近年、異常な暑さになることが多い日本の夏。毎年熱中症や夏バテに苦しめられている方も多いのではないでしょうか?
今回は、管理栄養士が熱中症や夏バテ対策になる栄養素が補給できるレシピや食品を紹介します。今回紹介するレシピや商品をうまく活用して、暑い夏を乗り切りましょう。
また、紹介するレシピを簡単に実践できる物件についてもチェックしてみてください。
熱中症の症状となりやすい人の特徴

熱中症は、体温が上がり水分や電解質のバランスが崩れて起こります。特に、以下のような方が熱中症になりやすい傾向にあります。
・水分摂取量が少ない方
・肥満の方
・高齢の方
・子ども
熱中症を防ぐためには汗をかき体温を下げる必要がありますが、これらの特徴がある方は以下の理由から熱中症のリスクが高まると言われています。
・温度の変化に対応できない
・汗をかきづらい
・体温が上がりすぎる
熱中症の予防効果が期待できる栄養素
では、実際に熱中症を予防するために効果のある栄養素にはどんなものがあるのでしょうか?
ナトリウム
ナトリウムは体内で浸透圧の調整などを行っているミネラルで、汗をかくことで損失します。
通常、体内のナトリウム量はうまく調整されているため、欠乏することはほぼありませんが、汗を大量にかきすぎると欠乏する可能性があります。ナトリウムが不足すると、疲労感や吐き気、食欲不振といった熱中症特有の症状につながることもあるため、水分以外にもナトリウム(塩分)の摂取が重要です。
参照:厚生労働省「e-ヘルスネット」
カリウム
カリウムも、ナトリウムと同様に体内で浸透圧の調整を行っているミネラルです。他にも、神経の興奮や筋肉の収縮などにも関わっているため、不足すると脱力感・食欲不振・不整脈などを引き起こす可能性があります。
また、カリウムは過剰摂取しても尿中に排泄されるため、健康な方なら基本的に摂りすぎることはありません。
参照:厚生労働省「e-ヘルスネット」
糖分
糖分は、身体の主なエネルギー源であるのと同時に、水分の吸収を早める効果も持っているため、熱中症予防に効果的です。運動中など、水分不足と同時にエネルギー不足になることで熱中症の症状が現れる場合があり、その場合には速やかにエネルギー源となる糖分(特にブドウ糖)の摂取が効果的です。
また、ブドウ糖は腸管から体内に吸収される際、水分も同時に引っ張っていくという性質があります。糖分を含んだ飲料などを摂取することで、効率的に水分補給ができるため、熱中症対策に効果的です。
参照:厚生労働省「e-ヘルスネット」
ビタミンB1
ビタミンB1も、熱中症対策に効果的な栄養素です。ビタミンB1は体内で糖質の代謝を補助する役割を担っており、疲労回復に効果があると言われています。また、不足すると糖分が分解できずエネルギー不足に陥り、疲労感を感じやすくなります。
加えて、ビタミンB1は体内に蓄えておくことができず、日常的に摂取する必要があるため、夏バテで食欲がない場合に不足しやすい栄養素だと言えます。
参照:厚生労働省「e-ヘルスネット」
熱中症の予防効果が期待できる主な食品

実際に、これらの栄養素が多く含まれ、熱中症の予防効果が期待できる食品にはどのようなものがあるのでしょうか?
豚肉
豚肉は、意外にもビタミンB1を多く含む食材の代表です。また、通年を通して値段も変わらず使いやすい食材のため、アレンジがしやすい点もおすすめです。
生の野菜や果物
生の野菜や果物はカリウムを多く含んでいるものが多いため、熱中症予防におすすめです。
野菜の中では、ほうれん草やにら、小松菜、果物の中ではバナナ、キウイ、いちごなどにカリウムが多く含まれているため、カリウムを摂りたいという方はこれらの食材を積極的に選びましょう。
ぬか漬け
実は、ぬか漬けにもビタミンB1が豊富に含まれています。
ぬか漬けに使われる米ぬかには、ビタミンB1が豊富に含まれており、野菜などをぬか漬けにすると、漬けた食品の中に染み込んでいきビタミンB1の含有量が増えていきます。また、ぬか漬けには塩も含まれているため、ナトリウムの摂取源としても優秀です。
熱中症の予防効果が期待できる主な飲み物

熱中症予防のためには、水分補給が何よりも重要ですが、他にも電解質や糖分の補給によって体内の水分バランスを整えることが必要です。
では、実際熱中症予防にはどのような飲み物がおすすめなのでしょうか。
スポーツドリンク
熱中症予防には、まずスポーツドリンクを選びましょう。スポーツドリンクには水分、電解質、糖分などが含まれているため、熱中症予防のための第一候補です。
ただし、普段からスポーツドリンクを飲みすぎると、カロリー過多になるなどデメリットもあるため、普段の水分補給をすべてスポーツドリンクで行うのではなく、汗をたくさんかいたときなど、ある程度限定的に使用するようにしましょう。
水
最も基本的な水分摂取源といえば、水です。熱中症予防にはこまめな水分補給が推奨されていますので、普段特に意識していないという人は水を飲む頻度(タイミング)を意識する習慣を付けてみてください。なお、熱中症になってから水だけを摂取しても、吸収されるのに時間がかかるので注意してください。
水道水をそのまま飲むのは気になるという方は、浄水器を活用するのもおすすめです。
塩分入りの飲料
汗をかくことで喪失する塩分を加えた飲料も、熱中症予防におすすめです。汗を大量にかいたときや、夏バテなどで食事摂取量が減った場合は、普段欠乏しないナトリウムが欠乏する可能性も考えられます。その場合は、塩分を加えた飲料を試してみましょう。
ただし、塩辛いと感じるほど塩分を入れると、逆に体内から水分が排泄されてしまう上に、塩分の過剰摂取に繋がるので、あくまで少量加えるようにしましょう。
麦茶
ミネラルの補給という意味では、麦茶もおすすめです。麦茶にはナトリウムやカリウム以外にもミネラルが豊富に含まれているため、汗で失われたミネラルを補給するのに効果的です。
また、他のお茶にはカフェインが豊富に含まれており、利尿作用がありますが、麦茶にはほとんど含まれていないため、水分補給源としても優秀です。
熱中症予防が期待できる食事のとり方
熱中症予防に必要な栄養素を効率的に摂取するためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか?
色々な種類の食材を食べる
熱中症は、水分不足はもちろんですが様々な栄養素の不足によって症状が現れるため、いろいろな種類の食材を食べ、多様な栄養素を摂取することが必要です。そのため、普段から食事が偏っているという方や水分摂取が少ないという方は要注意です。
煮汁ごと飲めるスープ類で摂取する
熱中症予防に効果のあるミネラル類やビタミンB1などは、水に溶ける性質を持っています。
生の野菜や果物には豊富に含まれていたミネラルやビタミンでも、水洗いや加熱により喪失され、食べるときには栄養価が下がっているということも多いため、流出した栄養素も一緒に摂ることができるスープ類は非常におすすめです。
【管理栄養士監修】熱中症予防におすすめのレシピ3選
ここまで紹介してきた内容を踏まえて、熱中症予防におすすめしたい簡単なレシピを3つ紹介します。
トマトとモッツァレラのカプレーゼ

材料(2人分)
・トマト 2個(スライス)
・モッツァレラチーズ 1個(スライス)
・バジル 数枚
・オリーブオイル 適量
・塩 少々
・黒胡椒 少々
作り方
①トマトはヘタを取り、5mm幅にスライスする。モッツァレラチーズもトマトと同じサイズにスライスする。
②皿に交互にトマトとチーズを重ねて並べ、バジルの葉を上に散らします。
③オリーブオイルをかけ、塩と黒胡椒で味を整えて完成。
バナナとヨーグルトのスムージー

材料(1人分)
・バナナ 1本
・プレーンヨーグルト 100g
・ハチミツ 小さじ1
・氷数個
作り方
①バナナの皮を剥き、適当な大きさに切る。
②バナナ、ヨーグルト、ハチミツをミキサーに入れ、氷を加えて滑らかになるまで混ぜる。
③グラスに注いで完成。
豚肉と夏野菜の冷やしスープ

材料(4人分)
・豚バラ薄切り肉 200g
・きゅうり 2本
・なす 2本
・シソの葉 10枚
・みょうが 2個
・冷たいだし汁 800ml
・醤油 大さじ3
・みりん 大さじ1
・塩 小さじ1/2
・レモン汁 大さじ1
作り方
①なすはヘタを落とし、輪切りにする。
②きゅうりはヘタを落として細切りにして塩もみし、水気を絞っておく。
③豚バラ肉はさっと茹でて冷水で洗い、冷ましておく。
④だし汁に醤油、みりん、塩、レモン汁を混ぜて冷蔵庫で冷やしておく。
⑤冷たいスープになす、キュウリ、刻んだシソの葉とみょうがを入れる。
⑥最後に冷やした豚肉を上にのせ、冷蔵庫で冷やしてさらに味がなじんだら完成。
熱中症予防には健康的な食生活も心がけることも大切
熱中症予防のために必要な栄養素や食材、レシピなどについて紹介してきました。熱中症対策には水分補給が重要ですが、汗をかいて失ったミネラルなどを一緒に補給することも効果的です。
今回紹介した食材やレシピを活用して、熱中症を予防し、元気に夏を乗り切りましょう。