「お気に入りの靴が雨で濡れてしまった」「急な雨で靴がビシャビシャになった」「子どもが泥まみれの靴で帰ってきて、明日履かせる靴がない」といった経験をしたことはありませんか?
今回は、濡れた靴をできるだけ早く乾かす方法をご紹介します。必要な道具やあったら便利なグッズ、乾かす際の注意事項やポイントなども合わせて解説していますので、乾かす際の参考にしてみてください。
基本的な靴の乾かし方と注意点

早速、実際に靴を乾かす流れを説明します。併せて注意点も紹介するので、ぜひチェックした上で正しい乾かし方を実践してみてください。
一般的な靴・スニーカーの乾かし方
まずは、スニーカーなどの一般的な靴の乾かし方を3つご紹介します。
ハンガーにかけて乾かす
シューズ用のハンガーを使用する方法です。シューズ用のハンガーは、比較的リーズナブルなものも多いので、一家に一本あるとなにかと重宝します。100円ショップなどでも販売されているため、手に入れやすいでしょう。どうしても手に入らない場合は、針金ハンガーでも代用できるのでおすすめです。
シリカゲルなどの乾燥剤を入れる
シリカゲルなどの乾燥剤を入れるのも効果的です。シューズショップなどでも販売されているので、見つけた際はチェックしてみましょう。
シリカゲルのよいところは、再利用可能なものがあることです。一定期間使用したシリカゲルは、フライパンなどで熱を入れることにより効果が復活します。ただし、半永久的に使えるものではなく、効果は少しずつ劣化していくため、一定期間で買い替えるのがおすすめです。
新聞紙やキッチンペーパーを詰め込む
上記のようなハンガーや乾燥剤がない場合、クシャクシャにした新聞紙やキッチンペーパーを詰め込みましょう。紙が水分を吸収してくれるため、乾きやすくなります。時間が経つと紙が湿ってくるので、ときどき様子を見ながら中身を詰め替えましょう。
カイロをキッチンペーパーに包んで詰め込む
使い捨てカイロを靴の中に入れると、靴を乾かすだけでなく消臭効果が期待できるため、一石二鳥です。
使い捨てカイロを包装から取り出して振り、発熱させた状態で靴の中に入れて、5~6時間ほど放置しましょう。使い捨てカイロが発する熱が水分を蒸発させるため、靴を乾燥させられます。発熱後の使い捨てカイロには消臭効果があり、靴の乾燥と消臭を同時に行えることもメリットです。
濡れた革靴・ブーツの乾かし方

続いては、革靴やブーツなどを乾かす方法です。素材としてデリケートなものも多いので、スニーカーと同じような方法で乾かすとダメージを重ねてしまう可能性があります。
革靴やブーツが濡れてしまった場合は、必ず柔らかい布などで水分を取り除いてください。一般的に革靴は雨に弱いとされていますが、実際は少々誤解を含んでいます。革靴はたしかに水分に弱いものの、濡れることはさほど問題ではありません。濡れた後にそのまま放置することでシミの原因になるので、濡れてしまった革靴はまず水気を取ることを最優先にしましょう。
その後は壁に立てかけるように乾かしましょう。高級な革靴などは、靴底にもレザーを使用しています。レザーは水分がNGなので、通気性を高めるためにも立てかけて置きましょう。
なお、革靴の中に使い捨てカイロを入れて乾燥させる方法もNGです。革靴は熱に弱いため、使い捨てカイロを革靴の中に入れて発熱させると革を傷める恐れがあります。革靴の場合、水分を取った後は自然乾燥させましょう。
濡れたパンプス・ヒールの乾かし方

最後にご紹介するのは、パンプスやヒールを乾かす方法です。
パンプスやヒールには足の汗や老廃物が付着しやすく、特に濡れた状態で放置すると雑菌が繁殖しやすくなります。雨で濡れたときだけでなく、汗をかいた後も乾かしてお手入れしましょう。まずはパンプス・ヒール全体の水分を取り、新聞紙やキッチンペーパーを丸めてパンプス・ヒールの中に詰めてください。中敷きを入れている場合は、事前に取り除くことがポイントです。
その後は風通しのいい場所に1~2日放置して乾燥させます。天日干しをするとパンプス・ヒールのゴムや革が劣化する恐れがあるため、必ず日陰に置きましょう。扇風機や暖房の風があたる場所に置いたり、ハンガーに引っかけてカーテンレールにかけて風をあてたりする乾かし方がおすすめです。
また、パンプス・ヒールを少しでも早く乾かすコツは地面から浮かせることです。パンプスやヒールの湿気は下に溜まりやすいため、地面に置くと乾燥までに時間がかかります。そこでパンプス・ヒールのつま先を上にして立てかけると、通気性がよくなり、全体をまんべんなく乾燥させられます。このとき、パンプス・ヒールの下にタオルを敷いておくと、落ちてきた水分をタオルが吸収するため、室内を汚す心配がありません。
靴を乾かす際の注意点
基本的な靴の乾かし方を知ったところで、次に靴を長持ちさせるための乾かし方の注意点をご紹介します。基本的なこともありますが、これらを意識するか適当にするかで、乾き方に大きな差が生まれます。さらには靴を傷めてしまう原因にもなり得るので、ぜひ参考にしてみてください。
必ず水分を取り除く
乾かす際は、放置する前にできるだけ水分を取り除いてください。ビシャビシャのまま乾かそうとしても、時間がかかるだけです。それは、脱水を行わずに洗濯物を乾かすのと大差ありません。
やり方は乾いた布で拭く、もしくは包んで脱水にかけるなどです。ただし、革靴などを脱水にかけてしまうと、傷などの原因なってしまう恐れがありますので、避けたほうが無難です。
直射日光を避け、風通しのいい日陰で乾かす
靴はできる限り風通しの良い場所で陰干しをしましょう。一般的な靴やスニーカーであっても直射日光は避けたほうが良いですが、特にレザーは色焼けがしやすく、長時間日光に当たると変色する恐れがあります。
一般的な靴やスニーカーは、夜間では虫が、昼間は色焼けの原因にもなるため、できる限り室内で干すことを推奨します。ただし、臭いが気になる、干す場所がないなどの場合はバルコニーでも問題ありません。
ブーツや革靴は水分に弱いので、できる限り早く乾かしてあげる必要があります。そのため風通しが室内より良い傾向にあるバルコニーなどで陰干ししましょう。
扇風機やサーキュレーターがある場合は、それらの機器を利用して靴に風を当てる乾かし方もおすすめです。自然乾燥を待つよりも、風を当てたほうが素早く乾かせるため、翌日も同じ靴を履きたいときなどに有効と言えます。
ドライヤーで乾かす方法も効果的ですが、温風を当てると接着面が剥がれたり、変形したりする可能性があります。扇風機やサーキュレーターの風なら熱で靴が傷む心配がなく、風が当たる場所に放置していれば乾燥するため、手間もかかりません。
暖房器具やストーブ、暖炉の近くに靴を置かない
暖房器具やストーブ、暖炉の近くに濡れた靴を置くとすぐに乾きますが、靴の劣化も早めてしまいます。特に革製やブーツは熱によって材質が硬くなり、ひび割れや変形の原因となります。
急ぎで乾かしたい場合は、後述する「【緊急対応】濡れた靴をより早く乾かすには?」で紹介する方法を試すようにしてください。
乾燥後は必ず靴クリームを塗布する
靴が乾いたら靴クリームも塗布してあげましょう。特にレザー素材を使用した靴やブーツは、必ず乾燥後に塗布することが重要です。
一度表面が濡れたレザーが乾くとき、水分と一緒に油分も蒸発してしまいます。レザーは、人間のお肌と似た性質を持っているのが特徴です。普段は適度な水分と油分を含むことにより、ハリや艶が生まれます。乾燥しすぎると、ひび割れやシワ、劣化の原因になってしまうのです。靴が濡れた後はしっかり乾かし、革に栄養や水分を補給してあげましょう。
スニーカーに関しても、クリームを塗らなくていいと思われがちですが、意外とレザー素材が使われていることも多いです。特に多いのがロゴ部分で、有名なスポーツメーカーなどのロゴは、レザー素材が使われていることがあります。アッパー部分はメッシュや合成皮革だったとしても、ロゴの素材はリアルレザーといったことも多いです。
靴の組成は、シュータン(足の甲部分の中央内側についている泥除け)の裏側や靴の中のラベルに記載されているので、確認してみてください。
靴消臭グッズや竹炭、備長炭などで臭いケアをする
濡れた靴をそのまま放置すると臭いの原因になります。靴を乾かすときは臭いケアも並行して行いましょう。
市販の靴消臭グッズを使うのがベストですが、竹炭や備長炭を使った臭いケアもおすすめです。特に竹炭は脱臭効果だけでなく吸湿性も併せ持つため、乾燥と脱臭を効率よく行う上で役立ちます。
竹炭の使い方はシンプルで、濡れた靴の中に適量を入れるだけ。竹炭は自然素材のため、靴を傷める心配がなく、靴の素材も問わずに使えます。また、余った竹炭はクローゼットや車の中などの脱臭用としても使えるため、無駄が生じません。
【緊急対応】濡れた靴をより早く乾かすには?

ここからは、「数時間後には履かないといけないのに濡れている」など、スピードが要求される緊急時向けの靴を早く乾かす方法をご紹介します。ただし、これらの方法は靴に大きな負担をかけてしまうため、時間に余裕がある場合はできる限り前述の基本的な乾かし方を実践してください。
ドライヤーの冷風を当てる
どのご家庭にも1台はあるであろう、ドライヤーを使います。ドライヤーで靴を乾かすときは冷風を使用しましょう。温風よりも靴が乾くまでの時間が長くなりますが、靴を傷めるリスクは低くなります。
温風を使うと、靴の変形や歪みの原因になったり、靴に使われている接着剤が溶けてしまったりする可能性があります。早く乾かすためにどうしても温風を使う場合は、ドライヤーを靴から30cmほど離して、全体にまんべんなく風を当てることが大切です。
洗濯機の脱水機能を活用する
洗濯機の脱水機能は、濡れたものを乾かす点において大きな味方となります。靴の水分を取り除くことも可能です。
やり方は、片方ずつ乾かしたい靴をタオルに包み、輪ゴムなどで留めます。それを厚手の洗濯ネットに片足ずつ入れ、脱水をかけます。このときに、タオルで包むのに抵抗があったり、洗濯ネットがなかったりする場合は、そのまま洗濯機に放り込んでも構いません。
注意してほしいのは、靴紐です。よほどのことがない限り、靴紐は外して脱水をかけてください。脱水中は洗濯槽が高速回転するので、靴が傷む原因になります。可能な限り短い時間だけにしましょう。
素材によりますが、目安は3分程度で、メッシュ生地などの乾きやすい素材は1分程度でも十分です。少しずつ様子を見ながら、脱水を行いましょう。
浴室乾燥機を活用する
浴室乾燥機を使用するのもおすすめです。乾燥機付き洗濯機での乾燥と比べ、靴に対するダメージが少なくなるため、傷みにくくなります。そのまま浴室乾燥にかけても効果はありますが、より早く確実に乾燥させるために、靴の中に新聞紙やキッチンペーパーなどを詰めましょう。型崩れの防止にもなるので、一石二鳥です。
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靴専用乾燥機を使う
靴専用乾燥機とは、雨で濡れたり、汗で湿ったりした靴を乾かすことに特化した乾燥器です。靴を傷めずに乾燥させられるため、雨天時も外出する機会が多い方や、大切な靴を長く使いたい方は、靴専用乾燥機を購入すると良いでしょう。
例えばアイリスオーヤマ「SD-C2」は、スニーカーや革靴を最短30分で乾燥させられるアイテムで、乾燥と同時にオゾン脱臭も行えます。この機種は2足同時に乾燥させられるため、2人以上で暮らしている方は特に便利でしょう。
また、ツインバード「くつ乾燥機(レッド)」のように、4,000円~5,000円台で購入できる靴乾燥機もあります。靴乾燥機の特徴や機能は、購入するモデルによって大きく異なるため自分自身や家族にとって使いやすいモデルを購入することがポイントです。
布団乾燥機を使う
布団乾燥機を使って靴を乾かす方法もおすすめです。靴用のアタッチメントが付属している場合は、そのまま靴乾燥機として布団乾燥機を流用できます。アタッチメントが付属していない場合は、ノズルを直接靴に差し込んだり、数か所に穴をあけたゴミ袋に靴を入れたりして代用しましょう。
ただし、高温設定の状態で靴を乾かすことはおすすめしません。靴を傷める恐れがあるため、温度設定では「低温」または「中温」を選びましょう。
【緊急対応2】出先(家以外の場所)でできる濡れた靴への応急処置
出先で靴が濡れてしまった場合、まずは靴に入った水分を拭き取りましょう。ティッシュペーパーやトイレットペーパーを使うと、靴に貼りつく可能性があるため、紙類の使用は控えましょう。コンビニで購入できるタオルやハンカチを使って水分を取る方法がおすすめです。
水分は靴の内部にも染み込んでいるため、新聞紙やキッチンペーパーなどを丸めて靴の中に入れ、内部の水分を吸収させましょう。詰めた物が湿ってきたら、新しい詰め物に交換してください。早く乾かすことを優先したい場合は、カイロを靴の中に入れる乾かし方も有効です。
応急処置は以上ですが、帰宅後は念のために改めて靴を乾燥させてください。詰め物だけで吸収できなかった水分が残っている可能性があるためです。直射日光を避け、風通しの良い場所に靴を置いたり、扇風機やサーキュレーターの風を当てたりして、靴をしっかりと乾かしましょう。
濡れた靴を放置するとどうなる?

そもそも、靴が濡れてしまった場合に放置しておくとどのような問題があるのでしょうか。すぐに履けないだけではない、いくつかの問題を紹介します。
臭い・衛生面の問題
はじめに挙げられるのが、臭いの問題です。靴の中では私たちの想像以上に汗をかいており、多い時には両足で一日に200mlほどと言われております。そのため、蒸れやすいだけでなく、臭いの原因である雑菌が繁殖しやすくなります。
さらに、汗で蒸れた靴が、雨などで濡れてそのまま放置をしてしまうと、雑菌が雑菌を呼び、強烈な臭いの原因となります。
また、臭いだけでなく衛生面ではカビが発生する原因にもなります。カビの発生条件は一般的に温度20℃~30℃、湿度80%以上で梅雨や夏場に発生しやすくなっています。
濡れた靴も同様に高温多湿の状態となるため、放置をするとカビが発生してしまいます。
身体への影響
濡れてしまった靴や、生乾きの靴を履き続けると、足のトラブルの原因にもなります。代表的なものとしては水虫です。水虫は、足に白癬菌という菌が長時間付着した際に起きる皮膚疾患です。
白癬菌は高温多湿を好むため、濡れた靴を放置したまま履き続けていると、靴の中で菌が増殖して皮膚に付着し発症します。
水虫の症状としては主にはかゆみがあげられます。薬を塗って治療をおこなっていくことで数週間程度でかゆみ自体は和らぎますが、完治までは数か月かかる場合もあります。
また、水虫は素足の場合バスマットやスリッパなどを通して人へ移してしまうことがあり、自分だけの問題とならない場合もあるため、気を付けておく必要があります。
靴自体の劣化
最後は靴自体の劣化です。カビが発生しまうのは前述のとおりですが、スニーカーであれば濡れたまま放置することで型崩れしてしまったり、革靴であればシミやひび割れを引きおこす場合があります。
劣化すると靴の見栄えとしても良くないですし、あまりにひどい場合は買い替える必要がでてくるため、金銭的にももったいないですね。しっかり乾かすことで、きれいなまま長持ちさせることができるのでケアは徹底していきましょう。
このように濡れた靴を放置すると、臭いの原因や足トラブルを引き起こす可能性があるので、なるべく早く乾かすことが大切です。
濡れた靴を放置してしまった場合の対処法

ここまで濡れた靴を放置するリスクも含め、乾かし方を紹介してきましたが、人間誰しもミスはしてしまうものです。特に仕事で疲れた日の帰路に雨に降られ、ずぶ濡れで帰ってきたときなどは自分のことで精一杯で濡れた靴のことを忘れてしまうことも珍しくありません。
放置して雑菌が繁殖してしまった靴を、新品同様に戻すことは残念ながら難しいです。しかし思い入れや替わりの靴がすぐに用意できないなどの理由で、履き続けなければならないシチュエーションもあるでしょう。
ここからは、濡れたまま放置してしまった靴を続けて履く場合の一時的な対処法をご紹介します。
まずは乾燥剤などを入れて完全に乾かす
濡れた靴の放置に気づいたところで、サイズや素材によっては、なかなか乾き切っていないこともあるでしょう。その場合は乾燥剤を入れましょう。おすすめは靴用のシリカゲルで、乾燥剤は意外と手に入りやすいものです。
たとえば、新品の靴を買った際には、たいてい靴と一緒に箱に入っており、食品関係にも乾燥剤は入っています。このような乾燥剤を集めて中身を出し、布などに包んで靴の中に詰め込んでみてください。使い捨てですが、即席乾燥剤として機能します。
消臭スプレーなどを使用する
どれだけ乾かしても靴の臭いは残るものなので、仕上げに消臭スプレーを使用しましょう。消臭スプレーには、大きく分けて液体タイプとパウダータイプがあります。私がおすすめしたいのは、パウダータイプのものです。
液体スプレーはその名のとおり液体を吹きかけるので、靴の中が濡れてしまいます。濡れたまま靴を履いてしまうと、それもまた臭いの原因になるため、控えるようにしてください。その点、パウダータイプであれば、吹きかけた直後もサラリとしているため、すぐに靴を履けます。
また、香りは無香料のものがいいでしょう。これは好みもありますが、基本的に臭いを臭いで消すのは避けたほうが無難です。
型が崩れている場合はシューツリーやシューキーパーなどを使う
濡れたまま放置することで、型崩れを起こすこともあります。型崩れを起こすと、靴本来の美しいシルエットが損なわれ、上手に履けなくなります。乾かすときには、シューキーパーやシューツリーを使用しましょう。
濡れてしまった靴を正しい方法で乾かそう!
今回は、靴の乾かし方を紹介しました。靴が濡れてしまった場合、もしくは洗った後は、必ず正しい方法で乾かしましょう。濡れたままの靴を履くことは、足のトラブルや臭いの原因になります。そして、それは日常生活に影響を及ぼす可能性もあります。
たかが靴と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、靴は私たちの生活において必要なものです。それを快適に使用することが、日常を心穏やかに過ごすことにもつながるので、ぜひ参考にしてみてください。


