2DKは、レイアウトを工夫すれば、子育てしながら快適に暮らすことができる間取りです。子育て世代にとって、将来を見越した長期視点でお部屋のレイアウトを計画することは、今後の生活を充実させるために重要なポイントです。
2DKのお部屋でどのように暮らしていくのか、あらかじめ見通しを立てておくことで、無駄な買い物をせずに、実際の暮らしに合った最適なインテリアを選ぶことができます。
今回は、インテリアのプロである私が、子育てしやすいお部屋のレイアウトや動線の確保の仕方、あると便利なお部屋の設備や条件について解説します。2DKで快適な子育てをしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2DKで子育て前提の部屋をレイアウトする際のポイント
2DKで子育てをしながら暮らすときには、子どもの成長に合わせてライフスタイルが変わっていくことも視野に入れて、レイアウトを計画する必要があります。
具体的には、「子どもが小さいうちは手がかかるから、寝室を一緒にしたい」「子どもが大きくなってきたら個室を与えたい」など、子どもの年齢や教育方針によってお部屋の使い方を変えていくことを前提に、レイアウトやインテリアの計画を立ててみましょう。
収納スペースのゆとりと限られた空間の使い方
2DKの限られたスペースで快適に過ごすためには、収納を工夫する必要があります。子育てが始まると、子どもの荷物がどんどん増えていくため、収納スペースにゆとりをもっておくことが重要です。
押し入れやクローゼットがあれば、家具を買わなくても収納することができるので、お部屋を有効に使えます。突っ張り棒や収納グッズを使えば、収納スペースを最大限活用できるようになります。
一方で、収納スペースや収納のための家具を増やしすぎないことも大切です。荷物が増えるたびに収納スペースを作っていると、ものが増え続けてしまいます。決められた収納スペースを超えないようにものの量を調整したり、シーズンものや一時的に使うものはレンタルを活用したりするとよいでしょう。子どもが大きくなって使わなくなったものがあれば、人にあげたり、フリーマーケットに出品したりするのもおすすめです。
また、家全体で収納を計画することも大切なポイントです。お部屋の用途ごとに使用するものと家族の動線を考えて収納したり、大人と子どものものを分けて収納したりすることで、家族で協力して片づけが行えるようになります。
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子育てしやすい動線
子育てしやすい家事動線を考えるときには、部屋の役割を明確に決めて導線を整理することがポイントです。お部屋のレイアウトが決まってから、インテリアのレイアウトを考えていきます。
子育て家庭では、家事をする場所と子どものいる場所のレイアウトが大変重要です。子どもが小さくて目が離せない時期は、家事をしながら子どもの様子を確認できるようにしておくと安心です。キッチンで家事をする時間は長くなりやすいので、キッチンから見える場所に子どもがいるスペースをレイアウトするとよいでしょう。
ダイニングにベビーベッドを置いたり、子どもの遊ぶスペースを作っておいたりすると、いつでも子どもの動きに目を配ることができます。子どもが大きくなってきて子どもの様子を確認する必要がなくなってきたら、キッチンとダイニングの間に衝立を置いて集中スペースを作ったり、キッチンが使いやすくなるようなレイアウトに変更したりすることも可能です。
子どもの成長を見越した長期的な視点
子どもの成長を見越して、長期的な視点でお部屋をレイアウトすることも重要です。特に2DKの間取りでは、窓・ドア・クローゼット・照明・コンセントなどの設備の位置があらかじめ決まっています。そのため、子どもの成長に合わせてお部屋のレイアウトを変えたくても、希望していた位置に家具が配置できない可能性があります。
子ども部屋には机やベッドなどの広いスペースが必要な家具を置くことが多いので、子どもの成長に沿ったレイアウトにできる2DKであることを、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。
子どもの成長に伴って、必要な家具のサイズは変わります。子どもが小さいときには十分な大きさのテーブルでも、成長して体が大きくなると窮屈に感じるかもしれません。大きなテーブルを置くスペースがない場合は、伸縮タイプでテーブルの幅を変更できる商品にしておくと長く使用できます。
子どもが快適に暮らせるようにするためには、長期的な視点をもって、柔軟に対応できるような家具や間取りを想定しておくのがポイントです。
コミュニケーションの取りやすさ
お部屋のレイアウトでは、コミュニケーションの取りやすさも重要なポイントです。家族のコミュニケーションを取りやすくするためには、家族と顔を合わせる機会が増えるような動線づくりや、家族が集まりやすい場所を作りましょう。
子ども部屋を早い時期から与えてしまうと、子どもが部屋にこもってしまう習慣が身に付いてしまうかもしれません。たとえ子ども部屋があったとしても、家での生活が子ども部屋だけで完結しないように工夫することで、自然に家族とのコミュニケーションを取る機会を増やせます。
具体的には、読書や勉強をダイニングでもできるようなレイアウトにしておいたり、ダイニングでそれぞれが別々の作業に打ち込めるような広い机を配置しておいたりすることで、子どもの成長に合わせながらも家族で集まれる場所を用意できます。
【子どもが1人】2DKの部屋レイアウトアイデア
ここからは、実際に2DKで子どもが1人の場合に、どのようなレイアウトアイデアがあるのか、3つのタイプをご紹介します。
子ども部屋と両親の寝室を別にする
最初にご紹介するのが、ダイニングとキッチンを除く2部屋を子ども部屋と両親の寝室として使うレイアウトです。
子どもが小さいうちは両親と一緒の寝室にすることが多いかもしれませんが、子ども部屋を作ることでおもちゃや絵本など、子どものものと大人のものを部屋ごとに分けられるため、子ども自身が片づける習慣を身に付けることができます。
子どもが1人の場合は、2部屋のうち、狭い方のお部屋を子ども部屋にするのがおすすめです。
子ども部屋と寝室は一緒にして、余ったスペースは作業部屋にする
続いてご紹介するのが、2DKのうち1部屋を寝室として3人で使い、余った部屋を作業部屋にするレイアウトです。
DKに接しているお部屋を作業部屋にすれば、子どもが小さいときは子どもの遊び場として使い、来客時にはDKとつなげて利用できます。シーンに応じて使い分けができるので、寝食をはっきり分けることで暮らしにメリハリがつけやすいです。
作業部屋であれば、それほど広さも必要にならないので、間取りも選びやすくなります。テレワークがある際にも、作業部屋があれば対応できます。
子どもが大きくなると、お部屋の広さによっては3人分のベッドを並べるのは厳しいかもしれません。子どもが成長しても家族の寝室として使う予定がある場合は、和室がおすすめです。6畳あれば3人でも十分に眠れますし、布団を押し入れに片づけておけば、日中は作業部屋や居間としてフレキシブルに空間を活用できます。
子ども部屋と寝室は一緒にし、もう1部屋はリビングにする
普段から来客の多い家庭の場合、DKとつながっているスペースをリビングとして使うレイアウトをおすすめします。扉を外すことができれば、2LDKのように開放的な空間が作れます。リビングがゆったりとくつろげる広々とした空間になっていれば、家族で一緒に過ごす居心地のよい場所になるでしょう。
ソファベッドをソファとして使用すれば、リビングの1角を一時的な就寝コーナーが作れるので、来客時の対応だけでなく、コロナやインフルエンザの感染症の対策部屋としても利用できます。
ただし、ソファベッドを置く場合はスペースが必要になりますので、テーブルは折り畳めるものにしておくとよいでしょう。
【子どもが2人】2DKの部屋レイアウトアイデア
ここからは、2DKで子どもが2人の場合のレイアウトや工夫するポイントについて解説します。子どもが2人いる場合は、家具や家電はできるだけスペースを取らない商品を選ぶのがポイントです。
子ども部屋と両親の部屋で分ける
子ども達に個室が必要な年齢になったときには、子ども部屋を検討しましょう。子ども部屋は寝室と違って、ベッド以外にデスクや本棚などの収納家具を置くことになるので、広いスペースが必要です。
限られたスペースを有効に使うためには、二段ベッドやベッドに収納を兼ねた家具を選択するのがおすすめです。子どもが大きくなったときのプライバシー対策として、間仕切りが必要になる可能性も考えてレイアウトを検討するとよいでしょう。
生活リズムに合わせて寝室を分ける
仕事で夜が遅くなったり、夜勤があったりする場合など、家族の生活リズムが合わないときは、夫婦で寝室を分けるとよいでしょう。
赤ちゃんがいる場合、年齢差のある兄弟の睡眠時間を確保するために、寝室を別にした方がよい場合もあります。子どもが小さいうちは、夜泣きで不規則に起きることも珍しくないので、部屋を別にすることで生活リズムを保ちやすくなります。
子ども部屋と寝室は一緒にして作業部屋や勉強部屋を作る
家族全員の寝室を1部屋にまとめることで、残りの部屋を家族で共有できる作業スペースや勉強スペースにすれば、コミュニケーションを取りやすくなります。
お部屋を使用目的で分けることで、勉強に集中したいときやゆっくり眠りたいときなど、目的にあったお部屋で過ごせるでしょう。ただし、子どもが大きくなってくるとそれぞれが違う目的で部屋を使用したくなることもありますので、家族で譲り合う必要があります。
お部屋の畳数によっては和室でも広さが重要になる
子どもが小さいうちは1人分のスペースも狭くて済むため、布団を使用すれば寝室は6畳でも問題ないのですが、子ども達の体が大きくなると6畳では家族で同じ部屋で眠るのは難しくなるでしょう。
子どもがある程度大きくなっても両親と同じ寝室で眠る場合には、布団を使用するときでも6畳よりも広い部屋が必要です。ベッドを利用する場合、子どもが大きくなればベッドのサイズも変わってしまうので、長期的に使用し続けられるベッドを選ぶのがおすすめです。
子ども部屋と両親の部屋を分けてダイニングを食事とくつろぎを兼ねた部屋にする
2DKの間取りの場合、2部屋をそれぞれの居室としてしまうと、家族がゆっくり集まる場所がとれなくなってしまいます。ダイニングに「リビングダイニングの家具」を置くことで、ダイニングの食事をする役割はもちろん、リビングのようにくつろげるようになります。
「リビングダイニングの家具」とは、テーブルとコンパクトなソファを組み合わせたものです。広いソファのようにゴロゴロすることはできませんが、座面や背にクッション材が入っているものを置けば、居心地のよいカフェにいるような気分で家族と過ごせるでしょう。
リビングダイニングの家具もある程度の広さが必要になりますので、ダイニングが広い間取りを選択するか、長く座っても疲れにくい、座り心地のいいチェアを選ぶのがおすすめです。
2DKで子育てをする際にあると嬉しい物件設備や条件
ここでは、子育てするときに、あると嬉しい便利な設備や条件についてご紹介します。物件探しの際にぜひご参考にしてください。
エアコン全室
エアコンは全室にあることが望ましいです。エアコンは効率的に部屋全体を冷やし、温めてくれます。タイマーの設定もできるので、就寝時も安心して使用することが可能です。
エアコンが1室にしかない場合は、他の部屋と併用しなくてはいけなくなります。この場合、扉を開放することになり、プライベートな空間を作ることが難しいです。扉を閉めて、独立した部屋として使いたいと考えている場合は、すべての部屋にエアコンがある物件を選択しましょう。
小さい子どもは、目を離した隙に暖房器具に触れてしまう可能性があります。エアコンは、高い場所に設置するので、子どもが誤って触れる危険を避けられるため、安心です。
シューズボックス
子育て世代の玄関は、靴が多くなりやすいもの。家族がそれぞれ普段履いている靴以外にも、長靴など種類の異なる靴もあり、靴の数は増える一方です。しかし、シューズボックスのある物件であれば家族全員の靴を片づけられるので、玄関周りをすっきりした状態にできますし、床のお掃除もしやすくなります。
シューズボックス内で、子どもの靴を置く場所を決めておけば、自分で靴をしまう習慣が身に付きます。靴だけでなく、傘や鍵など玄関にあると便利な小物についても一緒に収納できると、さらに便利です。
室内物干し
子どもが小さいときは、服を汚しやすいので着替えをする回数が多いです。大きくなっても学校の体操着やユニフォームなど、洗濯物は増える一方。毎日のことですので、天候に左右されない室内物干しは、子育て世代には必需品といえるでしょう。
室内物干しが付いた物件をあらかじめ選んでおけば、後から設置する手間がなくなるので助かります。
駐車場・駐輪場
近くにスーパーがないときには、車や自転車を使って週末にまとめ買いしておくと、買い出しの時間を短縮できます。買い物が多いと荷物が重くなってしまいますが、駐車場や駐輪場付きの物件であれば、移動距離が少なく荷物も運びやすくなります。
子どもが学校に行くようになり、生活範囲が広がっていくと、毎日のように自転車を使う可能性もあるので、駐輪場が近くにあると便利です。
エレベーター
子育て世代には、エレベーターも便利な設備です。子どもが小さいうちはベビーカーを使う頻度が高くなるので、2階以上のお部屋の場合はエレベーターがあるとよいでしょう。
重いものを購入したときや粗大ゴミを出すときなど、荷物が重たいときにエレベーターがあると、キャリーカーを使って運ぶことができます。
敷地内ゴミ置き場
忙しく過ごしていると、決められた時間にゴミを出しそびれてしまい、困ってしまうこともあるでしょう。敷地内にゴミ置き場があれば、ゴミを出すのも楽になりますし、家族にも頼みやすくなります。
24時間すべてのゴミが出せる住まいであれば、ゴミの回収日まで待つ必要もありませんし、ゴミ出しの曜日を間違える心配もなくなり、日々の生活がより楽になるでしょう。
子育て期間におすすめのインテリアとは?
子育て期間は子どもの成長によって家具の適切なサイズや用途が変わるため、フレキシブルに対応できる家具を購入しておくと、長期的に利用できるので助かります。
ここからは、実際に子育て世代のお客様から聞いた、「子育て中にあると便利なインテリア」をご紹介します。
寝かしつけるお部屋には「遮光カーテン」
リビングのカーテンは、あえて遮光生地にしないことも多いのですが、子育世代のお客様からリビングで子どもを寝かしつけるので、カーテンを遮光にしたいとご要望をいただくことがあります。
日当たりのいいお部屋の場合、カーテンを閉めても光が入ってきます。明るい色のカーテンであれば、光も入りやすくお部屋もかなり明るくなりますので、敏感な子どもは目が覚めてしまいやすいです。そのようなときも、遮光カーテンがあると日差しが入ってこなくなるので、敏感な子どももゆっくり眠ってくれます。
遮光生地は、1〜3級と遮光の具合を選べるので、お部屋に応じて選ぶとよいでしょう。
汚しやすいチェアやソファには「カバーリング」
子どもが小さいうちは、食事や飲み物をこぼしてしまうことが多いですが、子どもを叱りたくないというお声を聞きます。
特に離乳食を始めたばかりの頃は、スプーンやお箸に慣れる時期なので、料理をこぼしやすいです。そのため、最初から汚れが付きにくい生地のカバーやラグを使用したり、カバーを外してお洗濯できるチェアやソファを選んだりすることで、子どもが家具を汚しても気にならなくなります。
足元を温かく、気になる音も軽減できる「ラグ」や「カーペット」
集合住宅でお住まいの方には、子どもの足音が気になるという声をよく聞きます。そのようなときには、ラグやカーペットを敷くことをおすすめしています。なぜなら、ラグやカーペットを敷くとフローリングのままのときよりも音が軽減されるからです。
子どもは転びやすいですが、床にラグやカーペットを敷いておくと転んだときの衝撃を緩和することができます。また足元を温かくするだけでなく、ほこりの舞い上がりを抑制してくれる効果もあるため、子育て世代にはぜひ取り入れていただきたいインテリアです。
安全な素材や形状の家具
子育て世代の家具は、安全に使えることが重要です。例えば、モダンなガラスの天板はお部屋のインテリアとしては素敵なのですが、割れると危険なので子どもが叩いても割れにくい素材をおすすめします。子どもが転んだときに怪我をしないように考慮して、角の丸い家具を選ぶのも大切です。
2DKでもレイアウトと工夫次第で子育て環境を作れる
今回の記事では、2DKで子育てしながら暮らすときにおすすめのレイアウトや動線、便利なインテリア、物件の設備と条件についてご紹介しました。
2DKでもレイアウトを工夫すれば、快適に過ごしながら子育て環境を作れる間取りだと知っていただけたのではないでしょうか。ライフスタイルに合わせてお部屋のレイアウトを工夫していけば、2DKがお掃除や管理のしやすい、使い勝手のいい間取りだと感じられるでしょう。
これから2DKの部屋で子育てを考えている方は、ぜひ今回の内容を参考に、計画的に使いやすいレイアウトを実践してみてくださいね。