ペットは、一人暮らしの寂しさや疲れを癒してくれる存在です。しかし「一人暮らしだとペットを飼うのは大変そう」と考えている方も多いのではないでしょうか? ペットを飼える賃貸物件や、一人暮らしでも飼いやすいペットを選ぶのは難しいものです。
今回は、一人暮らしでペットを飼うための条件と注意点に加え、ペットとしておすすめの動物や物件の選び方について解説します。
賃貸一人暮らしでもペットを飼える?
一人暮らしでも、ペット可(相談可)の賃貸物件であれば、ペットを飼うことは可能です。ペット飼育可の賃貸物件は、部屋の防音性能が比較的しっかりしているなど、ペットを飼う前提の物件と言えます。そのため、近隣トラブルなども比較的起きにくいです。
ただし、ペットを飼うことは決していいことばかりではないので、飼い主としてある程度の負担を覚悟しておく必要があります。ペットを飼い始める前に、心構えや注意点をクリアできるのか、必ず確認しておきましょう。
賃貸一人暮らしでペットを飼う心構えと注意点
まずは、一人暮らしでペットを飼う際の心構えや注意点について解説します。
事前に申告してから飼うようにする
賃貸物件は、大家さんにとって大切な資産です。そのため、壁や床に傷・汚れができたり、ニオイが染みついたりすると、資産価値が下がるリスクもあります。ペット可(相談可)物件の場合も、事前にペットの種類や数の申告をして、許可をとるようにしましょう。
なお、途中からペットを飼い始めたり、ペットの種類や数を変更したりするときも、大家さんか管理会社にその旨を連絡をして、飼育に問題がないかを確認しましょう。
ペットにストレスを与えない飼育環境を整える
環境の変化に敏感な動物もなかにはいるため、ペットにとって安心で快適な環境をつくる必要があります。具体的に、ペットが快適に過ごせる環境にするためのポイントは、以下のとおりです。
・快適な温度や湿度設定にするため、空調設備を準備する
・危険なものは撤去し、危険な場所に立ち入れないようにする
・飼育に必要なペット用品を準備する
最期まで責任をもって飼う
生き物を飼う以上は、最後まで責任をもってお世話をする覚悟が必要です。軽い気持ちでペットショップから迎え入れ、予想以上にお世話が大変だったからといって、容易に手放すことは絶対にやめましょう。
飼育費用や医療費を捻出できるか考えておく
ペットの飼育には、想像以上にお金がかかります。ペットを飼う前に、どのくらいの費用がかかるのかをあらかじめシミュレーションして、毎月問題なく飼育費や医療費が捻出できるかを検討することが大切です。また、病気やケガで予想外の出費が発生することも珍しくないため、日常生活を送るうえで金銭的な余裕がないと、ペットの飼育は難しいでしょう。
もしものときの預け先があること
一人暮らしでは、飼い主以外にペットをお世話できる人がいません。飼い主の事故や病気、急用など、不測の事態が発生したときの預け先を決めておくと、いざというときに慌てる必要がありません。親戚や信頼できる知人に事前に相談したり、ペットホテルを探したりしておきましょう。
一方で、ウサギのように環境の変化に弱く、誰かに預けられない動物もいます。出張など、長期間留守にするようなことが頻繁にあるような人は、ストレス耐性が高い動物がおすすめです。
賃貸一人暮らしでも飼いやすいペットの6つの特徴
ここでは、一人暮らしでも飼えるペットの条件について解説します。
鳴き声や吠え声がない・小さい
ペットを飼育可能な賃貸物件でも、鳴き声の大きい動物はクレームやトラブルの原因となるため、集合住宅での飼育にはあまり適していません。隣の部屋まで聞こえるほどの鳴き声の動物は避け、あまり鳴かないか、鳴き声の小さな動物がおすすめです。どうしても犬を飼いたいなど希望がある場合、吠えないようにきちんとしつけをするようにしましょう。
ニオイが強すぎない
一人暮らしで比較的狭い部屋に住む場合には、ニオイの少ない動物がペットにおすすめです。自分では気付きにくいですが、動物自体や排泄物のニオイなど、独特のペット臭が部屋や家財などに染みつくと、なかなかとれません。
また、ニオイの強い動物を飼った場合、そのニオイが壁や床材に染みつき、退去の際に思わぬトラブルに発展する可能性もあります。日頃から、ニオイの少ない動物でも、寝床やトイレを清潔に保つなどの対策をしましょう。
ケージ内で飼える(室内を汚さない)
一人暮らしの場合は、広いスペースを必要としない、ケージで飼える動物が管理しやすいため、おすすめです。ケージ内で飼育できない場合、粗相や抜け毛で室内が汚れたり、部屋の壁や床材などに傷がついてしまったりすることがあります。
ペットが部屋の壁や床材などを傷つけたり、汚したりしてしまった場合には、退去時に修繕(原状回復)費用が高額になる可能性があるのです。費用面に不安がある場合は、ケージ内で飼える動物を選ぶと、費用も安く抑えられるでしょう。
手間が比較的かからない
一人暮らしで飼うペットは、なるべく手間のかからない動物をおすすめします。犬より手間がかからない印象の猫ですら、食事の準備やトイレの後始末、ブラッシング、歯磨き、爪切り、部屋の掃除などをしなければいけません。ペットのお世話にあまり時間をかけられない方は、できるだけ手間がかからないペットを選びましょう。
長時間留守番ができる
一人でペットの世話をすることを考えると、仕事中など長時間家を空けているときも、留守番できる動物を選ぶのがおすすめです。急な用事で帰宅が遅くなったり、冠婚葬祭などで遠方に外出しなければならなかったりするときもあるかもしれません。1泊程度であれば、留守番できる動物を飼うのがおすすめです。
なお、基本的にペットを飼ったら、長時間といっても何日も家を空けるなどは避けましょう。
飼育費用が比較的少額
ペットを飼うには、最初に用意するペット用品に加え、エサ代と医療費、ペットの種類によっては光熱費がかかり続けます。さらに、ペットが大きな病気にかかると、予想外の大きな出費になることがあるため、経済的な負担が少ない動物を選ぶと良いでしょう。
賃貸一人暮らしにおすすめの動物
ここでは、ペットとして一人暮らしにおすすめの動物を紹介します。
賃貸一人暮らしにおすすめペット①ウサギ
ウサギはあまり鳴かず、ケージ内でも飼育できることから飼いやすく、ペットとして人気です。また、体臭などもほとんどなく、草食性なので便のニオイもキツくありません。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約30~50万円 |
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平均寿命 | 約8年 |
飼育の際の注意点 | ・温度や湿度に敏感なため、管理のための光熱費がかかる ・1日1回以上、ケージの外に出して自由に歩き回らせる必要がある ・1日でもエサを忘れると、死んでしまうおそれがある ・かじる習性があるため、柱や家具を傷つけられないように注意が必要 |
賃貸一人暮らしにおすすめペット②ハムスター
ハムスターは散歩が不要で、エサも少量で済みます。さらに、綺麗好きで定期的に掃除すればニオイもほとんどしないため、犬や猫の次に人気のあるペットです。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約5万円 |
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平均寿命 | 約2~3年 |
飼育の際の注意点 | ・夜行性のため、慣れるまでは夜中に活動する音が気になる可能性がある ・つがいで飼うと繁殖するため注意する |
賃貸一人暮らしにおすすめペット③フェレット
ケージで飼育でき、ほとんど鳴かないため静かです。近隣にも迷惑がかからないため、一時期ペットとして流行しました。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約20万円 |
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平均寿命 | 約6~10年 |
飼育の際の注意点 | ・独特なニオイがあるため、月に1回程度のペースでシャンプーが必要 ・排泄物も独特のニオイがするので、毎日のトイレ掃除と週に1回のケージの掃除が必要 ・噛み癖があるので、きちんとしつけをする ・年に1回の予防接種が必要(生後1年以内は2~3回) |
賃貸一人暮らしにおすすめペット④モルモット
モルモットは、ケージで飼えるため飼育しやすいと言えます。さらに、鳴き声も静かでニオイも少ないので、一人暮らしの人にもおすすめです。表現が豊かで「キューキュー」「プイップイッ」などと鳴く姿も可愛いことから、最近人気のペットです。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約2~5万円 |
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平均寿命 | 約5~7年 |
飼育の際の注意点 | ・エサやりは朝と夕方の2回必要 ・つがいで飼うと繁殖する ・繊維質の多い食べ物を与え、体調管理に注意が必要 |
賃貸一人暮らしにおすすめペット⑤チンチラ
チンチラは、平均寿命が10〜20年と長く、ケージで飼えることから飼育しやすいと言えます。ニオイが少なく、鳴き声も静かなため、最近SNSで話題のペットです。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約30~60万円 |
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平均寿命 | 10~20年 |
飼育の際の注意点 | ・暑さに弱いため光熱費がかかる ・何でもかじってしまうので、ケージから外に出して遊ばせるときは注意が必要 ・1メートルもジャンプするなど活発なため、逃げ回ってなかなかケージに戻ってくれないこともある |
賃貸一人暮らしにおすすめペット⑥インコ
インコはケージのなかで飼育できるため、ペット不可の物件でも交渉すれば飼育できる可能性があります。言葉を教えると、喋れるようになることが魅力です。エサ代などの費用も抑えられたり、ニオイも少なかったりするなど、インコは一人暮らしでも飼いやすいペットです。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約30万円 |
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平均寿命 | 約5~40年(種類による) |
飼育の際の注意点 | ・冬場は温度管理が必要 ・日光浴を1日に2時間程度させる ・何かを訴えたいときや驚いたときに、パニックを起こして大きな声で騒ぐことがある ・病気になってもわかりづらい |
賃貸一人暮らしにおすすめペット⑦トカゲ・カメなどの爬虫類
トカゲやカメは、ケースやケージのなかで飼うことが可能です。ニオイもほとんどせず、とても静かなため、一人暮らしの賃貸物件でも飼いやすいペットといえます。
生涯費用(エサ代と設備費) | トカゲ:約30万円カメ:約160万円 |
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平均寿命 | トカゲ:約10年カメ:約30~50年 |
飼育の際の注意点 | ・トカゲのエサはハエやコオロギなので、虫が苦手な人は注意が必要 ・カメは約30〜50年生きるため、迎え入れる前に自分の年齢を考える |
賃貸一人暮らしにおすすめペット⑧熱帯魚
熱帯魚はアクアリウムとしても楽しめるため、男性にも人気で、アクアリウムを趣味としている方もたくさんいます。
生涯費用(エサ代と設備費) | 約50万円~ |
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平均寿命 | 1~10年 |
飼育の際の注意点 | ・水槽やフィルターなどの初期費用がかかる ・ポンプやヒーターを使用するため光熱費がかかる ・水質の管理が難しい ・水温のこまめなチェックと、ヒーターなどを使った温度調節が必要 ・水質や水温管理を間違えると、水槽内の魚が全滅するおそれがある ・魚についてのさまざまな知識がいる ・魚類の診察をしている動物病院が少ない |
賃貸一人暮らしで犬や猫を飼うには?
ここまで一人暮らしにおすすめの動物を紹介してきましたが、定番のペットである犬や猫を飼うことも可能です。ここでは、一人暮らしで小型犬や猫は飼えるかについて解説していきます。
一人暮らしでの犬の飼育方法
犬によって変わりますが、小型犬であれば散歩は1日に30分前後を1日2回行い、食事は朝晩の2回に分けてフードを与えるようにしましょう。また、排泄の処理やペットシートはこまめに取り換え、なるべく清潔に保つことが大切です。さらに、犬のストレス発散のためや飼い主との信頼関係づくりのために、コミュニケーションをとる時間をつくるようにしましょう。
一人暮らしの場合は、散歩や食事など必要なお世話をスケジューリングしたり、ペットカメラやスマートリモコン、自動給餌機といった便利グッズを利用したりすれば、飼育がぐっと楽になります。
・生涯費用 200〜400万円
・平均寿命 10~15年
一人暮らしにおける犬の飼育の注意点
犬を飼う場合には、ストレスを溜め込ませないよう、毎日の散歩や飼い主とのコミュニケーションが必要なため、忙しくて時間がない人にペットは不向きです。また、トイレトレーニングや無駄吠えをさせないなどのしつけができなければ、集合住宅での飼育は難しいでしょう。
さらに、人と違って犬は保険がきかないため、任意のペット保険に加入していなければ、病気やケガのときの治療費が高額であったり、予防接種などの費用が必要になったりします。
ただし、犬の種類によっては、あまり吠えない犬種や、しつけがしやすい犬種もいます。時間がつくれて金銭的な余裕がある人であれば、種類を選ぶことがおすすめです。
一人暮らしでの猫の飼育方法
猫は犬と違い、散歩の必要はありません。しかし、遊び足りないと、人の手など動くものを獲物に見立てて攻撃してくることがあるため、遊ぶ時間をしっかり確保してあげる必要があります。また、猫は食事を一度に食べきらずに、食べ残しながら少しずつ食べることがあるため、一日に与える量を決めて数回に分けて与えましょう。
猫の場合も、自動給餌機などの便利グッズを利用すれば、飼育がぐっと楽になります。
・生涯費用 200~400万円
・平均寿命 12~18年
一人暮らしにおける猫の飼育の注意点
猫の場合は、散歩の必要がありません。ニオイも少なく、大きな声で鳴くことも少ないため、一人暮らしの人が比較的飼いやすい動物といえます。ただし、爪をとぐ習性があるため、壁や柱、家具に傷をつけてしまうおそれがあります。また、犬同様に、病気やケガのときの治療費が高額で、予防接種など予防の費用が必要という点に注意が必要です。
賃貸一人暮らしでペットを飼いたい場合の物件選びのポイント
最後に、一人暮らしでペットを飼う際の物件選びの注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ペット可(相談可)物件やペット共生物件を選ぼう
ペットを飼う場合は、ペット可の物件でなければなりません。インターネット上で物件を検索する際には、詳細条件として「ペット可」を選択すると、ペット飼育が許可されている物件や、ペットについて相談できる物件が表示されます。
また、ペット可(相談可)物件とは異なり、ペットと一緒に暮らすために設計された、ペット共生物件と呼ばれる物件もあります。ペット共生物件は、ペットを飼うための物件であるため、入居者の多くがペットを飼育しており、ペット専用のさまざまな施設や設備が充実しているのが特徴です。ただし、ペット可の物件に比べて家賃が高く、数も少ない傾向にあります。
ペットの種類や数はあらかじめ相談しておく
ペット可(相談可)物件でも、犬のみ可で猫は不可など、種類や数について細則があることも多いです。そのため、あらかじめ飼育できる種類や数を不動産会社に直接問い合わせて、確認しましょう。
ペット可(相談可)以外の条件を広げて探す
賃貸物件市場において、ペット可の物件数は全体の1割程度しかないといわれています。そのため、ペットを迎え入れたいという思いが強い場合は、駅までの距離や築年数などの他の条件の優先度をある程度下げても問題ないように物件探しをしましょう。
家賃以外の費用(金額)を確認しておく
すべての物件ではありませんが、ペット可(相談可)物件は一般的な物件に比べて、敷金礼金が割高に設定されていることがあります。退去時にお部屋が傷ついていたり、汚れたりしていたときのために、敷金は1.5ヶ月や2ヶ月分、またはそれ以上プラスして払うことが多いようです。
【注意】ペット不可の物件や無断でこっそりペットを飼うのはNG
ペット不可の物件で動物をこっそり飼っていて、不動産会社や管理会社、大家さんにバレてしまった場合は、契約違反で強制退去になる可能性があります。また、ペットが部屋を汚したり傷つけたりしていた場合などは、多額の原状回復費の支払いを求められたり、契約書に定めがある場合には違約金が発生したりします。
また、ペット可(相談可)物件でも、管理会社や大家さんに黙ってペットを飼った場合にも、退去を言い渡されることや、ペット飼育による傷や汚れに対して修繕費を請求されることがあります。
そもそも部屋を貸してくれる大家さん(管理会社)に多大な迷惑をかけてしまうため、「バレてしまってもお金を払えば(退去すれば)済む」と考えず、無断で動物を飼うことは辞めましょう。
ペットと一緒に賃貸一人暮らしを充実したものにしよう
一人暮らしでペットを飼う場合、ペット可の物件に住み、一人で問題なくお世話できることが大切です。そのため、単に好みだけで選ぶのではなく、生活習慣や環境、動物の習性などを考慮したうえで選ぶ必要があります。
今回解説したポイントを理解してトラブルを防ぐことにより、安心してペットを飼育できるでしょう。