「しっかり休みたい」「体が疲れている」と感じていても、いざ何もしない日をつくると、どこかで子どもや仕事のことを考えてしまう方も多いでしょう。
私はパートとして週3日働きながら、副業でフリーライターをしています。ライターの仕事は、依頼がなければ収入はゼロです。さらにコロナ禍で仕事が止まる怖さを経験してから、仕事がない不安が常に頭から離れなくなりました。
この記事では、そんな私自身の経験を通して、何もしない日が心と体にどんな変化を与えるのかを解説します。
「何もしない日」を作ることで得られること
「何もしたくない」と感じる日があっても大丈夫です。心理学では、何もしたくなくなる状態にはきちんとした理由があると考えられています。だからこそ、あえて何もしない日を作ることには意味があります。
何もしない日を作ることで得られることは、以下のとおりです。
心のバランスが整う可能性がある
暑い日でも寒い日でも、私たちの体には体温を一定に保とうとする力があります。外の環境が変化しても、正常な状態を保とうとする力のことを、心理学や生理学では「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。このホメオスタシスは、体だけでなく、心にも備わっているのが特徴です。
仕事の緊張感や家事・育児のイライラが続くと、心は少しずつバランスを崩していきます。それでも心は、元の落ち着いた状態に戻ろうとする力を持っています。つまり、何もしない日は、ホメオスタシスを無理なく働かせるための日ともいえるのです。
安心・安全を再確認するきっかけになる
何もしたくないのは、体がブレーキをかけている状態かもしれません。人は強いストレスを感じ続けると、戦うことも逃げることも選べず、フリーズ状態になるといわれています。
神経の働きから心を説明しようとしたポリヴェーガル理論では、このフリーズ状態は、神経系が自分を守るときの反応だと説明しています。つまり、何もしたくないのは弱さではなく、自己防衛のサインです。何もしない日は「安全だよ」「ここは大丈夫」と自分に伝える時間でもあります。
ありのままの私に戻れるきっかけになる
心理学者カール・ロジャースが大切にしたのは、ありのままの自分を否定せずに受け入れる「自己受容」です。頑張れない自分を受け入れると、心は少しずつ落ち着いていきます。それは怠けたからではなく、本来の自分に戻るための時間です。
「何もしない日」を作ったほうがいい人

自分の疲れに気づいていない人は、意外と多いものです。ここでは、何もしない日を作ったほうがいい人について考えていきましょう。
休んでいるつもりなのに疲れが取れない人
休日はあるのに、なんだか疲れていると感じることはありませんか?昔から日本では、働くことや忙しくしていることが美徳のように語られがちです。そのため、体が疲れていても「これくらい普通」「当たり前」と無理を続けてしまう人もいます。
日々の業務でストレスが重なっている人
営業や接客業では、さまざまなお客様に対応しなければなりません。たとえば、目の前で怒鳴られる、声が大きい、攻撃的な態度をとられるなど、強いストレスを感じる場面もあるでしょう。そのような状況では、逃げることも反論もできず、思わず体が固まってしまいます。
このような張り詰めた環境に身を置き続けていると、自分でも気づかないうちに、心と体がずっと緊張したままになってしまいます。
色々と「し過ぎ」てしまう人
色々と「し過ぎ」てしまう人の例は、以下のとおりです。
<「し過ぎ」てしまう人の例>
・働き過ぎ
・遊び過ぎ
・スマホし過ぎ
・食べ過ぎ
・飲み過ぎ
・ダイエットし過ぎ
共通しているのは「○○し過ぎている」ことです。何かに囚われると、知らず知らずのうちに、時間もエネルギーもそこへ注ぎ込んでしまいます。気づけば、心は常に落ち着かない状態になります。
不安や焦りがある人
「仕事でミスが続くのは私の努力不足」「家族との関係がぎくしゃくするのは私の振る舞いが悪い」など、問題の原因を追求して解決しようとするうちに、前よりも不安で苦しくなって動けず、悲観的になってしまいます。
さらに不安が不安を呼んで、悪いシミュレーションまでしてしまいます。
「何もしない日」の過ごし方の例
のんびりとした気持ちになれるように、何もしない日の過ごし方を具体的に見ていきましょう。
外からの刺激を減らす
デジタル化が進む現代社会で、私たちは光や音といった刺激にさらされています。少しだけ、外からの刺激を減らしてみましょう。
スマホをオフにする
スマホがあるとついつい情報収集をしたり、リアクションしたりするなど、その状態から抜け出せなくなり、いつの間にか時間を使ってしまいます。そのため、いったんスマホから離れてみましょう。電源をオフにするのが難しければ、機内モードにして、インターネットが使えない状態にするのも良いでしょう。
自然音を聞く
川のせせらぎ、鳥や虫の声、雨音など小さな音量で流してみましょう。日常とは異なる環境を感じると、リフレッシュしやすくなります。また自然の音には、不規則なリズムの「ゆらぎ」があり、緊張している神経をやわらかくゆるめる働きがあるといわれています。
部屋を暗めにする
カーテンを少し閉める、間接照明を使用するなど、部屋を暗めにしてみましょう。暗さによって、気持ちも少しずつ静かになります。
自然光を自分でコントロールするためには、角部屋がおすすめです。角部屋のメリットは、たっぷりと光を取り込めるところです。時間帯によって、日差しが差し込んで室内が明るくなり、カーテンやブラインドで光の量を調整できます。
自然音や静かなクラシックなどを小さな音で流すと、リラックスできます。「楽器可・相談」の部屋を選んで、自分らしい時間を楽しみましょう。また「楽器可・相談」の物件は、防音性に配慮されているケースが多く、音に敏感な方にも適しているでしょう。
体や気持ちを整える
仕事、家事、育児、介護など、忙しい毎日の中でときどき立ち止まって、体や気持ちを整えることが重要です。
深呼吸する
ドキドキ・ハラハラすると、呼吸が浅く速くなりがちです。緊張状態を和らげるために、深呼吸をしてみましょう。「1.2.3.4.5」と数えながらゆっくり息を吸い込み、同じようにゆっくり息を吐き出します。
温かい飲み物を飲む
温かい飲み物を飲むと、体も心も「ほっ」とゆるみます。その日の気分や体調に合わせて、好きなお茶を入れてみてください。ハーブティーを入れれば、その香りにも癒やされます。
湯船に浸かる
湯船に浸かると、全身の血流がアップして温まります。質の良い睡眠にするためには、就寝する1~2時間前に入浴するのがポイントです。
よく寝る
疲労回復のためには、睡眠が欠かせません。睡眠はただ疲れをとるだけではなく、細胞の修復や記憶の定着などにも深く関わっています。通気性の良いパジャマや体にフィットするマットレスを選び、快適な眠りへつなげましょう。
さらに、眠る空間そのものを見直すことも、快適な睡眠につながります。和室の場合、畳のい草の爽やかな香りや、足裏からじんわりと伝わる少しザラッとするような質感が心地良いのが魅力です。
また、和室に布団を敷いて、ゴロゴロするのもおすすめです。ベッドとは違い、床に近い位置で休むため、空間に包まれるような安心感があります。布団はたたんで押入れなどに収納できるため、限られた広さでも効率的に使えるでしょう。
何もしない贅沢な時間を味わう
何もしなくても時間は過ぎていくので、その贅沢な時間をゆっくり味わいましょう。
天井や雲の流れを見る
部屋の中で天井を見上げる、屋外で空を見上げる・雲の流れを眺めるという方法がおすすめです。真上を見ると自然とあごが上がって、胸が広がり、呼吸がしやすくなります。たっぷりと新鮮な空気を吸い込みましょう。
風を感じてブラブラと散歩する
少し足を伸ばして自然の多い公園へ行ったり、目的を決めずにブラブラと歩いたりするだけでも、心と体はゆるやかに変化していきます。森の中にいると脈拍や血圧が下がり、ストレスホルモンであるコルチゾールも減少することが確認されています。
ペットに触れる
ペットと触れ合うと「オキシトシン」が分泌されるといわれています。オキシトシンは、幸福感や安らぎに関わる愛情ホルモンで、乱れた心を整えるのにも役立つでしょう。
植物の香りを楽しむ
五感の中で、ダイレクトに脳に働きかけるのが嗅覚です。好きな香りを嗅ぐだけで、気持ちが軽くなります。お花を飾ってみたり、植物を育てたり、アロマテラピーを取り入れるのもおすすめです。
ワンルームでは、キッチン・リビング・寝室がコンパクトにまとまり、移動がスムーズといえます。目に入る情報も少なく、掃除や片付けもシンプルです。「○○しないと」と考える前に休めるため、何もしない日をゆっくりと過ごせます。
私が実際に実践した「何もしない日」の過ごし方

私は休日が近づくと、少し晴れやかな気持ちになります。その一方で、仕事や収入のことが頭から離れず、さらにやり残した家事が気になるものです。そんな私が実践した、何もしない日の過ごし方をご紹介します。
子育てや家事は夫に任せて「何もしない宣言」
仕事のない日でも、私の1日はいつも決まっています。朝食の準備、お弁当作り、洗濯・掃除など、私のためでもありますが、誰かのための時間ばかりです。
だからこそ、何もしない日を作ると決めたときは、事前に夫へ「今日は何もしない日だから、あとはお願いします」と言葉で伝えます。1日のやることリストをメモして、わかりやすく書いておくときもあります。実際に任せてみると「夫と子どもに任せても大丈夫だった」という安心感が生まれ、私の気持ちが楽になりました。
また、家事を夫婦で分担する姿を見せることは、子どもにとっても大切な学びになると感じています。
家族みんなで何もしない日にする
私の家族は、私と夫と子どもの3人暮らしです。休みの日に家にいると、大量の書類や汚れた洋服がどうしても目に入り、気になっていた家事が次々と頭に浮かんできます。そこで、何もしない日は、朝から家族みんなで外に出てしまいます。
みんなでモーニングを外で食べたり、目的もなくドライブしたり、特別な予定は立てません。ただ一緒に歩き、同じ時間を過ごすだけです。たまには、こんな日もあって良いと感じます。
散歩で川や神社へ、時の流れを感じる
散歩は特別な準備が不要で、思い立ったときに気ままにできることが魅力です。自宅の近くにある土手へ行き、ただ静かに流れる川を眺めます。
少し時間に余裕がある日は神社やお寺へ足を運び、深呼吸して手を合わせます。不思議と心が整い、穏やかな感覚が戻ってくるのです。
ひとりで実家へ帰る
私は実家が近いため、ひとりで実家に帰ることもあります。ここでも、特別な用事があるわけではありません。実家には「ちゃんとしなくていい」「頑張らなくていい」と思わせてくれる空気があります。
思い出話をしたりお茶を飲んだり、安心できる親のそばで過ごす時間は、私にとって心を回復させる大切な過ごし方のひとつです。
「何もしない日」を過ごしたあとの私の場合の心の変化
ありがたいことに、私がガミガミ言わなくても、夫も子どもも動いてくれます。私が全部コントロールしなくても、家はちゃんとまわることに気づかされました。
行動力が湧くようになった
何もしない日を過ごすと「何かしたい」という気持ちが自然に湧いてきます。「友達に会いたい」「勉強したい」「仕事がしたい」など、義務感ではなく、私の内側から動きたくなる感覚です。それが、本来の行動力なのかもしれません。
頭がスッキリして仕事のミスが減った
何もしない時間を作ると、考え方や思考が整理されます。集中力が戻り、仕事のミスが減りました。家事の効率も上がり、時間に対する焦りが減ります。
心理的な余裕が生まれ人に優しくなった
何もしない時間を過ごしていると、視野が広がるような気がします。ときには相手の様子をよく観察したり、自分自身の幼少期を思い出したりすることもありました。
「私は○○が好きだったな」と思い出すと、子どもへの見方が少し変わります。また、夫のサポートや両親がこれまでかけてくれた優しさにも、自然と目が向くようになりました。
「まぁいいか!」と楽観的に思えるようになった
「ちゃんとしないと」「失敗するのが怖い」と力が入っていたのは、私のほうだと気づかされました。たとえば、子どもが英検のテストに1点足らずで不合格になったときです。数年前の私なら「なんであと1点取れなかったの?」と子どもを責めたと思います。
しかし、その日は「まぁいいか、こんなこともあるよね」と声をかけていました。不合格でガッカリしていた子どもですが、翌日「もう1回、受けさせて」と前向きに話し始めました。合格すること以上に、子どもが自分の力で立ち上がろうとする姿のほうが、私にとってはうれしい瞬間でした。
「何もしない日」があると罪悪感を覚えてしまう方へ
「何もしない日」や休みに対して、罪悪感や気まずさといったネガティブな感情が生じてしまう方もいます。そのような方は、以下のような対策を行いましょう。
何もしない自分を責めない(受け入れる)ことにまず慣れる
「相手を助けたい」「責任や義務を果たしたい」「誠実でありたい」といった気持ちから、働くことに一生懸命になります。しかし、その一方で、休むことには慣れていません。まずは休むことを選んで、何もしない日を用意しましょう。
何もしない日も大切な活動と考える
「将来どうなるのか」「未来にはどんな仕事があるのか」「どんな技術や知識が必要なのか」は誰にもわかりません。だからこそ求められるのは、問題が起きたときに向き合う力、自分に価値があると思える感覚、希望を持つ力です。
何もしない日は、今そのときを大切に過ごしながら、回復力や想像力を育てる活動日と考えましょう。
何もしない日を習慣にする
休む日をスケジュールに入れて習慣にすると、罪悪感は少しずつ薄れていきます。「休む=当たり前」になると心が安定しやすくなるので、積極的に休みましょう。
「何もしない日」を作って心と体を休めよう
私たちは、働く時間も勉強する時間も、そして休む時間も本来は自由なはずです。しかし、忙しい現代社会では、意識的に休まないと休めません。何もしない日は、ちょっと立ち止まる時間です。頑張り過ぎるのをやめて、静かな時間を過ごしてみましょう。
人や情報、SNSとつながるのではなく、何もしない日には植物や動物とつながるのも良いでしょう。ぜひ、何もしない日、何もしない時間を自分にプレゼントしてみてください。





