梅雨や台風のシーズンなど、雨が降り続く日は窓を閉め切ったまま……という人も多いことでしょう。しかし、部屋で快適に過ごすためには、雨の日も換気は必要です。最近は、窓を開けずに換気が行える24時間換気システムが設置された部屋も増えています。
今回は、換気が必要な理由をはじめ、換気時間や雨の日でも効率よく換気する方法、そして、換気を控えるべきケースについて紹介していきます。
雨の日でも必要?換気をするべき5つの理由
雨の日に換気を意識しようにも、「雨の日は湿気が入ってくるから、窓を開けたくない」という人もいることでしょう。しかし、室内の空気をきれいな状態に保つためには、天気に関わらず換気が必要です。
特に築浅の物件は住宅性能が向上し、気密性などが高くなっています。密閉された空間であるため、室内の空気の出入りが少なく、エアコンの効率も良い「夏涼しく、冬は温かい」部屋が多くなっています。しかし、部屋の空気の出入りが少ない分、部屋に空気がこもりやすいという面もあるのです
まずは、換気が必要な理由について解説していきましょう。
部屋の空気を入れ替えるため
最近の新しい建物は気密性が高いため、古い家屋のように「すきま風が入ってくる」ということがほとんどありません。そのため、部屋を閉め切ったままにしておくと空気の出入りがなく、室内の空気が「こもった状態」になります。
この状態が続くと、壁紙や床材をはじめとした建材などから発せられる化学物質やハウスダストなどの外に排出されず。室内にたまってしまいます。この汚れた空気を吸い続けると「シックハウス症候群」などの健康被害が引き起こされることがあります。
心地よい室内環境を整えるためにも、部屋の換気をこまめに行うことはとても重要です。そのため、雨の日も換気が必要です。
ニオイを取り除くため
長時間部屋を閉め切ったままにしておくと、なんとなく部屋のニオイが気になる、調理の際にキッチンから出たニオイが部屋に充満してなかなかとれない、という懸念があります。
換気をこまめに行わないと、部屋に嫌なニオイがこもり、ニオイを吸収しやすい布団やカーテン、ラグなどの布製品についてしまいます。そうすると、洗ってもなかなかニオイが消えないだけでなく、やがてこうした布製品がニオイの原因になることもあります。
また、ペットを飼っている場合にも気を付けておきたいのが、部屋にこもったニオイは壁材や床材にも染み付いてしまうことです。そのため、しっかりと部屋の空気を入れ替えるために、こまめな換気を行うことが重要です。
湿気をためないようにするため
部屋に空気がこもると、湿気がたまりやすくなります。湿気とは空気中にある水蒸気のことで、空気を入れ替えることでたまった湿気を外に排出できます。
結露を防ぐため
「結露」というと、寒い冬に発生するイメージがありますが、梅雨のシーズンや夏場にも結露は発生します。
結露とは、空気中にある水蒸気が冷やされることで起きるものです。空気中の水蒸気は、気温が高いほど多く含まれるため、湿度の高い梅雨のシーズンや夏場の部屋をエアコンで急激に冷やすと結露が起こります。
こうした結露は放置すると、カビやダニが発生する原因にもなり、健康に悪影響を及ぼすだけでなく、部屋を傷めてしまう原因にもなります。しっかり換気を行うことは、とても重要です。
健康的な毎日を過ごすため
換気を行わず、閉め切ったままの部屋で過ごしていると、汚れた空気を吸い続けることで発生する「シックハウス症候群」など、健康に悪影響を及ぼすリスクが高くなります。また、なんとなく気分が重く感じてしまうものです。
梅雨のシーズンや夏場に発生する結露は、冬場のものと比べて、目の届かない場所で起こることが多く、建物の状態を悪くする原因につながります。人も建物も心地よく、快適な環境を保つためには、こまめな換気が重要なのです。
雨の日の適切な換気時間
ここからは、実際に雨の日に換気をする際の時間目安について解説します。
基本的には「10〜15分程度」が望ましい
基本的に10〜15分程度の換気が適切とされています。短時間の換気であれば、外気の湿度が高くても、室内の湿度や温度に大きな影響を与えずに空気を入れ換えられます。
また、この時間内であれば、雨が直接入り込むリスクも最小限に抑えられます。特に、風が強く吹く雨の日には、窓を少しだけ開けるか、複数の窓を少しずつ開けることで効果的な換気を行なえるでしょう。
小窓や換気口を使う場合は「30分〜1時間程度」開けておくと効果的
小窓や換気口を使う場合、30分〜1時間程度が目安になります。窓のサイズが小さくても、開けておくことで湿気がこもりがちな室内の空気を効率よく入れ替えることができます。
小窓や換気口からは雨が入りにくいため、雨の日でも安心して換気ができるでしょう。
換気扇や換気システムを使えば「1時間程度」で効率よく空気が入れ替えられる
最近、24時間換気システムが設置されたマンションなども増えています。24時間換気システムとは、シックハウス症候群を防止することを目的として、2003年から法律で設置が義務付けられている部屋の換気システムのことです。窓を開けなくても換気が行えます。
システムによって部屋の空気を外に排出し、外気を中に採り入れます。1時間でおよそ部屋の半分の空気が入れ替わるとされており、さらに窓を開けると、なおのこと風通しが良くなるため、より効果的に換気を行えます。
雨の日やセキュリティの問題から窓をあまり開けたくない…という人には、24時間換気システムが設置されている部屋がおすすめです。
雨の日でも効率よく換気を行う方法
ここからは、雨の日でも効率よく換気を行う方法について解説します。
窓を2か所以上開ける
部屋の換気を行うには、窓を開けるのが一般的です。窓を開けて換気を行う際は、2か所以上窓を開けると、風の通り道ができてより効率よく換気が行えます。
雨の日は、庇(ひさし)や軒のついた窓をあけるなど、雨水が室内に入ってこないように配慮しましょう。強い雨風で部屋の中に雨水が入ってくる可能性がある時は、風雨が落ち着くまで換気を控えるようにしましょう。
窓を全開にしない
雨の日は雨水が部屋にはいってこないように、窓を全開にしないようにしましょう。窓が2か所以上ある場合は、風がよく入ってくる窓を大きく、出ていく方向にある窓を小さく開けると効率よく空気を入れ替えられます。
エアコンから離れた位置の窓を開ける
雨の日に関わらず、夏場にエアコンを使用している時に換気を行う際には、できるだけエアコンから離れた位置にある窓をあけるようにしましょう。
エアコンに近い位置にある窓を開けると、エアコン周辺の温度が上がってしまうため、部屋が冷やされていても、エアコンが室温を下げようとしてしまいます。また、エアコンから出た冷気が窓から出ていってしまうので、余計な電気代がかかってしまうことになります。
エアコンに近い位置にしか窓がない場合は、窓に遮熱タイプのレースカーテンを用いると良いでしょう。カーテンが、外からの熱の侵入と、部屋の中の冷やされた空気が出ていくことを防いでくれます。
また、廊下があったり2部屋以上あったりする場合は、使っていない廊下や部屋を先に換気し、ある程度室温となじませた後に、部屋の扉を開けて生活空間全体の空気を入れ替える「二段階換気」という方法もあります。
換気扇を活用する
雨の日に短時間で効率よく換気を行いたい時は、キッチンや浴室などの換気扇を活用すると良いでしょう。「キッチンの換気扇は、調理する時に使うもの」と考えている人も多いはずですが、雨の日の換気など、短時間に換気を行いたい時に活用すると便利です。
換気扇で部屋の空気を外へと排出する際は、しっかりと給気を行うことが重要です。うまく給気ができていないと、換気扇で部屋の空気を効率よく出せません。調理の際に「ニオイがうまく出ていかない」というなら、少し窓を開けてやると効率よく換気できます。
扇風機やサーキュレータを活用する
扇風機やサーキュレータを用いて、効率よく換気を行うのも効果的です。
換気するために扇風機やサーキュレータを用いる場合は、置く位置と方向が重要です。扇風機やサーキュレータを窓際に置き、外に向かって最大出力で空気を外に送り出して換気を行います。
また、部屋の換気を行う際には、空気を循環させて、空気がたまった場所を作らないことも大切です。あまり風通しの良くない場所は、換気をする際に扇風機やサーキュレータで直接風をあててやると効果的です。
家具の配置を工夫する
換気を効率よく行うためには、窓を開けた際の「風の通り道」をしっかり確保してやることが大切です。この「風の通り道」を遮る位置に家具を置かないようにしましょう。
また、家具と壁が接する場所は風が通らないため、湿気がたまりやすくなりがちです。できるだけ家具と壁の間にスペースを作り、風が通るように工夫することも必要です。
雨の日に窓を開けた換気を控えるべきケース
雨の日でも換気が必要な旨を説明してきましたが、換気のメリットよりも窓をあけるデメリットのほうが大きいケースもあります。ここからは、換気を控えたほうが良いケースを紹介していきます。
強い風を伴う雨
台風など強い風が伴う雨の場合、庇(ひさし)や軒がある窓であっても、雨水が強風にあおられて部屋の中に入ってきやすくなります。強い風を伴う雨が降っている場合は、換気を控えるようにした方が良いでしょう。
長時間の大雨
長時間、大雨が降り続いている場合もできるだけ換気を控えるようにしましょう。換気を行う際は、雨水が室内に入ってこないか確認し、短時間に少しだけ窓を開けて行うようにしましょう。
台風や暴風雨
台風などの暴風雨の際には、雨だけでなく、いろんなものが風に巻き上げられて窓にぶつかることがあります。台風や暴風雨の際には、窓をしっかり閉め、できるだけ窓から離れた位置で過ごすようにしましょう。
ゲリラ豪雨などの突発的な豪雨
降ってきた雨で数メートル先すら見えなくなるような突発的なゲリラ豪雨に見舞われることもあるでしょう。こうしたゲリラ豪雨の場合は、窓を開けて換気を行うのを控えるようにしましょう。
ゲリラ豪雨の場合は、比較的短時間で雨が止むことが多く、気温が下がる傾向があります。雨が上がったら、できるだけ窓を開けて、きれいな空気を部屋に採り入れるようにしましょう。窓を開ける際は、サッシなどにたまった水をしっかりと拭き取って、室内に雨水を入れないことが大切です。
雨の日でも定期的に換気を行おう
雨の日だからといって換気を怠ると、室内の湿度が高くなり、カビやダニの発生リスクが高まります。定期的な換気は、室内の空気をリフレッシュし、快適で健康的な住環境を保つことができます。
雨の日でも、こまめに換気を短時間でも行い、湿気やニオイを排出する習慣をつけましょう。