江戸川区・西葛西にあるインド人学校に入学希望の日本人が殺到「日本の教育はインドより3年遅れている」

大手町や日本橋などのビジネス街に東京メトロ東西線で直結している江戸川区・西葛西(にしかさい)と聞くと、どこにでもありそうな住宅街といったイメージがありますが、実はこの街には約3000人ものインド人が暮らし、なんと日本全国に在留するインド人の1割が西葛西に住んでいるのです。

とは言っても、横浜中華街や新大久保のコリアタウンのように観光地化されていない西葛西にはインド料理店が並ぶような通りはありませんし、西葛西に住んでいるインド人はその多くが平日の昼間は金融系ITエンジニアとして働くエリートであるため、西葛西がインド人街だと気付いている人はそんなに多くないのかもしれません。





そもそもインド人が西葛西に多く集まるようになったのは、2000年代前半からだと言われています。

コンピュータが誤作動する「2000年問題」に対応するために、2000年に当時の森首相がインドを訪問し、日本のIT企業で働くエンジニアに対するビザ発行を大幅に緩和したことによって、高度なIT技術を有するエリートインド人が次々と来日し、日本で働くインド人の数は飛躍的に増加しました。

そして来日したインド人たちは、勤め先のビジネス街にアクセスが良く、スーパーの激戦区で物価の安い西葛西に集まるようになったと言われています。





西葛西にインド人が大勢やってきたことによって、西葛西にはインド人向けの施設が次々と整備されるようになりました。

その中の一つに、「グローバル・インディアン・インターナショナルスクール」と呼ばれるインド人学校が開校されたのですが、興味深いことに、この学校の数少ない日本人枠に我が子を真の国際人に育てようと日本人が殺到しているというのです。

西葛西にあるこのインド人学校では、インド現地の学校と同じように40分授業が9時間目まであって、これは同年代の日本人の子どもたちと比較するとインドの子どもたちは毎日90分も多く勉強すると言います。

インド式教育と言えば2ケタの九九が有名ですが、西葛西のインド人学校でも同様にインド式数学教育が導入されているため、日本の小学生がやっと1ケタの足し算を習い始めた頃、この学校ではすでに3ケタの足し算を行うと言い、数学教育に関して言えば日本人はインド人により3年遅れているのだそうです。(1)





現在世界を見渡してみると、Google、Microsoft、そしてAdobeなど世界の名だたる企業のCEOにインド人が就任しており、さらにソフトバンクの孫社長の後継者として指名されていたアローラ氏もまたインド出身であるように、多くのインド人たちが世界経済を牽引するようになってきている現在、私たち日本人がインド人から学べることは多いはずです。

そう考えれば、教育熱心な親御さんが子どもを連れて西葛西にやって来るのも納得できます。


【参考書籍】(1)織田 直幸 (著), ジョシ・アシシュ (監修)『インドの小学校で教える プログラミングの授業』(青春出版社、2017)Kindle


著者:高橋将人 2018/5/14 (執筆当時の情報に基づいています)
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