賃貸物件で一人暮らしをするにあたって、どのような部屋を選ぶかは人によってさまざまです。一人暮らし向けの間取りには、主に1R・1K・1DK・1LDKがあり、求める条件によっておすすめの間取りも異なります。
今回は、間取りごとのメリットや注意点、部屋探しをする際の注意事項について解説していきますので、一人暮らし用の物件を探している方はぜひご一読ください。
一人暮らしにおすすめの間取りは主に4種類!

一人暮らしの基本的な間取りには、1Rと1K、1DKと1LDKの4種類が挙げられます。間取りごとの特徴があり、メリットや注意点もそれぞれ異なります。
1Rのメリット・注意点
1R(ワンルーム)は、居室とキッチンの仕切りがない部屋のことです。居室の中にキッチンがある間取りなので、安全に配慮して火力コンロではなく、電気コンロやIHコンロが設置されている部屋が多くあります。
1Rの大きなメリットは、一人暮らし用の間取りの中では家賃が一番安いことです。1Rはキッチンと居室の間を仕切るドアや引き戸がないので、その分の設備コストがかかりません。また、1Rに入居したいといった需要が多くないこともあり、家賃が低く設定されている一面もあります。
2つ目のメリットは、部屋ごとの温度差がないことです。1Rはキッチンスペースと居室を隔てる扉がないので、料理をするときもエアコンを効かせた状態で快適に作業できます。
一方、1Rでは間取りの表記に注意が必要です。1Rの間取りもほかの間取りと同様、「洋6」のように表記されますが、これにはキッチンスペースも含まれているため1Kの6帖と1Rの6帖を比べると1Rの方が狭くなります。広さにこだわるのであれば、帖数ではなく専有面積を確認するようにしましょう。
2つ目の注意点は、キッチンが居室空間にあるため、料理や皿洗いによって水が居室に飛び散る可能性があることです。単身者向け間取りのキッチンは、調理スペースに限りがあるので、皿洗いや手洗い中の水が床に垂れてしまうこともあります。
3つ目の注意点は、キッチンのにおいが部屋にも広がりやすいことです。キッチンと居室を仕切る扉がないので、換気扇があったとしても料理のにおいが部屋に広がりやすく、寝具やカーテンなどににおいが付着する可能性があります。においに敏感な方は、1Rではない間取りを選択することをおすすめします。
メリットと注意点を踏まえると、1Rは以下のような人におすすめです。
・家賃をなるべく抑えたい人
・キッチンからのにおいが気にならない人
・第三者に居室を見られても構わない人
家賃をなるべく抑えたい方は、家賃が安い傾向にある1Rを中心に部屋探しを進めてみてはいかがでしょうか。
1Kのメリット・注意点
1Kとは、1つの居室と4.5帖未満のキッチンがあり、居室とキッチンの間に扉や仕切りがある間取りのことを指します。玄関を入ってすぐの廊下にキッチンや浴室、トイレなどが設置され、突き当りのドアを開けると居室があるといった間取りが一般的です。
そんな1Kの主なメリットは、キッチンのにおいが居室に入り込みにくいことです。キッチンと居室がドアで仕切られているため、キッチンからのにおいが居室に移ることを防ぐことができ、寝具やカーテンなどを清潔に保てます。
2つ目のメリットは、音が響きにくくプライバシーが守れることです。居室と廊下がドアで仕切られているため、玄関の外に生活音が響きにくいです。また、トイレやシャワーの音も漏れづらい点も見逃せません。
一方、1Kの注意点は1Rよりも狭く感じやすいことです。同じ専有面積であれば、ドアに仕切りがある分、1Rと比べると狭く感じることも珍しくありません。人によって異なりますが、視界を遮るもののない1Rの方が広さを感じることもあるでしょう。
メリットと注意点を踏まえると、1Kは以下のような人におすすめです。
・料理のにおいが気になる人
・玄関から居室の生活空間が見えない間取りが良い人
・トイレやシャワーなどの音を気にしたくない人
玄関外に生活音が漏れるのが気になる人は1Kを選んでみても良いでしょう。
1DKのメリット・注意点
1DKは、1つの居室と4.5~8帖未満のダイニングキッチンがある間取りを指します。ダイニングキッチンとは、ダイニング(食事スペース)とキッチンの間を仕切らずに一体化された間取りです。間取りの構成としては、1Kと似た造りのものが多いですが、キッチンスペースに食事スペースを取り入れている分、1Kよりもキッチンスペースが広くなります。
1DKのメリットはやはりキッチンスペースの広さでしょう。1Rや1Kと比べるとキッチンスペースが広いので、普段自炊する人にとっては魅力的な間取りといえます。
一方、1DKは築年数の古い物件が多いことに注意が必要です。1DKは昔流行った間取りなので、築年数の経過した物件も多く、外観や内装が古くなっているケースがあります。築年数が古いため家賃は抑えられますが、キッチンや浴室などの設備が古いまま貸し出している物件もあるので、最新設備を求める方には不向きかもしれません。
メリットと注意点を踏まえると、1DKは以下のような人におすすめです。
・キッチンスペースを広々と使いたい人
・料理が趣味の人
・キッチンスペースにテーブルを置きたい人
1DKと1Kの間取りは似ているためメリットや注意点も類似しています。1DKを希望する場合、築年数や帖数を確認するようにしましょう。
1LDKのメリット・注意点
1LDKは、1つの居室と8帖以上のLDKがあり、キッチンと居室が仕切られている間取りを指します。LDK(リビングダイニングキッチン)とは、DKにリビング(居間)の機能を一体化させた部屋のことで、食後も同じ空間でくつろげるのが特徴です。
広い間取りが特徴の1LDKは、主に築浅の物件に多く見られます。築年数が浅い物件には新しい設備が導入されている部屋が多く、日々の生活に不便さを感じません。たとえば、オートロックや浴室乾燥機、システムキッチンや独立洗面台などが挙げられます。
2つ目のメリットは、収納スペースが広い傾向にあることです。1LDKの収納スペースはいずれも十分にあり、物件によってはウォークインクローゼットがついている部屋もあります。収納スペースに多くの荷物を入れられるので、荷物が多い人でも安心です。
一方、1LDKの注意点は家賃の高さです。地域や築年数によっても異なりますが、一人暮らしにおすすめの間取りの中で一番家賃が高いのは1LDKといえます。専有面積が広く、設備も充実しているので、ある意味仕方がないことかもしれません。
メリットと注意点を踏まえると、1LDKは以下のような人におすすめです。
・自宅で仕事をする空間が欲しい人
・最新設備が整った部屋に住みたい人
・将来的に二人暮らしを検討している人
・荷物が多い人
リモートワークの普及によって自宅で仕事をする方も増えているので、在宅での仕事が多い方や、部屋の設備を重視している方は1LDKの入居をおすすめします。
宅地建物取引士の私が語る!一人暮らしで間取りを選ぶ際の罠

部屋探しをする際に、面積と間取りに関して押さえておきたい注意事項がいくつかあります。知らずに部屋を契約してしまい、入居後に注意事項を知ったとしても基本的に契約のキャンセルはできません。次項から解説する内容をチェックし、入居後の後悔を防ぎましょう。
専有面積に含まれている場所に注意
物件情報には専有面積が表記されていますが、実は専有面積に含まれない部分があることをご存じでしょうか。具体的には以下の部分は専有面積には含まれません。
・ベランダ(バルコニー)
・ロフト
・パイプスペース
・メーターボックス
・床下収納
同じ専有面積の部屋であっても、ベランダやロフトがあると実際に使えるスペースが広がります。ロフトのある部屋だと、専有面積の表記よりも使用できるスペースが広いので、居住空間を有効的に活用できます。
なお、ロフト部分の高さが1.4m以上あったりロフト部分の面積が下の階の半分以上あったりする場合、ロフトではなく「2階部分」として扱われ、専有面積に含まれた数字となるので注意しましょう。
数字上の専有面積と実際の広さの違いに注意
専有面積は、内法面積と壁芯面積の2つの種類があります。内法面積は、部屋の壁より内側の床面積を測った面積のことです。こちらは壁より内側を測定するため、同じ部屋だとしても壁芯面積の数値の方が大きくなります。
一方、壁や柱の中心から測った面積のことを壁芯面積と呼びます。壁の中心を基準にして測定するので、実際の面積よりも壁の厚みの分だけ広く表記されるのが特徴です。ちなみに、分譲マンションはこの壁芯面積で測定しています。
壁芯面積の場合、数字上の専有面積と実際の広さに違いがあるので注意が必要です。不動産会社の中には、内法面積と壁芯面積の違いがわからずに、賃貸マンションや賃貸アパートに壁芯面積の㎡数を資料に記入しているケースもまれにあります。
物件情報を見ただけでは内法面積か壁芯面積かが判断できないので、心配な方は不動産会社に確認してみると良いでしょう。
1LDKが一番広いと思いこまないように注意
1LDKだからといって、専有面積が一番広いと思いこまないようにしましょう。1LDKはLDKが8帖以上あれば良いので、居室の広さは関係ありません。
そのため、仮に居室が2帖であっても、LDKが8帖以上あれば1LDKの表記となります。また、1Rで15帖の部屋などもあるので、広い部屋を探している方は1LDKの表記にとらわれずに居室の広さも確認するようにしましょう。
【結論】宅地建物取引士の私が一人暮らしの人におすすめしたい間取り

ここまで間取りごとのメリットや注意点などについて解説してきました。間取りごとに特徴が異なるので、おすすめの人も変わってきます。
・家賃を抑えたい人は1R
・キッチンのにおいを部屋に広げたくない人は1K
・キッチンスペースで食事をしたい人は1DK
・二人暮らしをする可能性がある人は1LDK
好みやライフスタイルによって最適な間取りは異なるので、自分はどの間取りが適しているのかを考えながら部屋探しを進めてみてください。
一人暮らしにおすすめの間取りを知って、自分に合った物件を探そう!
今回は、間取り別のメリットや注意点、部屋探しの際に注意すべきことについて解説しました。部屋探しをする際には、自分の中で優先順位を決めておくと判断に迷うことが減って物件が決めやすくなります。部屋に求める条件を整理して、自分に合った物件を見つけましょう。