賃貸物件を契約する際に、町内会や自治会への加入をどうすればいいか分からない方は多いのではないでしょうか。
「費用が負担になるためできれば加入したくない」「加入しないことで嫌がらせを受けるのは避けたい」「加入することでどんなメリットがあるか知りたい」など、不安な点は様々です。
そこで今回は、町内会や自治会へ加入するメリットや注意点について解説します。近隣住民と良い関係性を保つためにも、しっかり理解しておきましょう。
賃貸マンションや賃貸アパートに住んでいても町内会・自治会に加入すべき?

賃貸マンションやアパートに住んでいても、町内会や自治会への加入は可能です。持ち家に住んでいる人と変わらず、基本的には強制ではなく「任意」となり、加入するのは本人の自由です。
しかし賃貸契約で、町内会費の支払いが条件になっている場合などがあります。支払いを拒否すれば、入居を断られるケースもあるため注意が必要です。
町内会や自治会に加入するメリットと注意点をしっかり照らし合わせて、自分に合う判断を行いましょう。
町内会・自治会とは
町内会や自治会は、同じ地域に住む人々が集まって、地域の安全を守り発展させてコミュニティを促進することを目的とした団体のことです。
加入することで、以下のような様々なイベントや活動に参加できます。
・地域住民同士の交流
・地域の清掃活動
・防災活動
・治安維持活動
・子ども会などのイベント
イベントや活動に参加して、近所の人とのコミュニケーションを構築することで、お互いに安心して暮らせます。また、災害時の安否確認がしやすくなるなど、いざというときに迅速な対応が可能です。
さらに警察や行政と連携することで、安心安全な地域へ発展するような活動を行っています。
マンションの管理組合との違い
町内会・自治会とマンションの管理組合には、以下のような違いがあります。
加入者 | 加入条件 | 目的 | |
---|---|---|---|
町内会・自治会 | 地域の住民 | 任意 | 地域の発展や保全 |
マンションの管理組合 | 区分所有者 | 法律上構成員となる | マンションの維持管理 |
町内会や自治会は、地域の住民同士で結成された任意の団体です。一方、マンションの管理組合は、区分所有者(マンションの一室の所有者)全員で結成されている団体であるため、法律により定められています。
住むところだけでなく、地域全体を活性化させるのが町内会や自治会の役割です。
町内会・自治会に加入する4つのメリット

地域の治安を守り、住民同士のコミュニケーションを構築できれば、より快適な生活が可能です。ここでは、町内会や自治会に加入するメリットを4つ解説します。
地域の情報が記載されている回覧板がまわってくる
回覧板には、以下のような情報が記載されています。
・地域のイベント情報
・行政からのお知らせ
・防災情報
例えば、清掃活動や町内運動会などの開催場所や日時が記載してあり、住民同士のコミュニケーションを構築するための活動に参加できます。
また、予防接種や健康診断など、行政機関からの情報を知ることが可能です。さらに、防災訓練や避難訓練などの情報も記載されているため、万が一の災害時に備えた活動ができます。
回覧板を確認できれば、地域で重要な活動等に関する情報を確認することができるため、より地域に貢献できるでしょう。
防犯対策に繋がる
町内会や自治会に加入することで、防犯対策に繋がります。町内会のイベントなどに顔を出せば、近隣住民と交流が増えて犯罪を防止することが可能です。
例えば、子どもがいる近隣住民に自分の顔を知ってもらうことで「うちの子どもと話しているのは〇丁目の〇〇さん」など、住民であることを把握しやすくなります。
不審者を発見した場合も、近隣住民と連携することで情報を速やかな共有が可能です。特に子どもがいる家庭では、犯罪に巻き込まれる前に対策できるため、安心です。
子ども向けのイベントに参加できる
町内会や自治会に加入すれば、イベント情報などを知ることが可能です。イベントの中には「子ども向け」の活動もあるため、家族ぐるみでの交流ができます。
子ども向けのイベントには、以下のようなものがあります。
・季節ごとの祭り
・町民運動会
・球技大会
・カラオケ大会
例えば、春にはバーベキューやピクニックをしたり、夏にはラジオ体操や虫取りイベントを開催したり、季節ごとのイベントも開催されます。また、サッカーやバレーボールなどの球技大会やカラオケ大会など、大人でも楽しめるイベントに参加できるため、住民との交流が深まります。
もしもの災害時に助け合うことができる
町内会や自治会主催の防災訓練などで備えをしておけば、高齢者などの助けが必要な人が住んでいる家や、どのような行動が必要なのかを把握できます。近年では、地震や水害などの自然災害が多発しているため、普段から訓練をしておくことが重要です。
また、町内会費を災害時の食料費や備蓄費に充てている場合は、無償で物資を支給してもらえる可能性があります。他にも、日常生活の中で「崖が崩れかけている」「公園の遊具が壊れている」など、災害時に影響がありそうな不備も、町内会や自治会を通して行政に要望できるため覚えておきましょう。
町内会・自治会に加入する際の3つの注意点

ここでは、町内会や自治会に加入する際の注意点を3つ解説します。どんな注意点があるのか、一つひとつ把握しておきましょう。
ゴミ当番や掃除当番などがある
住んでいる物件によっては、敷地内に専用のゴミ捨て場がないケースがあります。そのため、近隣住民と共同で使用するのが一般的です。
共有でゴミ捨て場を利用する場合、町内会や自治体によっては、定期的に掃除や管理をする「当番制」が設けられています。当番になれば、カラスや猫などに荒らされないようにネットがかぶさっているかを確認したり、汚れているゴミ捨て場を掃除したりすることが必要です。
仕事に行く前の忙しい時間帯に管理が必要になったり、責任をもって管理したりするなど、時間がない中でも重要な役割をこなす必要があります。
ゴミ当番がどうしても難しい場合は、敷地内にゴミ置き場がある物件を選ぶのもおすすめです。
町内会・自治会費がかかる
町内会や自治会に加入する場合、会費を支払う必要があります。地域によって金額の幅はありますが、月額200〜2,000円です。
人口が多ければ会費も少なくなる可能性がありますが、住民が少ない地域では会費も高くなります。また、会費の使い道は多岐にわたり、以下のようなところに使われます。
・公民館の照明や電気代
・ゴミ収集場の掃除用具
・横断歩道用の旗
・資料作成費
これらに加えて、イベントやレクリエーションなどの運営費もかかるため知っておきましょう。町内会費を知りたい場合は、不動産会社か自治会長に確認してみましょう。
自治会長の連絡先などは、役所などで教えてくれるケースがあります。
会議などに参加する必要がある
町内会や自治会に加入すれば、町内の会合や役員会への参加が必要です。平日の夜や休みの日に行われる地域もあります。
会議では、地域で困っていることや改善すべき内容を話し合います。また、会計や班長などの役員になれば、イベントの手伝いや運営への参加が必要です。
仕事で忙しい人などにとっては、地域の活動に時間を費やすことになるため、休みが潰れるケースもあります。リモートでの参加ができるかどうか、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
【注意】賃貸物件の家賃に町内会・自治会費が含まれている場合がある
家賃を大家さんや管理会社に支払っていても、町内会費は「個人払い」となっているケースがあります。そのため、近所の人や自治会長が直接回収にくる地域があるのも事実です。
しかし、賃貸契約の内容によっては町内会や自治会への加入の有無を問わず、賃貸物件の家賃に町内会費や自治会費が含まれているケースもあります。毎月会費を支払っている以上、町内会を利用しなくても強制参加していることになるため注意が必要です。
地域の清掃活動や定例会議に参加しなければ「町内会に加入しているのになぜ顔を出さないのだろう」「非協力的だ」というイメージをもたれる恐れがあります。賃貸契約前に、町内会費の支払い方法などを確認することが重要です。
町内会・自治会への加入が難しい際に断る方法

様々な事情により、町内会や自治会への加入が難しい場合があります。しかし、加入は任意になっているため、断ることは可能です。
とくに決められた書類を記入する必要はなく、口頭で伝えれば退会できます。どうしても断れずに加入してしまっても、途中で退会できるため安心です。ここでは、具体例と合わせて解説します。
どうしても断れず加入した場合は?
加入後に退会する場合は、事情を口頭で説明して「退会届」を提出するのがおすすめです。口頭で断る際の例文を、マンションに1人暮らしをしているケースで見てみましょう。
あなた「先日、町内会に加入した〇〇です。加入したばかりで大変恐縮ですが、町内会を退会させてください」 町内会長「どういう理由でしょうか?」 あなた「1人暮らしで経済的にも余裕がなく仕事で時間もとれないため、行事の参加や役員を務めることが難しいからです。でも多めに寄付金を出します」 町内会長「そうでしたか。かしこまりました。寄付金のご協力に感謝いたします。それではまた機会がございましたら参加をお願いいたします」 |
今後の付き合いで気まずくなりそう…という不安な場合は、地域に貢献することをアピールすれば、印象もよくなりおすすめです。
もし町内会・自治会を抜けた後に嫌がらせをされたら、迷わず警察に相談をしよう
町内会や自治会を退会したあと、万が一嫌がらせなどをされたらすぐに警察に相談しましょう。嫌がらせの内容には、以下のようなものがあります。
・自分のゴミを特定されて荒らされる
・露骨な悪口を言われる
・誹謗中傷される
嫌がらせを放っておくと、さらにエスカレートしてしまう恐れがあります。自分の身を守るためにも、円満に退会できるように心がけておきましょう。
町内会・自治会の加入は任意!メリットや注意点をしっかり知って判断しよう
町内会や自治会へ加入すれば、地域の住民との交流が深まり、災害時や防犯に役立ちます。しかし、町内会費による金銭的負担や、行事への参加によりプライベートな時間がなくなるなど、デメリットがあるのも事実です。
町内会や自治会への加入が自由に選べる場合は、この記事で解説したメリットや注意点をしっかり比較して、自分にとって快適な暮らしが実現できる方を選ぶようにしましょう。