もはや生活必需品になっている人も多いWi-Fiルーター。電波(通信)状態が悪いとインターネット利用の快適さが損なわれてしまいますが、実は置き場所によって大きく左右されるのはご存じでしょうか。通信の安定性や電波の届きやすさを意識するなら、知識を持って置き場所を決めることが大切です。
今回は、そんなWi-Fiルーターの適切な置き場所について解説します。置くべきでない場所やワンポイントなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Wi-Fiルーターの置き場所は電波状態に影響する?
結論から申し上げますと、Wi-Fiルーターの設置場所は、電波状態に大きく影響します。
例えば、Wi-Fiルーターを見えない位置に設置したり、電波干渉を受けやすい位置に置いたりすると、電波干渉を受けて通信速度の低下や接続状態に影響します。具体的な影響や対処方法に関しては後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Wi-Fiルーターの置き場所を考える上で知っておきたい電波特性
Wi-FIルーターの置き場所を考える上で知っておきたいのが、電波特性です。Wi-Fiルーターは、以下のような周波数帯にわかれています。
周波数帯 | 特性 |
---|---|
2.4Ghz帯 | ・障害物に強く対応機器が多い ・壁や扉越しでも電波が届きやすい ・速度は遅くなりやすい |
5Ghz帯 | ・対応機器が少ないので電波干渉が少ない ・通信速度が速い ・障害物に弱い |
6Ghz帯 | ・電波の混雑や干渉が少ない ・通信速度が速く伝送の選択肢が増える ・対応機器は少ない |
周波数帯によって特性が異なることがわかります。ここからは、それぞれの周波数帯の特性について詳しく解説します。
2.4Ghz帯
2.4Ghz帯は、対応機種が多く、ほとんどのWi-Fi機器を接続できるのが特徴です。障害物に対しても強いため、壁や扉越しでも電波が届きやすく高い利便性を有します。
一方で、同じ周波数帯で使用する機器が多いことから電波干渉が生じやすく、通信速度が遅くなりやすいといった特徴があります。そのため、通信速度に関しては5Ghz帯や6Ghz帯のほうが速くなりやすい傾向にあります。
5Ghz帯
5GHz帯は、対応機器が少ない分、電波干渉が生じにくく安定性が向上しています。通信速度に関しても速いため、容量の大きいファイルの転送や動画の再生も可能です。
一方で、障害物に弱いといった特性があるため、壁や家具によって電波が遮られてしまいます。結果、2.4Ghz帯と比較して接続しづらいのが特徴です。
5GHz帯を利用する場合は、Wi-Fiルーターの置き場所が重要です。
6Ghz帯
近年、Wi-Fiで利用できる周波数帯に6GHz帯が追加されました。6GHz帯は、高速なWi-Fi 6Eによる接続のみなので電波干渉や混雑が起きづらいのが特徴です。
通信速度や安定性にも優れているため、マンションや住宅街などの混雑しやすい箇所での通信が快適になりやすいとされています。対応しているルーターをお持ちの場合は、ぜひ利用をご検討ください。
実はNG!置きがちだけど電波状態が悪くなるWi-Fiルーターの置き場所
実際には置きがちですが、実は電波状態が悪くなるWi-Fiルーターの置き場所は以下の通りです。
・水槽や花びん、土壁など湿気を含む物に近い場所
・電子レンジなどの家電に近い場所
・金属製の棚や棚の中など
・床や窓際、部屋のすみなど
それぞれの場所について詳しく解説します。
水槽や花びん、土壁など湿気を含む物に近い場所
水槽や花びん、土壁など湿気を含む物に近い場所にルーターを置くと電波状態が悪くなる可能性があります。Wi-Fiに限らず、電波は水に吸収されやすいという特性があるためです。
また、本や土壁などを水槽・花びんの近くに置いている場合、水分を吸収して湿気が多くなる可能性があります。結果、ルーター自体のコンディションが悪くなることも考えられるため、湿気を含むものの近くへの設置は避けましょう。
電子レンジなどの家電に近い場所
2.4Ghz帯の周波数帯を利用している場合、電子レンジなどの家電に近い場所への設置を避けましょう。電波が干渉しあうことで通信状態の悪化につながるためです。
別の周波数帯を利用する、有線LANを利用するといった方法でも解決できますが、2.4Ghz帯を引き続いて継続する場合は置き場所も見直してみてください。
金属製の棚や棚の中など
電波は、水以外に金属にも吸収されやすい特性を有します。そのため、金属製の棚の中や機械の近くに置くことで電波が弱まる可能性があるため注意しましょう。
また、金属以外であっても棚の中や家具の下、ルーターを見えない位置に収納することで、電波が遮られて通信速度の低下・通信状態の悪化につながります。電波が遮られない位置に設置することを心がけてみましょう。
床や窓際、部屋のすみなど
家の床や窓際、部屋のすみにルーターを設置すると電波が届きにくくなります。Wi-Fiルーターから出る電波はルーターを中心に全方向に飛ぶ特性を有しており、遮られることで届きにくくなるためです。
そのため、部屋のすみなどにWi-Fiルーターが設置されると全方向に電波が飛ばず、電波の一部しか利用できない状態になります。Wi-Fiルーターの電波が問題なく発せられる位置に設置するよう意識してみましょう。
Wi-Fiルーターの理想的な置き場所
先ほど、Wi-Fiルーターを置くべきでない場所について解説しました。では、どのような場所に置くべきなのでしょうか。
Wi-Fiルーターの理想的な置き場所は、以下の通りです。
・頻繁に通信を行う部屋の中
・床よりも高く障害物のない場所
・家電がそばにない場所
それぞれの置き場所について詳しく解説します。
頻繁に通信を行う部屋の中
Wi-Fiルーターは、頻繁に通信を行う部屋に設置しましょう。普段使わない部屋に設置したり壁を挟んで利用したりすることで、通信状態に影響を及ぼす可能性があるためです。
有線であれば影響はありませんが、無線の場合はWi-Fiルーターから離れるほど障害物に通信を邪魔されやすくなります。快適に通信するためにも、普段利用することが多い部屋にルーターを設置してみてください。
床よりも高く障害物のない場所
Wi-Fiルーターは、床よりも高い位置に設置しましょう。電波は360度に飛ぶため、床に設置することで床や断熱材などに電波が吸収されて届きにくくなるためです。
床に設置しない方法に関しては後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
家電がそばにない場所
家電がそばにあったり部屋の隅に置いたりするのは推奨できません。部屋の隅は壁に囲われていることが多く、設置しても電波が届きにくくなるためです。
また、2.4Ghz帯を利用している場合、通信の干渉によって速度が低下する恐れがあります。障害物に邪魔されにくい場所に設置するよう意識してみましょう。
Wi-Fiルーターの電波状態に干渉しない置き方テクニック
Wi-Fiルーターの電波状態に干渉しない置き方は、以下の通りです。
・壁掛けの収納アイテムを使って設置する
・中継器を導入する
・ビームフォーミング機能を使用する
ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。
壁掛けの収納アイテムを使って設置する
壁掛けの収納アイテムにWi-Fiルーターを置くことで、電波を届きやすくできます。壁に近いため最良とはいえませんが、床よりも高い位置に設置できるためです。
また、収納アイテムに設置することでおしゃれさも追及できます。インテリアとして部屋に溶け込ませられるため、すっきりとした印象を与えることが可能です。
中継器を導入する
Wi-Fiを使用する部屋が多い、壁や家電が多く電波干渉を受けやすいといった場合は中継器の導入がおすすめです。中継器は、Wi-Fiルーターと親子の関係にあり、Wi-Fiルーターからもらった電波をそのまま延長する役割があります。
そのため、Wi-Fiルーター1台よりも広範囲に電波を届けることが可能です。特にパソコンやスマートフォン側で設定も必要ないため、ぜひ試してみてください。
ビームフォーミング機能を使用する
ビームフォーミング機能を使用するのも一つの方法です。ビームフォーミング機能とは、特定方向に電波を届ける機能のことで、接続端末に対して複数のWi-Fiビーム(高い指向性の集中した電波)を放ちます。
ビームフォーミング機能によって、Wi-Fiルーターがスマートフォンやパソコンなどの端末の位置を把握し、電波を届けやすくなります。ただし、端末側でビームフォーミング機能に対応している必要があるため、使用したい場合は端末側の設定も確認してみてください。
ネット利用のストレスはWi-Fiルーターの置き場所で変わる!
今回は、Wi-Fiルーターの適切な置き場所について解説しました。Wi-Fiルーターから発される電波は、水や金属など様々なもので簡単に遮断されてしまいます。インターネット利用に大きな影響を与えるので、「どこに置いても変わらないから」と目立たなさだけで場所を選ぶのではなく、今回紹介した内容をもとに適切な場所に置くようにしてくださいね。