、心臓への負担を軽くした入浴方法です。「頭寒足熱」という言葉があるように、上半身(頭)は涼しく下半身は温かくという健康増進法があり、その仕組みを簡単におうちで取り入れられます。

全身浴との違い

全身浴は、肩まで浸かる一般的な入浴方法です。子どもの頃はよく「肩まで浸かって温まりなさいね」とお母さんにいわれたものです。「お風呂に入る=全身浴」というイメージがあるでしょう。

全身浴には、下半身の血液を押し上げるポンプアップ効果があるので、全身マッサージを受けたかのような効果があります。それによって、お風呂に入ると気持ち良いという感覚を得られるのです。

一方で、全身浴は水圧により心臓が圧迫されている点、全身浸かっているのでのぼせやすい点がリスクといえます。そのため、長く入浴できて身体に負担が少ない「半身浴」の方が、リラックスができる入浴方法として推奨されています。

半身浴の効果とメリット

身体に負担の少ない半身浴で、長く入浴をすることにより得られる効果とメリットを押さえておきましょう。単純に気持ち良いという感覚だけでなく、身体のメカニズムを知っておくと、半身浴の楽しみ方の幅も広がります。

リラックス効果が得られる

半身浴の温度はぬるま湯がおすすめです。ぬるま湯に浸かっているときは、副交感神経が優位に立っているので、心身ともに緊張状態を緩和してくれます。

血行が促進されて、身体が温まる

半身浴は長い時間お湯に浸かるので、血行促進につながります。よく「身体の芯から温まる」といいますが、これは血液が温められて全身を巡り、体温が上昇しているからです。体温が上がると、免疫力アップや新陳代謝が良くなるなど健康への効果が期待できます。

足のむくみが取れやすい

日中に疲れた足のむくみを改善するには、血行を良くするために長湯をする必要があります。その場合、肩まで浸かる全身浴ではなく、水圧による身体への負担が少ない半身浴をすることで、長くお湯に浸かれるのです。長時間半身浴をすることで、血行が良い状態を保ちやすく、足のむくみ改善につながります。

半身浴における温度と身体の関係

入浴は「熱い温度が好き」「ぬるま湯が良い」など、人それぞれ好みが分かれます。しかし、身体への負担と自律神経への影響を知っておくと、より良い入浴効果が得られるでしょう。その中でも、半身浴が効果を得るのに最適だと感じられると思います。

リラックスできるお風呂の温度

リラックス状態は、副交感神経(緊張や興奮を抑える役割の神経)を優位とさせる状態を創出することです。副交感神経が優位になるお風呂には、最適な温度があります。

37℃以上〜40℃未満のいわゆる「ぬるま湯」がリラックスできるお風呂の入浴温度です。

半身浴をするのならば、37℃以上〜40℃未満のぬるま湯で浸かるようにしましょう。

刺激的なお風呂の温度

逆に自律神経(心臓の動きを活発にさせる神経)が優位となり緊張してしまい、お風呂に入ったはずがリラックスではなく興奮状態を生んでいる場合もあります。

興奮状態を生む入浴温度は、42℃以上である場合と20℃以下である場合です。

お風呂の温度は42℃が適温で、お風呂に入ると心地よい状態だと表現されていますが、実は交感神経が活発になっています。熱く感じたり、冷たく感じたりするのは、脳に刺激の信号を送っているからです。

そのため、実は温泉でリラックスするというのは、お風呂で熱くなって火照った身体が涼しい場所に戻ってきたことにより、身体の負担が緩和されている状態になるので「リラックスした」と感じているのでしょう。

より効果を得られる半身浴のコツ

お風呂が身体に与える影響、温度などを加味して、半身浴を実施するコツをつかんでいきましょう。

胸下までお湯に浸かるようにする

おうちのお風呂は浴槽に段差がないのが大半です。 腰掛けるものを置いて、下半身だけを浸かる体勢を作りましょう。

お湯の量は状況に応じてですが、おヘソから胸までの間(みぞおちラインぐらいが適当な位置)が目安です。胸から下がお湯に浸かっているため、下半身は血流を促進させるポンプアップ効果があり、上半身には水圧がかかっていないので心臓負担が少なくなります。

お風呂の温度は37℃~38℃に温度設定する

実は、下半身だけだと最初は温まった気がしません。しかし、実際は血液循環が活発化し、上半身も次第に汗をかき始めるでしょう。

半身浴の温度設定は、37〜38℃の温度で20分以上浸かるとリラックス効果が期待できます。

寒くなったら時折、全身浴をして、肩まで浸かることも問題ありません。

半身浴の注意点

半身浴は期待できる効果も多いのですが、注意することもあります。身体と向き合いながらの入浴を心がけましょう。

うたた寝をしないよう気をつける

夜に疲れて帰ってくると、温かいお風呂でついついリラックスしてうたた寝することはないでしょうか。私もよく寝てしまい、咳き込みながら起きることがあります。

気持ち良くなったときの温度が40℃以下なので、時間が経過すると当然かなりのぬるま湯になっているのです。また冬場であれば、浴室もかなり寒い空間になる場合もあるため、風邪をひいてしまいます。意識のない状態での長湯は危険です。

また寝ていると体勢が崩れて全身まで浸かり、心臓も圧迫され続けて呼吸が苦しくなり、事故につながることもあります。

こまめに水分補給をとる

半身浴とはいえ、血液の循環により身体が温かくなり、発汗していきます。身体の水分量が減ることになり、血液粘度が高まるため、極端な言い方をすれば「血液がドロドロ」になります。

入浴前には、水分を必ずとるようにしましょう。飲み物ですが、ミネラルたっぷりの麦茶や汗の成分を含むスポーツドリンク、ビタミンCがたっぷりのオレンジジュースなどがおすすめです。

ちなみにアルコールは体内の水分を減らす働きがあるので、入浴前に摂取をするのはご法度です。また入浴後直後に飲むのではなく、落ち着いてから飲む方がより身体にも負担が少なくなります。

立ち眩みやのぼせ予防にタオルを活用する

入浴全般で起こりうる「立ち眩み」や「のぼせ」については、しっかりポイントを押さえておきましょう。

「立ち眩み」は全身に血が巡っている分、頭の血液量が減っている状態で起こります。そのため、熱いお湯を染み込ませたタオルを頭に乗せて、頭の血管を開いて血の巡りを良くすることで改善が可能です。

一方「のぼせ」は、頭に血がのぼったオーバーヒート状態のことを指します。血管を閉じる必要があるので、冷たいタオルで頭を冷やしましょう。

のぼせやすい夏の暑い日は冷たいタオルを頭に、冬で寒い浴槽は血管が収縮しているので熱いタオルを頭に乗せてリスクを軽減しましょう。旅番組で温泉などが紹介されると、タオルを頭によく置くシーンを見かけますが、雰囲気で置いているのではなく、きちんと役割があってタオルを置いています。

心臓に負担をかけないようにする

無理に頑張って長湯をすると、心拍数が急上昇し心臓に負担がかかる場合があります。また長湯をしたあとに急にお風呂から出ると、温度差で心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中、不整脈リスクなどになるリスクが高まるので注意しましょう。

もしどうしても長湯をしたい場合は、「分割浴」を取り入れるのもひとつの手です。分割浴とは、40℃以下のお湯で5分・8分・3分の分割浴は、「心拍数を急上昇させない」入浴方法です。

長時間お湯に浸からなくても良くなるので、心臓への負担を少なくしてお風呂時間を楽しむことができます。

半身浴がより楽しめる部屋条件・設備

どんなに疲れて帰ってきた日でも、半身浴できればリラックスして一日を終えられます。やはりおうち選びでも、お風呂の設備はこだわっていきたいポイントですよね。

半身浴を楽しむ!バス・トイレ別の賃貸物件

私が初めて一人暮らしを始めたのは社会人1年目のときで、その際は家賃が安価なことを重視しました。しかし、お風呂とトイレが分かれていないと癒やしの空間がないと感じてしまい、結果として満足がいかない暮らしを送っていました。

そのため、リラックスするお風呂時間を過ごすためには、バス・トイレ別の賃貸物件を選ぶとより快適な過ごし方を送れるでしょう。

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湯冷めを防ぐ!追い焚き付き賃貸物件

半身浴は、長湯できることが特徴です。しかし、とくに冬場は浴槽も寒いので、お湯がぬるくなってしまい半身浴どころではなくなります。追い焚き機能があれば、丁度良い湯加減に設定ができるでしょう。

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浴室乾燥機というと、衣類を乾かす役割があるものと思い浮かべる人が多いかもしれません。実は浴室乾燥機は、衣類を乾かす以外にも浴室の温度を上げる役割もあります。

前述したとおり、半身浴は下半身部分をしっかりと温めつつ、心臓への負担を軽くした入浴方法です。つまり、上半身はお湯に浸かっていない状態になります。

また半身浴は20分以上浸かることにより、リラックス効果が期待できます。

夏場は良くても、冬場は寒いので長い時間お湯に浸かることが難しいでしょう。浴室乾燥機があるお風呂場なら、寒い時期でも半身浴をすることが可能です。

半身浴をするのならば、浴室乾燥機が備え付けられているかどうかを確認しながら、ぜひお部屋を探してみてくださいね。

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リラックス効果をもたらす半身浴を取り入れてみては?

半身浴の効果を知りコツをつかめば、試してみたくなりますよね。メリットがたくさんあって、簡単にできる半身浴は、おうち時間に最適です。

日々のストレスと向き合っていくには、住環境を整えることこそ、現代社会でうまく生活するコツなのではないでしょうか。少しでも健やかな毎日となることを祈念しております。