告知事項あり物件とは?事故物件など告知義務のある賃貸物件の種類や見分け方、入居後発覚時の対応方法を解説

目次

賃貸物件を探す際に、気になっている物件が事故物件かどうかを気にする方は多いのではないでしょうか。実際に住んでから不都合な事実が発覚した場合、精神的に大きな負担となります。

そこで今回は、告知事項あり物件の概要や見分け方、住んでから発覚した場合の対処法などを解説します。この記事を読めば「どんな物件が告知事項あり物件なのか」ということだけでなく、告示事項あり物件に住むことでお得になる理由が分かります。これから賃貸物件を探す方は、ぜひ参考にしてみてください。

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告知事項あり物件(告知義務がある物件)とは

賃貸の「告知事項あり物件」とは、賃貸借契約を行うにあたって宅地建物取引業者が入居者に対して以下の内容を伝えるべき物件のことです。

・建物の欠陥

・建物の瑕疵(重大な欠点)

例えば、住む部屋の雨漏り被害や、過去に自殺や他殺が起きたことなどの告知義務があります。これらの内容を契約前に知ることが、住むための重要な判断材料となるからです。

また、人が亡くなった場合の告知義務期間については、国土交通省のガイドラインで以下のように定められています。

告知が必要な人の死が発覚して、その後おおむね3年が経過した場合は宅地建物取引業者は借主に告げなくてもよい
※一部抜粋

ただし、事件性のあるものや社会に与える影響が高いものに関しては、3年に限らないとなっているため、賃貸契約の際に不動産会社へ確認するのがおすすめです。

参考:国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン「宅地建物取引業者が告げなくてもよい場合について

告知事項ありとは別の表現で書かれていることがある

「告知事項あり」という記載の他に、以下のような表現で記載されていることがあります。

・事故物件

・訳あり物件

・いわくつき物件

・要注意物件

これらの表現を見つけたら、お部屋の内見時に不動産会社へ確認するようにして、詳しい状況を知ることが重要です。過去に起きた状況に納得したうえで、契約するようにしましょう。

告知義務が必要な4つの「瑕疵」

瑕疵内容によっては、人の死が起きたケース以外にも告知が必要です。ここでは、告知義務が必要な4つの瑕疵について詳しく解説します。

心理的瑕疵

心理的にストレスを感じる物件のことを「心理的瑕疵」と呼び、精神的な不快感などを引き起こす恐れがあります。例えばわかりやすいところでは、「以前の入居者が自殺した」「殺人事件が発生した」「心霊現象などが起こる」などが挙げられます。

告知義務あり物件の中でも心理的に不快に感じることから、敬遠する人も多いのが現状です。

物理的瑕疵

建物自体の欠陥や損傷により、入居者にとって重大な影響を及ぼすほど物理的な重大な問題があることを「物理的瑕疵」と言います。例えば、以下の状態が挙げられます。

・雨漏り被害

・配管の故障

・シロアリ被害

・柱や基礎など躯体部分のヒビ割れ

・建物の傾き

・火災によって建物を改修したケース

これらの問題により、入居者が生活する上で大きな支障を生じます。入居前に、リフォームや修理などを大家さんで行ってくれるのかをあらかじめ確認しておきましょう。

環境的瑕疵

建物自体の瑕疵ではなく、周辺の環境によって入居者の生活が脅かされることを「環境的瑕疵」と言います。例えば、以下のような施設が周辺にある状況です。

・火葬場

・ゴミ処理場

・工場

・ガソリンスタンド

・暴力団事務所

しかし、これらの施設等が周辺にあっても、不快に感じるかどうかは人それぞれです。そのため「環境的瑕疵」の判断が難しいケースがあると言えます。

法的瑕疵

主に、法律的な基準を満たしていないことを「法的瑕疵」と言います。建築基準法や消防法などの基準を満たしていない物件も、告知が必要です。具体的には以下のような物件が挙げられます。

・建物が安全基準を満たしていない

・建築の許可が与えられていない場所に建っている

これらの物件は、建築基準法などが施行される前に建築された古い建物などに多く見られます。一方で新築物件は現行の法律に従って建築されているため、基本的に法的瑕疵はありません。

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告知義務がいらない3つのケース

ここからは、告知義務がいらない3つのケースを解説します。人が亡くなっていたとしても状況によっては告知事項に該当しないケースがあるため、知っておきましょう。

老衰などの自然死

高齢者が老衰で亡くなった場合や、病気による自然死の場合は告知義務がありません。国土交通省のガイドラインによると、自然に人が亡くなることは当然に予想されることであり一般的なものであるとされています。

ただし、孤独死による発見の遅れにより、特殊清掃やリフォームが必要になるほどの状況だった場合は告知義務が必要です。亡くなってすぐに発見された場合の自然死は、住む際の心理的なストレスが少ないため、告知義務が必要ないのです。

不慮の事故

物件内で起きた日常生活での不慮の事故は、告知義務がありません。例えば以下のようなものがあります。

・入浴中の溺死

・ベランダからの転落死

・転倒事故による死亡

・食事中の誤嚥での死亡

・その他日常生活の中で生じた事故

老衰や自然死と同様に、不慮の事故による死は、普段の生活で起こりうることです。そのため、入居者が部屋を借りる際の判断として大きな影響がないとみなされます。

ただし先程説明の通り、死後の発見の遅れにより特殊清掃が必要になった場合などは、入居するかどうかの判断に大きな影響を及ぼすため、告知義務が生じます。

近隣や共用部での死亡

集合住宅の場合、告知すべき事故や事件が起きても状況によって告知義務の必要性が異なります。以下の状況の例で確認してみましょう。

【事例:202の部屋で自殺があった場合(アパートを正面から見た場合)】

301廊下302
201廊下202 ※自殺
101廊下102

上記の場合、告知が必要なのは「202」に入居する人のみです。以下の例では告知すべき範囲が異なります。

【事例:202の前にある廊下で他殺があった場合】

301廊下302
201廊下 ※他殺202
101廊下102

この場合、普段廊下を使用する「201」「202」「301」「302」に入居する人に告知義務があります。廊下を使用しない1階の住民には告知義務がありません。

告知事項あり物件の見分け方

ここでは、告知事項あり物件の見分け方を3つ解説します。賃貸物件を選ぶ判断材料にしてください。

相場よりも家賃が安い

相場の家賃よりも安い場合、告知事項あり物件の可能性があります。自殺や他殺により人が亡くなっている物件は敬遠されやすく、家賃を下げないと借り手がつかない傾向にあるからです。

大家さんとしては、空室が続くよりも家賃を安くしてでも満室にしたいのが当然の考えです。また、事故が起きた物件に1回でも住んでもらうことで、次の募集の際に告知する必要がなくなるのも狙いと言えます。

とはいえ、相場よりも家賃を抑えられるため、事故物件を気にしない方にとってはおすすめです。

物件情報に「告知事項あり」と記載されている

不動産ポータルサイトや物件資料の概要覧に「告知事項あり」と記載がある物件には注意が必要です。この場合、入居者に告知すべき「なんらかの重大事項」があると考えましょう。

「告知事項あり」という記載の他にも、似たような文言で記載があるため、気になる物件にそういった記載があったら不動産会社に確認するようにしましょう。

不自然にリフォームされている

古い建物にもかかわらず、部屋の一部だけきれいにリフォームされている物件は前の住民が亡くなっている可能性があります。死の原因が「自然死」や「孤独死」だったとしても、発見が遅れることで特殊な清掃をしなければ、汚れやシミなどが取り除けない状態になるからです。

なお、特殊清掃で落ちない汚れなどは、リフォームなどでフローリング材や建具を取り換える必要があります。一部だけのリフォームや隠すような不自然な修繕がされていると感じたら、事前に理由を不動産会社に確認するようにしましょう。

ただし、全ての部分的なリフォームがそういったネガティブな理由からくるものではありませんので、必要以上に訝しんで不動産会社や大家さんに迷惑をかけたりしないようにしてください。

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もし住み始めてから告知事項が発覚したら?

住み始めてから「告知事項されていなかった」ということが発覚した場合、民法上の契約不適合責任を大家さんに追及できる可能性があります。それぞれ請求できる内容が違うため、知っておきましょう。

追完請求(502条)・・・欠陥箇所を修繕してもらう

物理的瑕疵などが発覚した場合、告知事項にあたる欠陥箇所を修繕するなど、契約内容に適合する状態にするよう求めることが可能です。

例えば、雨漏りしていることを大家さんが知っていたのにもかかわらず、住んでから見つかった場合は屋根の補修を求められます。雨漏りにより、家電などが故障した場合も修理費用の請求ができるケースがあるため、知っておきましょう。

代金減額請求(563条)・・・代金の減額を請求できる

欠陥箇所の修繕等を求めたのにもかかわらず、一定期間に応じてもらえない場合には、賃料の減額を請求できる場合があります。

つまり、事故物件であることを告知されていれば「現在の家賃ではこの部屋に住まなかった」ということです。

損害賠償ならびに契約解除(564条)・・・損害賠償ならびに契約解除ができる

欠陥箇所の補修や代金減額の請求と合わせて、契約上の義務(告知義務)を履行(伝えなかった)しなかった責任として、大家さんに対して損害賠償ならびに契約解除が可能です。

例えば、引越し費用や賃貸契約の初期費用相当額等が該当します。なお、追完請求や代金減額請求に大家さんが応じない場合、契約の解除ができるケースもあります。

心理的瑕疵物件に住んだことによる心理的な苦痛などに対する慰謝料が請求できるケースもあるため、知っておきましょう。

告知事項あり物件でも、普段と変わらず生活を送れる!

告示事項あり物件は、過去に自殺や他殺などがある心理的瑕疵物件や、物理的瑕疵、環境的瑕疵など様々な種類があります。これらの物件では、住むかどうかを決める重大な判断材料となるため、慎重に選ぶべきです。

実際に「告知事項あり物件=住みづらい・怖い」などのマイナスイメージがある方が多いかもしれません。しかし、リフォームや特殊清掃、お祓いなどといった対策で快適に住めるような工夫がしっかりされているだけでなく、きれいな物件に相場よりも安い家賃で住めるなどのメリットも豊富です。

少しでも家賃を抑えたい方や、リフォーム済みのきれいな物件に住みたい方は、告示事項あり物件を探してみるものおすすめです。