毎晩使う枕、きちんとお手入れできていますか?枕の洗濯が出来ていないと、知らず知らずのうちに汚れが蓄積し、快適な睡眠の妨げになる可能性があります。
今回は枕の正しい洗濯方法、干し方のコツなど、枕のお手入れに関するコツを紹介しています。清潔な枕で眠ることで、睡眠の質が大きく向上する可能性もあるのです。毎日いきいきと過ごすためにも、ぜひ枕のお手入れ方法をマスターしておきましょう。
枕の洗濯を放置するとどうなる?
毎日の睡眠に欠かせない枕。見た目はきれいでも、使用しているうちに汚れは蓄積していくもの。皮膚が直接触れる枕カバーから、汗や皮脂が少しずつ枕の中に染み込んでいるのです。
さらに、枕を使用しない時間帯に湿気の多い押し入れに収納したままにしていると、汗や皮脂を餌とする雑菌やダニが繁殖します。その結果、枕から嫌な臭いがしたり、肌荒れの原因になったりすることがあります。
つまり枕の清潔が維持できていないと、睡眠環境が悪くなり、眠りの質を下げてしまう可能性があるのです。健康的な睡眠のためにも、枕は定期的に洗って清潔を維持することが大切です。
「洗える素材」と「洗えない素材」の枕の種類

枕には、さまざまな素材のものがあります。なかには洗濯できないものも存在するため、お手入れの際には注意が必要です。
枕の「洗える素材」と「洗えない素材」の特徴について見ていきましょう。
洗える素材の枕
洗える枕には、次のような素材でできたものが挙げられます。
・ポリエステルのわた
・パイプ
・ビーズ
ここに示した素材は一例です。ビーズ枕には洗えないものもあるため、お手入れ前にそれぞれの洗濯表示を確認しておきましょう。素材ごとの特徴を解説します。
わた(ポリエステル)
ポリエステル製のわたは、枕によく使用されるふわふわとした素材です。軽くて柔らかいことが特徴です。
水洗いに比較的強く、洗濯機で問題なく洗える傾向にあります。ただし製品によっては水洗いできないものもあるため、洗濯表示を必ず確認しましょう。
パイプ
パイプ性の枕にはストローを短く切ったような素材が詰められています。通気性がよいため、夏場に好まれる枕です。水はけがよく、耐久性に優れていることから、水洗いが可能です。
ビーズ
ビーズ枕には、洗えるものとそうでないものとがあります。お手入れの際には必ず洗濯表示を確認しましょう。
一般的に、細かいビーズは水分を吸収し乾きにくくなるため、水洗いには向きません。粒が比較的大きく、中身が空洞になっている「マルコビーンズ」を使用した枕は、水洗いできることが多いです。
洗えない素材の枕
水を含むと劣化したりカビが生えたりする素材の枕は、洗濯ができません。次のような素材が挙げられます。
・そばがら
・羽毛
・ウレタン
それぞれ紹介します。
そばがら
そばがら枕は、そばの殻を乾燥させたものを詰めた枕です。吸湿性や通気性に優れていることから、高温多湿な日本の気候に合うため、昔から使用されてきました。天然素材で環境にやさしい一方、水に濡れるとカビや腐敗の原因となるため、洗えません。
羽毛
羽毛枕は、空気を多く取り込む性質があり、保温性に優れた枕です。デリケートな素材でできているため、洗濯すると素材が傷み、枕のふんわり感が失われてしまいます。汚れが気になる場合は、部分洗いのみに留めておきましょう。
ウレタン
ウレタンでできた低反発枕は、肩や首の疲れを感じやすい方に人気の枕です。 水洗いをするとウレタンが劣化し、弾力が低下します。 枕を長持ちさせるためにも、できるだけ洗濯は避けましょう。
現在使用している枕の素材を確認する方法

現在使用中の枕が洗濯できるかどうか確かめるには、枕の洗濯表示をチェックしましょう。タグに数字や手のイラストとともに洗濯桶のマークが記載されていたら、家庭での洗濯が可能です。
洗濯桶にバツ印がついている場合は、家庭では洗えません。クリーニング業者に依頼したり、天日干しや掃除機での掃除など、洗濯以外の方法でお手入れをします。
洗濯表示が確認できない場合には、次のような方法で洗濯をするかどうか、判断してみましょう。
・購入時の説明書やパッケージを確認する
・購入した店舗に問い合わせる
・メーカーのウェブサイトで製品情報を確認する
・寝具店に相談する
※参考:新しい洗濯表示 | 消費者庁
枕を洗う頻度
枕の洗濯頻度についても見ていきましょう。
枕は「半年に1回」洗うことが推奨されている
枕自体の洗濯は、半年に1回程度が目安です。汗をよくかく夏場や、臭い・汚れが気になったときは、適宜そのタイミングで洗うようにするとよいでしょう。
枕は一度洗濯して水に濡れると、完全に乾燥するまでに時間がかかります。天気のよい日が続く時期に洗濯することをおすすめします。
枕カバーは「週に1〜2回」ほど洗濯しよう
ウレタンや羽毛枕など水で洗えない素材の枕には、枕カバーを必ず装着しましょう。枕カバーの清潔を保つことで、枕自体に汚れが定着することを予防できます。
枕カバーは直接肌に触れて汚れやすいため、頻繁に洗濯しましょう。洗濯は週に1回〜2回が目安です。
手洗い?洗濯機?枕の洗い方を選ぶポイント
枕を洗う際、手洗いと洗濯機のどちらを選ぶか迷う場合もあるでしょう。その場合も、洗濯表示を確認しましょう。
洗濯桶の絵の中に数字が書いてある場合は、洗濯機での洗浄が可能です。 一方、洗濯桶に手のマークが書いてある場合には、手洗いが適しています。
また 洗濯機を使用すると、枕の素材が偏る場合があります。枕の形をキープしたまま丁寧に洗いたい場合には、手洗いをするとよいでしょう。
枕を“洗濯機”で洗う方法

ここからは、実際に枕を洗濯する手順について見ていきましょう。まずは洗濯機で洗う方法を紹介します。
①枕カバーを外す
まずは枕カバーを外します。カバーを外したら、枕本体を確認し、ほつれやダメージ、汚れが目立つ場所がないか確認しておきましょう。
②汚れがひどい場合は予洗いする
枕の汚れが目立つ場合には、洗濯機で洗う前に予洗いしましょう。
汚れている部分に中性洗剤を付け、ブラシや手で馴染ませます。汚れが浮き上がってきたら、水で流します。
③洗濯ネットに入れる
枕の型崩れを防ぐため、洗濯ネットを使用します。洗濯ネットは、枕にぴったり合うサイズのものを使いましょう。
④洗濯機に入れて洗う
枕を洗濯機に入れて洗います。「手洗いコース」や「ドライコース」など、優しく洗うコースを選ぶと枕へのダメージが少なくなります。
⑤洗濯機から取り出し、全体を均一に整える
脱水が終わったら枕を取り出します。
とくにポリエステル綿素材の枕の場合、洗濯や脱水により枕の中身が偏ってしまう場合があります。干す前に均一に調整しましょう。分厚い部分があると乾きが悪くなったり、洗濯後に寝心地が悪くなったりすることがあります。
枕を“手洗い”で洗う方法

洗濯表示を確認し、手洗いのみ可能であった場合には、洗濯機を使わず手洗いで洗濯を行います。手順を紹介します。
①枕カバーを外す
洗濯機を使う場合と同じく、まずは枕カバーを取り外します。髪の毛やホコリが付着していれば、取り除きましょう。
また、枕本体に目立つ汚れがあれば、中性洗剤をつけ、落としやすくしておきます。
②洗浄液を作る
次に洗剤液を作ります。
使用する器は、枕のサイズにあったものを選びます。大きな枕を洗いたい場合は、浴槽を使うとよいでしょう。枕全体が浸る量のぬるま湯を器や浴槽に溜め、洗濯用の洗剤をしっかりと溶かします。
③枕を洗う
枕を洗剤に沈め、押し洗いをしながら汚れを落とします。強い力で洗うと素材を傷めてしまうリスクがあるため、優しく洗うように意識しましょう。
汚れがひどいと感じる部分は、重点的に洗います。
④すすぐ
水やお湯を変えながら、洗剤をすすぎます。押し洗いしたときに泡が出ず、水が濁らなくなるまで3〜5回程度しっかりとすすぎます。
⑤脱水する
すすぎが終わったら、手作業で脱水を行います。無理やり絞ると型崩れを起こすため、優しく水を抜くようにするのがポイントです。
まずは両手で押し出すようにしながら水を切り、その後はバスタオルで枕を巻いて、水分をタオルに吸わせましょう。ある程度脱水ができたら、枕の厚みを均一に整えます。
枕を洗濯機や手洗いで洗ったあとの干し方

枕を洗濯したら、干してしっかりと乾かします。枕専用の物干しを使用するか、ネットなどを使って枕の中身が偏らないように干しましょう。
洗濯表示に四角形の左側に斜めの線が入っているものが陰干し、入っていないものは天日干しが可能なものです。ポリエステル綿やパイプ枕、マルコビーズなどの枕は丈夫で耐久性もあるため、洗濯表示を確認して問題なければ、天日干しをしてしっかりと乾かします。
一方、ウレタン枕や目の細かいビーズ枕、羽毛など、紫外線に弱いデリケートな素材の枕は陰干しが推奨されます。洗濯をせずに乾燥目的で干す場合にも意識しておきましょう。
天日干しの場合
紫外線には殺菌効果があり、枕の衛生面を考えると天日干しがおすすめです。
干す時間は季節に応じて調節します。夏場は2時間程度、冬場は4時間が目安です。適宜裏返しながら均一に乾くように工夫しましょう。
なお、枕の素材によっては日光で劣化したり変色したりする可能性があるため、長時間の天日干しには注意が必要です。
陰干しの場合
陰干しは枕の素材を守りつつ、ゆっくりと乾燥させる方法です。紫外線によるダメージを防ぐため、日光に弱い素材に適しています。
ビーズ枕やウレタン、羽毛など、洗濯できないデリケートな枕を乾燥目的で干す場合にも、紫外線のダメージを受けにくい陰干しがおすすめです。
陰干しでは、干す時間は天日干しより長時間行います。乾きやすい時期であれば3〜6時間が目安ですが、季節によっては乾き切るまでに数日間必要となる場合もあります。
洗えない素材の枕のお手入れ方法
そばがらやウレタン、羽毛など、自宅で洗えない素材の枕も、工夫次第で清潔を保つことができます。洗えない枕のお手入れ方法について見ていきましょう。
週に1回を目安に干す
洗濯出来ない枕であっても、カビや雑菌の繁殖を防ぐため、定期的に干して乾燥させることが重要です。干すことで湿気を飛ばし、臭いの発生も予防できます。
ウレタンや羽毛などデリケートな素材は陰干し、そばがらや小豆など、天然素材の枕は天日干しを行います。とくにそばがらや小豆の枕は、ダニや虫が繁殖しやすいため、天気のいい日にできるだけ頻繁に干しましょう。
掃除機で埃を取る
掃除機を使って定期的に掃除をしましょう。枕を干して乾燥させ、ダニを死滅させたあとに掃除機で吸い取るとよいでしょう。布団専用のクリーナーなど、細かいダニを強力に吸い込む掃除機をつかうとより効果的です。
洗剤を染み込ませたタオルで部分洗いをする
洗えない枕の汚れが気になる場合は、洗剤を染み込ませたタオルで部分洗いをしてみましょう。
タオルを薄めた洗剤液に浸し、固く絞ります。そのタオルで汚れた部分を優しく叩くように拭きましょう。汚れが薄くなったら、きれいな水で湿らせたタオルで洗剤を拭き取ります。最後に枕を干し、しっかりと乾燥させます。
枕を洗濯して清潔にしておこう
枕の清潔感は、快適な睡眠環境を維持するために重要です。定期的な洗濯と正しいケアで、枕を清潔に保ちましょう。
枕の洗濯とお手入れについて、重要なポイントは以下のとおりです。
・素材に適した洗濯方法を選ぶ
・半年に1回程度の洗濯を心がける
・洗えない素材でも正しいお手入れを行う
・枕カバーは週に1〜2回程度洗濯する
・洗濯後はしっかりと乾燥させる
枕を丁寧にお手入れをすることで、良質な睡眠にもつながることでしょう。