綾瀬のコッペパン専門店、焼き立てコッペ製パン「コッペパンは日本の食卓の主役になれる」

近年、急激に熱を帯びるようになったコッペパン業界。

学校給食の定番であるコッペパンは、パサっとした独特な食感が苦手と口にする人が少なくなく、お世辞にも人気メニューとは言えない食べ物です。

しかし、東京・綾瀬にオープンしたコッペパン専門店「焼き立てコッペ製パン」には、平日にも関わらず人々が行列を作り、綾瀬の街を中心にジワジワとコッペパンが普及しつつあります。

行列を作っている人々は決して物珍しさでコッペパンを買い求めているわけではなく、なんとこの店を訪れる顧客の8割がリピーター客なのだとか。

そこで今回は焼き立てコッペ製パン店長の岸本悟さんに詳しくお話を伺ってきました。



高橋:最近、ドトールやコメダ珈琲を始めとした大手企業がコッペパン業界に参入するなど、コッペパン業界が盛り上がってきていますよね。コッペパンブームが起きているのでしょうか?

岸本:ブームと呼べるほどの規模感ではありませんが、チャンスが大きい業界であることは事実だと思います。

ちなみに、コッペパンに対してどのようなイメージを持っていますか?

高橋:学校給食の定番ですが、パサパサしていて正直なところあまり良い印象はありませんね…。

岸本:そうですよね。コッペパンが好きという人はあまり多くないでしょうし、むしろ苦手な人の方が多いかもしれません。私もコメ派なのでパサついたイメージのあるコッペパンに対して最初はネガティブなイメージがありました。でも、作り立てのコッペパンってフワフワしていて実は美味しいんですよ。

コッペパンは日本発祥のパンで、コッペパンを知らない日本人はいないと言っても過言ではありません。嫌いな人も少なくないかもしれませんが、コッペパン自体には圧倒的な認知度があって、手に取るハードルはすごく低いと思っています。だからこそ、印象を変えられればものすごく強い商品になると確信しているのです。



高橋:先日、コッペパンを購入させていただいたのですが、従来のコッペパンとは比較にならないくらいモチモチな食感が印象的でした。モチモチ食感にはこだわりがあるのでしょうか?

岸本:様々な企業がコッペパン事業に参入する中、競争力を担保するためには他社との差別化が必要不可欠です。そこで我々が目指したのは「日本で一番モチモチなコッペパンはどこか」と問われた時、「綾瀬駅にあるコッペパンの店」とお客様に即答していただけること。

一般的に、サンドイッチやハンバーガーなど、何か具を挟む食べ物は歯切れをよくするために、少しパサっとした食感のパンを採用することが多いです。サクッと噛み切れないと中身がはみ出して食べにくいですからね。

でも、本来日本人が「美味しそう」と感じるのは、モチっとした食感ですよね。みんなが歯切れが良いパン作りを目指す中、具がはみ出すくらいモチモチのパン作りを行っているんです。お餅だって中身がはみ出すほどモチモチの方が食べていて美味しいし、印象に残りますよね。



高橋:確かにすごくモチモチしていたので食べていて中身がはみ出していました(笑)具をこぼさないように頬張った印象が強く残っています。他にも差別化の点で気を付けていることはあるのでしょうか?

岸本:最近メディアに登場しているコッペパンはいわゆる「デザート」のカテゴリに分類されるものが大半です。もちろん、焼き立てコッペ製パンでも甘いコッペパンはご用意していますが、メインは惣菜系の「食事」として食べていただけるコッペパンなんです。

もちろん全て店内で手作り調理して出来立てをお客様に提供しています。



高橋:仰るように最近のコッペパンはデザート系のものが多いですよね。なぜ惣菜系に焦点を合わせたのでしょうか?

岸本:コッペパンの可能性をデザートに留めておくのはもったいないと思ったからです。コッペパンは挟み方によって、サンドイッチ、ハンバーガー、ピザ、さらにケーキにもなりますよね。

食べるタイミングだって、朝食としてサンドイッチ代わりに、3時のおやつに、ランチや夕食にも食事として食べていただけるなど時間を問いません。

ラーメンは朝は食べませんし、お腹が空いているときにカフェには行かないですよね。その意味ではすごく可能性が高い食べ物だと思っています。



高橋:どの時間帯でも受け入れられることを考えると、コッペパンのポテンシャルの高さは相当なものですね。

しかし、コッペパンはパンというカテゴリの一つですよね。今は有名なベーカリーがメディアにたくさん取り上げられますし、最近だとハード系のパンもすごく人気です。こうしたパンはコッペパンの競合にはならないのでしょうか?

岸本:アンケートなどでどんなパンが好きかと尋ねると、「ハード系のパンが好き」と答える人がすごく多いんですよ。実際にインスタグラムなどでも写真映えしますし、カフェで食べてもおしゃれですよね。人気な理由が分かります。でも、私は「ハード系のパンが好き」という世間の声を100%信じているわけではありません。



高橋:ハード系のパンが好きという声は本心ではないという意味でしょうか?

岸本:「噛めば噛むほど小麦の味を感じる」というと聞こえは良いかもしれませんが、では実際にそうしたパンをお腹がペコペコの時に食べたいですか?と問われれば、私はそうではないと思うのです。

むしろお腹が空いている時はカレーライスやオムライスなど、柔らかいものをガツガツかき込みたくなりませんか?

もともと欧米の方は唾液の分泌量が多いのでハード系のパンを食べられますが、日本人のようなアジア人は唾液の量が少ないので、モチモチした水分量が多い食べ物を好むんですよ。だから、日常的にガツガツ食べるとなった時に、私はコッペパンに優位性を感じています。

グランドメニューの中でダントツで一番人気の「焼肉(490円税込)」
https://www.instagram.com/p/B_oQR0_JtGs/

グランドメニューの人気商品「焼きサバ(490円税込)」
https://www.instagram.com/p/CACrsvbAqhf/

期間限定のチーズバーガーコッペ(490円税込)
https://www.instagram.com/p/CEngmv2hrYD/

高橋:確かに、お腹がペコペコの時は水分量が多くて柔らかいものを勢いよく食べたいです。その意味では、日常的に食べるパンとしては、コッペパンを選ぶ人の方が多いかもしれませんね。

岸本:実際に当店のお客様は8割の方がリピーターで、少しずつではありますが、日常的にコッペパンを食べる文化を作ることができていると感じています。

高橋:取材でよく綾瀬を訪れますが、いつ来ても行列ができていますよね。岸本さんが冒頭で仰ったように、圧倒的な認知度があるコッペパンは、印象さえ変えることができればあっという間に食卓の主役になれそうですね。

最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?

岸本:まずは5年後、2025年の時点で100店舗オープンを目標に動いているところです。コッペパンを日本の食卓に浸透させられるようこれからも前に進んでいきます。綾瀬にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。


◆取材協力

焼き立てコッペ製パン

◆営業時間

7:00〜19:00(9月中は20時まで営業時間延長)

※コッペパンが無くなり次第閉店

◆アクセス

千代田線綾瀬駅の改札を出てすぐ

東京都足立区綾瀬3-1-10

千代田線綾瀬駅中間部ホ号

◆電話番号

03-3606-2825


著者:高橋将人 2020/9/17 (執筆当時の情報に基づいています)
※本記事はライターの取材および見解に基づくものであり、ハウスコム社の立場、戦略、意見を代表するものではない場合があります。あらかじめご了承ください。