「マンションとアパートってどう違うの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。この2つは、明確に定義されているものではありませんが、構造や築年数などによってそれぞれ別の名称で呼ばれています。
今回は、賃貸物件を探す際に気になるマンションとアパートの違いについて解説します。また、それぞれのメリットや注意点も紹介していきますので、引越しを検討している方はぜひチェックしてみてください。
賃貸における「アパート」と「マンション」の違いとは

「アパート」は、集合住宅を意味する「apartment」をもとにできた和製英語です。このアパートに対し、高級なイメージを持たせたいなど差別化を図るため、英語で大邸宅を意味する「マンション(mansion)」も使われるようになりました。
現在日本では、集合住宅(賃貸物件)を呼ぶ際に両方使われます。ちなみに、分譲の場合はすべてマンションと呼ばれます。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」によると、マンションの定義は次のとおりです。
二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
※引用 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (第二条一)」
ただし、上記はマンションの管理の視点から定義した分譲マンションに対しての法律なので、賃貸の集合住宅の呼び名を限定するものではありません。賃貸アパートと賃貸マンションの違いは曖昧で、不動産会社や大家さんが構造によって決めているのが現状です。
一般的には、以下のように区別されていることが多いです。
| アパート | マンション | |
|---|---|---|
| 構造 | 木造・軽量鉄骨造 | 鉄骨造・鉄筋コンクリート造・ 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
| 階数 | 2~3階建てを指すことが多い | 比較的高層階のイメージだが、構造次第で2階建てでもマンションと呼ぶことがある |
賃貸アパートとマンションの構造以外の違い
先述したように、アパートとマンションの違いは「構造」にあるといわれています。しかし、このほかにも異なるポイントがあるので、事前に押さえておきましょう。
アパートとマンションの相違点①:共用設備
アパートでも共用設備が充実した物件はありますが、やはりマンションの方が共用設備は充実しています。たとえば、オートロックがついている物件や、施錠できるゴミステーションに24時間ゴミが捨てられる物件などです。このような物件は、「アパート」ではなく「マンション」と呼ばれることがほとんどです。
アパートとマンションの相違点②:内装や設備
比較的建築費を抑えて建築されたアパートは、内装や設備も安価なものを採用しています。クロスや床材もシンプルなもので統一されており、原状回復費を安く抑える工夫がなされていることも珍しくありません。退去の際の原状回復工事費用を安く抑えることができれば、大家さんや不動産会社だけでなく、入居者も助かります。
一方、住環境にこだわりがある人をターゲットにするマンションは、内装や設備が充実しているケースが多いです。たとえば、クロスを一面だけ違うカラーや柄にしたアクセントウォールや、料理が好きな人でも満足するようなグレードの高いキッチン、洗濯物が干せる浴室乾燥機付きの浴室などは比較的マンションに多く見られる設備です。
アパートとマンションの相違点③:家賃
アパートは建築費を抑えて建てられているため、何か特別な事情がない限り、家賃は低めに設定されます。一方、マンションは建築費や原状回復工事費用が高額なため、低い家賃のマンションはほとんど見られません。またエレベーターやオートロックなど、共用部の設備のメンテナンス費用も発生するため、アパートに比べて管理費も高くなります。
賃貸アパートのメリットと注意点

ここからは、賃貸アパートのメリットと注意点について詳しく解説していきます。入居してから後悔しないよう、あらかじめチェックしておきましょう。
賃貸アパートのメリット
まずは、賃貸アパートのメリットから見ていきましょう。
①家賃・管理費が安い
これはアパートの一番のメリットといえます。また、原状回復の際に費用が発生した場合でも、マンションに比べて安く済ませられる傾向にあります。
②結露しにくい
木材は湿気を吸収しやすいため、湿度を抑える効果があります。構造的にも、気密性が高い鉄筋コンクリート造に比べて結露が発生しづらく、カビの防止にも効果的です。
③少数世帯のためご近所付き合いしやすい
アパートは少数世帯であるケースが多く、住んでいる人の顔を把握しやすい環境にあります。また管理会社でなく、大家さん自身が管理していることもあるので、大家さんとも顔なじみになることもあります。
賃貸アパートの注意点
一方、賃貸アパートには以下のような注意点があります。
①防音性・遮音性が低い
アパートは構造が木造や軽量鉄骨であることが多いため、鉄筋コンクリート造に比べると音が漏れやすい構造です。騒音が苦手な方や、周囲の音に敏感な方はストレスに感じてしまうかもしれません。
②耐震性・耐用年数
現行の建築基準法では、建物を建てる際、震度6強から震度7程度の地震に耐えられるよう建築しなければならないと定められています。しかし築年数が古い建物の場合、昔の基準で建築されているため一概に安全とはいえません。耐震検査の有無のほか、築年数もチェックした方が良いといえるでしょう。
③防犯対策が必要
アパートは、オートロックやモニター付きインターホンがないケースが多いです。また、階数も低いことが多いため、マンションに比べて防犯の面では心配な点があります。帰宅したら必ず施錠する、窓を開けっぱなしにして就寝しないなど、防犯には気をつけるようにしましょう。
賃貸アパートがおすすめの人
上記のメリットや注意点を考慮し、賃貸アパートにおすすめの人をまとめました。
①家賃を安く抑えたい人
賃貸アパートは家賃相場が比較的低いため、予算に不安がある人でも不安なく暮らせます。
②留守にすることが多い人
家賃が低いため、住環境が整っていないケースもあります。しかし、仕事や学校でほとんど家にいないという方や、外出が好きな方であれば、このようなデメリットがさほど気にならないかもしれません。
③ご近所付き合いしたい人
アパートはオートロックなどの設備が備わっていないことが多く、隣人との交流が比較的容易です。過度に絡むことはNGですが、友達を作りたいと考えている方やご近所付き合いが好きな方であれば、ストレスなく暮らせる環境といえるでしょう。
デメリットが多いように感じる賃貸アパートですが、家賃の低さが最大の魅力です。賃貸アパートに魅力を感じた方は、「アパート」「コーポ」などを条件に入れて新しい住まいを見つけてみてください。
賃貸マンションのメリットと注意点

続いて、賃貸マンションのメリットと注意点について詳しく解説していきますので、賃貸アパートと比較検討しながらチェックしてみてください。
賃貸マンションのメリット
賃貸マンションの主なメリットは以下のとおりです。
①設備が充実している
室内の設備はもちろん、共用部分の設備も充実しています。ガスコンロの口数が多かったり、浴室乾燥機がついていたりすることも珍しくありません。また共用部であれば、宅配ボックスが用意されているところも多くあります。
②防音性・遮音性に優れている
アパートに比べると、マンションなどで多く採用されている鉄筋コンクリート造は気密性が高く、壁や床が厚いため、隣家の音が漏れにくい構造です。
③堅固な建物である
木造に比べると鉄筋コンクリート造は耐用年数が長く、長期的に住みたい方に適した構造です。また分譲タイプなどでは耐震や免震構造のものもあり、より安心して住める物件が多いのが特徴です。
賃貸マンションの注意点
賃貸マンションにはさまざまなメリットがある一方、以下のような注意点があります。
①家賃が高い
マンションは家賃が高めに設定されているため、無理のない家賃のマンションを選びましょう。収入の3分の1を目安に選び、毎月の収支をシミュレーションしながら入居するかどうか判断しましょう。
②窓や壁が結露しやすい
木造に比べて気密性が高く、結露しやすい構造です。特に建築から5年程度はコンクリートが乾燥しきれていないため、除湿機を使うなどして対策しましょう。
賃貸マンションがおすすめの人
以下に挙げる特徴を持つ人は、賃貸マンションへの居住を検討してみてはいかがでしょうか。
①家賃が高くても、住環境にこだわりたい人
アパートに比べて家賃相場は高めですが、その分住環境が整っています。たとえば、アパートでは防犯面に不安があることが多く、入居を敬遠する方も珍しくありません。特に女性の場合、オートロック付きのマンションへの入居をおすすめします。
②設備が充実した建物に住みたい人
三口コンロや追い炊き機能など、賃貸アパートにはあまり見られない設備が備わっていることが多くあります。このような設備の中で暮らせれば、生活の質が上がったと実感できるでしょう。
③音に敏感な人
壁や床などの防音性も高いため、音に敏感な人も安心して暮らせます。深夜の騒音が気にならなくなれば、睡眠の質も上がるかもしれません。
上記のように、賃貸マンションにはさまざまな魅力があるため、「私は賃貸マンション暮らしに向いているかも?」と思った方は、賃貸マンションをメインに部屋探しをしてみてはいかがでしょうか。
アパートとマンションの違いを知って自分に合った物件を探そう!
アパートとマンションには、それぞれメリットと注意すべき点がいくつかありますが、大切なのは自分に合った住まいを選ぶことです。物件の雰囲気や、その場の勢いだけで決めてしまうと住み始めた後につらくなってしまうかもしれません。
アパート・マンション双方が持つイメージにとらわれることなく、不動産会社の担当者の方へ希望条件を伝えてみましょう。





