墨汁汚れがついてしまった!すぐにしたい応急処置・NG行動と効果的な落とし方

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お子さんの習字の練習後や、学校から帰ってきたとき、衣服や周囲に墨汁がついているのを発見した経験はありませんか。墨汁は一度ついてしまうと落としにくく「もう取れないのでは…」と諦めてしまう方も多いでしょう。

墨汁汚れの正しい対処法を知っていれば、ある程度落とすことができます。この記事では、墨汁汚れの基本知識や応急処置、素材別の効果的な落とし方について解説します。記事で紹介する内容を知っておけば、墨汁汚れに慌てることなく適切に対処できるようになるでしょう。

墨汁汚れの基本知識

まずは、なぜ墨汁がこれほど落ちにくいのか見ていきましょう。墨汁の成分や特性を紹介します。

墨汁の成分と特徴

従来の固形墨は、煤とニカワ(膠)が主な原材料でした。しかし現在市販されている墨汁の多くは、墨の代わりにカーボンブラック、膠の代わりに合成樹脂を使用しているものがほとんどです。

カーボンブラックは、水や油に溶けない性質があるため、そのまま乾くと簡単に剥がれます。そこで合成樹脂を混ぜることで粘り気を出し、紙や繊維にしっかりと定着させているのです。

なぜ墨汁は落としにくい?

墨汁に含まれるカーボンブラックは、非常に小さな粒子で構成されています。微細な粒子が衣類の繊維や壁紙の細かい凹凸の中に入り込むのが、墨汁が落ちにくい原因のひとつです。

さらに時間が経過すると、合成樹脂が硬化してカーボンブラックを繊維や表面に強力に固定します。こうなると、付着した直後よりもはるかに落ちにくくなってしまうのです。

墨汁汚れが付いてしまった場合にすぐ行いたい応急処置

墨汁汚れを発見したら、焦らず落ち着いて、応急処置を行いましょう。最初の対応が、その後の汚れ落としの効果を大きく左右します。

応急処置の基本は「吸い取る」ことです。衣類や布製品の場合はティッシュペーパーで挟み込み、壁や床の場合は押し当てるようにして余分な墨汁を取り除きます。このとき、絶対にこすったり広げたりしてはいけません。

【注意】墨汁が付いた直後のNG行動

墨汁がついてしまったときに、多くの人がやりがちなNG行動は、以下のとおりです。

<衣類・布製品についた場合のNG行動>
・すぐに洗濯機に入れる
・水で濡らしてゴシゴシこする
・漂白剤を直接かける

<壁・床についた場合のNG行動>
・濡れた雑巾でこする
・拭き取らずに洗剤をスプレーする
・ドライヤーで乾かす

これらの行動は汚れを繊維の奥深くまで浸透させたり、他の場所に広げてしまったりする原因となります。

正しい応急処置は、ティッシュペーパーを汚れの上下に当て、軽く押さえて余分な墨汁を吸い取ることです。壁や床の場合も同様に、ティッシュを押し当てるだけにとどめましょう。

墨汁を落とすときに使えるアイテムと洗剤の選び方

墨汁汚れを効果的に落とすには、適切な洗剤と道具を選ぶことが大切です。素材を傷めずに汚れだけを落とすために、段階的にアプローチしていきましょう。

素材に優しい洗剤の選び方

墨汁汚れを落とす際は、素材を傷めにくいものから試していくのが基本です。中性洗剤は、どのような素材にも使いやすく、まず最初に試したい洗剤です。

<おすすめの中性洗剤>
・花王 アタックZERO
商品サイトURL:https://www.kao.co.jp/attack/products/zero/
・ライオン NANOX one
商品サイトURL:https://nanox.lion.co.jp/

衣類やクッションカバーなど洗える素材には、酸素系漂白剤も効果的です。色柄物にも使用可能で、素材への負担も軽減できます。

<おすすめの酸素系漂白剤>
・花王 ワイドハイター EXパワー
商品サイトURL:https://www.kao.co.jp/widehaiter/products_liquid/
・ライオン ブライトSTRONG 漂白&抗菌ジェル
商品サイトURL:https://www.lion.co.jp/ja/products/283

洗剤以外で代用する場合の家庭にある便利アイテム

家庭にある身近なアイテムでも墨汁汚れを落とせます。とくに効果的なのが「ご飯粒」です。

ご飯粒の主成分であるデンプンは、のりに使われるほどの粘着力があり、繊維の奥に入り込んだカーボンブラックを吸着して取り除く効果が期待できます。

ご飯粒を使った方法の手順を紹介します。

1.炊いたご飯をつぶしてのり状にし、洗濯用洗剤と2対1の割合で混ぜる。
2.1を汚れた部分に塗り、ヘラなどで優しくこすりつける。
3.ご飯粒が黒くなったら水で洗い流し、汚れが薄くなるまで繰り返す。
4.洗い流し、洗濯機で洗浄する。

ぜひ一度、試してみてください。

便利な掃除道具

墨汁汚れの除去には、以下の掃除道具が役立ちます。

・歯ブラシ
細かい部分の汚れをかき出すのに適しています。毛が柔らかいものを選びましょう。

・綿棒
狭い隙間や角の部分の汚れ除去に便利です。

・メラミンスポンジ
研磨効果で表面の汚れを削り取ります。ただし素材によっては傷をつける可能性があるため注意が必要です。

・プラスチックヘラ
ご飯粒洗剤を塗り込む際や、固まった汚れを削り取る際に使用します。

これらの道具を汚れの状況に応じて使い分けることで、効率よく墨汁汚れを除去できます。

【素材別】墨汁の落とし方

墨汁がついてしまった素材によって、最適な落とし方は異なります。それぞれの特性を理解して、適切な方法を選択しましょう。

衣類についた場合の落とし方

衣類についた墨汁は、洗濯用中性洗剤や、酸素系漂白剤を使って落とします。それぞれの手順を紹介します。

<洗濯用粉末洗剤を使った方法>
1.粉末洗剤をぬるま湯1リットルに対し小さじ1杯程度溶かす。
2.衣類を2時間程度つけ置きする。
3.3分程度もみ洗いする。
4.洗濯機で洗う。

<酸素系漂白剤を使った方法>
1.40~60度の温水に粉末の酸素系漂白剤をパッケージに書かれている規定量加えて溶かす。
2.墨汁のついた衣類を2~3時間浸ける。
3.汚れがひどい場合は浸け置き中にこすり洗いをする。
4.手洗いでよくすすぐ。
5.洗濯機で洗う。

汚れが目立つ場合は、前述したご飯粒を使った方法と併用するとよいでしょう。

壁紙に付いた場合の落とし方

壁紙についた墨汁は、まずティッシュで余分な墨汁を吸い取ります。乾いていない場合は、押し当てるようにして水分を取り除きましょう。

軽い汚れの場合は、水で薄めた中性洗剤を布に含ませて優しく拭き取ります。

頑固な汚れには、湿らせたメラミンスポンジが効果的です。メラミンスポンジは、壁紙の材質によっては表面を傷める可能性があるため、注意しながら使用してください。

水に強い白い壁紙の場合は、キッチンハイターを薄めた液をスプレーし、しばらく置いてから拭き取る方法も効果的です。ただし、ハイターを使うと変色するリスクがあるため、必ず事前に目立たない場所でテストしてから行いましょう。

フローリングや木製家具についた場合の落とし方

フローリングや木製家具は、水分を嫌う素材も多いため、まず乾拭きで余分な墨汁を除去します。

軽い汚れなら歯磨き粉(研磨剤入り)を使って粒子を削り取る方法が効果的です。歯磨き粉を少量つけた歯ブラシで、木目に沿って優しくこすります。

メラミンスポンジを水をたっぷり含ませて使用する方法もありますが、フローリングのコーティングを傷める可能性があるため注意が必要です。

無垢材の場合は、サンドペーパーで削り取った後、食用油を薄く塗ってツヤを出す方法もあります。

カーペット・ラグに付いた場合の落とし方

カーペットやラグについた墨汁は、まず固形物を取り除き、ティッシュで水分を吸い取ります。

重曹水(重曹小さじ1:60度のお湯100ml)を汚れ部分にスプレーし、清潔な布で叩くように汚れを浮かせます。その後、水で薄めた中性洗剤を使って同様に汚れを浮かせ、最後に水拭きで洗剤を除去します。

毛足の長いカーペットの場合は、歯ブラシを使って毛の流れに沿って汚れをかき出しましょう。

布ソファ・クッションに付いた場合の落とし方

布ソファやクッションについた墨汁は、取り外し可能なカバーがある場合は外し、衣類と同様の方法で洗濯します。

取り外しできない場合は、ご飯粒と洗剤を混ぜたペーストを汚れに塗り、歯ブラシで優しくこすって汚れを浮かせます。その後、水で薄めた中性洗剤を含ませた布で拭き取り、最後に水拭きで仕上げます。

掃除後は、カビの発生を防ぐため、十分に乾燥させることが重要です。扇風機やドライヤーを使って素早く乾かしましょう。

墨汁がどうしても落ちない場合の対応策

自分で落とそうと試行錯誤しても、どうしても墨汁汚れが取れない場合があります。頑固な汚れは無理をせず、クリーニング業者への相談、または交換を検討しましょう。

衣類・布製品の場合…クリーニング業者への依頼を検討する

大切な衣類や高価な布製品についた墨汁汚れは、クリーニング業者への依頼を検討してください。とくに以下に当てはまる場合は、プロに任せる方が安全です。

・デリケートな素材(シルクやウールなど)
・色落ちしやすい染色の衣類
・家庭では洗えない表示のあるもの
・自分で処理して悪化させてしまったもの

クリーニング店に持参する際は、いつ・何の汚れがついたかを詳しく伝えましょう。

壁紙・床材など建材の場合…補修・交換を検討する

壁紙や床材についた墨汁汚れがどうしても落ちないときは、部分的な補修や交換を検討しましょう。

賃貸物件では、まず管理会社や管理者に相談してください。汚れの程度によっては原状回復費用が発生する可能性があるため、早めに相談し、対処しましょう。

持ち家の場合は、DIYでの補修も可能ですが、不安な場合は専門業者に依頼することをおすすめします。

墨汁をこぼさないための予防策と注意点

墨汁汚れを完全に防ぐことは難しいですが、事前の準備によってリスクを減らせます。ここからは、知っておきたい予防策や注意点を紹介します。

保護アイテムを用意しておく

習字の前には、必ず作業エリアを保護するアイテムを準備しましょう。

新聞紙やビニールシートを机や床に敷くことで、万が一こぼれても直接的な被害を防げます。とくに壁際で作業する場合は、壁にもビニールシートを貼っておくと安心です。

服装面では、エプロンの着用や汚れても良い服を選ぶことが重要です。最近では撥水加工されたポリエステル素材の服も多く、これらは墨汁がついても落としやすいでしょう。

洗うと落ちるタイプの墨汁を使用する

練習用として、洗濯で落ちるタイプの墨汁を使用するのも効果的な予防策です。

<落ちやすい墨汁の商品例>
・サクラクレパス 洗濯で落ちる墨液
商品サイトURL:https://www.craypas.co.jp/products/painting-school/054/854127.html
・DCM 洗って落ちる書道液
商品サイトURL:https://www.dcm-ekurashi.com/goods/420171?srsltid=AfmBOoqXKb8K5fD75EmwfrpkM5PcMiglBdMtc15th37eHIbaOvFk2-av

これらの製品は通常の墨汁と比べて洗濯で汚れが落ちやすく作られており、子どもの練習に適しています。

ただし、発色や定着性が通常の墨汁より劣るため、作品展示や清書には向きません。用途に応じて使い分けることで、汚れのリスクを大幅に軽減できます。

子どもと一緒に習字をする際の注意点

子どもと習字をする際は、以下の点に特に注意しましょう。

・墨汁の容器は倒れにくいものを選ぶ
・筆の本数は最小限にし、使わない筆は片付ける
・作業中は子どもから目を離さない
・作業後は必ず手洗いを行い、顔や髪に墨汁がついていないか確認する

また、作業エリアを区切って他の場所に墨汁を持ち出さないよう、ルールを設けることも大切です。

墨汁汚れは素材と状況に応じた対処が大切

今回は墨汁汚れの基本知識や素材別の落とし方、予防策について解説しました。

墨汁汚れは頑固で落としにくいものですが、適切な方法で落ち着いて対処しましょう。汚れを発見した際の、冷静な判断と迅速な行動が大切です。

また、ご飯粒のような身近なアイテムが意外な効果を発揮することもあります。高価な専用洗剤を慌てて購入する前に、まずは家庭にあるもので試してみることをおすすめします。

日頃から予防策を心がけ、万が一のときにも焦らないよう、準備をしておきましょう。