【図解入り】インナーバルコニーとは?ルーフバルコニー・サンルームとの違いやメリット、メンテナンス方法を解説

目次

マンションやアパートでも気軽にアウトドアを楽しめる、インナーバルコニーが注目されています。くつろぐ空間や植物を育てる空間にするなど、自由に活用することが可能です。しかし、インナーバルコニーに興味はあるものの、具体的にどのようなものか分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、インナーバルコニーにはどんな特徴があり、普通のバルコニーやサンルームと何が違うのかを詳しく解説します。インナーバルコニーに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

インナーバルコニーとは?

インナーバルコニーとは、2階以上にあるバルコニーやベランダの一種です。広くて屋根があり、屋外でありながら、まるで室内の一部のようなスタイルのものを指します。リラックスしたり、食事を楽しんだりする場所として多目的に利用でき、ルーフバルコニーやサンルームとも異なる特別な魅力があります。

一般的なバルコニーとの違い

 

バルコニー(ベランダ)とは、マンションやアパートの2階以上の住戸で、主要な窓に面してつくられる屋外空間のことです。一般的なバルコニーは、物干し場やエアコンの室外機置き場として使われます。また、建築基準法や消防法で義務付けられた避難用のスペースとして設置されているのが特徴です。

一般的なバルコニーは、住戸の間口いっぱいの幅をもつ、細長い形状になっています。奥行きは必要最低限の1.0〜1.5m程度で、奥行きが2.0mを超えると床面積に算入されるため、2.0m以内になっていることがほとんどです。

これに対してインナーバルコニーは、奥行きが2m以上ある広大なものです。間口に面した細長い形状ではなく、部屋と外壁の間に囲まれるように設置されていることもあります。

インナーバルコニーは、通常のバルコニーの機能をもつだけではありません。室内の延長で、戸建て住宅の庭のように使うことを目的として、物件に特別な魅力を加えるためにつくられています。

ルーフバルコニーとの違い

物件情報では、ルーフバルコニーという用語をよく目にするかもしれません。インナーバルコニーとルーフバルコニーは似ているものの、大きな違いがあります。

アパートやマンションを建設する際、建築基準法の高さや面積の制限などのために、上の階にいくほど階段状に建物が小さくなる場合があります。そのときに、下の階の屋上(ルーフ)をバルコニーとして有効利用することがあり、これをルーフバルコニーといいます。

ルーフバルコニーは広く開放的につくれますが、高さや面積の制限から屋根がつくれないため、気候によって使い方が限定されることが特徴です。これに対してインナーバルコニーは、十分な広さと風雨や日光を遮る屋根を兼ね備えた、ぜいたくなバルコニーといえます。

サンルームとの違い

サンルームとは、雨水や風が入らないように、ガラスパネルやアルミサッシで外部と区切られた多目的空間です。見た目は屋外のように開放的ですが、建築基準法上は屋内空間であり、バルコニーとは別のものです。通常は、物件の専有面積に含まれています。

室内と同じように使用でき、主に洗濯物干しや日光浴などに活用されます。全体がガラス張りなので、明るい温室のような空間であり、夏は暑く冬は結露しやすくなり、使い道が限定されることが注意点です。

インナーバルコニーのメリット

インナーバルコニーには、どんなメリットがあるのでしょうか。その特徴を一般的なバルコニーやルーフバルコニー、サンルームと比較してみましょう。

インナーバルコニー一般的なバルコニールーフバルコニーサンルーム
アウトドア気分を味わえる
アウトドア気分を充分に味わえる

使い道は限定される

戸建ての庭のよう

実質的に屋内
リビングの延長として使える
広さが十分にある

奥行きが狭く感じる場合がある

広さは十分にある

夏は暑く冬は結露
屋根があるので雨がかからない
屋根があるので、雨にかからない

屋根が少ない

屋根がない

屋根があり、実質的に屋内で過ごせる

アウトドア気分を味わえる

アパートやマンションは利便性と引き換えに、戸建て住宅のように自然を味わうことが難しくなります。上層階になるほど地面から離れて、人工的な空間に閉じ込められたような気分になりがちです。インナーバルコニーは、一般的なバルコニーより広く、戸建て住宅の庭のようにさまざまな使い方ができます。

リビングの延長として使える

インナーバルコニーは、リビングやダイニングに面してつくられることが一般的です。大きなガラス窓・サッシがあり、自由に出入りができるようになっています。食事やくつろぎの場所として、リビングやダイニングの一部として使えるため、室内からのつながりによって視覚的な広さも得られます。

屋根があるので雨がかからない

インナーバルコニーは屋根に覆われているため、雨の日でもリビングの延長として使えます。通常のバルコニーより屋根が深いので、物干し場としても天候を選ばず、不在時にも安心して干しておくことが可能です。インナーバルコニーは奥行きが深いため、部屋に差し込む直射日光を遮って、眩しさや夏の暑さを和らげられます。

インナーバルコニーの注意点

インナーバルコニーには、注意すべきポイントもあります。そのほかのバルコニーと比較してみましょう。

部屋の日当たりや明るさが減る

インナーバルコニーは、一般的なバルコニーに比べて奥行きが深いです。屋根があり、部屋が奥まって配置されているため、バルコニーを通って室内に入ってくる日当たりが減ります。このため、一般的なバルコニーに比べて、部屋がやや暗くなります。

掃除に手間がかかる

インナーバルコニーは広いので、掃除をする面積も大きくなります。屋根と壁で囲まれているため、ほこりなどが雨で流されることもなく、溜まりやすくなります。

賃料が高くなる

インナーバルコニーの奥行きの深い部分は、建築基準法の床面積や建築面積に算入され、建築工事費も屋内と同じようにかかっています。つまり、本来は室内空間としてつくられる部分を、あえて屋外空間としていることになります。

インナーバルコニーは専有面積に入っていないにもかかわらず、その部分も賃料に反映されるため、部屋の広さに対して割高な賃料となることが多いです。

インナーバルコニーの活用方法

インナーバルコニーには、さまざまな楽しみ方や利便性があります。以下では、主な使い方を解説します。

※ただし、ここで紹介するのはインナーバルコニー自体が全て専有部分となっている場合です。賃貸のマンションによってはインナーバルコニーであっても共用部分となっていることがあります。避難経路を防いだり、過度に所有物を設置したりすることが禁止されている場合があるので、規約を十分に確認しましょう。

ベランピングを楽しむ

ベランダで楽しむグランピング=ベランピングが流行しています。ベランピングでは、わざわざキャンプ場などに出かけることなく、準備も後片付けも簡単で、気軽にアウトドア感覚を楽しめます。

インナーバルコニーは広いため、テーブルや椅子、ハンモックなどを置くことが可能です。屋根もあるので、天候を選ばずに雨の日でも使用できます。バルコニーでの調理には火を使わないこと、ご近所への騒音や臭い、手すりからの転落などには気を付けましょう。

リビングの一部として使う

インナーバルコニーは広くて雨がかからず、日差しも適度に遮られます。気候に影響されることなく、リビングの延長として使うことが可能です。ソファやダイニングテーブル、照明器具などを置いて、食事やくつろぎのスペースとして活用できます。

洗濯物干し

インナーバルコニーには深い屋根があり、雨がかかりにくいので、洗濯物干し場としても有効に活用できます。広さがあるため、多くの衣類を干せるうえに、干したまま出かけても安心です。

植物を育てる

インナーバルコニーは雨や日差しを適度に遮るため、植物を育てる場所としても活用できます。プランターや植木鉢などを置いて、四季折々の花や観葉植物を楽しめることが魅力です。置き方の工夫で、目隠しや日除けの効果も期待できます。

インナーバルコニーのメンテナンス方法

インナーバルコニーは、広くて汚れも溜まりやすい空間です。適切なメンテナンスを行うことで、快適に使えます。以下では、メンテナンスの流れを解説します。

STEP1. 表面のほこりや汚れを取り除く

インナーバルコニーの床面に溜まっているゴミやほこりを、ほうきや掃除機で取り除きます。外壁、手すりなどの表面のほこりや汚れ、虫の巣などは、はたきや掃除機で取り除きます。

STEP2. 拭き掃除を行う

水または適切な洗剤を用いて、床面や手すり、外壁、ガラス面などを拭きます。特に汚れが目立つ場所は、柔らかいスポンジやブラシを使って丁寧に洗いましょう。

STEP3. 排水口のチェックと清掃を行う

バルコニーの先端部分にある排水溝や、隅にある排水口(ルーフドレン・雨水が流れ出る目皿)にはゴミやほこりが溜まりやすいので、定期的に清掃することが重要です。排水口が詰まっていないか確認し、詰まりがあれば清掃して、水がスムーズに流れるようにします。

自分好みの快適な暮らしをインナーバルコニーにつくろう

ここまで解説してきたように、インナーバルコニーは多くの特徴をもったぜいたくな空間です。緑豊かな植物を育てたり、リラックスできるソファやハンモックを置いてくつろぎを演出したりできます。さらに、夜は暖かなライトで雰囲気を演出して、食事を楽しむことも可能です。

インナーバルコニーを自分好みにアレンジして、豊かな生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。