現代の日本でも強く根付いている土用の丑の日。この日をうなぎを食べる日として認識している方も多いと思いますが、そもそもなぜ土用の丑の日にうなぎを食べるのでしょうか?
今回は、土用の丑の日にうなぎが食べられるようになった経緯や、土用の丑の日に食べたいうなぎ以外のレシピなどを管理栄養士が紹介します。
また、今回紹介するレシピを簡単に実践できる物件についてもチェックしてみてください。
土用の丑の日とは

土用の丑の日とは、日本で古くから重んじられている伝統的な行事で、この日は夏の暑さを乗り切るためにうなぎを食べることが一般的になっています。また、土用の丑の日は日本の暦に基づいて選ばれており、「土用」と呼ばれる期間のうち、「丑の日」にあたる日が「土用の丑の日」とされます。
ちなみに、「土用」は、立春、立夏、立秋、立冬の前約18日間を指し、「丑の日」は、十二支の一つである「丑(うし)」が日干支(にっかんし)にくる日のことを指します。そのため、実は夏に限らず年に数回、土用の期間中に丑の日が訪れることになります。
しかし、一般的に土用の丑の日という行事として扱われるのは夏の時期のものです。
2024年夏の土用の丑の日はいつ?
土用の丑の日は夏以外にも訪れますが、実は同じ季節に2回訪れることもあり、2024年は、7月24日と8月5日が土用の丑の日です。
これは、丑の日が十二支同様12日に1回訪れるためであり、「土用」の18日のうち2日が土用の丑の日となることも珍しくありません。
土用の丑の日に「うなぎ」を食べる理由

土用の丑の日といえば「うなぎ」のイメージがあり、土用の丑の日が近くなるとスーパーなどでもうなぎが多く売られるようになります。
では、なぜ「土用の丑の日といえばうなぎを食べる」という習慣がついているのでしょうか?
免疫力を高めるため
土用の丑の日は夏に訪れるため、夏バテにならないよう免疫力を高めるために食べられるようになったという経緯があります。
うなぎにはビタミンAやムチンなどの栄養成分が含まれており、これらの栄養素は免疫機能を高める働きを持っています。ビタミンAは、皮膚や粘膜を正常に維持したり、細胞の成長を助けたりする効果を持っています。
また、ムチンはうなぎに含まれる粘液成分で、消化管粘膜の保護などの効果を発揮します。これらの栄養成分は、粘膜を保護することで免疫力を高めるため、うなぎが夏に食べられるようになった理由の1つとして考えられています。
疲労回復のため
うなぎには、他にもビタミンB1というビタミンが豊富に含まれており、このビタミンが疲労回復に効果を発揮します。
ビタミンB1は体内で糖質の代謝を補助する役割を担っているため、不足すると糖分が分解できずエネルギー不足に陥り、疲労感を感じやすくなります。また、ビタミンB1は体内に蓄えておくことができないため、夏バテで食欲がない場合に不足しがちな栄養素とも言えます。
そのため、うなぎのビタミンB1による疲労回復効果を昔の日本人も感じており、土用の丑の日に食べられるようになったとも言われています。
体内環境を整えるため
うなぎにはたんぱく質も豊富に含まれており、体内環境を整える効果も期待できます。
たんぱく質は身体を作るのに必要な栄養素ですが、それだけでなく体内で様々な代謝反応を促進する酵素やホルモンの原料にもなっているため、たんぱく質が不足すると正常な身体の機能を維持できず、体内環境が崩れてしまう原因となります。
現代のようにたんぱく源が豊富でなかった時代では、うなぎは貴重なたんぱく源であり身体の調子を整えるために重宝されていたため、土用の丑の日に食べられるようになったとする説もあります。
もともと土用の丑の日はうなぎ以外のものが食べられていた!?
実は、土用の丑の日でうなぎが食べられるようになったのは江戸時代以降で、それまでは「う」のつく食材を食べることが一般的だったと言われています。
ちなみに、なぜ江戸時代からうなぎが一般的になったかというと、一説では平賀源内が売れない鰻屋さんに看板を頼まれた際に「本日土用丑の日」と書いたのが、評判をよんで客が集まったためとされていますが、本当かどうかはわかっていないようです。
土用の丑の日におすすめのうなぎを使ったレシピ3選
ここからは、実際に土用の丑の日にうなぎを食べる際におすすめのレシピを3つ紹介します。スーパーなどでは蒲焼にされた状態のものが売られていることが多いため、蒲焼を使って作ることができるレシピを紹介します。
うなぎの蒲焼き丼

材料
・うなぎの蒲焼 1尾
・白米 2合(炊いたご飯)
・きざみのり 適量
・大葉 4枚(細切り)
・しょうが(みじん切り) 小さじ1
作り方
①ご飯を炊き、しょうがをみじん切り、大葉を細切りにしておく。
②うなぎの蒲焼をオーブンまたはフライパンで温め、適当な大きさに切る。
③炊きたてのご飯を丼に盛り、切ったうなぎをのせる。
④みじん切りのしょうが、細切りの大葉、きざみのりを上に散らして完成。
うなぎの巻きずし

材料
・うなぎの蒲焼 1尾
・酢飯 2合分
・海苔 2枚
・きゅうり 1本(細切り)
・卵 2個(錦糸卵用)
作り方
①うなぎの蒲焼を温め、適当な大きさに切る。きゅうりはヘタを落とし、細切りにする。
②酢飯を作り、冷ましておく。
③卵を溶いて薄焼きにし、細かく切って錦糸卵を作る。
④海苔の上に酢飯を広げ、その上にうなぎ、きゅうり、錦糸卵を並べる。
⑤巻きすを使ってしっかりと巻き、適当な大きさに切り分けて完成。
うなぎピザ

材料
・ピザ生地(市販のもの)1枚
・うなぎの蒲焼 1尾
・ピザ用チーズ 100g
・ピーマン 1個(スライス)
・赤玉ねぎ 少々(スライス)
・ピザソース(市販のもの)適量
作り方
①ピーマンは種を取り、薄くスライスしておく。赤玉ねぎも皮を剥き、繊維に沿って薄切りにしたあと、水に浸して辛味を抜く。
②ピザ生地にピザソースを塗り、オーブンを200℃に予熱しておく。
③うなぎの蒲焼を温め、適当な大きさに切り、ピザ生地の上に均等に配置する。
④スライスしたピーマンと水をよく切った赤玉ねぎをうなぎの上に散らし、ピザ用チーズを全体にまんべんなくかける。
⑤予熱したオーブンに生地を入れ、20分焼き、チーズが溶けてきれいな色になったら取り出して完成。
うなぎはちょっと高い…という人でも土用の丑の日を楽しめる!「う」がつく食材を使ったレシピ3選
うなぎは値段が高いため、簡単に手を出すことができない…という方に向けて、土用の丑の日に食べたいうなぎ以外の「う」がつく食材を使ったレシピも3つ紹介します。夏バテ防止に効果がある食材を使っているのでぜひ作ってみてください。
【”う”し】ナスと牛肉のスタミナ炒め

材料
・ナス 1本
・牛こま肉 200g
・しょうゆ 大さじ2
・みりん 大さじ1
・にんにく 1片(みじん切り)
・ゴマ油 大さじ1
作り方
①ナスはヘタを落とし、乱切りにする。にんにくはみじん切りにしておく。
②フライパンにゴマ油を熱し、にんにくのみじん切りを炒める。
③にんにくの香りが立ったら、牛肉を加え色が変わるまで炒める。
④野菜を加え、しょうゆとみりんで味を整えながら炒め合わせる。
⑤ナスがしんなりし、牛肉に火が入ったら火を止めて完成。
【”う”めぼし】梅干しと大葉の和風パスタ

材料
・スパゲティ 100g
・梅干し 2個(種を取り除き、細かく刻む)
・大葉 5枚(千切り)
・醤油 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ2
・白ごま 少々
作り方
①好きな太さのパスタを時間通りに茹で、冷水で締めて水気を切る。
②フライパンにオリーブオイルを熱し、種を取った梅干しを加えて炒める。
③茹でたスパゲティをフライパンに加え、醤油で味付けをして炒める。
④盛り付けたパスタにちぎった大葉と白ごまを散らして完成。
【”う”り(きゅうり)】きゅうりの梅あえ

材料
・きゅうり 1本
・梅干し 1個(種を取り除き、細かく刻む)
・白ごま 大さじ1
・醤油 小さじ1(お好みで)
作り方
①きゅうりはヘタを取って薄切りにし、塩少々を振って5分ほど置き、軽く水気を絞る。
②ボウルに種を取った梅干し、白ごまを加え、よく混ぜ合わせる。
③きゅうりを加えて和え、最後に醤油を少々振りかけて完成。
充実した土用の丑の日を過ごそう
土用の丑の日は、江戸時代より夏バテ防止のためにうなぎを食べる日として愛されてきましたが、うなぎ以外にも「う」のつく食材が食べられていたという過去もあります。
この記事を読んで、土用の丑の日とはどういう日なのか、うなぎとはどういう食材なのかについて理解を深めていただけたら嬉しいです。
また、今回紹介したレシピはどれも簡単に作ることができるため、今年の土用の丑の日は、うなぎだけでなく一風変わった料理を食べることで夏を乗り越えていただけると幸いです。