「オシャレは足元から」という言葉を、一度は聞いたことがあるかと思います。これはあながち間違いではなく、身体の先端部分である足元、すなわち「靴」は非常に目立つアイテムです。その靴が汚れてしまっていては、せっかくのコーディネートも台無しになりかねません。何より綺麗な靴を履くと気分が上がり、日々の生活に彩りを与えてくれます。
そこで今回は、元スニーカーショップの店員である私が、自宅でも簡単にできるスニーカーのお手入れ方法をご紹介します。「スニーカー」と一口に言っても、素材や形状、汚れは様々。それぞれあると便利なアイテムや注意点なども解説していきます。
お気に入りの靴を長く大切に使っていく為に、是非ともチェックしてみてくださいね。
スニーカーの洗い方の基本

スニーカーを洗う際に最低限抑えておきたいポイントを4つ紹介します。
①水洗いができる素材なのか必ず確認する
まず最初に確認したいのが、スニーカーの素材です。水でガンガン洗える素材もあれば、水洗いに全く向いていない素材もあります。例えばレザーやエナメル、ムートンやスエードなどの素材を使用しているスニーカーは、あまり水洗いをオススメできません。
水洗いが可能なのは綿、いわゆるキャンバス素材や合成皮革、人工皮革など。メッシュ生地なども水洗いが可能です。
スニーカーに使用されている素材は、スニーカー内部に付属しているタグで確認できます。もしわからない場合は、自分だけで判断せずブランド公式サイトなどで調べてみましょう。
②土や泥、チリ、埃などの汚れを落とす
水洗いをする前に、まずは土や泥、チリや埃などの汚れを落としましょう。
この時、できれば靴用のブラシを使用してください。オススメなのは馬毛ブラシです。靴ブラシには大きく分けて馬毛と豚毛の2種類がありますが、毛の柔らかい馬毛ブラシが理想です。もし持っていなければ歯ブラシなどでも代用可能です。
先に土や泥を落としておくことで、擦った時に傷が付いてしまうことを防げます。またアッパーとアウトソールの境目、甲の部分と靴底の接着部分などには汚れが溜まりやすいので、念入りにブラッシングをしましょう。
③ぬるま湯や常温の水で洗う
土や泥汚れを落としたら、石鹸や衣類用洗剤を付けながら不要な歯ブラシなどで優しく洗いましょう。
お湯が良いとされていることもありますが、素材や染料によって色が滲む可能性があります。できれば常温、もしくはぬるま湯で洗うのがオススメです。
④石鹸や洗剤をしっかり落とす
汚れがある程度落ちたら石鹸などをしっかり洗い流しましょう。ここを疎かにしてしまうと、素材や色によってはシミのように残ったりする可能性があります。
もちろん乾いてからでしか判断ができないのですが、濯ぎ残しがないよう念入りに洗い流すようにしましょう。
頑固な汚れがあるスニーカーの洗い方
頑固な汚れがあるスニーカーは、水洗いだけでは落ちない可能性があります。その場合はこれから紹介する方法を試してみてください。
つけ置きでスニーカー汚れを落とす

頑固な汚れには、基本であるつけ置きが効果的です。ブラシだけでは届きにくいような場所にもアプローチできるため、汚れに困ったらまず試してみましょう。
STEP1.バケツや湯船などに水を張る
バケツなどに常温やぬるま湯を張りましょう。スニーカー全体が浸かるような大きさの容器が望ましいです。
STEP2.洗濯用洗剤や石鹸などを溶かす
洗濯用洗剤や石鹸などを溶かし、30分から1時間ほどつけ置きしてください。この時に重曹などを入れるのも効果的です。
STEP3.ブラシで部分的に汚れを落とす
つけ置きが終わったら部分的な汚れを落としていきます。優しく擦るだけである程度は落とせると思います。
STEP4.綺麗な水ですすぐ
洗い終えたら綺麗な水ですすぎましょう。洗剤等が残ったまま乾かしてしまうと、シミなどの原因になります。念入りに水で洗剤を落としましょう。
スニーカー用シャンプーを使って汚れを落とす

靴の量販店などではスニーカー用のシャンプーなどが販売されています。これらは水を使わずスニーカーを洗うことができるので、水洗いに適していない素材などにも使用可能です。使用する際は、必ず製品の注意事項等を熟読するようにしてください。
STEP1.スニーカーシャンプーをスニーカーに塗布する
まずはスニーカーシャンプーをスニーカーに塗布します。(泡で出てくるタイプが多いと思います)このとき、”思っているより多めに使用すること”がポイントです。泡タイプの場合、見た目は付けすぎのように感じるかもしれませんが、気持ち多めぐらいが汚れを落としやすいのでオススメです。
STEP2.ブラシで汚れを落とす
シャンプーをスニーカーに塗布したら、全体を泡で優しく擦るように洗ってください。落ちにくい汚れなどがありましたら、追加でシャンプーを塗布してください。
STEP3.乾いた布で拭き取る
水を使わない商品の場合は乾いた柔らかい布でシャンプーを拭き取ってください。シャンプーが残ってしまうと乾いた時にシミなどの原因になりますので、注意が必要です。
洗濯機で洗って汚れを落とす

素材などにもよりますが、洗濯機で洗うのも効果的です。
STEP1.あらかじめ土や泥汚れを落としておく
洗濯機に放り込む前に、ある程度の土汚れなどは落としておきましょう。洗濯機の故障の原因になる恐れもありますので、注意が必要です。
STEP2.洗濯ネットに入れて洗う
洗濯ネットに入れて洗うことをオススメします。型崩れを防止する効果も望めるでしょう。洗濯機のコースは機種などにもよりますが「オシャレ着洗い」等の優しく洗浄するコースが無難です。
脱水も可能ですが型崩れの原因にもなりますので、やりすぎには注意が必要です。また脱水する際は、片足ずつタオルなどで包むと洗濯機を傷つける可能性も低くなります。コインランドリーでも洗濯は可能ですが、脱水のパワーが強すぎることがあるので注意が必要です。
綿以外のスニーカーの洗い方【レザーやスエード、合皮など】

ここからは、キャンバス生地以外のスニーカーの洗い方をご紹介します。
レザー素材のスニーカーの洗い方
まずは、レザー素材のスニーカーの洗い方とポイントについて解説していきます。
STEP1.靴用ブラシでブラッシング
まずはキャンバス生地と同様に、ブラシで汚れを落とします。アッパーとアウトソールの隙間も忘れずにブラッシングしましょう。
STEP2.靴クリーナーで汚れを落とす
ある程度の土や埃を除去できたら、靴用クリーナーで汚れを落とします。レザースニーカーの場合は靴クリームを塗布していることも多いと思いますので、以前に塗った靴クリームを落とすイメージです。綺麗な布で全体的にクリーナーで磨いてください。
レザー素材は基本的に水洗いを避けたほうがいいので、注意が必要です。
STEP3.靴クリームを塗る
汚れを落としたらレザー用の靴クリームを塗りましょう。色付き、無色、どちらでも大丈夫です。レザー素材本来のしなやかさと艶を取り戻します。
スエード素材のスニーカーの洗い方
つぎに、スエード素材のスニーカーの洗い方とポイントについて解説していきます。なお、スエード素材もレザー同様、水洗いは原則NGです。
STEP1.靴用ブラシでブラッシング
まずはブラシで汚れを落とします。スエード素材は起毛がありますので、毛の流れに逆らうようにブラッシングをすると、奥の汚れも取り除くことができます。
STEP2.スエード用の汚れ落としを使用する
気になる汚れがある場合は、スエード用の汚れ落としを使いましょう。消しゴムタイプなども売られていますので、簡単に使用することができます。
STEP3.毛流れに沿ってブラッシング
最後に毛の流れを整えてあげましょう。最初に毛の流れに逆らってブラッシングをしたので、その逆の方向でブラシを当てます。
STEP4.色褪せなどが気になる場合は補色ミストを使用する
もし色が薄くなっていたりムラが気になったりする場合は、スエード用の補色ミストを使用しましょう。こちらも量販店で売られています。ブラウン系の色は濃淡がありますので、目立たない場所で試してみてください。色で迷った場合は靴の色よりも明るい色のミストを選びましょう。
合皮素材のスニーカーの洗い方
洗えないイメージが強い合皮素材のスニーカーは、どのように洗うのでしょうか。汚れの落とし方・洗い方とポイントを確認しましょう。
STEP1.水洗いが可能か確認する
合成皮革の場合、実は水洗いができるものとできないものがあります。水洗いが可能かどうか確認しましょう。わからない場合は水洗いを避けてください。
STEP2.レザー用の汚れ落としを使用する
レザー用の靴クリーナーで汚れを落としましょう。レザー素材よりも比較的簡単に汚れを落とすことができます。もちろん、靴用ブラシを併用するとより効果的です。
STEP3.傷などがある場合、レザー用のクリームで補色する
汚れを落としてもつま先などに傷があると、どうしても目立ってしまいます。その時は同色のレザー用クリームを使用しましょう。傷をある程度隠すことで、より綺麗な印象を与えます。
エナメル素材のスニーカーの洗い方
艶が強く美しいエナメル素材のスニーカーはどのように洗うのでしょうか?美しい艶を残したまま洗う方法を解説していきます。
STEP1.ブラシで汚れを落とす
エナメル素材は非常にデリケートな素材です。艶が強く美しいのですが、手入れも少々注意が必要です。ブラシは毛の柔らかい馬毛ブラシを使用してください。強く擦ると傷がついてしまう可能性があるので、避けるようにしましょう。
STEP2.エナメル用ローションを使用する
エナメル素材には、エナメル専用のローションを使用します。柔らかい布に塗布して靴を磨いていきましょう。なお、直接ローションをかけないようにしてください。
STEP3.柔らかい布で拭きあげる
ローションを塗り終えたら、違う柔らかい布で拭きあげてください。ローションをムラなくエナメルに浸透させるようなイメージです。
合成繊維のスニーカーの洗い方
扱いやすい合成繊維のスニーカーは、水洗いも可能なことが多いので他の素材よりも手入れが簡単です。
STEP1.ブラシで汚れを落とす
合成繊維はアクリルやナイロン、ポリエステル等の化学繊維です。基本的には水洗いも可能です。水洗いが面倒な場合はブラシで汚れを落としてください。
STEP2.スニーカーシャンプーや消しゴムを使用する
頑固な汚れにはスニーカーシャンプーを使用しましょう。また素材によっては消しゴムでゴシゴシすると取れる汚れもあります。もちろんクリーナーも使用できます。
元スニーカーショップスタッフが教える、型崩れしない干し方5選

スニーカーを洗ったあとは干しましょう。型崩れしない干し方を、元スニーカーショップスタッフの私が解説していきます。
シューキーパーを使う
まずは基本となるシューキーパーを使いましょう。シューキーパーは靴の中に入れることで、型崩れを防いでくれるものです。シューキーパーは木製からプラスチック製まで様々です。
靴の手入れをする際や長期保存する場合に重宝するので、持っておいて損はないでしょう。ただし、水洗いをする際に木製シューキーパーを使用するのは厳禁ですので注意してください。
新聞紙を詰める
シューキーパーがない場合、新聞紙を詰めるのもオススメです。型崩れを防止してくれますし、紙が水分を吸収してくれます。ただし、洗い立ての場合はすぐに紙が濡れてしまうので、定期的に取り替える必要があります。
シューハンガーを使用する
靴専用のハンガーも販売されています。靴をひっかけて干すので型崩れしにくいでしょう。しかし、靴そのものの重さが圧としてかかってしまうので、使う場合は注意が必要です。
踵を下にして陰干し
床に立てかけて干す場合は、踵を下にしておきましょう。型崩れを防ぐことができます。しかし踵部分に水が溜まってしまい、少々乾くのに時間を要します。
平置きにして干す
最後は普通に平置きで乾かす方法です。特に費用等もかからず安全に干すことができます。
屋外で干す場合は、陰干しをしてください。浴室乾燥などを使用すると乾燥時間を短縮することもできます。
スニーカーの正しい洗い方を知って長持ちさせよう!
今回はスニーカーの洗い方を素材別で紹介しました。普段のこまめなお手入れが、お気に入りの靴を長持ちさせるポイントです。時にブラシを使ったブラッシングや、クリーナーを使ってサッと拭きあげるなど、簡単にできるものもあります。
またお手入れをした後は防水スプレーを振っておくのもオススメ。雨や水分を弾くのはもちろん、土や泥汚れも弾いてくれます。そしてお手入れする際も汚れが落ちやすくなります。
正しい知識を持って正しくお手入れをすれば、汚れではなく「味」が出てくるのがスニーカーです。「オシャレは足元から」と言われている通り、ファッションにおいて重要なアイテムですので、是非この機会に手持ちの靴をお手入れしてみてください。