季節の野菜や好みの食材を漬けて味わえるぬか漬けは、美容や健康をサポートしてくれる発酵食品です。ぬか床を始めてみて気づいたのは意外にも簡単に作れることで、米ぬかと塩、そして好きな野菜があれば手軽に始められるのがポイントです。また、ぬか床で漬けた野菜の味は格別であり、さらに美容にも良いという特徴があるため、年齢問わずさまざまな方におすすめといえます。
今回はそんなぬか床で得られる効果や、ぬか床作りのポイントと魅力をご紹介しますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
ぬか床とは?
野菜などの食材を漬けることで、そのおいしさを引き出してくれるぬか床は、玄米を精米する際に出る外皮、いわゆる米ぬかと塩を基本にできています。塩が持つ浸透圧作用によって漬けた野菜の水分と栄養素が外へしみ出し、同時にぬか床の栄養が水分の抜けた野菜の食材に入っていきます。
さらに、酵素の働きによって乳酸菌や酵母などの微生物が育っていくのもぬか床の特徴です。熟成・発酵を繰り返すことで野菜の旨味が増すほか、食材が持つ栄養価もアップします。このように、ぬか床は食材の栄養を引き出す重要な役目を果たしているため、「健康に欠かせない必須アイテム」と呼ぶ方も少なくありません。
ぬか床で期待できる効果

米ぬかの胚芽部分には、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンB1やB2、抗酸化作用のあるビタミンE、塩分の排出を促す役割を担うカリウムなど大事な栄養素が豊富に含まれています。これらにより「健康に良い」というイメージがあるぬか床ですが、具体的にはどのような健康効果に期待できるのでしょうか。
ぬか床の効果①:腸内環境の改善
ぬか床には豊富な乳酸菌が含まれています。ほかにも酵母や酪酸菌など12~30種類もの善玉菌が含まれており、それらが腸内環境を整えてくれます。
また、ヨーグルトに比べて乳酸菌の種類が多いのもぬか漬けの魅力のひとつです。熟成期間が長いぬか床ほど善玉菌の数が多くなり、ぬか漬けの味もより複雑で旨味のあるものになります。
ぬか床の効果②:免疫力アップ
ぬか床には、ほかの発酵食品と同じように豊富な酵素が含まれています。米ぬかに多く含まれる酵素、いわゆるアミラーゼには炭水化物の消化を助ける働きがあり、食べ過ぎによる脂肪の蓄積を抑えられるほか、消化不良や胃もたれにも効果的です。
また、ぬか漬けの乳酸菌は腸内のタンパク質などを腐敗させて有害物質を作る悪玉菌の活動を抑え、腸の働きを促進させます。これによって便秘が改善されるほか、自身の免疫効果が高まります。
さらに、新陳代謝を促進、血行をサポートして肉体疲労の回復や、肩こり・腰痛解消などに役立つのもぬか漬けのうれしいポイントといえるでしょう。
ぬか床の効果③:美肌効果
ぬか床は、美肌効果をもたらす栄養素が豊富に含まれています。たとえば脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪などの細胞の再生力をアップさせるビタミンB2が挙げられます。また皮膚や骨、血管に多く含まれるコラーゲンの生成に必要なビタミンC、血行を促進して紫外線によるシミの改善が期待できるナイアシンなども含まれており、美肌効果を求めてぬか漬け食べる方も珍しくありません。
さらに、酵素の働きによってシミやそばかすの原因となる活性酸素を抑える抗酸化作用があるのもうれしいポイントといえます。なお、ぬか床は床下収納があれば簡単に作ることができるので、もし今部屋探しをしているなら床下収納が備わっている部屋を検討してみてはいかがでしょうか。
ぬか床の作り方とポイント

ぬか床の作り方や材料は比較的シンプルで、基本的に米ぬかさえあれば一から手作りできます。食品保存容器はもちろん、ファスナー付き保存袋を使えば一人暮らし用などのコンパクトな冷蔵庫でも省スペースで保存できます。
【基本の材料】
- 米ぬか…1kg(炒りぬかよりも、生ぬかがおすすめ)
- 水…1L(浄水器の水かミネラルウォーターがおすすめ)
- 塩…130g(ミネラル分が豊富な塩がおすすめ)
- 捨て漬け用の野菜…(キャベツの外葉、にんじんや大根の皮、大根の茎の付け根や根っこの部分、白菜の芯などがおすすめ)
- 昆布…適量
- ・赤唐辛子…適量
【好みで加えていきたい材料】
- 煮干し
- かつおぶし
- 干し椎茸
- 実山椒
- 陳皮
ここからは、具体的なぬか床の作り方と大事なポイントを紹介していきますので、それぞれ順番に見ていきましょう。
ぬか床の作り方①:ぬか床を作る
まずは清潔な保存容器かボウルにぬかと塩を入れて軽く混ぜましょう。次に、おおよそ味噌くらいの固さを目安に、様子を見ながら水を加えて全体を混ぜていきます。そこに昆布、赤唐辛子を加えて混ぜれば基本のぬか床は完成です。
ぬか床の作り方②:捨て漬けを行う
基本のぬか床ができあがったら、くず野菜で捨て漬けを行います。
米ぬかで一から作るぬか床は、まだ菌が少ない状態です。ここで捨て漬けをすることで、野菜の持つ酵素がぬか床の発酵を促進させ、乳酸菌や酵母、酪酸菌などの微生物を増やすことができます。これと同時に、昆布などの旨味成分がぬか床に広がっていきます。
捨て漬けに使うくず野菜には、水分が多く乳酸菌が豊富なキャベツや大根がおすすめです。また、大根の茎の付け根や根っこ部分には特に酵素がたっぷりと含まれており、これらもぬか床の発酵に役立ちます。
このとき、捨て漬け野菜がぬか床からはみ出していると、カビが生えてしまうおそれがあるのでしっかりと埋め込みましょう。乳酸菌は酸素の少ない環境を好むため、最後に上から手のひらでギュッとぬか床を押さえて空気を抜いておくのがコツです。
捨て漬け野菜を交換するタイミングの目安は4~5日程度で、可能であれば1日2回底から上下を返すようにしっかりと混ぜてください。10日を過ぎたころから混ぜる回数を1日1回に減らし、ぬか床の乳酸菌をさらに増やしていきます。おおよそ20日ほどで熟成が進み、塩分と酸味のバランスが整います。
漬けた野菜を食べてみて酸味を感じるようになれば、乳酸菌が増殖し始めている証拠です。
ぬか床の作り方③:本漬けを行う
捨て漬け期間が終わった後は、いよいよ本漬けを行います。
本漬け用野菜を水洗いした後、軽く塩もみしてから漬けると野菜の色合いがきれいに仕上がり、漬かりも早くなります。また、野菜の大きさやぬか床の保管場所によってぬか漬けの味や風味が変わるので、好みに合わせて調整しましょう。
なお、ぬか床は室温20~25°が最適です。30°を超えてしまうと発酵が進みすぎてしまうので、夏は床下収納やパントリーなどの涼しい場所で保管しましょう。もしぬか床を常温保存する場合は1日1回、冷蔵庫保存の場合は2日に1回、上下をしっかり返してかき混ぜるようにしてください。
野菜を繰り返し漬けていくと、ぬか床の水分が増えて次第にベチャベチャとしてきます。そのような場合は炒りぬかと塩を足す、または昆布や干し椎茸を入れるなどして水分量を調整してください。
ぬか床は日々熟成し、味や風味が変化していくので、私は母から教わった方法で味を調整しています。味がぼんやりしてきたときは、唐辛子を加えて味を引き締めています。
ほかにも、6月ごろに出回る生の実山椒を下ゆでしてぬか床に加えると、爽やかな風味が楽しめるためおすすめです。さっと湯がいたゆずの皮を加えて風味付けしたり、好みに合わせニンニクや生姜を加えたりするのも母直伝のレシピです。
ここまでぬか床の作り方や大事なポイントについて解説してきましたが、自宅に床下収納があればよりスムーズに作れます。もし現在物件探しをしているという方は、希望の条件に「床下収納」を追加して検索してみてはいかがでしょうか。
ぬか床作りの魅力

料理上手の母は、帰省するたびにおいしい食事を用意し、私を労ってくれます。四季折々の食材を使ったおいしい料理を食べることで日々の仕事の疲れが取れ、明日への活力に繋がっていきます。
その中でも一年を通し、食卓に絶えず並んでいるのがぬか漬けです。定番の野菜はもちろん、季節の野菜を贅沢に活用しつつ我が家の食卓を彩っています。
このようなぬか漬けをいつでも味わいたいと思い、ぬか床を40年もずっと作っている母にレシピや作り方をレクチャーしてもらったのが私のぬか床作りの始まりです。ただ味わうだけでなく、作る工程やうまくできたときの喜びに楽しさを感じるようになりました。
ぬか床に住む乳酸菌は、発酵という化学変化を繰り返し生きているのでそれを維持するためには毎日のお手入れが大切ですが、そんな少し手のかかるところも「好き」の要素のひとつです。また、ぬか床に漬ける野菜も多岐にわたるため、作り手の個性を表現できるのもぬか床作りのおもしろい部分といえるのではないでしょうか。
ぬか床作りがある暮らしと私こだわり
ぬか床作りを始めてから約1年が経ちましたが、ぬか漬けは日々の食卓に欠かせない一品になりました。ぬか漬けを毎日食べることで手軽に乳酸菌を摂取できるなど、私の健康維持に役立っていることは間違いありません。
私のぬか床作りのこだわりは、塩分だけに頼らず、酸味と旨味のバランスが良いぬか床に仕上げることです。そのため季節によって漬ける時間を調整しており、特に夏場は冷蔵庫で保存するなどの工夫が欠かせません。
また、温度変化が少ない床下収納スペースも活用しながら作っており、ぬか床の環境調整に日々努めています。毎日勉強することがあり、新たな発見をするたびにモチベーションが上がるので、これからも続けていこうと考えています。
健康に良い栄養素がたくさん含まれているぬか床がある生活を送ってみては?
日本に古くからある発酵食品でもあるぬか漬けは、健康維持に必要な栄養素が豊富に含まれています。腸内環境を整え、免疫力アップや美肌効果をもたらしてくれるのもうれしい魅力です。始めてみると意外に簡単で、奥深く楽しいのがぬか床作りなので、興味をお持ちの方は一度試してみてはいかがでしょうか。


