「エアコンをつけたくても、賃貸だから無理…」「室外機の置き場所がない…」そんなお悩みを抱える方に注目されているのが「窓用エアコン」です。
この記事では、家電製品アドバイザーが、窓用エアコンの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。さらに、暑さに悩む人のために、お部屋選びのポイントも紹介しています。
通常のエアコンや扇風機との違い、設置のコツ、選び方のポイント、用途に合ったおすすめモデルをまとめました。「うちにも付けられる?」「ちゃんと涼しくなる?」と気になっている方は、チェックしてみてくださいね。
窓用エアコンとは
窓用エアコンは、その名の通り窓に取り付けるタイプのエアコンです。一般的な壁掛けエアコン(セパレートエアコン)のように、室内機と室外機に分けられておらず、一体型になっているのが最大の特徴。そのため、室外機の設置スペースが不要で、壁に配管用の穴を開ける工事も必要ありません。
賃貸住宅にお住まいの方や、一時的に冷房が必要な方にとって、夏のお悩みを解決してくれる冷房家電です。
まずは、窓用エアコンがどのようなものなのか、他の冷房器具との違いから詳しく見ていきましょう
窓用エアコンとエアコンの違い
一番大きな違いは、室内機と室外機が一体化しているかどうかです。

窓用エアコンと壁掛けエアコンの最も大きな違いは、構造と設置方法です。
窓用エアコンは室内機と室外機が一つになった一体型で、窓枠に取り付けます。そのため、壁に穴を開ける工事は不要です。
一方、壁掛けエアコンは室内機と室外機が分かれた分離型で、設置には壁の穴あけ工事と室外機の設置スペースが必要です。冷却能力や静音性は壁掛けエアコンの方が一般的に高く、機能も豊富ですが、窓用エアコンは工事不要で手軽に導入できる点がメリットです。
どちらが良いかは、お部屋の状況や使い方によって異なります。
窓用エアコンとスポットクーラーとの違い
「工事不要で、置くだけで涼しくなる」という点では、スポットクーラー(スポットエアコン)も似ていますが、構造と冷却方式に違いがあります。
・窓用エアコン
本体内で熱交換を行い、発生した熱は本体背面から窓の外へ直接排気します。部屋全体の温度を下げることを目的としています。
・スポットクーラー
本体背面や排気ダクトから熱風を室内に排出します(一部、排気ダクトを窓から外に出すタイプもあり)。ピンポイントで冷風を送るのが得意ですが、排熱を室内に放出するタイプだと部屋全体の温度はむしろ上がってしまうことも。
部屋全体を効率よく冷やしたいなら窓用エアコン、特定の場所だけを一時的に冷やしたいならスポットクーラーがおすすめです。スポットクーラーも排気ダクトを窓の外に出せれば、ある程度部屋を冷やす効果は期待できます。
窓用エアコンと扇風機(サーキュレーター)の違い
エアコンと扇風機では冷やす能力があり・なしの大きな違いがあります。
・窓用エアコン
冷媒を使って空気の熱を奪い、冷たい風を作り出して部屋の温度を下げます。
・扇風機(サーキュレーター)
羽根を回転させて風を起こすだけで、空気自体の温度を下げることはできません。体に風が当たることで涼しく感じたり(扇風機)、空気を循環させて温度ムラをなくしたり(サーキュレーター)する効果はありますが、室温を下げる力はありません。
真夏の暑い日には、扇風機だけでは物足りない場面が多いでしょう。窓用エアコンは、扇風機よりも確実に部屋を涼しくしてくれる冷房器具です。
どの窓でも使える?設置のコツと注意点
窓用エアコンは「引き違い窓」に設置できるタイプが一般的です。上げ下げ窓やルーバー窓などには設置が難しいため、購入前に窓の形状を確認しましょう。
対応する窓の高さ(多くは70~140cm)にも注意が必要です。また、20kg前後と重いため、窓枠の強度確認も必須。さらに、電源はアース付きコンセントを直接使用する必要があり、延長コードは非推奨です。
安全かつ快適に使うため、事前の確認を忘れずに行いましょう。
窓用エアコン設置のコツ
窓用エアコンの設置作業をスムーズに行うためには、いくつかコツがあります。
最も重要なのは、隙間を徹底的に塞ぐことです。窓と本体の間、あるいは窓サッシとの間にできる隙間は、外気の侵入や冷気の漏れの大きな原因となり、冷房効率を著しく低下させます。付属のパッキンやシール材はもちろん、市販の隙間テープなども活用して、しっかりと隙間を埋めましょう。
次に、本体を水平・垂直に正確に取り付けることも大切です。傾いていると、振動や騒音の増加、排水不良などを引き起こす可能性があります。水準器などを使って確認しながら作業すると良いでしょう。
自信がない場合や、作業が難しいと感じる場合は、無理をせず専門業者に依頼することも検討してください。
窓用エアコン設置の注意点
設置にあたっては、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。
まず防犯面です。窓用エアコンを取り付けると、窓の標準的な鍵が使用できなくなるケースがほとんどです。また、窓が少し開いた状態になるため、補助錠を取り付けるなどの防犯対策を必ず行いましょう。
次に、雨漏りにも注意が必要です。隙間がきちんと塞がれていないと、雨水が室内に入り込む可能性があります。特に台風など雨風が強い日は、状況に応じて一時的に取り外したり、カバーをかけたりといった対策が必要になることもあります。
壁掛けエアコンと比較すると、コンプレッサーなどが一体になっている構造上、どうしても運転音は大きめになる傾向があります。寝室など静かな環境での使用を考えている場合は、この点を考慮し、静音モデルを選ぶなどの検討が必要です。
窓用エアコンの利用がおすすめな人

これまで窓用エアコンの特徴や注意点について見てきましたが、具体的にどのような方にこのタイプのエアコンが向いているのでしょうか。家電製品アドバイザーとして、お客様にご案内する際によく挙げるケースをご紹介します。
壁に穴を開けられない賃貸住まいの人
まず最も多いのは、壁に穴を開けられない賃貸住宅にお住まいの方です。賃貸マンションやアパートでは、規約によって壁への穴あけ工事が禁止されていることがほとんどです。そのため壁掛けエアコンの設置を諦めていた方にとって、工事不要で設置でき、退去時には取り外して原状回復が可能な窓用エアコンは、まさに理想的な冷房家電です。
短期間だけ冷房が必要な人
短い期間だけ冷房が必要な方にもおすすめです。例えば、単身赴任や学生の一人暮らしなどで、数年間だけその部屋を使う場合や、夏の間だけ子ども部屋や書斎に一時的に冷房を追加したいといったケースです。
壁掛けエアコンを設置するのは費用も手間もかかりますが、窓用エアコンなら比較的安価に導入でき、引っ越し先に持っていくことも可能です。使わない季節には取り外して保管できる点もメリットと言えます。(重量があるので保管場所の確保は必要)
外機が置けない部屋の人
室外機の設置スペースが確保できない部屋をお持ちの方にも、窓用エアコンは有効です。壁掛けエアコンは室外機の設置が必須ですが、ベランダがない部屋や、建物の構造上の制約で室外機を置く場所がない場合もあります。そのような状況でも、窓さえあれば設置できるのが窓用エアコンの大きな強みです。
このように、窓用エアコンは特定の状況下で非常に便利な冷房器具です。ただし、冷却能力や静音性には一定の限界もあるため、「どんな部屋にも最適」というわけではありません。お部屋の環境や使い方をよく考えて選ぶことが大切です。
窓用エアコンは本当に涼しくなる?家電アドバイザーが教える実際のところ

窓用エアコンは、扇風機よりも冷たく、エアコンよりもやや弱めの涼しさ。しっかり冷やすには「設置場所」と「部屋の条件」がポイントになります。
冷却性能は?エアコンと比較した実力
窓用エアコンの冷房能力は、2.0〜2.8kW前後が主流。これは壁掛けエアコンでいう「6〜10畳向け」に相当します。
ただし、部屋の断熱性や日当たり、設置場所によっては冷えにくいこともあります。特に、直射日光が当たる部屋や、天井が高い部屋ではパワー不足を感じやすいでしょう。
扇風機よりは確実に涼しい?体感温度の変化
扇風機は空気をかき混ぜるだけですが、窓用エアコンは空気を冷却するため、温度そのものが下がります。そのため、汗をかいたときのベタつきや不快感が減り、より快適に感じやすいです。
また、ドライ(除湿)モードがあるモデルなら、湿気も同時に取れてムシムシ感を軽減できます。
効果を最大限に引き出す!設置場所と使い方のコツ
涼しさを最大限引き出すには、「断熱」と「空気の循環」がカギとなります。カーテンやすだれで直射日光をカットし、扇風機で冷気を部屋全体に送ると効果的です。
また、こまめなフィルター掃除や、ドレン水の排出確認も忘れずに行いましょう。これだけでも、体感温度は大きく変わります。
窓用エアコンの選び方
窓用エアコンは、一見どれも似ていますが、実は機能や使いやすさがかなり違います。選ぶときは以下のポイントに注目しましょう。
冷房能力と適応畳数の目安
適応畳数は、部屋の広さだけでなく「断熱性」や「日当たり」も考慮して選ぶのがポイントです。一般的には「木造6畳/鉄筋9畳」などの記載があるので、使用環境に合わせて少し余裕を持って選びましょう。「6畳ギリギリ」に使うと冷えにくく感じるため、1段階上のモデルを選ぶのがおすすめです。
静音性や除湿機能など機能面での選び方
静音性や除湿機を寝室に使いたいなら、静音モードの有無は要チェックです。除湿や換気機能があるモデルなら、湿気が気になる時期も快適に使えます。
また、リモコン操作やタイマー機能があると、さらに便利。最近は、左右スイング機能なども搭載された多機能モデルが登場しています。
設置場所や使い方に合ったモデルの見極め方
設置予定の窓の「高さ」「幅」「窓枠の形状」によって、取り付けできない場合もあります。商品ページで「取り付け可能な窓の条件」を必ずチェックしましょう。また、窓の開閉を残したい場合は「ウインドウ用パネル付き」など、利便性も考慮して選ぶと失敗がありません。
日中用・寝室用などシーン別のおすすめタイプ
窓用エアコンは使うシーンに合ったモデルを選ぶことがおすすめです。
・日中使うリビング
冷房能力が高く、風量が強めのモデル
・夜に使う寝室
静音性の高いモデル、タイマー付きタイプ
・湿気の多い部屋
除湿・換気機能があるタイプ
おすすめの窓用エアコン3選
では次にそれぞれのシーンに合った窓用エアコンのおすすめモデルをご紹介します。
初心者向けで扱いやすいモデル
・コロナ ReLaLa CW-1625R
商品HP:https://www.corona.co.jp/aircon/wind/cool/lineup.html
50Hz:4.5~7畳、能力:1.6kw、消費電力:595w
60Hz:5~8畳、能力1.8kw、消費電力:700w
サイズ・重量:高さ750・幅335・奥行240mm/21.5kg
窓用エアコンが初めての方にも使いやすいシンプルモデル。
音が静かで寝室にもおすすめのモデル
・トヨトミ TIW-A16P
商品HP:https://www.toyotomi.jp/products/air/window-air-conditioners/tiw-a16p
50Hz:4~6畳、能力:1.4kw、消費電力:523w
60Hz:4.5~7畳、能力:1.6kw、消費電力:598w
サイズ・重量:高さ742・幅361・奥行275mm/22.0kg
運転音39dBの低騒音設計で、就寝時でも気にならない静かさが特長。
除湿・換気など多機能タイプのモデル
・コロナ ReLaLa CWH-A1825R
商品HP:https://www.corona.co.jp/aircon/wind/cah/lineup.html
50Hz:冷房 4.5~7畳、1.6kw、消費電力:640w
:暖房 4~5畳、1.8kw、消費電力:630w
60Hz:冷房 5~8畳、1.8kw、消費電力:755w
:暖房 5~6畳、2.2kw、消費電力:750w
サイズ・重量:高さ780・幅360・奥行263mm/24.0kg
冷暖房に加えて、除湿・換気機能も搭載したオールシーズンモデル。幅広い用途で使いたい人にぴったりの1台です。
暑さが気になる人におすすめの賃貸物件条件

暑い季節を快適に過ごすには、住まい選びも大切なポイントです。とくにエアコンの設置環境や、部屋の間取り・向きによって体感温度が大きく変わります。
ここでは「暑さがこもりにくい」「エアコンが設置しやすい」といった視点から、暑さに悩む人におすすめの賃貸物件条件を紹介します。これから引っ越しや住まい探しをする方は、ぜひ参考にしてください。
エアコン2台以上設置できる物件
家族で住む広めの間取りなら、エアコン2台以上設置できる物件が理想的です。例えばリビングと寝室にそれぞれ設置できるので、就寝時の熱中症対策にもなり安心して睡眠できます。
全室エアコン付き物件のメリット
エアコン付き物件は初期費用を抑えられるだけでなく、機器選びの手間も省けます。特に全室エアコン付き物件なら、各部屋で快適な温度を保てるのが嬉しいポイントです。
内見時にチェックしたい断熱性と風通しのポイント
断熱性が低く、風通しの悪い部屋は夏に熱がこもりやすく、冷房効率が下がります。2面・3面採光の部屋は風通しが良く、自然な涼しさが期待できます。
暑さがこもる間取り・方角に注意
西向きの部屋は午後の日差しが強く、室温が上がりやすい傾向にあります。また、窓が少なく風の通り道がない間取りは、熱気がこもりやすいため注意が必要です。
窓用エアコンで暑い夏を乗り越えよう
窓用エアコンは「手軽に使えて、想像以上に涼しい」便利な冷房家電です。賃貸や短期利用、室外機の置けない部屋でも、快適な夏を過ごすための強い味方になります。
今の住まいにエアコンが設置できなくても、あきらめる必要はありません。あなたの暮らしに合った窓用エアコンを選んで、暑さ対策を始めましょう。